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088

 

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大人になった僕達が久しぶりにグラウンドという場所に足を踏み入れたのはちょっとしたきっかけがあったから。眺める夕日は秋色をしていて水を撒いたりしていたあの日を追憶するのに丁度いい。君から珍しく手を繋いできて、僕は妙に自分の鼓動を大きく感じた。繋いだ指から伝わるかな。#twnovel

 

 


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眠れないからと言って君は深夜の遊歩道に僕を連れ出す。それが言い訳だという事は明確でも僕は何も言わず言われるまま家を飛び出した。二人して遊歩道にあったベンチに座り込み突然君が噛みつく様な怒りを露わにする。昼間僕が罵倒されたから。雷のような感情を抱えてくれてたんだね。#twnovel

 

 


090

 

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傾く日の光が閑散とした廊下を差す。僕の選んだ道は何でもない事を特別なことと感じる道。この廊下をもう二度とは通らない道。君が教えてくれたんだ。魔法はかけられるものじゃなくてかけるものなんだって。だから僕は僕に魔法をかける。今は孤独でも一人じゃないと感じられる魔法を。#twnovel

 

 


091

 

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一人泣く夕方のソファの上、膝を抱えて君が帰るのを待つ。泣いた事に意味はなくて。無性に君に会いたかった。毎日帰ってくるはずの君なのに家を出てから帰ってくるまでの時間がこんなにも長く感じる。僕の姿を見つけた君はすぐさま僕の頭を撫でた。その手が僕にとってのとても尊い冠。#twnovel

 

 


092

 

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人の気配のない朝の駅。君は静かに缶コーヒーをくれたね。僕に別れを告げて欲しいの?その答えは分からないままでも列車に乗り込む君の横顔が孤独を色濃く映していた事は確かで。だから君の望み通りさよならと叫んだ。まだいつかの希望を断ち切れないまま声の限りさよならと叫んだ。#twnovel

 

 



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