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086

 

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朝靄の並木道を無性に歩きたくなって朝早くからひとり落ち葉のこすれた音を響かせる。目的もなく今はただ歩きたかった。膝から崩れ落ちそうになる心を必死に押さえながら歩く僕を狙って雨が頬を濡らしてく。今なら泣いても誰も僕を責めはしないだろうか。雨は泣くばかりの僕を許すかな#twnovel

 

 


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憩いの場となる昼の公園でベンチに座り一息つく。そうすればいやなことを少し忘れてしまえるよと教えてくれたのは君だったね。子供たちの足音も遠く微かに聞こえるほど僕はこの空を君に繋げていたんだ。すでに君から教わったこの習慣も僕のもの。そんなことを缶コーヒーを片手に思う。#twnovel

 

 


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大人になった僕達が久しぶりにグラウンドという場所に足を踏み入れたのはちょっとしたきっかけがあったから。眺める夕日は秋色をしていて水を撒いたりしていたあの日を追憶するのに丁度いい。君から珍しく手を繋いできて、僕は妙に自分の鼓動を大きく感じた。繋いだ指から伝わるかな。#twnovel

 

 


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眠れないからと言って君は深夜の遊歩道に僕を連れ出す。それが言い訳だという事は明確でも僕は何も言わず言われるまま家を飛び出した。二人して遊歩道にあったベンチに座り込み突然君が噛みつく様な怒りを露わにする。昼間僕が罵倒されたから。雷のような感情を抱えてくれてたんだね。#twnovel

 

 


090

 

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傾く日の光が閑散とした廊下を差す。僕の選んだ道は何でもない事を特別なことと感じる道。この廊下をもう二度とは通らない道。君が教えてくれたんだ。魔法はかけられるものじゃなくてかけるものなんだって。だから僕は僕に魔法をかける。今は孤独でも一人じゃないと感じられる魔法を。#twnovel

 

 



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