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081

 

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傘を忘れた僕らは非常階段を降りたところで足止めを食らった。雨だ。深夜の空から秋雨が注ぎ二人の行く手を阻んでいる。困ったね、と君の方を振り向くと不意に噛みつくように君は僕に口づけた。雷が遠くから轟いている音は僕の心の高鳴りを表現するように何度も雷光を繰り返していた。#twnovel

 

 


082

 

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いつだったか君と深夜のグラウンドに忍びこんだ事があったね。今になってあの時の事を思い出していた。あの時君がくれた飴玉の味が時々恋しくなる。本当によくある飴玉。でも自分で買って食べてみてもなぜか同じ味がしなくて。そして気づく。君がくれたから甘く感じたんだという事に。#twnovel

 

 


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一人で過ごすひだまりの部屋。一人で過ごす秋雨の音が聞こえる部屋。この部屋がどんな部屋に変わっても君との心のすれ違いに心痛めていた。あの頃の僕か今の僕か時々分からなくなる。でも過去として消化できたかはどうでもいい。僕は君を愛した。その事実だけ抱いて今を生きるだけさ。#twnovel

 

 


084

 

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朝日を見たのはいつ以来だろうか。そんな事を思うほど朝日を眺めたのは久しぶりだった。まだベットで寝ている君を起こさないようにカーテンの隙間から眩しい光を浴びる。君の隣に戻った後、白い腕がこぼれていたからそっと手を繋いだ。そんな一瞬がとんでもない魔法に感じたのは秘密。#twnovel

 

 


085

 

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旅先で急に君がふてくされた。僕が気の触る事でもしたのかと焦る。でもどうやら違うよう。話を聞いてみると今まで地元では見た事のない鳥の飛び立つ姿があまりに自由そうで嫉妬したのだという。夕日が沈む。そっと君の肩を抱き大人しくなる単純さと嫉妬する複雑さ。どちらの君も好き。#twnovel

 

 



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