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058

 

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裏切ったな、とあからさまに言えたならどれだけ楽だっただろう。それじゃあまるで畜生だと、いな犬にも劣る行動だとあの夜屋上で声を荒げる事ができたならどれだけ楽だっただろう。あの日僕は静かに身を引いた。傷つきたくなくて。真実は何もしなくても君に突きつけられるものだから。#twnovel

 

 


059

 

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朝起きて手を手を繋ぐと君の手は氷のように冷たくて。ハッとさせられた僕は君の目覚めに安心する。冬の朝はいつもそうだったっけ。一年経つとおぼろげになる。この季節がやってきたのかと冬の訪れを実感した。手を握ったまま暖まるまで離さない。冷たい手を暖めるのが恒例の僕の仕事。#twnovel

 

 


060

 

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僕が歩きながら高架下に差しかかると後ろから足音と息遣いが聞こえてきた。振り返る前からすぐに分かったよ。追いかけてきたのは君だって。早朝で危ない場所だっていうのに君は僕の忘れた本をただ渡すためにそれだけを思って走ってきてくれた。その真っ直ぐな気持ちごと君を抱きしめた#twnovel

 

 


061

 

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最後の一つだよと僕に告げて淡々と君は一人みかんを剥き始めた。がっかりしている僕にはい、とみかんを差し出してくれた。君の嘘に騙された僕。食べられないつもりでいたから、いつものみかんも余計おいしく感じられて。テレビに映る花束を見つめる君にいつか本物をあげたいと思う。#twnovel

 

 


062

 

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いつもの水族館で休日に待ち合わせをする。ここで寄り添っているだけで僕らは幸せを感じていた。ゆらりと輝く水面がやけに眩しい。ここで二人で過ごす時間はどんな花束よりも美しく思う。楽しい時間はあっという間に経つ。なごりを惜しみながらバイバイと手を振る君の背中を見送った。#twnovel

 

 



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