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普段さりげなく施すネイルもとっておきの日には趣きが違ってくる。見た目は同じ。少しいつもより煌びやかなだけ。違うのは施す時の言霊を託す時のような集中。一はけ塗るごとに思いを重ねるようにじっくりと。それは誓いにも似た思いだ。たかがオシャレ。でもされどオシャレなのだ。#twnovel

 

 


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小腹が空いたので湯を沸かしカップ麺に入れてじっと睨む。いや、睨んでいるわけではないのだが、つい待っている間見つめてしまうのだ、いつも。この3分間をたかがカップ麺に束縛されているようで悔しい気もするが、砂時計を隣に置いて全て落ちるのを待つこの時間が実は嫌いじゃない。#twnovel

 

 


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外から帰ってきた途端、ファンヒーターの前に一直線。寒い寒いと震えながら今度はこたつにもぐり込みミカンを頬張る。なんてことはない冬の日常。だけどその何気ない一瞬一瞬がとてつもなく大切なものに感じた。これは当たり前なんかじゃない。当たり前なんかじゃないんだ。#twnovel

 

 


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泣かないでよとの声が遠く聞こえた。なぜなら涙をこらえるのに必死で余裕がなかったから。君はそっとココアをテーブルに置きその場を立ち去る。本物の優しさ。それが何かは分からないけれど僕の目の前に置かれたそれは僕にとって確かに優しさだった。優しさは目に見えるよ。心で呟く。#twnovel

 

 


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太古の昔、荒れた王の痕跡は今はもうあとかたもなくなっている。城はあの孤独の痛みを残す事なく、あの日の心象を映すように存在するだけだ。時の流れとはこうも無情なものなのだろうか。確かな事は人の心はいつまでも残るという事。それが痛みだとしても温もりだとしても、だ。#twnovel

 

 

 



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