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妖精とコレクションの話

 

薄いトンボの羽や蝶の羽 各種の花の雰囲気をデザインに取り入れた「花の妖精」。
そのイメージの源はあの「ハイクラウンチョコ」に入っていたカードだ。

手元にはもう残っていないのだが 懐かしくなって検索してみると
コレクターの方がいたり、仕掛け絵本があったり。
一冊欲しい、いやこれも、これも欲しい・・・絵本はため息が出るほど美しい。
ああ、カード集めて残していたら・・と とても残念だ。

「何が欲しい?」と聞かれても 特に欲しいものがない、という

何故だか モノに執着心の薄い子どもだった。コレクションというのには 縁がない。
父が古い切手帳をくれたのをきっかけに
3歳上の姉が それぞれ何かコレクションしてみようと提案し
さて、何を集めようか、ということになった。

姉はマッチ箱の柄が面白い、と言い、少し集めていたように思う。
学校では可愛いシールや 名刺サイズの紙が3枚、4枚切り取り線でつながっている

メモ紙の交換なんかも流行っては いた。
そんな流行りとは別に 姉のすすめで ノートに貼っていったのが
お土産のお菓子(お饅頭やおせんべいの類)に入っている「銘菓のしおり」であった。
これのどこが面白いのかな、と本人も思いながら 少しばかり続けた。
けれど いつ止めて、そのノートをどうしたかも記憶にない。
ただ 土佐の銘菓のしおりに お菓子の名前の一文字ずつを頭にした詞があって
それだけは、今でも諳んじることができる。

誰が土佐に行き、お土産をくれたのか、とか
何かそれに繋がる思い出が残ったとか 土佐について詳しくなったということは 
これまた残念なことに 全くない。


おめでとうを送る

 

そろそろ 着いたかな・・。
誕生日カードである。

描こうと思った後 いつも 何をどう描けばいいのか解らなくって
小学生の時「すきなものを描きましょう」って課題だと ものすごく困ったことを思い出す。


かろうじて テーマ(「誕生日」とか 「秋のたより」) とかはあっても さて
そこから どんなシーンをどんなレイアウトで描くか 全く 解らなくて 
「こんな感じ」という ラフな絵 というのが また 恐ろしく 下手で


モノの形なんかも全部 写真とか それを他の人がどんなイラストで表現してるのかとか
参考にしないと 全く描けない。

だけど 描くものが決まって ある程度 参考資料も集まって

下絵ができて色なんか塗りだすと 
ああ やっぱり お絵かき 好きだなぁ・・・と 思い 
楽しいから また次も描こう とか 性懲りもなく思うのでした。

おめでとう。誕生日。

あなたが生まれてくれて 良かったです。

ありがとう。


タクシーの客 その1

 

あー、運転手さん、○○までいくら? 

高いね~、じゃあ、△△の駅まででいいわ。
息子のところ行くの。

離婚届をね、書き損じたってさ
せっかく 前にサインしてやったのに 書きなおせって。
どうせ 別れるんだし 別に 届が汚れてたって よさそうなもんなのにねー。

別れるとかどうの言って 喧嘩してんのに
付き合ってるっていうかね、離れないのよ、どういうものなんだか?

別れてね、息子は××あたりに 引っ越して 商売始めるって 決めたのにね
あの ヨメも引越して 近くに住むって言うの。
良く分からないわよねー。

この 寒いのにわざわざ 出向いてよ サインし直そうってのに。
じゃあ 別れなきゃいいんじゃない…

えー、もう着いたの?

いいわー、もう 寒いし歩くの邪魔くさいし
○○まで お願いね まだ しゃべること残ってるし


カンガルーは考える

 

おかあさん、おかあさん

こっち見てるの 何て生き物?

見なくていいのよ

あれは にんげん。

 

 

 

カンガルー母子の画像を観ていたら

こんな風に見えました。

 

素直に守り守られなくなって

愛し愛されなくなった いきものは

これからどうなっていくんだろう。

 

ボク カンガルーになりたかった…と言う 

心 傷ついた少年が出てくる漫画が 学生時代すごく好きで 

その漫画の主人公たちと、今は亡きその漫画の作者さんのことを想うと

今でも 切なくて 懐かしくて たまらなくなります。

 

 


何十階段上った先は 

 

こんなにキツイなんて思わなかった。


「この区域 担当ですからね。よろしく」
大丈夫?と聞きながらずっしり重いチラシの束を渡されても
にっこり笑って、もちろん大丈夫ですっ、と答えた。
ダイエットウォーキングに給料がつくのだ。おいしいじゃあないか。
渡された予定表に、自分の名前があった。
何十棟もあるマンモス団地だ・・・・。

一度目のチラシ配りは集合ポストでよかった。
戸建の家を見落としないよう地図を見ながら回るより、効率もいい。鼻歌交じりだ。
しかし・・・。
「2度目のポスティングは玄関ドアポストでお願いします」
非情な声も、実際にやるまでは、まだそれほど重く響きはしなかった。


古い団地。
一棟に上り口が3、4個。階段を数段上がり踊り場、向きを変えさらに数段上ると両方に玄関ドア。
それが5階まで続くのだ。そしてそれが何十棟だ。
ナイロンのスタッフジャンパーは暑い。
昨日は今日ほど寒くなかった。、それでもだ。
徐々に汗がにじむ。だんだん暑くなって、耐え切れず中に着たものを一枚脱いだ。
更にスタッフジャンバーですら暑すぎて着てはいられない。汗だく。
膝が痛む。
足が笑う。

もうやだ。
むりっ。
この一棟で今日は終わりにしよう。
もう一段だって階段上らないぞ。
そうやって、上った最後の階段の最上階に そのドアはあったのだ。
おばあちゃんの手によると思われる貼り紙にはこんな風に書いてあった。
「のぼり○○段、下りも○○段 こんな最上階まで御苦労さま。いつもありがとう。」


新聞配達の人はここまで来るんだろう。牛乳の配達なんかも、ここいらでは利用されているようだ。

速達や宅配もやっぱりここまで上がってくるはずだ。
そんな汗水たらしている人への、ちょっとお茶目な気配りが
へとへとになった自分にも向けられたようで 何だか、妙にうれしかった。

面白いもの見つけた嬉しさ、話のネタを見つけた喜びも確かにあったけれど、それだけじゃない。
誰かが誰かをねぎらう言葉を見つけたこと、それがきっといろんな人の励みになっていること、

それが伝わって、嬉しかったんだ。



今日は折角の休みだというのに、足はパンパンで、湿布だらけだ。

それでも、あの貼り紙のことを考えると口元が緩む。
そうだなぁ・・明日もできるだけは頑張ろうかな、なんて単純に思ってしまったのだった。

連絡が入った。
効率悪すぎるから、明日からはみんな集合ポストでいいそうである(涙)



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