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夫婦が作りだす環境

 
 結婚した相手が、相性が良くても悪くても、生活の中でお互いの理想が満たされずに過ごすことも多く出てきます。
 
 それゆえに段々と互いに不満が生じて、様々なトラブルが起こります。
 そうした親たちが織りなす人生のドラマが作りだす環境が、子どもの成長に影響し、子どもの人生に深く絡んでくるのです。

 夫婦間の不満や葛藤は、結婚当時より子どもが出来てから生じることが多いのです。
なぜなら、よりお互いが家族としての絆が強くなり、要求度も高くなるからです。
 さらに、これまでの互いの不満な部分にも焦点が当てられやすくなっていきます。
 夫婦だけだったら我慢できたことも、子育てが加わるとそうはいかなくなってきます。

 1、子どもの教育方針
 2、育児の分担の方針
 3、経済的計画の方針
 4、将来的な生活設計
 5、生活習慣などの改善
 6、舅姑など親族との関わり
  等々がクローズアップされてきます。

 しかしながら、もっと違った視点から見る重要な要因があるのです。
 それは、・・・
 お互いの育った環境が違い、二人の経験した人生の歴史の相違が問題なのです。

 なぜこういった生育環境と歴史が問題になるのでしょう…。

 「多かれ少なかれ、人はトラウマを受けて育つ・・・」ということを書きましたが、こうしたトラウマの影響が大きいのです。

 子育てにおける教育方針に関して言えば、自分が受けてきたような教育方針の価値観に違いがある場合です。
 互いの意見が合わない場合は、育児は妻の権限で進行します。しかし夫の価値観と相違していれば、なぜこうしないのかともめるでしょう。

 人の価値観は、その人の生育環境によって決定される面が大きいのです。

 こうした価値観が作りだす問題とは別に、感情の問題が無意識に絡んできます。
 それは、子育てに携わる妻自身が自分の両親からどのように育てられたかという経験です。
 しっかりとスキンシップが与えられて、かいがいしく世話されて育った場合とそうでない場合の問題です。
 
 愛情に包まれて育った親は、同じように愛情深く子育てをすることができます。
 その逆の場合、最悪の場合は育児放棄や幼児虐待に繋がっていくのです。

 世代間連鎖、または伝達といわれるように、自分が経験した育児の世界を自分の子供に伝えてしまうのです。

 夫婦間において、互いの生育っ環境が似ていると折り合いがつくのですが、そうでない場合意見の相違によるトラブルの発生が起こります。

 また、別のことを例に挙げれば、夫婦間のテンポの違いも多くあります。
 それは、一方がせっかちで、一方がのんびり屋さんだった場合です。
 主導権を持っている方がいつも相手を責めることになるでしょう。

 強迫性障害(OCD)などの症状が軽くある場合など、そうした傾向に不満や怒りをぶつけて相手をののしるように怒り、夫婦喧嘩が絶えないこともあるでしょう。
 
 また一方が依存性の強い気質やトラウマがある場合に、そうした過剰な依存を満たしてくれない不満によって、段々と背中向きになっていき冷えた関係になってしまうこともあります。

 子どもはこうした両親が作りだす環境の中で、いつも怒っている父親や感情的に叱る母親
を憎んだり、愚痴を聞かされながら両親の関係に心を痛め苦しみながら育つことも多いのです。

 子どもばかりではなく親も、こうしたことなどがストレスの原因となって、うつ病に陥ったり他の心の病が発症したりすることもあります。

 相手を思いやり、相手のことを互いに深く理解し合うことで解消できる問題ですが、現実にはなかなかそう上手くはいかないものです。

 子どもは叫んでいます。

 「どうしてこんな親たちの子供として生まれてきたのだろう!」と。

 子どもにとっては親たちの生きてきた苦痛は分からないし、親たちも自分の子供がいかに傷ついているかが分からないのです。

 そうした環境の中で育ち、それらがトラウマとなり現在苦しんでいる人達にとって、自分の親を恨み自分の人生を白紙に戻したいと叫び声をあげています。

 また、親からの否定的な言葉によって自信を失わされてしまった子供や親からの過剰な期待に応えるためにもがきながら自滅していく子供・・・。
 様々な親子間のドラマがあるでしょうが、子どもが親子間の出来事に翻弄させられて本来の生き方が出来なくなってしまう場合など、それらは子供の人生の破壊であり不幸な出来事といえます。

 人生はどのように生きるべきなのかという前に、これまで生きてきた人生を見つめ直し、そこから何かを学び取ることで、将来の人生と方向性が見えてくるのではないでしょうか。

 人生とは、自分の意志だけで展開していけるものではなく、しかし、自分の意志の反映なくしては自分の人生とはいえず、意志の介入なくしては生きた歴史に後悔を残すことになるでしょう。

 しかしながら、幼児期からの自分の意志だけではどうにもならなかった、両親を含めた環境という大きな力によってどのような影響を受け、それらの影響を今後どのように修正することができるかという可能性を、どこかの時点で見直す必要があるのではないでしょうか。


無意識を見つめる価値


 私たちが自己の無意識を見つめる価値は何でしょうか?
 無意識といっても、そこには確かな意志が存在します。
 その無意識の意志の内容を知ることに大きな価値があるのです。

 無意識の領域には、トラウマと呼ばれる過去における心の傷が抑圧されて存在します。
 そうした抑圧された過去の記憶は、思い出し難いか、思い出しても、トラウマとして認識されないことが多いでしょう。

 無意識領域とは、脳科学的に説明すれば、胎児の頃から完成している扁桃体と呼ばれる脳部位を中心とした領域(大脳辺縁系=脳の奥の中心部分です)の働きです。
 一方、意識領域は、人間らしさを作り出している理性の領域で、脳全体の司令塔である前頭連合野(額の裏のあたりの脳の表面部分です)をいいます。

 この二つの領域は離れているので、脳神経細胞のケーブル(軸索)が伸びて情報の伝達を行っています。
 しかし、無意識領域での脳活動の情報が、意識レベルの活動領域である前頭葉には、少なくとも500ミリ秒(1/2秒)以上の無意識領域での活動の持続された時間が必要なのです。

 1/2秒とは短いように感じられますが、脳内の電気活動としては非常に長い時間なのです。
 脳細胞間での情報伝達は、軸索には電気が流れ、送り手の軸索終末(シナプス前細胞)と受け手のシナプス後細胞との連結部分(シナプス間隙)では生化学的反応に変化して伝わり、再び受け手の細胞内で電気信号に変換されます。

 しかし、こうした脳内での電気信号は活発に行われてはいますが、情動系と呼ばれる、大脳辺縁系周辺での活動のすべてが、前頭葉(前頭連合野)に伝わることはその活動のほんの一部でしかありません。

 サブリミナル効果をいう言葉を知っておられる人は多いと思います。
 いわゆる脳内に短い時間情報を与えると、脳はその情報をしっかり受け止めて処理していますが、脳内で受け取った情報の一部しか意識の領域には伝わらないのです。
 
 理由は、脳内での処理の活動時間が短すぎるからなのです。

 たとえば有名な話で、映画館で1秒間に24コマ流れるフィルムの1コマに、コーラが飲みたくなるという文字を書き込んでいたとしましょう。
 わずか1/24秒の短い時間のこの言葉を視神経は確実に受け止め大脳辺縁系へ情報が送られた結果、みんながコーラを飲みたくなり買い始めます。
 これは1/50秒でも1/100秒でもかまわないのです。電気信号の視点で考えれば、十分に長い時間なのです。ところが、1/2秒以上続かない脳内刺激は前頭連合野に送られずに、結果、意識化できないのです。いわゆる、私たちはどうしてコーラが飲みたくなったかの理由が分からないのです。

 これが脳内での現実なのです。
 したがって、大脳辺縁系で様々な環境刺激によって喚起された過去のトラウマ記憶が活発に活動していても、その時間が短いので、意識的に捉えることがないまま、感情が心を支配してしまうのです。
 

 それゆえに、トラウマを探ることで、現在の動機の因果関係が推測できます。


 自分の中で沸き起こる、このような衝動はどうしてなのか?

 過去においては、なぜあの時あんな決断や行動を取ったのだろうか?

 逆に、何かに挑戦しようと思っているのに、なぜ努力が続かないのかが分かるのです。何が(どのようなトラウマが)足を引っ張っているのかが分かるのです。

 

 過去における自分の行動や決断と、トラウマとの関係が理解できれば、

 今後に備えることもでき、最適な未来を築いていけるようになります。

 

 人の全ての行動は、無意識領域から支配されている

   といっても過言ではありません。

 

 なぜ、無意識の活動が意識されないのか、その理由は現代の脳科学がしっかりと説明しているのです。


 より良き人生のために、自分自身の無意識の意志を知って、コントロールすることを目指して欲しいと願っています。



催眠の世界


 “催眠”という言葉を聞かれたことはあるでしょう。

 しかし、あなたが知っている催眠の世界は、TVのバラエティー番組の中のお遊びの催眠術の世界だったかもしれません。


 セラピー(催眠療法)として催眠を活用されている方の中には、ショー催眠を否定的に表現される方も多くいます。

 “催眠術”という表現を嫌い、“催眠法”とか、“科学的催眠法”などと表現されますが、どのように表現しようと、人の脳内で起こっている催眠現象(変性意識状態)は同じことなのです。


 催眠術の“術”とは、技術の“術”です。いわゆる人の脳を催眠状態に導くための技術なのです。それを技法と表現しても同じことなのです。


 TVなどでは、やらせの番組もなかには存在し、あまりにも遊びの要素が大きいために、催眠術など信用できないと思われている方も多いことでしょう。

 また、あんなことされたくないという嫌悪感を抱かれる方も多いことでしょう。

 ご安心ください。ある一定の条件が整わない限り、人を遊びでは操れないのです。

 

 催眠は心の科学としてアメリカでは位置づけられています。催眠を活用した心理療法をアメリカでは国家資格を与え積極的に活用しています。日本でも遅れてはいますが、時期にそうなってくると思っています。

 

 それは、催眠状態という特殊な意識状態が、無意識の脳領域に働きかけるには最適だからです。


 人を催眠状態に即座に導き、TVなどのショー番組でやっている様に人を操るということは大変難しいことです。

 誰でも簡単にできないので、一般的な催眠療法家(ヒプノセラピスト)が、自分が出来ないことを否定したくなるのも無理のないことでしょう。しかし、否定すべきことではないと思っています。

 

 人間の心の働き(脳の機能)を十分に知り尽くしている人は、人を簡単に催眠状態に導くテクニック(術)を身につけていることも理想的なことではないでしょうか。

 人の心を知り尽くすためには、催眠状態という心(脳)の状態の深い知識が必要なのです。


 催眠というテクニックを身につけることで、自己コントロールをおこなったり、心と身体の健康増進や自己成長に活用することもできるのです。 


 催眠状態を専門的には変性意識状態と呼んでいます。

 催眠状態は、普段とは違った意識がある心理状態です。

 ゆえに、催眠状態にいる時の自分の心や思考の状態を覚えています。


 夢を、目覚めた後に覚えているのとはまた違った状態です。


 *催眠状態

催眠療法


 
催眠療法に関して、ネット上で様々なことが書かれています。すごく無知で無責任な書き込みが多くあります。
 業者のホームページもそうです。各自が自分の知識と技量の範疇で仕事をされているのは自由でしょう。それゆえに、心の問題を抱え催眠療法に助けを求める人は、自分を守る為に実施されている内容をしっかりと吟味して頂きたいと思います。


 
心の病気や問題で悩みを抱えている方々にとって、催眠療法が最後の手段となるような場合はなおさらです。

 催眠療法を受けて、その人にとって思わしい効果がなければ、催眠療法では無理なのだと、催眠療法に関して全否定されてしまうことになります。
 またそうした効果が上がらなかった経験がネット上に流れて、それを読む人の病気の回復や人生の好転のチャンスを奪うことにもなるでしょう。

 こう考えて欲しいのです。

 催眠療法という言葉にこだわる必要はありません。
 「今の自分の心の問題は、なぜ起こっているのだろう?」と。
 そうした正しい原因が解消できれば治せるのです。
 「薬を飲めばちゃんと治っていくのだろうか?」とも、検証して頂きたいのです。
 薬は症状を和らげますので、必要な時期もあります。しかし飲み続けていると副作用が必ず生じますし、心の問題の原因は治してくれません。

 心の問題を治すには、心と向き合わなければなりません。

 たとえば、あなたが
 「ずっとこれまで自分は絶対に変われない、生まれ持った性格だから仕方ないと諦めて今まで苦しみながら生活してきた。自分が弱いから苦しむのだと自分を責めて、頭の中では自分が悪くはないと分かるけど、相手から理不尽なことをされても言われても、相手の感情におびえて謝ってしまう自分がいる」と悩んで過ごしていたとします。

 こうした人間関係によって、うつやその他の心の病に至るのです。

 こうした悩みを、催眠にかけて[あなたは・・・になる」みたいな暗示を与えるだけで治せると思われるでしょうか?人間はそんなに単純で、簡単に洗脳できる生き物だと思われるでしょうか?

 余談になりますが、洗脳とは、その人の成長過程で築いてきた“自我”を崩壊させることになり、絶対にやるべきことではありません。

 それでは、こうした悩みを抱き苦しんでいる人をどのように治していくのでしょうか?!

 この人が、生まれつきの性格(気質)ではなく、幼児期の特に親子の環境によって原因が作られた等の因果関係を明確にしなければなりません。幼児期からの環境要因が、認知の歪みを作り、成長過程の性格を形成していきます。
 こうした原因を理性的にしっかりと理解させる必要があるのです。

 こうした幼児期からの何らかの原因を明確にする為に、退行催眠を行うことが有効な場合もあります。そうして本人が因果関係を正しく気付き納得していきます。

 そうして、認知の修正を行うとともに、これまでの人間関係での苦しい経験によって作られた、精神的条件反射(感情の問題)を解消してやる必要があります。
 
 この段階でも催眠状態が必要とされます。

 これまでの苦しかった感情を緩和し、これからはどのように自分を修正していくかを理性で理解した内容(認知の修正)を無意識の中に与え刻み込んでいくことが、催眠療法では出来るのです。

 心は脳が作り出します。

 そうした脳機能に働きかける催眠状態と呼ぶ特別な変成意識(トランス)状態が、どれほど大きな価値を生むかという事実をもっと理解して活用して頂きたいと願っています。

 そのためにも、催眠療法を行う側にとって、しっかりとした心理療法の知識と技量、そして心や脳に関する知識と理解を兼ね備えておく必要があるのです。

 催眠療法の真の価値が理解されることを心から願っています。



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