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感情に働きかける催眠療法


 「理性の理解、感情の納得」という言葉をぜひ覚えて頂きたいと思います。
 催眠療法は、“感情の納得”のために必要なのです。
  
 催眠療法という言葉を使うと、今はまだ多くの誤解を生みます。

 いかがわしいものとして捉えられたり、そこまで尽くす手立てを失ったのかというような、どうにもならなくなった人が、ワラをもすがるような手段としての認識で受け止められていることも多いです。

 もちろん、現在いかがわしい所や、幼稚な知識と手法で実施している所が多くあるので仕方ないでしょう。

 アメリカは催眠療法が国家資格としての位置づけにあります。日本は、そうした国家資格として資格を出す環境が整っていません。なぜなら、明治期以降に西洋学問を輸入した際から始まって、現代に至るまで心理学界と医学界が別々に定着したからです。

 現在日本にある「催眠学会」は、心理学系と医学系に別れていて融合することが当面はないでしょう。

 しかしながら、心の諸問題に無意識が関わっていることは明白です。

 さらに現代は、脳科学の急激な発展で、心の病や状態というものが脳の機能の実態によって生じていることが明確になり、心=脳ということはもはや誰も否定できなくなっています。

 したがって、心の働きは、脳の働きであり、心の無意識は、意識されない脳の領域ということになります。

 私たちの脳内には、生まれてから経験された多くの感情が脳の無意識領域に蓄積されています。(実際は、胎児のときから、感情の記憶を行う脳の扁桃体は完成していますので、母親の経験する感情を共有しています)

 そうした感情の記憶は全て大脳辺縁系という無意識領域で処理されているのです!!

 そうした脳の無意識領域内の感情の記憶に働きかけ、修正したり調整したり、コントロールする手段として、催眠は非常に価値があるのです!!

 心の病に至った人が、こんなことして治ったとか、あるきっかけが救いになったなどのいろんな体験談が語られています・・・。
 しかし、心の問題は、自分の心の見つめることで治すことが、再発することもなく、何よりも人間として精神的に向上していけるという貴重なメリットがあるのです!!

 心の病や悩みは、自己向上の“貴重な糧”、“貴重なチャンス”だともいえます。

 催眠療法としての催眠状態は、深い催眠状態になる必要はありません。
 なぜなら、催眠状態で語ったり聞いたりした内容を覚えておく必要があるのです。
 いわゆる意識がしっかりとある状態が必要なのです。
 これは理性の理解を補い、感情の納得も深めてくれます。
 意識を保っていることが催眠療法には必要不可欠なことなのです。


催眠療法の疑問


 「私は催眠にかかっている感覚がよくわからないのです。いただいて聞いている催眠暗示CDで効果が出ているのか、先生が私に催眠をかけた結果として、暗示が無意識に入り、内容を理解し効果が出ているのかがわからないのです。上手く説明できませんが、お気を悪くしないで下さい。ちゃんと効果が出ているのですから、私はとても嬉しいのです。ただ疑問に思ったのでご質問しました」

 

 といった様な内容の質問を受けることがたまにあります。特に不安傾向が強い方にみられます。

 それは、催眠で治してもらうという意識が強すぎて、もし自分が本当に催眠に入っていなかったのなら、治っているのではなく、一時的に思い込んで治っているように勘違いしている「一時的現象」なのではないだろうかという不安感が背景に起こるからです。一時的現象だと、再発するのではないかという不安が伴うのでしょう。

 

 催眠療法を、催眠術のショーを見ている様に催眠術にかけられて操られている現象と重ね合わせてはいけません。そうしたイメージで考えると、催眠に入ったという強い自覚がないと治らないのではないか、自分は変わっていないのではないかという不安が生じてくることになるでしょう。

 

 心の問題を改善する催眠状態の役割は、その人の無意識に働きかけて無意識の情動領域を適切に調整(修正)することです。それが催眠療法の本懐ともいえるのです。

 

 そうした目的を満たす為には、「さあ、これから催眠に入れますよ」といったような、または「私はいま催眠状態に入っている」といったような境目を感じさせる必要はないのです。また、催眠に入っているという自覚もないまま無意識領域に暗示としての言葉を送り込むことも出来ます。そうした気付かせないテクニックが重要なのです。


 相談者は気付いていないけれども、確実に必要な暗示を無意識内に刻み込んでいくことや、最適な心理療法としての認知の修正をおこなうことが、催眠療法家としての技量が問われるところではないでしょうか。


 心の問題を扱う時に、相当な個人差があります。それは、個人の持って生まれた脳の機能に依存しているからです。そうした個人差を適切に認識し、その人に合った最適な療法を進めていくことが要求される重要な世界なのだと思っています。

 

 これ以上の説明はここではやめましょう。こうした深い知識は催眠療法家になる為や心というものを専門的に勉強される方にとっての必要課題であり、一般的には必要ありません。

 「治った!」という結果だけを期待して、全てを専門家に任せて取り組んで頂く姿勢の方が重要なことだと思っています。

 

 催眠療法は、心理療法を背景としておこなうべきだと説明してきましたが、その意味をしっかりと理解してもらえれば安心していただけると思います。

 

 もっと詳しいことは、3冊目の著書(現在題名は未決定:出版社で編集作業に入っている段階です)で心に働きかけて人が変わっていく為のテクニックと理論の詳しい説明に取り組んでいますので、そこで学ぶことができます。



うつ病(気分障害)


 
一般的にうつ病と呼ばれている病気は、精神科では大うつ病性障害と表現されます。
 いわゆる気分的な落ち込みと、身体的な症状と認知に問題が生じますが、症状が悪化しない内に治すことを決意して欲しいと思います。

 「そんなこと言っても、苦しみたくって病気になっているんじゃないよ!」って、叱られるかもしれませんが、気分がうつ状態になっていくには、症状を作り出す原因というものがあります。

 うつ病に限ったことではなくって、心の病全般は、何らかの原因で脳機能が正常に働かなくなった結果として生じているのです。

 特にうつに関しては、脳の神経伝達物質の代表である、セロトニン分泌異常が症状を作りだしているのが分かっています。

 脳内神経伝達物質のセロトニンは、脳内全体に分布しているセロトニン神経から分泌されますが、この神経細胞が正しい状態でなくなっていくとうつ病をはじめとした様々な心の病が生じてきます。
 
 そうした脳の機能異常(誤作動)を起こしている原因がストレスなのです!!
 そして、こうしたストレスを作っている背景に“隠された原因”があるのです!!

 神経伝達物質については、後で詳しく説明しますが、50種類以上見つかっている中で、働きが確認されているのは20種類ほどです。その中でも精神活動の面で重視されているのは約6種類です。

 私たちがうつ病にかかると、一つには情動反応(悲哀、失望、悲観など)に異常が見られます。
 そしてさらには、身体機能(睡眠、食欲、運動活動性、気力など)と認知(集中力、実行機能、罪責感、自殺念虜)に関する困難を経験します。こうした症状を部分的に満たし、慢性化(2年以上続く)していると気分変調性障害と呼ばれます。

 うつ病やその他の心の病を作り出してい“隠れた原因”とは何でしょう?!

 症状と原因の因果関係に目を向けると、心の様々な問題が見えてきます。

 症状が悪化して慢性化する前に、イライラしたり、毎日が無気力で何もできなくなったり、自分に自身が持てなくなって学校や職場に行けないよう様々な苦痛な精神状態や身体症状が起きた時に、薬でごまかすのではなく、真の因果関係を解消することが重要なのです。
 死にたいとまで考えるようになる前に、自分の心の中を見つめ直す必要があります。

 心の深層の部分を見つめることで、病気との因果関係が明白になります。

 今現在のストレス要因と環境だけに目を向けて、これが原因だと騙されてはいけません。

 “隠れた原因”とは、あなたの無意識の中に潜む“幼少期のトラウマの働き”なのです。

 無意識内に潜んでいる、トラウマを解放してやれたら、あなたの心は健全になるのです!!

 ただ、うつ病の初期の段階では、「疾病利得」が働いて、病気でいることから抜け出せなくなる罠も潜んでいますので注意してください。
 一時的にあなたの人生にメリットがあっても、長期間で見ると大変な損失になっ
ていくからです。

 うつ病だけではなく、すべての心の問題は、その場のメリットに逃避るのではなく、根本から解消して人生を価値あるものとして謳歌するべきでしょう。
 そうした前向きな気持ちを壊しているのも、トラウマの働きかもしれないのです。
 しっかりと自分自身の心と向き合って、心の病に負けないで欲しいと、心から願っています!!


*うつ病



強迫性障害 (OCD)

 

 意外と皆さんの自覚が無いのが、この強迫性障害(OCD)です。昔は強迫神経症と言われて、何度も手を洗い続けるなどの強迫行為がよく知られている関係上、自分は違うし関係ないと思われている方が多いのです。

 

 OCDは病的なレベルではなく、もっと軽くOCDの傾向を気質的に持っている人が多いのです。

ただし、そうした傾向を気質的に持っていると、持続された強いストレスにさらされている内に発症するのです。

 

 OCDの気質的傾向とはどんなものでしょう?!

 

 発症する症状には個人差が強く出ますが、背景になっている気質的傾向は意外と単純なのです。

 それは、何か気になることが起きると、そのことを切り離せない、何かにこだわって引きずってしまう傾向です。

 

 こだわりが強くて、嫌な事があった時など頭の中から払いのけられずに、ずーっと考えたり、嫌な気分だったり、相手を恨んだりしている。

 気になることがあっても、さらっと流せずにいつまでも気にしてしまう・・・。

 

 たとえば、会話の中で、相手の何気ない発言が気に入らない、悪気が無いと分かっていても深く考えてしまい、そのことががずっと心の中に残ることはありませんか?


  親子間や夫婦間において、そんなことがあって相手を恨む気持ちが段々と膨れていく場合が問題です。


 特に子供時代、親から怒られたり、自分の気持ちを分かってもらえなくって辛かったことが頭から離れないで、親を許せないと怨むようになってしまっている人もいます。

 

 昔の失敗や自分の行動を思い出して恥ずかしがったり悔しがったりして、何かのきっかけにふと思い出しては嘆いていませんか? または、嫌な気分に落ち込んだりしていませんか?


 あなたの心に沸き起こる昔の思い出で、自分がした事やされた事、人間関係の些細の事でも後悔する傾向が強いと、OCDの発症を用心する必要があります。

 発症しない為に、精神的ストレスを抱え込まない生活を心がけることです。

 

 なぜ後悔するかというと、あなたに、完全主義者の傾向があるからです。

 

 この完全主義も、用心する要素を多く持っています。

 いわゆる、健全な完全主義と、不健全な完全主義があるといっても良いでしょう。


 健全と表現したのは、症状として苦しまないで処理できている場合です。しかし、完全主義であるがゆえにストレスを抱え込んでしまう場合があります。

 

 完璧を自分や人にも求めてしまう場合、それを満たさない場合いらついたり腹が立ったりしてきます。

 0か100かと表現されるように、白黒はっきりとさせないとおれない人は、相手を巻き込み自分も苦しむようになっていきます。


 この完全主義にも関連しますが、

 例えばあなたが家事をしている時に、子供や旦那さんが近づいて関わってくると、邪魔をされているようで払い除けたくなったり、恋人同士や夫婦間で、美味しい食事に満足している時に身体に触られたりするとイラついたり…。

 

 つまり、自分が何かに集中している時に、人が関わってきて、複数の事を同時に処理できない傾向もありませんか?


 または、何か本を読んだり勉強する時に、最初の一ページから順序よくやらなければ気が済まない。

 いろんなことに神経質なところがあり、物の置き場や配列もきちんとしていないと気になる。


 もちろん、悪い事ではありません。

 問題は、そうする事もしない事も自分の意志でコントロールできるかどうかの度合いによるのです。


 出来ないからしないのではなく、出来るけどしないでおれるかどうかなのです・・・。

 

 こうしたことは日常的に誰にでもあると思っていた人は、注意して欲しいと思います。

 誰にでも無いことなのです・・・。強いストレスによってOCDが発症する可能性があります。

 

 誰でも人のことを考え判断する時に、自分の基準で推測していますが、その時に人も自分と似たり寄ったりで大して違いはないだろうと思い込み勘違いする傾向が往々にしてあります。

 そうした気楽さも日常的には必要ですが、しかし、自分自身の気質的傾向の特徴はしっかり把握しておく事にこしたことはありません。

 なぜなら、自分を正しく分かっていない事が、悩みを作り出す原因にもなっているからです。


 以上説明しました内容は一例ですが、病的とまではいかなくても、強いストレスにさらされているとこうした傾向が強まっていきます。




強迫性障害(OCD)



全般性不安障害 (GAD)


 全般性不安障害(GAD)は、強迫性障害やパニック障害と同じ“不安障害”のカテゴリーに属していて、交感神経の過度の興奮を共通の特徴としています。そうして、罹病率も男性より女性の方が約2倍ほど多く、現代でかなり増えています。

 大うつ病(一般的なうつ病)の場合も症状に不安成分を示すので、多くの重複があり鑑別が困難な面もあります。
 また身体症状に異常が起こるので、内科的な病気と勘違いされる事も多いでしょう。

 誰もが不安を感じ心配もしますが、度を越してくると日常生活がままならなくなってしまいます。ただ、どこまでが正常かといっても、本人にとっては客観的判断がつき難いものですので、放置され時間の経過とともに悪化させてしまうケースも多くあります。

 昔は不安神経症と呼ばれていましたが、突然に起こるパニック障害などと分けられて全般性不安障害と表現されるようになりました。はっきりとした原因・根拠が無いのに、心配や不安な感情が起こり落ち着かなくなってしまいます。慢性の不安とそれに伴う身体症状が長く続くのです。

 身体症状としては、筋肉の緊張、首や肩の凝り、頭痛・頭重、震え、動機、息苦しさ、めまい、頻尿,睡眠障害などのいわゆる不定愁訴があります。

 私たちの脳は、余分な心配をしないようにプログラムされています。そうしないときりがないからです。しかし現在の心配事はGAD発症の単なるきっかけであり、その背後に何らかの原因(トラウマや遺伝的要因も含む)が潜んでいるゆえに、不安を払いのけられないで苦しむようになっていく人が多いのです。
 
 子供のことを常に心配している親がいます。いわゆる心配性の親です。
 子供のことを心配することは、愛情だと勘違いしているのです。子供のことを愛しているから、自分はこんなに心配でたまらないのだと自己正当化して、それが正常な心配では無い事に気付かないと心の病へと進行してしまうのです。
 過度の心配性は心の病なのです。もちろん軽い場合(正常な範囲)ではそれほど問題になりませんが、それでも子供は制約を受け多少は困惑させられ嫌な思いで成長する事になります。
 そのように育った子どもが、成長し、何らかのストレスをきっかけ(誘発刺激)として親と同じような不安な症状がバトンされていきます。

 大事なことは、自分自身をコントロールできるかどうかということです。
 不適切と第三者が判断した場合に、心配をしないで無理に我慢する事なく、気持の切り替えができるかどうかということなのです。

 何か悪いことが起こるのではないかという出来事の心配だけではなく、人間関係においての心配も多いのです。

 たとえば、ちょっと冷たくされたり、不機嫌そうな表情を見ると、この人は自分を嫌っているのか、自分のせいで機嫌が悪いのではないかと不安になり、そのことが気になって苦しくなるケースもあります。相手はそう思っている筈はないとどこかで分かっていても確認しなければおれなくなり自分から話しかけていくのです。

 何かにいつも怯えていて、いつも何かに不安で、人との関わりにおいて常に不安定な精神状態で過ごしている人たちも多くいます。

 
こうしたGADの症状から自分を解放してやる為には、まず始めに、自分自身の不安の感情が、客観的視点で正常ではないという自覚を持つ事が必要です。
 次には、自分の不安な感情に対する言い訳(正当化)をしないようにする事です。
 正当化している間は決して改善できません。自分の不安な感情が不適切であり改善しなければならない事だという強い自覚が必要なのです。
 そのためにも、なぜ自分がそのような異常な不安な感情に襲われているのかという真の原因を理性で理解しなければいけないのです。

 理性の理解、これが第一歩で、不適切な感情を作り出している情動の調整が可能になるのです。

 不安に苦しんでいる人に、強引に理性に訴えかけて、不安がらないように説得しようとしてもうまくいきません。
 感情を制御するためには、症状との因果関係を理性が十分に理解したとき、情動系(感情)の異常な興奮を自分自身の意志で徐々に制御することが出来るようになっていきます。

 そうした効果を加速させてくれるのが、催眠状態での心理療法と暗示なのです

 GADの症状を作り出している原因は、現在の環境が誘発している子ども時代に形成されたトラウマです。
 トラウマは、生まれ持った性格(気質)によって種類と内容が変わる事を説明しましたが、そうした遺伝的傾向が、子ども時代の環境によって発現しその後の環境によって増幅していったのです。

 こうした、現在のGADで苦しむに至った生育歴と自己のパーソナリティを正しく認識する事も改善の為に必要になります。



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