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第一節 はじまりの景色

そのちきゅうの子は、この世界のはじまりを想像した。


あるのかないのかすら分からない混沌が姿をつくりだしたとき


生暖かい風が吹き荒れた。



ここはミルキーな後味が残るやわらかな土地


出雲。



羊水に浸かっているような優しい愛が漂い


自然発生的に何にでもなる可能性を秘めて



私たちを生まれたばかりの赤ん坊のように優しく包み込んだ。



そして母なる出雲は言う。



ここは奇跡の海。


私たちは奇跡の海に生きている。


第二節 いきつづける樹


出雲に推定樹齢一千年といわれる椋(むく)の樹が立っている。

この木には多くの存在が集まった。


闇のものたち、光のものたち。

そしてそれらはやがて椋の木とひとつになった。


闇と光を宿したこの樹は言う。



光は善で闇は悪、そんなことはどうでもいい。


私はただこの様に在る。



椋の木は今も一千年より長く生きることを選択し続けている。


第二章 礼文島(れぶんとう)

第二章  礼文島(れぶんとう)


      第一節 空に降る音

      第二節 ヒーリング アイランド

      第三節 神のおやしろ



第一節 空に降る音

かすかに音が聞こえた。

その音はクリスタルでできたカーテンのように透明に響き空の上へと降っていった。

聞きたい、とちきゅうの子は思った。

どこから聞こえてくる?

北、北、ずっと北の方……


音をたよりに着いたところは日本の最北端にある礼文島という島だった。



第二節 ヒーリング アイランド

その島は春になると丘一面に花が咲き

花の浮島となる。



海面から吹き上げる風で服の裾をパタパタいわせながら

そのちきゅうの子は船から島へ降りた。


スノードームの中にいるみたいだ、と地球の子は思った。


空が唯一の出口で、異次元への入り口。




ここは見える限りに萌黄色の丘陵が続き



すべての音はエコーして空へ広がり



足下からは桜の花びらのようなバイブレーションが湧き立っている。



そのセレスタイトな世界とちきゅうの子は共鳴し

ちきゅうの子は静かにそれを味わった。



ここはヒーリングアイランド。




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