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第三節 神のおやしろ

「あ、神様っていたんだ」

黙々と歩き続けていると、そう感じることがあった。

そのちきゅうの子はもう何日も礼文島を歩いていた。


重い灰色の空で始まったその日は

次第に雨と風を呼び始めた。


風はちきゅうの子の体を持ち上げるほど勢いを増し

やむを得ずちきゅうの子は予定していた断崖のルートを変更して遠回りすることにした。



風も落ち着いてきたころ近くを歩いていた地元の女性が


 「あの神社に行ってごらん。眺めがすごくいいの」


とその地球の子に話しかけてきた。


女性が指さした小高い丘の上には鳥居が見え

その下には長いながい階段が続いていた。


くたびれていた地球の子はその階段を見て少し気がひけたが

これも何かの縁だろうと神社まで上がってみることにした。


ようやくたどり着いた神社の前に立ったとき、その地球の子は

「小妖怪でも住んでいるんじゃないだろうか」

と思った。

神社に人の気配は全くなく

境内は枯れた背の高い草で覆い尽くされていた。

 


その妖怪神社からはこんな景色が広がっていた。




第三章 愛宕山(あたごさん)

第三章  愛宕山(あたごさん)

        第一節 ヴィーナスの目覚め
        第二節 それぞれの選択
        第三節 メルティングポット


第一節 ヴィーナスの目覚め

京都の愛宕さん。

京都の都の西、真っ先に朝陽が当たるところ。


そこは魔法のベールの中にあり
私たちはヴィーナスに目覚める。


永いシエスタから目覚めたヴィーナスは
白く輝き黄金色の声で笑った。

そして私たちの胸は熱くなり躍りだす。



どくん どくん


そこにいる全てのものはヴィーナスの脈と一緒に鼓動し始める。


それはまるで胎児を授かったような感覚。



愛宕山は命が宿るエナジーを感じるところ。


そう、誕生の予感。



第二節 それぞれの選択

あぁ 変容したのか。


カミナリはこの樹を通ることを選び
樹はカミナリによって変化することを選んだ。

ただ選んだという強さと美しさ。


第三節 メルティングポット

木々が芽を出す頃の愛宕山はエナジーに満ち溢れる

エナジーの波となった春の愛宕山は別次元。

その別次元のうねりは京都洛中に向かいどんどん迫ってくる。



しかしそのエナジーの渦の中は


天蓋ベッドの中にいるような安堵感に包まれる。



愛宕山は木々が住む街。


ここではひとりひとりが自由に個性を放ち生きている。



貫禄ある長老たちや命を全うしたもの、


命が去った足下では生を始めたばかりのものや



長老たちの腕の中を家に決めたものもいる。


人種も色々。



愛宕山は木々のメルティングポット。





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