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第二章 礼文島(れぶんとう)

第二章  礼文島(れぶんとう)


      第一節 空に降る音

      第二節 ヒーリング アイランド

      第三節 神のおやしろ



第一節 空に降る音

かすかに音が聞こえた。

その音はクリスタルでできたカーテンのように透明に響き空の上へと降っていった。

聞きたい、とちきゅうの子は思った。

どこから聞こえてくる?

北、北、ずっと北の方……


音をたよりに着いたところは日本の最北端にある礼文島という島だった。



第二節 ヒーリング アイランド

その島は春になると丘一面に花が咲き

花の浮島となる。



海面から吹き上げる風で服の裾をパタパタいわせながら

そのちきゅうの子は船から島へ降りた。


スノードームの中にいるみたいだ、と地球の子は思った。


空が唯一の出口で、異次元への入り口。




ここは見える限りに萌黄色の丘陵が続き



すべての音はエコーして空へ広がり



足下からは桜の花びらのようなバイブレーションが湧き立っている。



そのセレスタイトな世界とちきゅうの子は共鳴し

ちきゅうの子は静かにそれを味わった。



ここはヒーリングアイランド。



第三節 神のおやしろ

「あ、神様っていたんだ」

黙々と歩き続けていると、そう感じることがあった。

そのちきゅうの子はもう何日も礼文島を歩いていた。


重い灰色の空で始まったその日は

次第に雨と風を呼び始めた。


風はちきゅうの子の体を持ち上げるほど勢いを増し

やむを得ずちきゅうの子は予定していた断崖のルートを変更して遠回りすることにした。



風も落ち着いてきたころ近くを歩いていた地元の女性が


 「あの神社に行ってごらん。眺めがすごくいいの」


とその地球の子に話しかけてきた。


女性が指さした小高い丘の上には鳥居が見え

その下には長いながい階段が続いていた。


くたびれていた地球の子はその階段を見て少し気がひけたが

これも何かの縁だろうと神社まで上がってみることにした。


ようやくたどり着いた神社の前に立ったとき、その地球の子は

「小妖怪でも住んでいるんじゃないだろうか」

と思った。

神社に人の気配は全くなく

境内は枯れた背の高い草で覆い尽くされていた。

 


その妖怪神社からはこんな景色が広がっていた。




第三章 愛宕山(あたごさん)

第三章  愛宕山(あたごさん)

        第一節 ヴィーナスの目覚め
        第二節 それぞれの選択
        第三節 メルティングポット



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