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第三節 メルティングポット

木々が芽を出す頃の愛宕山はエナジーに満ち溢れる

エナジーの波となった春の愛宕山は別次元。

その別次元のうねりは京都洛中に向かいどんどん迫ってくる。



しかしそのエナジーの渦の中は


天蓋ベッドの中にいるような安堵感に包まれる。



愛宕山は木々が住む街。


ここではひとりひとりが自由に個性を放ち生きている。



貫禄ある長老たちや命を全うしたもの、


命が去った足下では生を始めたばかりのものや



長老たちの腕の中を家に決めたものもいる。


人種も色々。



愛宕山は木々のメルティングポット。




第四章 比叡山(ひえいざん)

第四章  比叡山(ひえいざん)

        第一節 ミントの風
        第二節 いのちの海
        第三節 燃えるロータス
        第四節 
        第五節 夢の池


第一節 ミントの風

「誰かが見てる。」


高台で夏の夜風にあたっていたとき

ちきゅうの子は視線を感じて眼を開けた。


目線より少し高い空に人の胴ほどある二つの大きな眼があり

こちらを見ていた。


「あ、龍だ。」


と、そのちきゅうの子はとっさに思った。


迫力がありこわいほどの存在感。


その子は一瞬怯えたが龍と通じたいと思い

息を深く吸い力を抜いて龍に心を開いた。


すると全身をすっかり包むくらいの大きな風がやってきた。


清清しくてパワフルなその風は地球の子の身体を通り抜け、心を通り抜け、

駆け抜けていった。


風の龍が通った後にはミントのような爽快感と開放感が残っていた。



第二節 いのちの海

樹は川のように立つ。

樹のいのちは絶えず流れ
幹にかざした手はその川の流れを感じる。


街路樹のようにさりげなく駐車場の脇に立つ大木。


コンクリートの上で生きる苔。



それを見つめるちきゅうの子たち。


ここはいのちの海、比叡山。



第三節 燃えるロータス

『ちきゅうの子たちが光の存在だと自覚したとき
願うということはあるのだろうか』



厳しいくらいに力強い比叡山はちきゅうの子の両肩をがしっと掴んだ。

目を覚ませと言わんばかりに激しく揺らし
ちきゅうの子の頭はぐわんぐわんまわった。


揺さぶられながらちきゅうの子は

自分の足元から勢いよく噴き出す気を見た。


その気はロータスの花のようであり

上へと燃え盛る炎のようでもあった。


その燃え盛るロータスは、蓮の花の上に立つ釈迦を思わせた。


あぁそうか、そうだった。


私たちは一人ひとりが光の存在なんだった。



意志が太陽なら迷いは雲。


太陽の光である意思が大地に真っ直ぐ当たれば

現実という影もはっきりくっきりできる。



ちきゅうの子はそう思った。




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