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出雲

第一章 出雲

第一章  出 雲

         第一節  はじまりの景色
         第二節  いき続ける樹


第一節 はじまりの景色

そのちきゅうの子は、この世界のはじまりを想像した。


あるのかないのかすら分からない混沌が姿をつくりだしたとき


生暖かい風が吹き荒れた。



ここはミルキーな後味が残るやわらかな土地


出雲。



羊水に浸かっているような優しい愛が漂い


自然発生的に何にでもなる可能性を秘めて



私たちを生まれたばかりの赤ん坊のように優しく包み込んだ。



そして母なる出雲は言う。



ここは奇跡の海。


私たちは奇跡の海に生きている。


第二節 いきつづける樹


出雲に推定樹齢一千年といわれる椋(むく)の樹が立っている。

この木には多くの存在が集まった。


闇のものたち、光のものたち。

そしてそれらはやがて椋の木とひとつになった。


闇と光を宿したこの樹は言う。



光は善で闇は悪、そんなことはどうでもいい。


私はただこの様に在る。



椋の木は今も一千年より長く生きることを選択し続けている。