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リベラルな電波グラビア館

反原発のシンボル・広瀬隆が講演会で娘の自然食品店をPR


「どや顔」。関西弁で得意げになっている様をいう。福島第一原発事故以降、市民運動家、ジャーナリスト、作家を問わずどや顔で東京電力、政府、原子力行政を批判する面々が増加中だ。連日のように東京・有楽町の東京電力本店前では、反原発団体、市民による抗議集会が開かれ、そして福島原子力発電所事故対策統合本部の記者会見には多くの“ジャーナリスト”が押し寄せる。記者会見場で彼らが行うのは、
「質問」というよりも、むしろ「アジテーション」「演説」の類。時にはまるで部落解放同盟の行政交渉や自治労など労働組合の団交のように会見場が荒れることもあった。
 勇ましい言葉を東電社員や原子力安全・保安院の職員に投げるたびに「ユーストリーム」「ニコニコ動画」で視聴しているネットユーザーたちは狂喜する。そしてツイッターには「信奉者」がまるで「神託」が如く、その演説内容を拡散していく。確かに東京電力、原子力行政ともに追及されるべきであろう。ただ、だからと言ってどんな批判でも許されるのか。時には風説、デマも飛び交う。
 東日本大地震発生後、千葉県市原市のコスモ石油の製油所で火災が発生すると「コスモ石油の火災で舞い上がった有害物質と原発からの死の灰を避けるため、濡れないように」このようなデマがネット上をかけめぐる。
「福島から避難した静岡の病院で小学5年生が亡くなりました」5月に入るとこんな話がツイッター上で広まったが、もちろんこのような事実はない。面白いことにこれらデマを広めているのは、著名な文化人、ジャーナリストたちである。だが不思議なことにツイッター上では情報が奇異であればあるほど、むしろ信ぴょう性が高まり彼らの「信者」たちは熱狂して広めていくのだ。むしろ事態が暗転するほど、彼らの“どや顔”はより恍惚《こうこつ》感を増していく。そんな印象だ。
 そして今、最も“どや顔”を決めているのが、作家・広瀬《ひろせ》隆《たかし》氏かもしれない。『危険な話 チェルノブイリと日本の運命』『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』はベストセラーになり、80年代は「ヒロセタカシ現象」を起こし、反原発運動の旗手になった人物だ。福島第一原発事故以降、再び注目を浴び、そして目下、講演会は多数。著作も多く刊行されている。蘇った「ヒロセタカシ現象」である。とは言え彼の主張を真に受けていいものか。
 3月23日、東京・早稲田奉仕園スコットホールで「緊急報告会/広瀬隆・広河《ひろかわ》隆一《りゅういち》『福島原発で何が起こっているか?』」でのこと。福島第一原発事故の解説をした広瀬氏は、甲状腺がん予防のヨード剤が手に入りにくい、という話をした後、「酵母菌の入った生味噌がいい」といいと話を始め、なんとスライドで自分の娘が経営している自然食品の店を紹介したのだ。スライドで堂々と店の電話番号まで紹介しながら、「あとで娘に怒られる」「今のは忘れてください」という広瀬氏はまさしく“どや顔”。ドサクサまぎれに身内の店をアピールとは“商売”と言われても仕方がないところだ。
 これには古参の反原発運動家も眉をひそめる。
「高速増殖炉もんじゅのナトリウム漏れ事件の際も情報公開や調査、そして裁判によって様々な新事実が出てきたが、それらはデータや地道な調査があってのこと。広瀬氏のような発言があると、反原発運動自体がうさん臭く思われてしまう。かつては座り込みの反対運動でも国労のゼッケンをつけてきた一派には“今日はそっちと違う”と言って参加を断ったこともあった。それくらい反原発運動は強い信念があったものだが、福島の一件以来、パフォーマンス化している」
 さらに勢いがつきそうな現在の「反原発運動」。事態が暗転するたびにむしろ”どや顔”をしそうな人が増殖しそうなのである。(三)


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