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6(終)

彼氏独白「それからいくらかの時間が経った。あの事件をマスコミ

 が面白がってとりあげられるくらいには」

  ベッドに腰掛けて延々と携帯電話をいじっている彼氏。つけっ

  ぱなしのTVの中では、文化人たちがしたり顔で彼女について

  論じている。

彼氏独白「超人、怪物、ミュータント……偉い人たちは彼女に数々

 のありふれた名前をつけた。だけど俺にとっては彼女は彼女であ

 って、それ以上でもそれ以下でもない」

  彼氏の目から一粒の涙がこぼれおちるが、ぐっと我慢をしてい

  る。

彼氏「ずっと待ってるって約束したじゃんか」

  不意にチャイムが鳴り玄関のドアを開ける彼氏。そこには彼女

  の姿があった。呆然とする彼氏に、決まり悪そうにちょこんと

  手を挙げて挨拶をする彼女。

彼女「ただいま」

彼氏「おかえり……」

  立ち尽くす彼氏が手に持った携帯電話がメールの着信を伝える。

  彼氏がそれをたしかめると、彼女からのメールだった。

彼女メール「今から帰るお(^ω^)」

  思わず笑顔をこぼす彼氏。

彼氏「ちょ、メールより先に戻ってくるとか!」

彼女「遅くなってスマン☆」

彼氏「早すぎるくれーだよ」

  強い抱擁を交わす彼氏と彼女。

  彼氏が取り落とした携帯電話には、倒した怪獣を尻目に地球へ

  と戻っていく彼女の写メが映っていた。


(終)


この本の内容は以上です。


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