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青空文庫の歩き方~翻訳家・大久保ゆうさんインタビュー~
ところで、本家・青空文庫(http://www.aozora.gr.jp/)って、どんなところなのでしょうか?
気になっていても、どんな風に参加していいかわからず、とまどっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
大久保ゆう/翻訳家&翻訳研究者。 twitter @bsbakery
そこで、まだ青空文庫をご存知でない方のために、高校生の時から青空文庫に翻訳者・入力者(青空工作員)として参加されている翻訳家の大久保ゆうさんに、青空文庫に参加されたきっかけ、おすすめの使い方などを伺いました。
当アンソロジーをお読みのみなさん、こんにちは(はじめまして)。翻訳家の大久保ゆうと申します。青空文庫でも諸々作業に携わっております。
【青空文庫に参加したきっかけ】
高校生のとき(今から10数年前)、ネットで図書館のことを検索してたまたま引っかかったサイトを「面白いな」と思ったところから始まりました。青空文庫もまだ始まって1年くらいだったでしょうか。当時は文学のことがよくわからなかったのに、とにかく参加してみたいと、押しかけ弟子みたいな感じで、混ぜてもらったのを覚えています。しかも、普通の入力・校正から外れた〈翻訳〉でしたから、なんというか、若さゆえの勢いって大事だな、と今になってしみじみ感じます。
【青空文庫に参加してみての感想】
好む好まざるを問わず、そのなかで色んな作品や人に出会うことができました。もちろんあの頃はまだWeb1.0の時代でしたが、時間なり空間なりを超えて、ソーシャルなところで様々な勉強ができたのだと思います。そこからめぐりめぐって今の職業にあるわけですから、感想以上に感謝の気持ちの方が大きいですね。自分よりもおっきな人に胸を借りられた、というのは個人的にすごくプラスになりました。それから、ひとつの作品が羽ばたいて、どんどん拡散して、あちこちでつながって、次々と新しいことが始まっていくさまを見られるのは、ある種壮観なところがあります。電子テクストとしてネット上に置かれることで、単に読む人が増えるだけではなくて、多くの人がそれを元に朗読したり、自分の作品を作ったり、点字本や拡大本に加工してみたり、新らしいソフトウェアやサービスを出してみたりと、可能性が広がっていって。もちろん今回のコンテストもそうですね。
【青空文庫のおすすめ作品】
たくさんありますが、あえておすすめするとしたら、詩でしょうか。中原中也をはじめ、小熊秀雄、原民喜、蒲原有明、草野天平、土井晩翠、水谷まさる、伊東静雄……有名無名色んな人の詩集がありますので、ちょっと一息つくような気持ちで読むと、心が落ち着くかもしれません(かえってざわめくこともありますが)。
【青空文庫のおすすめの使い方(本の探し方・利用端末)など】
はじめのうちは、古い作品ばかりだし、どれから読んでいいかわからないかもしれないので、「聞いたことあるけど読んだことない(のでちょっと読んでみたい)」作品でいいと思います。そのあと、知ってる作者のマイナー作品とか、まったく聞いたこともないような作家に挑戦していくと、自分がどんどん開拓しているというか、金脈を探し当てようとしているような気分になって、最終的に作品を選ぶのも楽しくなってくると、もうあなたは立派な近代文学読み!
【青空文庫×パブー漫画コンテストの感想】
青空文庫から題材を取るということで、気になって一読者としてたくさん読んでいたのですが、とっても楽しかったです! 自分が入力・校正・翻訳を手がけた作品を数々使ってもらえたという喜びもありますが、いちばんは「このコンテストがなかったら絶対にマンガ化されなかったような作品」をいくつも読めたことです。はむぼしさんの「支那の明器」(原作:會津八一)や、桝田道也さんの「ベースボール」(原作:正岡子規)、ゲスト作品では衿沢世衣子さんの「小説」(原作:平山千代子)などは、青空文庫関係者・愛読者のなかでも結構な話題になりました。個人的には、尾瀬之尭さんの 「鰐」(原作:ドストエフスキー)が題材の切り取り方も描き方もとてもよくて、あらためて新鮮に読ませてもらった、という感じです。また、yukihataさんの「星の銀貨」(原作:グリム兄弟)やruriさんの「あのときの王子くん」(原作:サン=テグジュペリ)は、原作から離れて独自の世界・新しい物語が始まっているところに、青空文庫とパブーの有機的な出会い!のようなものが見えて、このコンテストの可能性を感じたり、総じて夢野久作のマンガ化が人気な点も、彼の作品を好んで読んだ元少年としては、にやにやしてしまったり(お気に入りはヘモコさんの「縊死体」)。みなさんのアップロードが待ち遠しい2ヶ月間でした。今回は第1回ということですが、ぜひぜひ第2回・第3回もやってくださいね!
【メッセージ】
おかげさまで、若い頃に色々やってた甲斐あって今では、僭越ながら「青空文庫で色々面白いことやってたあの――」という形で認知していただき、お仕事などもらっておりますが、これからは「パブーで色々面白いもの出してたあの――」という形で世に出てくる人もきっと現れるのだと思います。インターネットの、みんなの目に触れるところに作品を出すというのは、物作る人間としての名刺を作って人に見せる、ということでもあります。お仕事を目指す人も、そうでない人も、他人の批判を恐れず、むしろ他人を飲み込むくらいの勢いで、色んな人やモノと積極的に絡んでいっていただければ、……なんて私もまだまだ人様に何か言える身分ではないですが、そんなふうに思ったり致します。パブーでは現在読む専門ですが、コンテストのあるなしにかかわらず、青空文庫にあるものや過去の作品に触発された本が出てくると、個人的にはとっても嬉しいです。それでは、今後もパブーで様々な作品に触れられることを、楽しみにしております。
大久保ゆう/翻訳家&翻訳研究者。児童文学や大衆小説のほかマンガやゲームの翻訳も手がけ、近々「エルマーのぼうけん」三部作の新訳オーディオブックが刊行予定。

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