一般 問25
問25 出来高病院・DPC病院の損益の影響について、図表にあてはまる適切な組み合わせを選択肢より1つ選べ。
便宜上、DPC病院の医業収益の全てが包括収益とする。
[選択肢]
1 A利益 B損失 C医業収益 D変動費
2 A損失 B利益 C医業収益 D変動費
3 A利益 B損失 C医業利益 D変動費
4 A利益 B損失 C医業利益 D医業収益
5 A利益 B損失 C変動費 D医業収益
専門 問26
問26 「診療録管理体制加算1」の施設基準として適切なものを選択肢より3つ選べ。
[選択肢]
1 入院患者についての疾病統計には、ICD(国際疾病分類)上の規定に基づき、4桁又は5桁の細分類項目にそって疾病分類がなされている。
2 退院時要約については、全患者について退院後30日以内に作成されていることが望ましい。
3 退院した患者のうち、退院日の翌日から起算して14日以内に退院時要約が作成されて中央病歴管理室に提出された者の割合が毎月9割以上である。
4 診療記録(過去3年間の診療録及び過去3年間の手術記録、看護記録等)の全てが保管・管理されている。
5 1名の専任の診療記録管理者が配置されている。
専門 問51
問51 災害拠点病院について、以下の選択肢より適切でないものを1つ選べ。
[選択肢]
1 災害拠点病院は、救命救急センターを有していなければ指定要件を満たさない。
2 DPC病院Ⅲ群の地域医療指数では、「災害拠点病院の指定」又は「DMATの指定」の有無が評価の対象となっている。
3 災害拠点病院は、衛星電話を保有し、衛星回線インターネットが利用できる環境を整備することとされている。
4 災害拠点病院は、災害派遣医療チーム(DMAT)を保有し、その派遣体制があることが必要とされている。
5 災害拠点病院の指定に当たっては、都道府県医療審議会等の承認を得ることとし、指定されたものについては医療計画に記載することとされている。
一般 問3 差額原価収益分析
[出題可能性]B
[出題意図]
差額原価収益分析を診療科目別の損益により出題した。過去問でも頻出問題となっている。
[解答]1、4 医療経営士2級一般テキスト 該当箇所なし
間接費配賦額とは、各診療科目とは直接関係のない管理部門などの費用である。
仮に産婦人科を廃止した場合、差額利益が生じるため、廃止を検討することになる。
(産婦人科の差額損益計算)
差額収益 △30 産婦人科廃止により30の収益を失う
差額費用 +50 産婦人科廃止により50のコスト削減が可能になる
間接費配賦額 0 廃止・存続にかかわらず管理部門の費用は発生する(計算上無視できる)
差額損益 +20 廃止により20の利益が生まれる
間接費配賦額は、意思決定の有無にかかわらず発生することから埋没原価(差額損益計算の上で考慮されない費用)という。
循環器科を廃止した場合は、差額損失が生じるため、廃止を検討しない。
(循環器科の差額損益計算)
差額収益 △50 循環器科廃止により50の収益を失う
差額費用 +49 循環器科廃止により49のコスト削減が可能になる
間接費配賦額 0 廃止・存続にかかわらず管理部門の費用は発生する(計算上無視できる)
差額損益 △1 廃止により1の損失が出てしまう
循環器科は「医業収益-医業費用-間接費配賦額」は△4であるが、間接費配賦額控除前では利益が出ている。間接費配賦額控除前で損失が出ている産婦人科、皮膚科から廃止が検討される。ただし、これはあくまでも数値による分析であり、地域にとって必要な診療科であれば存続されることになる。
一般 問19 第三者評価
[出題可能性]B
[出題意図]
主な第三者評価の違いについて出題した。
[解答]1、4、5 医療経営士2級一般テキスト8
4と5は説明が逆であり、1は誤った記述である。
1 病院機能評価→病院が組織的に医療を提供するための基本的な活動 (機能) が、適切に実施されているかどうかを評価する仕組みであり、病院が機能評価項目やマニュアルを作成することを目的としていない。
2 プライバシーマーク→個人情報について適切な保護措置を講ずる体制を整備している事業者等を認定して、その旨を示すプライバシーマークを付与
3 ISO9001→製品やサービスの品質保証を通じて、顧客満足向上と品質マネジメントシステムの継続的な改善を実現する国際規格
4 JIS15001→個人情報保護に関して、事業者が個人情報を正しく管理するための要求事項を定めた日本工業規格
5 ISO14001→企業などの活動が環境に及ぼす影響を最小限にとどめることを目的に定められた、環境に関する国際的な標準規格
一般 問25 出来高病院とDPC病院の比較
[出題可能性]B
[出題意図]
損益分岐点図表を出来高病院、DPC病院で比較した図表の穴埋め問題である。それぞれの病院の特徴を捉えていないと正答は難しい。
[解答]5 医療経営士2級一般テキスト8
出来高病院では、一定の業務量(患者数)を超えると、利益が出る。この利益と損失の境を損益分岐点という。例えば、病床利用率が80%までは損失(赤字)であるが、80%を超えると利益が大きくなっていく。出来高病院では、変動費(材料費)や固定費(人件費、経費等)といったコストを削減することよりも、いかに医療行為を積み上げ医業収益を増やすかに重点がおかれる。
一方、DPC病院では、一定の業務量(医療資源投入量)を超えると、損失が出る。(本問の)DPC病院では、医業収益が固定とされているためである。例えば、材料費率が20%を超える(薬品、材料の投入量が20%を超える)までは利益(黒字)であるが、20%を超えると損失(赤字)が膨らんでいく。DPC病院では、医業収益を増やすことよりも、変動費や固定費といったコストを削減することに重点がおかれる。
専門 問26 診療録管理体制加算
[出題可能性]A
[出題意図]
26年診療報酬改定により診療録管理体制加算は2段階の点数に変更となった。改正部分も含め、出題した。
[解答]1、2、3 医療経営士2級専門テキスト1
診療録管理体制加算1は、コードに基づく診療録の管理や専従の職員の配置等、充実した診療録管理体制を有している場合の評価であり、26年改定により新設された。主な施設基準は下記の通り。
・年間退院患者実数2,000名あたり1名以上の専任の常勤診療記録管理者が配置されており、うち1名以上が専従であること。
・各退院患者の「氏名」、「生年月日」、「疾病名」及び「入院中の手術」等に関する電子的な一覧表を有し、診療録の検索・抽出が速やかにできる体制を確保していること。
・前月に退院した全診療科の全退院患者のうち、退院日の翌日から起算して14日以内に退院時要約が作成され、中央病歴管理室に提出された者の割合が9割以上であること。
○1 診療記録管理者は、診療情報の管理、入院患者についての疾病統計(ICD10による疾病分類等)を行うものであり、診療報酬の請求事務(DPCのコーディングに係る業務を除く。)、窓口の受付業務、医療機関の経営・運営のためのデータ収集業務、看護業務の補助及び物品運搬業務等については診療記録管理者の業務としない。
○2 全診療科において退院時要約が全患者について作成されることが必要とされている。
○3 1月間の退院患者数のうち、退院日の翌日から起算して14日以内に退院時要約が作成され中央病歴管理室に提出された患者数が9割以上である必要がある。
×4 診療録は、過去3年間ではなく過去5年間の保管・管理が必要とされている。
×5 年間の退院患者数2,000名ごとに1名以上の専任の常勤診療記録管理者が配置が必要である。そのうち、1名以上が専従でなければならない。
専門 問51 災害拠点病院
[出題可能性]B
[出題意図]
東日本大震災の後、災害拠点病院の要件が見直された。
[解答]1 →該当テキストなし
災害拠点病院については、東日本大震災を受け、災害医療体制の一層の充実を図る目的から開催した「災害医療等のあり方に関する検討会」(座長:大友 康裕 東京医科歯科大学教授)の報告書を踏まえ、診療機能を有する施設の耐震化や衛星電話、衛星回線インターネットの整備、全ての災害拠点病院に災害派遣医療チーム(DMAT)の配置、地域の医療機関との連携や支援を行う体制の整備など、災害拠点病院の指定要件の見直しを行い、「災害時における医療体制の充実強化について」(平成24年3月21日医政発0321第2号厚生労働省医政局長通知)を発出している。
×1 災害拠点病院は、救命救急センターもしくは第二次救急医療機関であればよいとされている。
○2 「新型インフルエンザ等対策に係る指定地方公共機関の指定」について地域医療指数で評価することが検討されている。
○3 その他、複数の通信手段を保有していることが望ましいとしている。
○4 災害発生時に他の医療機関のDMATや医療チームの支援を受け入れる際の待機場所や対応の担当者を定めておく等の体制を整えていることが必要とされている。
○5 都道府県は指定した災害拠点病院が要件に合致しているかどうかを毎年(原則として4月1日時点)確認し、指定要件を満たさなくなった場合には指定の解除を行う。