目次
もくじ
もくじ
1.新しい文学の形と新しい文章
1.新しい文学の形と新しい文章
2.ライトノベルと識字率
2.ライトノベルと識字率
3.書評:『きらきらひかる』江國香織著
3.書評:『きらきらひかる』江國香織著
4.神とはヒトの口癖である (前編・後編)
4.神とはヒトの口癖である(前編)
4.神とはヒトの口癖である(後編)
5.再現とは、でっちあげること (全5章)
再現とは、でっちあげること (1)
再現とは、でっちあげること (2)
再現とは、でっちあげること (3)
再現とは、でっちあげること (4)
再現とは、でっちあげること (5)
6.ブリコラージュ状思考態って何ですか?
6.ブリコラージュ状思考態って何ですか?
7.「作家デビュー」
7.「作家デビュー」
8.なぜ、江國香織さんなのか?
8.なぜ、江國香織さんなのか?
9.小説か、エッセイか?
9.小説か、エッセイか?
10.書き手の孤独
10.書き手の孤独
11.江國香織さんと夏目漱石
11.江國香織さんと夏目漱石
12.読まなきゃあ、詠めない
12.読まなきゃあ、詠めない
13.短命に終わったブログの復元
13.短命に終わったブログの復元
奥付
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7.「作家デビュー」

7.「作家デビュー」

※以下はAmebaブログの記事です。この本に掲載したので、ブログ記事は削除しました。

「作家デビュー」

2012-07-02 10:19:23
テーマ:創作について

これまでに「作家デビュー」という言葉が、いかに多くの人たちを魅惑し、不幸にし、あるいは狂わせてきたか。

その言葉を甘くささやくだけで成立する商売が、いかに多いことか。

「作家デビュー」という言葉を目にしたり聞いただけで、怒りや恨みや悲しみといった感情がこみあげてくるのを抑えきれない人たちも、また多いことだろう。

紙の書籍で「作家デビュー」を実現するためには大金が必要になる。最近では「作家デビュー」を遂げるために、電子書籍という廉価な方法が普及しはじめた。

     *

今、あなたが読んでいるこの記事と一緒に、PCやスマホの画面に「作家デビュー」を「約束する」宣伝広告が映し出されてはいないだろうか?

ネット上には、キーワードを即時に察知し、それに応じた宣伝広告を出現させる仕組みがあちこちに埋め込まれている。

それはさておき、確かに「作家デビュー」は実現できる。嘘ではない。問題は、「作家デビュー」を実現した「作家」が自分のいだいていた夢を実現できたかどうかであろう。

こんなはずじゃなかった――。

話が違う――。

詐欺だ――。

訴えてやる――。

ペテンにかかってしまった――。

「作家デビュー」は嘘ではない。嘘があるとすれば、それは「作家デビュー」という言葉に託した、あなたの期待、欲、(根も葉もない)空想ではないだろうか?

     *

話を小説に限れば、あなたの期待、欲、空想は、メジャーな文芸誌主催の文学賞を受賞することできっと実現するだろう。

あなたのいだいている「作家デビュー」を実現するための道は、それ以外にはないとも言える。

文学賞受賞という栄誉は、実は「第一歩」でしかないという。詳しいことは知らない。

私もまた、「作家デビュー」をしたことがある。ただし、それは文芸誌が公募する賞をとったという類の話ではない。だから、また聞きの話を繰り返しているだけだ。

で、聞いた話にもどると、「第一歩」である「作家デビュー」の後には、「職業作家であり続ける」という試練が待ちかまえているという。

言い換えれば、文学賞を受賞してデビューを果たした作家たちが、次々と脱落していくということだ。

     *

作家デビュー――。

なんと、甘美な言葉だろう。なんと酷な言葉だろう。なんと空疎な言葉だろう。

【※以上のエッセイにある電子書籍による「作家デビュー」について興味のある方は、『電子書籍って何? ―無名の書き手の立場から―』という電子書籍に収録されている「7.電子書籍が売れないのは当然?」をお読みください。】