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目次

はじめに

 

1章 図書館の現状分析

 

2   サービス

子どもたち対象のゲーム

図書館員の貸し出し

次世代の利用者カード

自己PRのための掲示板

 

第3章       施設

すわり心地のいい椅子

高級家具

次世代のカーペットコーナー

カフェ

自然光をうまく利用

職員の休憩室

 

第4章       職員

カウンターワークだけではなくフロアワークも充実

ロボット司書

館長と職員の距離

図書館以外のことを学べる研修に積極的に参加

 

第5章       資料

電子資料について

書店にないものも収集

地域情報

資料の並べ方

棚の貸し出し

 

おわりに


はじめに

 私たちが本書を出すきっかけになったのは、20101125日(木)に図書館総合展が開催され、図書館総合展運営委員会が主催するL-1グランプリ2010に参加したからです。

L-1グランプリとは、20代から30代のライブラリアンを中心に、ワークショップ形式で、それぞれの抱く図書館像を検討・発表するものであり、テーマは当日発表されました。

 

 テーマ:抜擢人事で館長になったとき-次代に示すビジョンとプラン

 

 あなたは抜擢人事で図書館長に就任することになりました。明日は就任初日です。関係者に対して館長としてのビジョンとプランを示す必要があります。その際のプレゼンテーションを作成し、発表してください。

 

 私たちのチームActualize L-1 Teamのメンバーは、北は岩手県、西は山梨県から参加しました。1982年から1990年生まれの皆20代です。全員が最初に集まったのは開催日前日の1124日の夜で、どんな課題が出されても良いように簡単な打ち合わせを行い、当日の朝は会場に一番乗りをしました。

 本番ではメンバーそれぞれの特徴を出せ、コンパクトに意見をまとめることができました。結果、賞金20万円を持ち帰ることができました。

 しかし、当日は各企業・団体のブースを見回ったりしたため時間がなく、さほど議論を深めることはできませんでした。消化不良であることを否めなかったのです。そこで、もう少しメンバーで議論を深め、その成果を頂いた賞金を使って発表してはどうだろうか、ということになりました。広く読んで頂けるよう電子書籍で出版し、無料で公開することにしました。

図書館関係者だけではく、図書館利用者の方にも図書館に関心を持って頂けるようなるべく専門用語を使用しないようにし、図版を取り入れました。本書で使用している絵や切り絵は、メンバーの伊五沢、山川が作成したもので、一部はL-1グランプリ当日に使用したものを使っています。文章だけではなく図版もみて頂けたら幸いです。

 

チーム名:Actualize L-1 Team

チーム代表:吉井 潤(図書館員

メンバー:伊五沢 麻衣子(図書館員)

     久川 竜馬(個人事業者)

     森谷 亮太(学生)

     山川 真央(学生)

 

Actualize L-1 Teamが考える図書館の基本コンセプト

 

(1)人だまりのできる図書館

(2)今までやったことがないサービスを実施

(3)少し現実離れしているが、頑張れば実現可能なことを実施

 

 上記、(1)から(3)を現実的に行うために現状分析、サービス、建物、職員、資料の5方向で考えました。


第1章.図書館の現状分析

 戦後の日本の図書館の歴史を大まかにみると、学生の勉強部屋時代、貸出サービス中心時代、滞在型時代と推移するとともに、図書館数や来館者数、貸出冊数は時代とともに飛躍的に増えてきています。最近ではインターネットの普及で、情報通信技術を取り入れたサービスを実施している図書館もあります。ビジネス支援、健康・情報サービスなどに取り組む課題解決型図書館というものも出てきています。

 議論の中で、私たちのメンバーは図書館勤務年数が短いためか「課題解決型図書館」を標榜しているわりには、現在の図書館界が抱えている課題を解決していないのに課題解決を掲げるのはおこがましいのではないかという意見が出ました。

 身近なところでは、サービス対象の偏り、新規サービスがなかなか現れない、施設の老朽化、IT技術への対応の遅れ、資料費削減など、図書館が抱えている問題を列挙するだけでため息が出ます。

 

 このような現状を踏まえ、今回は以下のように設定しました。

 ある自治体で4年後に開館する図書館(小規模な地域館)の館長公募があり、20代のA氏が応募したところ、抜擢人事で図書館長に就任することになりました。A氏は準備室を立ち上げてチームを作り、1週間後、関係者に対して館長としてのビジョンとプランを示すことになりました。

2章以降は、チームが1週間後に関係者に示すプランです。

 

【ある自治体の概要】

人口:13万人。

就業構造:工場や研究所が近隣の自治体より多く、住んでいる人の就業率が高い。

年齢特徴:年齢別人口は35歳から39歳までが最も多い。

地理的・歴史的な特徴:城跡や古墳などがあり、土器や石器が出土することもある。

交通:鉄道やバスなどの公共交通機関が充実している。東京(新宿)には40分程度で着く。

環境:開発が進んでいるが、できるだけ自然を残そうとしている。

財政力指数:1.5

経常収支比率:88%。

図書館の現状:中央図書館と5つの地域館の6館で構成。年間図書館利用者数はのべ25万人、蔵書数55万冊。画一的な蔵書構成になっており、それぞれの地域性がアピールされていない。地域資料、寄贈資料の収集、保存、提供体制が整っていない。今回は蔵書数10万冊予定。

利用者の特性:ビジネスマン、主婦の利用で占められている。


子どもたち対象のゲーム

 おはなし会、読み聞かせ、ブックスタート等、図書館ではおなじみとなっている催しがありますが、乳幼児を対象にしたものが多い気がします。これからは小学校高学年から中学・高校生に図書館を利用してもらうことも大切であり、サービスの質を高めていくべきであると考えます。

 とはいうものの、今の小・中学生は習い事等で忙しいですし、高校生になると部活動や受験勉強に時間をとられ、図書館に行く時間や動機はみつけられない。図書館に行くとしたら勉強机が欲しいだけです。赤本や青本などの受験参考書が図書館に置いてあれば口コミで生徒はやってくるでしょう。しかし、それでは図書館に置いてある多くの資料はほとんど使われません。

 そこで、「図書館にあえて行く」最初のきっかけとして、家庭用ゲーム機をできるだけそろえ、決まった時間は自由に使ってよいことにします。ゲームを進めていくうち「あれ、この登場人物ってどこかで聞いたことがある」と思ったら、図書館にある人名事典を引けばいい。「これって、もしかして」と思ったら辞書辞典類を見ればいいのです。

 実は、ゲーム作成にあたっては、ヒントにしているものはいろいろとあります。実在する人物や地名をもじったり、デザインを参考にしていたりします。

 図書館に行けば、ちょっと調べたいことを簡単に調べることができるという体験のきっかけを作りたい。自分で調べられなかったら、図書館員が調べもののお手伝いをし、後々大人になったときに、「図書館で調べよう」と思い出してくれるでしょう。「図書館を使わないと損をする」と体験させるきっかけをつくりたい。


図書館員の貸し出し

 図書館で働いている職員はなんらかの特技を持っています。語学が堪能であったり、パソコンなどの通信機器に長けていたり、特技とまでは言わなくとも何かひとつは趣味があると思います。図書館員ひとりひとりの力を発揮できる機会があれば職員のモチベーション向上、利用者サービスの向上につながります。

 その方法として、たとえば館内に図書館職員の特技などのプロフィールを貼り出します。一定の決まった時間に利用者の求めに応じて図書館員が対応します。これよって利用者は図書館に対して親しみがわきますし、マスコミやウェブ上でちょっとした噂になれば図書館未利用者が図書館に足を運ぶ可能性が高まります。職員と利用者のやりとりがカウンターの本の受け渡しや予約本の受け取だけではもったいない。加えて、カウンター自体が両者に対してひとつの壁のように思えます。この試みは心理的な壁を取り除くきっかけにもなるでしょう。

 具体的な例で言うと、語学の習得には時間がかかり、独学では思うように進まないこともあります。そこで、CD付きの語学参考書の貸し出しが図書館では多いので、「18時から19時の間、語学の学習のお手伝をします」と掲示があれば、そのことについて尋ねる利用者はいるでしょう。他には、釣りが得意な図書館員がいたら利用者と一緒に土日に川釣りに行ってもよいでしょう。釣り好きな利用者が集まれば利用者同士のつながりができます。



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