閉じる


<<最初から読む

9 / 24ページ

報道機関の者ですが、リップスに加わります!

 ナバス・クルクが二人に問うた。

「何だって? マスコミの人?」

 イプス・カイザルがぶっきらぼうにつぶやいた。

「取材なら、許可とってもらわないとな……」

 長老、セペル・チェルダードが断言した。

「うむ、まあ、ビザリーニューズ社なら、信用はおけるが……」

 ディレクター、ジョマ・グリシアが詫びた。

「ビザリーニューズ社の報道部門のディレクターで、ジョマ・グリシアと言います。ちょっと昔に兵役があって、空軍に3年在籍していたものですから、このバトルシップに興味が……」

 ナバス・クルクが言った。

「だからあんなに詳しいんだねー。おじさん」

 ジョマ・グリシアが反論する。

「だから、誰が何と言おうとお兄さん! おじさんじゃない!」

 セペル・チェルダードが訊いた。

「で、そちらの彼女は何か? アナウンサーかルポライターか何かか?」

 ラルタ・ニーナが答えた。

「そうね、そんなところ……なんでも、珍しい大型のキャラバンがメルグヴィッツ空港に来るから、取材させてもらおうと思ったの。わかる?」

 クルク・カイザル・チェルダードの3人は、ひそひそ話し合っていたが、やがて結論が出た模様だ。チェルダードがマスコミ2名にこう言った。

「まあ、秘密を知られてしまった以上、帰すわけにはいかん。とはいえ、うちのPRもやってくれるというから……お前さんがた、船長と副船長にならんか。うちは人手不足でなあ……」

 グリシアが驚嘆する。

「な、何ですと!」

 同じく、ニーナが驚嘆する。

「このアタシたちに、スタッフううー?」

 チェルダードは、さも当たり前のように返答する。

「そうじゃ」

 クルクは、嬉しそうに言った。

「あんた、面白そうで気に入った。ここから、スクープをジャンジャン出してよ」

 カイザルが、ぶっきらぼうにつぶやいた。

「まあ、悪者ではなかろう……」

 意を決して、チェルダードがゴーサインを出した。

「決まりじゃ! 空軍経験者がリーダーに代わって船を操縦する!」

 クルクは調子に乗った。

「そして、肩書きは「船長」、なんつって」

 カイザルが師匠、チェルダードに質問する。

「じゃあ、ニーナはどうする」

 チェルダードは、鶴の一声で決断した。

「んじゃあ、渉外担当。通信担当。これでどうじゃ」

 カイザルはぶっきらぼうに答えた。

「決まりだな」

 クルクは仕事が減って無邪気に喜んだ。

「これで働きやすくなるぞー」

 チェルダードが最後に命じる。

「そいじゃ、よろしく頼む」

 やる気のない、グリシアとニーナ。

 二人「はーあ」

 なぐさめるチェルダード。

「まあ、そう落ち込むな、ビザリーニューズに従前の給与が出るよう、人材派遣契約を結んでおいたから、安心して働き給え」

 不服そうなニーナ。

「はいはい、わかりましたよっと……お膳立てがすっかり整っていたという訳ね……恐るべきリップス!」

 昔取った杵柄を思い出して、グリシアが興奮する。

「俺は、空軍時代を思い出して、まんざらでもないがな、バトルシップの船長!」

 ニーナは頬杖つきながら溜息をついた。

「はーあ、あなたは呑気でいいわねえ……」

 

     ◇ ◇ ◇

 

 そして、グリシアとニーナには、それぞれの居室が与えられた。

 グリシアが、チェルダードに懇願する。

「あのー、船が有事の際には、僕、ここから船の先端まで行かなくてはならないんですよね」

 チェルダードが答える。

「そうじゃ。軽く100メートルはあるからな」

 グリシアが、再び懇願する。

「お願いがあるんですけども、居室からコックピットまでの往復に自転車をください」

 チェルダードが返す。

「面白いことを言う若者じゃ。脚力に自信がないのか? さては……」

 グリシアが困ったような顔で答える。

「は、はい……。インドア職業ばかりでしたので……取材を除けば……」

 チェルダードが応じる。

「んじゃ、ギャレーに赤い小さな自転車があるじゃろ。それを使え」

 グリシアが安堵する。

「ありがとうございます」


グリシアの驚嘆、ニーナの報道取材

「船長!」チェルダードが内線電話でグリシアを呼ぶ。

「はっ! 長老! しばらくお待ちを!」グリシアは居室から自転車でコックピットに向かう。

キコキコ自転車を漕いでいるいい大人が……という目でみんなが見る。

「船長、ガンバ!」ナバス・リームが野次る。

「おおっ、任せておけ!」グリシアが答える。

「船長、格好悪い!」ナバス・クルクが野次る。

「う、うるさいっ! これでも必死なのだ!」グリシアが答える。

 

 自転車はやがて、船首にある、コックピットに着いた。

「おお、来たか、来たか」チェルダードが招く。

「はい、ただいま」グリシアが軍隊式にかしこまる。
「次のミッションだが、その前に、予備知識を教える」いかにも長老らしい口調で話す。

「はあっ」グリシアがまたかしこまる。

「まあ、そう堅くなるではない。世間話の類じゃ」チェルダードは笑った。

 

チェルダードは、珈琲を差し出し、自分も一杯持つと、静かに語り始めた。

 

「ワシがもう少し若い頃じゃった。ワシは、ビザリナ陸軍東部方面隊の大尉をやっていた。いわば、西部方面隊の援護射撃という位置づけと、友好国ファビオを守るための任務じゃ」

「はあ、はい……」グリシアが応え、チェルダードが続ける。

「それで、今は亡き妻、イライザ・チェルダードが、ミッションの途中でも、放浪の剣士、ナバス・ガルシア……クルクやリーム、レマーユのお父さんだ……ガルシアが残した遺児を拾いに、国境近くのアーツウォーク州や、教会が多く建つセントフェリーナの街などを転々と探した。クルクは、ワシが直にナバス・ガルシアから、首都ジェンツで引き継いだものじゃ。それで、リームを、アーツウォークの民兵集団に傭兵として囲われていたのをワシが救い、レマーユを、セントフェリーナのビザリナ国教会修道院から、特赦を受けて妻が救った。ガルシアが残した三兄妹はこのようにして、いまリップスにあるのじゃ……。」

「そ、そんな重要なお話、私に聴かせていいんですか?」

「君は船長じゃ。ある程度知っていてもらわなければ困る」

「は、はあ……」グリシアが、若干恐縮している。

「可哀想なお子たちじゃよ。物心ついて、父母のぬくもりも知らずに荒んで育っておった」

「今では、すっかり仲良しですねえ」

「左様。彼らは互いの古キズをなめ合うようにして生きて来たし、大尉時代にも、ワシが父親代わりになっておったからのう、だから不必要にやさぐれる必要もなくなった」

「さて、ファーナじゃが、民間人の服装をしておるが、あれは、ファビオ国の外務政務次官、チャタ・ディルジアの一人娘じゃ。弟がおるそうじゃが、父親の監督下にある。さて、チャタ・ファーナは、極端な男嫌いじゃったが、こちらへ引き取ると、同世代の若者に混じって働くと、すぐに男嫌いが克服できた。嫌いなのは、親父さんのことだけらしい。かつて、溺愛されて、監禁されて育ったので、もう少しお日様の下でわくわくしながら働かせるべきだと思っておる」

「は、はい」グリシアが答える。

「珈琲が冷めるぞ、少しは喉を潤さなければ」チェルダードが言う。

「そうですね」グリシアが答える。冷めかけた珈琲に口をつける。

「あー、カイザル……そう、イプス・カイザルは孤児でなあ……嬰児の頃は、栄養失調状態でお腹が膨れており、大変痛々しかった。難民キャンプで見つけたんだがな、誰よりも瞳が澄んでおった……なので、うちの亡き妻が引き取ることにした。仕方がないのでワシは彼に栄養をつけさせ、そして、ビザリナ颱空拳(たいくうけん)を教えた。みるみる筋肉がついてなあ……拳で野牛が倒せるとか、地面を割ることができるようになってきた……」

「それは凄い……」グリシアが感嘆する。

「じゃろ? このようにして、メンバーの特性を知るということは、重要なことなのだよ。特に、お兄さんである君には、そういうお兄さん的な役割も担って欲しいのじゃ」

「あ、はい……全力で頑張ります!」ジョマ・グリシアが応える。

「それから、妻のイライザ・チェルダードだが……」

「はい?」

「剣士、ナバス・ガルシアが、故郷、西ビザリナのケック州に帰った。そのために、ワシと離縁して、奴と結婚して前妻はナバス・イライザになった……あれが正しい選択か判らないが、年格好も、ワシの方が老いていたから、前妻は奴の傍に居る方が、お似合いじゃったのだ……以来、音信不通じゃ……」

「悲しかったですか」グリシアが応える。

「それは……我が身が千切られるような思いがした……若き剣士に、未来を託したばかりに、元妻の生き死にさえ分からない。それに、クルクやリーム、レマーユは、未だに父親の顔を知らない……。何より無念なのは、敵国にイライザを渡してしまったことじゃ。西ビザリナ、つまりバイザル皇国が、あんな国だなんて知らなかったから、無念残念じゃよ」思わず、チェルダードが嗚咽する。

「じゃ、じゃあ……僕は……僕は……どうすれば……長老、気を確かに!」

「ああ、ちょっと思い出話が過ぎたようじゃ。居室に帰って昼寝をするので、船長グリシアくん、次のブルコニッツまでの航路を設定しておいてくれたまえ。元空軍少尉なんだろ?」

「そうです、主に、セントフェリーナの街を守る仕事を三年ほどしていました……」

「人生に無駄はない。嫌な兵役も、今となれば役立つものじゃ。だから人生に無駄はない」

「わかりました長老……船長を勤め上げてみせます」グリシアがきっぱりと言う。

 

 長老が居室に帰り、しばらくしてグリシアは深い溜息をついた。ふと、コックピットを見渡すと、地上のキャッシャーの様子が1台のモニターに映っていた。何だか賑やかだ。どうやら、ラルタ・ニーナが、独自に取材を始めた模様だ。カメラマンは、クルクらしい。

 

「キャラバンリポート、ビザリーニューズのラルタ・ニーナが、キャラバン・リップスを密着リポートする新番組です。第一回目は、ビザリナ北東部、ビザリナ第三の都市、メルグビッツ市からです。はじめに、リップスとは、あるキャラバンの名前なのですが、その規模が違います。一般的なジプシーの100倍はあろうかという取引実績、そう、いままさにメルグビッツ空港では、まさに、キャラバンのためのキャラバン、ジプシーのためのキャラバンとして、新たな賑わいを見せています。この船のキャッシャーは、左右に分かれて、売る側の貿易商人と、小口買いをするジプシーたちが集っています。リップスはその仲介役になって、利ざやを稼ぐ……と言えば語弊がありますが、一種の卸売業を展開している、ビザリナでも初かと思われる斬新なキャラバンです。それでは、次回は二週間後、ビザリナ北部、ブルコニッツ空港でお会いできる予定です。以上、ビザリーニューズの、ラルタ・ニーナが、メルグビッツからお伝えしました」ニーナが締める。クルクがカメラを回し終える。「カット!」クルクが叫ぶ。

 

 撮影された画像をチェックするニーナとクルク。

「うん、これで良し。課長に見てもらおうかな、ほれ、伝送!」ニーナがボタンを押す。

「わ、ニーナさん、もう送っちゃうんですか?」クルクがびっくりする。

「映りも悪くないし、お店も忙しいし、あんまりかまけてらんないのよ」ニーナが応える。

「そういうもんですかねえ」クルクが訊く。

「そんなもんでいいのよ」ニーナが吐き捨てる。

「俺、会社員ってよくわからないなあ」クルクが言う。

「わたしは、むしろ今ホットなニュービジネス、キャラバンのためのキャラバンの方が良くってよ?」と、ニーナがうれしそうに言う。


ファーナの弟、チャタ・ナーディル見参!

 今回の収穫は、何と言ってもバリアー装置の購入ができたこと。ファビオ国製品なので、品質に問題はないだろう。中古だけど。これで、ちまちまと敵に銃撃を浴びせずに、ほぼ自動で攻撃を跳ね返すことが出来るだろう。まあ、百%とはいかないだろうが……。

 

 また、リズアーモで採れた魚介類が意外に好評で、また買いたい、とのリクエストがあるほどだった。海から6000キロも離れているのだ。海の魚はありがたいらしい。塩も同じくリクエストが多く、海の塩は貴重らしかった。

 

 居室の一室に設えられた即席礼拝堂では、ビザリナ国教会、セントフェリーナ教区、派遣司祭のナバス・レマーユが、ミサを執り行っている。長老、セペル・チェルダードも参加している。まるで孫の顔でも眺めるように目を細めてうなずいていた。

 

 姉のナバス・リームは、ライト・ムーヴァーの格納庫で、ムーヴァーのメンテナンスと、自分のエナメル製の赤い甲冑を、ひとりワックスで磨いていた。メンテナンスが終わると、動力だけを入れて、静的な試運転を行い、各部機能に問題がなかったので、エンジンを切り、そのままドアを閉めた。鉄の階段の上の方で、ふーっと溜息をついていたところ。

 

 大男のイプス・カイザルは、意外にも手先が器用と見えて、日曜大工の道具を取り出して、滑空式航空母艦、ピッツリー7570の船体に、ちまちまとバリアー装置を据え付ける配線作業に追われていた。間も無く、全部の配線がつながる予定だ。

 

 一方、ナバス・クルクとチャタ・ファーナは、現在仕事中のメンバーのためにパンを焼いたり、夕食のシチューや肉野菜炒めなどを作っているところ。おい、クルク、お前ヒーローだろう(苦笑)家庭的だなあ……。

 

 そして船長、ジョマ・グリシアは、索敵装置のテストや、レーダーの調整に当たったかと思うと、今まで着ていた背広のまま外に出て、空港スタッフと一緒に給油の様子を見ていた。給油が終わると、燃料代や駐機料金などを、キャッシュで空港職員へと手渡した。

 

 すると船長は、コックピット近くの通信端末に腰掛けているラルタ・ニーナに「ちょっとメルグヴィッツ土産を買ってくる」と言って、国際空港内部の売店へ向かった。どうやら未成年向けには炭酸飲料とチョコレートを。大人向けには地ビールにロゼワイン、チョリソーとナッツに加えて上質なスモークチキンを買うらしい。

 

 そんな、のどかなムードをかき消すように、ラルタ・ニーナが見ているレーダーに、こちらに向けて一直線に空から降ってくる一台のライト・ムーヴァーを発見した。どんどん高度が落ちて行く。このままでは船に衝突する。ニーナが全員に呼集をかける。

 

「東の方角から、ムーヴァー一機、本船へ向かって突進してきます! 誰か! ムーヴァーで威嚇して!」

 格納庫にいたリームが、即応する。

『ニーナさん、あたいだ! ちょっと出撃して来る!』

「頼んだわよ、リームちゃん!」

 ふー、っと溜息をつくと、今度は配線完了したとおぼしき、カイザルに告げた。
「イプス・カイザルくん? 手動でバリア装置を起動できないかしら?」

『了解』

「長老! クルク! ファーナちゃん! すぐに持ち場へ戻って!」

『やれやれ物騒よのお、どっこいしょ』

『取りあえずシチュー鍋の火を止めて……ファーナはコックピットへ! 僕はムーヴァーで出る』

「クルク! リームちゃんの応援に回って! カイザルくんも、ムーヴァーに乗って! スクランブル出動!」

『わかった』『了解』

「船長! スクランブル出動しました……って、何呑気に買い物袋を提げて……」

『いや、これにはいろいろと事情が……すぐ戻る!』

「敵機一台、ファビオ製のライトムーヴァー、戦闘用よ! 識別コード……えーっと、あ、出た! チャタ・ナーディル! 外交官IDよ! ファーナの親戚かしら……」

「いいえ、わたしの弟です!」

「ファーナ、コックピットに来てくれたのね!」

「たぶん、わたしを奪還しに来たのだと思います!」

「レマーユちゃんは、祈りを続けて! 心配いらないわ!」

『でも、でも……』

「続けて! 礼拝堂から動いちゃダメ!」

『は、はい……分かりました……』

 

 その、空から降りて来た、銀色のライト・ムーヴァーは、勇ましく航空母艦に剣を振り下ろそうとしたが、上空でカイザルとリームのムーヴァー二機に腕をつかまれ、行く手を阻まれた。遅れて、クルクが発進し、奇襲ムーヴァーの胴体の真ん中に剣を突き立てた……。やがて、ギンギラギンのムーヴァーは、最後の抵抗をしようとするが、動力炉を破損したと思われ、オイルや冷却液をさんざん垂れ流した上で、もはやもう動けなかった。

 

 勝負は約5分間で、あっけなくリップスの勝ち、だった。

 

『ニーナさん、仕留めたぜ、あたいらが!』

『結構な力だった』

『とどめを刺したのは僕だけどね』

「よくできました! お姉さん感激!」

 

 何もかもが終わった後で、コックピットに船長と長老が現れた……。

「どうしたお前……」

「もうっ! 船長も長老もしっかりしてよ! 結局、不慣れなまま、スクランブル出動をかけたのは私なんですからねっ! 今度から気をつけてっ!」

「はい」「どうも済まんかった」

 

 武闘派のカイザルとリームが「捕虜」を連れてやって来た。「捕虜」はカイザルやリームに威嚇されたと見えて、気を失って、カイザルの肩でだらりと伸びていた。二人に、クルクが告げた。

 

「カイザル、リーム、この少年を待合室へ頼む! 外側から鍵をかけて!」

「わかってるって!」

「きちんと閉じ込める!」

……チャタ・ナーディルが目を覚ましたのは、深夜。礼拝も終わり、メルグヴィッツ市民の方々もお帰りになって、一同が夕食を食堂で済ませた後だった。

 

「ん……んあ? おい! ここはどこだ! ちくしょ、出口……開かねえ……」

ダン! ダン! ダン! ……ナーディルはガラス窓を叩くが一向に開かない。試しに、鍵を銃撃してみた。キィン! と弾かれて自分が危険だった。やがて、前回と同様、ナバス・レマーユが、モニター越しにご挨拶をした。

 

「お目覚めですか」

「誰だ! てめえは! ビザリナ国教会? 修道女?」

「はあ、まあ、そんなところです。そこで銃を撃つと危ないですよー。跳ね返って来ますから」

「そんなのとっくに体験済みだ! ここはどこなんだ!」

「まあ、そんなことより、あなた、お腹が空いていませんか?」

「……ぐう……ああ、確かに腹ぺこだよ! ファビルシティやリズアーモからここまで何も食ってねえ……」

「丁度良いですね。ここに、懐かしい味があります。ホワイトシチューです」

「ホワイトシチュー? だ、騙されるもんか! 毒でも盛ってんだろ! そうに決まってる」

「では、そうじゃないので引っ込めます。どうも済みません……あーあ、懐かしい味なのに」

「分かった! 俺に食わせてくれ! 引っ込めるの待った!」

「では、どうぞお召し上がりください」

「ずずっ」

「どこか、懐かしいお味がしませんか?」

「あ、ああ……まあ……」

 

 すると今度は、チャタ・ファーナが、いきなり画面上に現れた!

「こんばんは、ナーディル!」

「ね、姉さん!?」

「わたしねー、ビザリナの女の子になっちゃったのー。どう、庶民的でしょー」

「嘘だ! 姉さん、あんた誰かに騙されている! さっきの馬鹿力ムーヴァーといい……」

「あら、あなたが荒っぽい奇襲なんかかけるからでしょ? リップスは、良いところよ」

「噂のキャラバン連中の船かここは! 親父が連れ戻せ! って言うから、はるばる来たと言うのに……姉さんって奴は……とほほ……」

「私が作ったシチュー、懐かしかったでしょ?」

「……」

 

 モニター上に、カイザルとリームの武闘派コンビが現れた!

「小僧……なかなかやるな……でも、まだまだだ」

「あんたが鼻水垂らして失神している間に、他の武器は全部押収したからね! もう今更、あがいても無駄だよ」

「ち、ちくしょう! こうしてやる!」

 

 モニターに向かって銃を構えて全弾打ち込んでみるが、やはり跳ね返されてしまう……。

「どうも、先ほどの修道女です」

 チャタ・ナーディルは、涙目になって銃をかなぐり捨てた。無力感にさいなまれ、歯を食いしばりながら、モニターを見ていた。

「あなたは段々眠たくなーる……眠くなーる……」

 コテッ。

「あら、弟さん、意外とあっけないですねー。では皆さーん、待合室へ行きましょう!」

 

 クルク、リーム、レマーユ、カイザルが、ファーナの弟を個室寝台に寝かせて、様子を見に来たファーナが、ビザリナ市民向けの服装に着替えさせ、やがて全てが済むと、用心のため、外側から個室に鍵をかけた。


メルグヴィッツ空港の朝

 翌日――メルグヴィッツ空港の朝。昨日と同じで、よく晴れた空は澄み渡っていた。草原地帯の冷涼な朝の空気が、メルグヴィッツ空港に朝霧を生じさせていた。長老とカイザルは、地上で朝の体操を行っていた。これは、ビザリナ颱空拳(たいくうけん)と呼ばれる、全身に気を漲らせる運動だ。

 

「いいか、カイザル、ここは滑走路だ。地面を叩き割るんじゃないぞ!」

「ああ」

 

 船長は、民間航空機会社のパイロットと一緒に天候調査。ついでに、パイロット連中と一緒に、パワーブレークファストを摂りに空港内へ向かった。船長は、こういったロビイストめいた作業がお得意のようだ。特に、空軍に在籍していたから、機長の中には彼を知る者がおり、思い出話を交わしたりしているという。

 

「お前、グリシア! 久しぶりー。お前が、今やあのリップスの船長なのかよ!」

「信じられないなあ。マスコミ新聞社の方はどうした?」

「ああ、ちょっとな……あの船の長老の口車に、まんまと乗せられたよ」

「へえー、キャラバンの船長ねえ、お前が……」

「さぞかし毎日が楽しかろう……定期航空路と違って」

「いやあ、胃に穴が開きそうな時もあるよ。お子様たちが無鉄砲すぎて」

「さて、霧がなかなか晴れそうもないんだが……」

「それは困ったな。駐機料金今朝9時までなんだよ、リップスは」

「追加かな」「追加だな」

「はー、あのどんちゃん騒ぎ、今日もまた始まるのか……」

 グリシアは、アタマを抱えた。

 

「南の方向だったら、霧は晴れて来るぞ。セント・フェリーナとか行くには好都合だ」

「逆に、北側のブルコニッツとか、西側のウザビクとか、アーツウォークとか、首都ジェンツ方面は……」

「行けなくはないが、今日は霧が濃い。だいいち、国境地帯は、空軍機の護衛が要る」

「うーん、リップスのピッツリー機も、半分程度は武装解除しているし、昨日、ようやくバリア装置を付けたばかりで、とてもSFみたいな戦はできませんって」

「なるほどねー、武器を買うために商売、ってこともあるのか」

「詳しくは言えないけど、まあ、無くはないね……じゃ、分かった! 古巣のセント・フェリーナへ向かうことにする!」

「おう、頑張れよ!」

 

 立ち去るグリシアを、笑顔で見送る、元空軍パイロットたち……。

「それにしても、あいつの船に護衛を頼まれたくないなあ……何だか巻き込まれそうで」

「言えてる、どの船よりも狙われやすいだろうからなー」

 

     ◇ ◇ ◇

 

 グリシアが、艦内放送を流す。

『あー、あー。おはようございます。リップス乗務員の方は、午前8時までに作戦会議室へお集まりください、繰り返します……』

 マイクを置く。すると、コックピットに、ニーナが現れた。もうスーツ姿も決まっている。化粧も済ませたらしい。

「おはよう、船長。今日はどこへ行くの?」

「とりあえず、霧が晴れている南の方角……と言えば、古巣のセント・フェリーナ市だな」

「ジェンツとかへは行けないの?」

「ああ、まだこの船は武装が完全じゃない。もし今この船で国境地帯に行けば、きっと蜂の巣にされる。なので、無難で、比較的安全なビザリナ第2の都市、セント・フェリーナ市に決めた」

「それで、出発時刻は?」

「離陸が午前9時ジャスト。そうでないと、駐機料金を追加しないといけない」
「なるほどね。あ、女の子たちは、まだパウダールーム。男の子たちは、何やってんだか」

「あの捕虜の少年も気になるしな……」

「ファーナちゃんの弟さんね。何だか頑固そうだわ」

 

     ◇ ◇ ◇

 

 午前8時、作戦会議室……と言っても、スペースの関係上、食堂も兼ねている。みんなもりもり食っている最中だ。話なんか聞いちゃいない。

「えー、次の行き先は、南に5000キロ離れた、聖都、セント・フェリーナ市の空港に着艦する」

「みんなー、分かったー?」

「このウインナーうまい!」「レタスなんて久しぶりだよ」「生野菜っていいねー」「あ、おとうと!」「そうだそうだ、昨日捕まえたあいつに食わしてやんねーと」「リーム、行って来い」「やだっす」「じゃあ、ファーナが行け」「あたしー?」「じゃあ、二人で行くんじゃ」「ええー、めんどいー」

 

 グリシアが、騒音にもめげずに頑張って説明している。

「……あー、それでだなあ、北西方向は濃霧が出ているので、民間の旅客機も出発を見合わせている段階で、ここの滑走路を借りられるのも、今日の午前9時ジャストまでだ。1分でも遅れたら、何千万ミントといった駐機料金が吹き飛ぶことになる、なので、各員においては、遅滞なく行動するように!」

「イエッサー!」

「……本当に分かってる? 俺の話聞いてた?」

「聞いてたとも」「うんうん」「聞こえる聞こえる」

 

「はー。それから、次のセント・フェリーナ市で利益が上がったら、自動追尾型のビーム砲、主砲付近に3機、左右の水平尾翼にそれぞれ6機、後部フラップ付近に1機の合計10機を設置する計画だ。もちろん、お小遣いもはずんじゃおう、って算段さ。勿論、能力給だがな」

「それいいー!」「じゃあ、わたしとファーナは、個室の弟さんに食わして来る」「レーザーソード持った?」「持った持った」「じゃねー」「あたしも行きます!」「レマーユは、ここでおとなしく話を聞いとけ」「そうそう、お願いね」「気をつけてー」

 お世辞にもミーティングとは呼べない状態だったが、みんなは、頑張ればお小遣いが出ることだけを期待して、モチベーションを維持していたのだった。

 

「はー、本当に分かってくれたのかなあ……」

「ねえ、グリシアさん!」

「なんだい、レマーユちゃん?」

「あのー、わたし、セントフェリーナの修道院から特赦を受けたものですから……もし修道院関係者にバレたら、どうしていいかわかんなくって……」

「そうだな、長老さんが言ってたな、本来なら、生涯そこで過ごさなきゃならないところを、特赦されて、ということだね。わかる。配慮するよ。逆に、故郷に錦を飾っちゃえ! いまや、司祭さまなんだろう?」

「名目上は、一応……」

「おっと、時間だ。俺たちはコックピットへ戻る。心配すんな」

「でも、でも、船長さん!」

「じゃあ、後片付けは頼んだぞ! さて、あと20分で出発ですか」

 グリシアとニーナは、とっとと行ってしまった。そこへ、チェルダードとカイザルが現れた。

「話は聞いた。お前は、立派に一人で頑張って来た。孤独にも耐えた。奪還しようとする勢力があるなら、一戦交えようではないか。それに、あそこの神父さんは、そんなことはしない。怖がるのも無理はないが、我々が守る。さあ、わしらと一緒に皿を洗おうではないか」

「心配ない?」

「ああ」

「じゃ、後片付けじゃー」

 

 狭い流し台に、身の丈190センチはあろうかという巨男と、幾分バーコードがかった髪型のヒゲの老人と、修道服を着た少女が並んでお皿を洗っている姿を想像してもらいたい。非常に滑稽というか、微笑ましい。

『離陸10分前……』

「いかんっ! ワシはコックピットに行く! カイザル、お前はムーヴァーの中で! それからレマーユ、お前は礼拝堂のシートに座ってベルトを締める! わかったな!」

「ああ」「はい!」

 

     ◇ ◇ ◇

 

『離陸10分前……』

「こんちくしょう、口を開きやがれ! さっさと食いやがれ! もう離陸だぞ!」

「お前らの施しは受けない」

「こら! ナーディル! なんて罰当たりな!」

「姉貴も姉貴だ、なんでこんなキャラバンなんかに……うおっ?」

 リームに襟首をつかまれ、絞り上げられるナーディル。戦慄を覚えた。

「おいお前、黙って聞いてりゃ、こんなキャラバンたあ何だ?」

「ああ、我が弟ながら、もう付き合いきれない。リーム、もういいよ。もうじき離陸だよ」

「あ、ああ。そうだな、この女の腐ったようなへそ曲がり! ここでみっちり反省しろ!」

「そうね、ナーディルには考え直してもらわないと……今度怒ると、わたしも酷いわよ」

「……」

「ふんっ、行きましょ、リーム」

「そうだな、じゃあ、あたしはムーヴァーの中で!」

「私は、コックピットで!」

 

 大空から見ると、一羽の白鳥のような、フランスのコンコルドのような姿の、ピッツリー7570の船体が、ゆっくりと誘導路上を動き始める。しばらく、メルグヴィッツ市とはおさらばだ。目指すは、聖都、セント・フェリーナ市。ブースターに点火されると、一気に身体に重力がかかってゆく。


セント・フェリーナへ急げ!

 リップスの通信端末に、地方病院に滞在中のキャラバンから無線電話が入電した。ニーナが受電した。

 

「はい、こちら準正規軍リップス。応答願います」

『こちら、南メルグ総合病院の産婦人科の医師で、ミエモ・サンタッチャと申します。とても難しい症例の妊産婦さんが1名おられるのですが、これから、セント・フェリーナ市に行かれるそうですね?』

「そうですが、何か?」

『私を含めて、ご家族をセント・フェリーナ市へ連れて行ってくださいませんか』

「少々お待ちください……船長! 船長! 南メルグ総合病院ってここから何キロ?」

『約250キロだな。それがどうした?』

「医師と、身重の患者さんがいるの。今交渉中だけど、できれば船の速度と高度を落として!」

「わかった!」

「あのー、お待たせしました、速度と高度を下げて目視でそちらに向かっていますが……」

『助けて戴けるんですね?

「退役軍人の指示を仰ぎます。お待ちください……長老、こうおっしゃっていますが」

「ワシに電話を代われ……もしもし。リップスの総責任者ですが、そちら、病院で何かおありのようですな」

『はい、どうしても2日以内にセント・フェリーナ市の病院へ届けないと、母子共に危ない状態でして……。ご主人も、憔悴しきっています……』

「それで、条件は?」

『移送にかかる運賃、キャッシュで250万ミント、先払いでお願いしたいのですが……』

「ふむ、なるほど。多少条件は悪いものの、お引き受けする方向で調整します。その場を離れずにもう少しお待ち願いたい。識別コードを発信して欲しいのじゃが……」

『コード910、救急搬送です』「コード950、受諾した」

『良かった、ありがとうございます!』

「では、船長に代わるので、ちょっとお待ち願いませんでしょうかのお」

『はい』

「もしもし、船長のジョマ・グリシアです。近くに滑走路か、広い道路はありませんか?」

『あいにく、河川敷しかご利用いただける場所はなく……』

「そこに垂直着陸を試みます。目印は何ですか?」

『5階建ての、建物の上に、ヘリポートがある総合病院です、草原地帯の中にあります。いま、屋上でシーツを振っています!』

「目視で見てますが……10キロ先、見えました! 目視で着陸します!」

『おお、来られた! リップスの皆さんが来られるぞ! 喜べ! 助かるぞー!』

「騒々しいなあ……あのー、危ないですから、本艦のバーナーからは、出来るだけ離れてくださいね! 着艦します!」

 

 滑空式航空母艦、ピッツリー7570は、高度を下げ、轟音を上げて河川敷に着艦した。

「クルク、カイザル、リーム! 念のため武装して。もし異状があったら知らせて頂戴。じゃあ、行って!」

「分かった」「了解!」

 そこは、一面に芝生が敷かれた総合病院で、コンクリートの壁面にはツタが生い茂っていた。そこへ、年の頃まだ20歳代とおぼしき白衣の医師と、助産婦、それに身重の奥さんと、付き添う旦那さんの姿があった。

 

「リーダーの、ナバス・クルクです」

「ミエモ・サンタッチャ、この病院の医師です。先ずは、お約束のキャッシュを……」

「はい、確かに受領しました。艦内には医務室がありますので、そちらをご使用下さい」

「はい、分かりました。誘導をお願いします」

「うあ、この奥さん、重い……カイザル、奥さん抱えられる?」

「任せておけ」「おおー! ひょいと抱え上げたわねー! お姫様だっこ?」

「どうもお世話になります、イガル・イントンと言います。先ほどの者が、妻のラファーニ・イントンと申します、どうかよろしくお願いします」

「いえいえ、お礼は、セント・フェリーナ市に入ってからでいいですよ、医務室近くの居室に誘導します」

「助かります」

 

 各員は、左舷のハッチから、居室階目指して足早に進む。

『カイザル、クルク、リーム! 聞こえる? ニーナよ。扉を閉めたら、その人たちの警護をお願いします。よろしくね』

「あん? わかったってば姐さん……警護します」

「警護してりゃーいいんだね」

「分かった」

『頼むわよ』

 

 滑空式航空母艦、ピッツリー7570が、垂直上昇を始めた。高度が次第に上がって行く。上空500メートル付近で水平噴射に変わった。高度をどんどん上げていき、上空1.8キロメートル(60,000フィート)のところで船長が叫んだ。

『みんな、何かにつかまれ、みんな! 緊急搬送スピードだ! 音速を超えるかも知れないぞ!  マッハ2.7ぐらいかな……ともかく、行けえええー!』

 

 クルクは電卓を叩きながら考えた。

「マッハ2.7で5000キロメートルを行くと言うことは……2.7かける1224km/hで3305km/hと言うことは……。5000kmを、およそ1時間半で行く! なんて無謀な!」

 イントンさんのご主人が喜ぶ。

「これは助かった! 1時間半ですぞ先生!」

 サンタッチャ先生は困惑する。

「しかし、速いのはいいが、母胎に影響はありはしないかと」

 イントンさん。

「戦闘機以上のスピードですからね」

 

 医務室でのカイザル、クルク、リームは焦った。

「ちょ、ちょっと待った!」

「音速を出すのはまだやめてくれ! まだ患者さんをベッドに寝かしつけてない!」

『ううー、もう、じれったい奴らだなあ……早く寝るなり、座ってくれ!

「船長、もういいぞー」「医務室、スタンバイ完了」「わ、私たちの方もオーケーです」

『分かった! 全段直結、マキシマムパワーだ、行けえええー!』

「おたくの船長さん、凄く勢いがありますな」医師が問いかける。

「ああ、まあ……勢いだけはね」リームが苦笑する。

 

 こうして、全火力を噴出した滑空式航空母艦は、一路、セント・フェリーナ市に向けて、まるでロケットか何かのように突き進むのだった。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 衝撃波で、文化遺産を壊さないようにとの警察当局からの指摘もあり、渋々船長は、教会のない方の隣接する政治都市、フェリーナ市の空港に着艦した。早速、地元救急隊が、ドカドカと医務室に入って来た。妊産婦を抱え、旦那さんと医師を乗せると、救急車がサイレンを鳴らして去って行った。

 

「一件落着。さてと、ゆっくりとセント・フェリーナ空港へ向かおうとするか! 発進する!」グリシアが叫ぶ。

「さぞかし、ソニックブーム(地上に与える衝撃波)が酷かったでしょうね」ニーナがつぶやく。

「わしゃ死ぬかとおもったわい……」長老が嘆く。

「今度こそは衝撃波出さないでよねー」ニーナがあきれ顔。

「ただいまー。あれ、船長、今度はどこ行くの?」クルクが問う。

「えー、皆様を、古都、セント・フェリーナ市へお送りいたしまーす」グリシア船長。

「バスガイドか何かかよ!」リームがあきれている。

「疲れた、加速度が身に応えた」カイザルがうめく。

「あー、腰に、腰に来たあー」ファーナが言う。

「お前はお婆さんか!」リームのツッコミは鋭い。

「しずしずしず……あれ、もう音速ごっこは終わったのですか?」レマーユが言う。

「ああ、無事に病院に届けたよ」得意げにグリシアが言う。

「ふうん……そうですか。でも皆さん、誰かひとり忘れていませんかー?」レマーユが廊下の向こうを指さす。

 一同「あっ! チャタ・ナーディル!」

 

 ここへ来て、ようやく船室に閉じ込めているチャタ・ファーナの弟、チャタ・ナーディルの存在に気が付いた。みんなが居室へ駆け寄る。すると……。

「きゅう~」

「ナーディル!」

 ナーディルは、シートベルトをしていなかった模様で、ピンポン球のように、部屋中あちこちぶつけたらしく、鼻血の跡が居室じゅうに広がっていた。ナーディル自身は、居室の壁に背中をめりこませて、かなり目を回しているようだった……。

「すまん、ファーナさんのおとうと!」

「なんでえ、だらしのねえ奴だなあ……」

「女子のみんな、彼を着替えさせて、違う部屋へ入れてくれ……居室の掃除は、我々男性陣でやるから……」

「シートベルト、締めてなかったんですね……」

一同「ふー、やれやれ……」



読者登録

田所稲造さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について