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登場人物設定/リップスの設定

■ビザリナ共和国の設定

 首都はウルロア川河口のジェンツ(Jenz)。バイザル皇国軍の侵攻により、セント・フェリーナ市に疎開首都を設ける。首都奪還作戦に血道をあげる。与党は共和党。フラン・ドレイク(Flan Draik)大統領。

 

■キャラバン「リップス」のメンバー(親族関係)
ナバス・クルク(Navas, Clux)伝説の剣士、ナバス・ガルシアの長男だが、へなちょこ剣士。首都ジェンツで直接ガルシアがチェルダードに幼児の頃に預けた。バイザル皇国へ行くためである。元傭兵の姉リームよりも、剣の腕が若干劣るが、修行中。史上最弱のヒーロー。いつか強くなって姉を見返してやりたい。しかし、メカニックの操縦ならば高等技能を発揮する。また、人をまとめるのが得意で、伯父のチェルダードの意図に基づいてチーム全員に的確な指示を出す。


イプス・カイザル(Ipus, Kaizer)颱空拳というビザリナ独自の武術で接近戦に強い。拳を使って敵を倒す。正規軍予備役。兵役召集がイヤだ。身の丈2メートル以上。筋肉モキモキのムキムキマン。だが、シャイで無口。基本「ああ」しか言わない。意外と手先が細かい。髪の毛は茶髪でいつも整髪料で上に立てており、トレードマークとなっている。

セペル・チェルダード(Sepel Cheldard)退役軍人。元ビザリナ陸軍大佐。現在、隊商リップス責任者。準正規軍総指揮官(現陸軍大佐)の元上司で、軍内部でも伝説の大佐として名高いし、バラバラになったナバス3兄弟を探して救済する暖かな面もあるが、多少商売が汚い。老境に入ったので、アタマはバーコードヘアー。


ナバス・リーム(Navas, Ream)武闘家の家に預けられ、男勝りな少女として育つ。アーツウォーク市で傭兵経験あり。剣術は、弟のクルクよりも優れており、ライト・ムーヴァーの操縦もきちんとこなす。常に赤い甲冑を着けており、逞しく見せているが、えび茶色に染めた髪と、メイクを取れば、主人公のナバス・クルクにも似る。勝ち気で元気が取り柄。


ナバス・レマーユ(Navas, Reamaju)修道院に拾われて育つ。敬虔な修道女。チェルダードが現役の軍人だった頃、セント・フェリーナのビザリナ国教会から「派遣司祭」として特赦を受けてリップスで祈りを捧げる。普段は聖書と聖歌集でミサを執り行う。怒ると呪術の祈祷書を持ち出してきて、呪詛を唱えると、とてつもないチカラを発揮する。普段はコーヒーショップの人気者。

■キャラバン「リップス」のメンバー(親族以外)
チャタ・ファーナ(Chata, Fana)隣国ファビオのお貴族のお嬢様。一応ヒロイン。キャラバン発足当時、リズアーモ駅近くの麦畑にキャラバンリップスがあり、父のお付きの時は、途中下車して珍しい物を買っていたのが楽しく、ビザリナ共和国に政治亡命してきた。キャラバン時には、売る側のキャッシャーで、日用雑貨から食料品までを元気に売っている。クルクにほの字?


チャタ・ナーディル(Chata, Nhadil)ファーナの弟。姉を奪還する命を受けて、メルグヴィッツ空港で奇襲をかけたが、ミイラ取りがミイラになる。現在、メカニック見習いとして、リームのもとで脅迫されながら、メカと剣術のスパルタ教育を受けている。いつか偉くなって見返してやりたいと常に思っているが、目下服従するしかなさそうだ。


ジョマ・グリシア(Johma, Gricia)元ビザリー・ニューズのディレクター。極秘取材をしていたら、なぜか住み着く羽目になり、現リップス船長。かつて兵役のときに、セント・フェリーナ基地で3年空軍にいた経験があり、ミリタリー系の知識と技能が半端ない。それでもプロの航空関係者からは「へっぽこグリシアくん」とあだ名されるほど。しかし、一旦操縦桿を握ると、性格が変わる危ない船長。


ラルタ・ニーナ(Ralta, Neana)女性ジャーナリスト。みんなのお姉さん。キャラバンに入らされてからも、ビザリー・ニューズ(テレビ局)のレポーターであり、中継映像で、メディアでは少しは名が知れている。現リップス渉外担当。通信員。時に小さい戦闘では指揮を執ることもある。準正規軍准士官のイエラ・ミラルディとは、リップスを通じて友人関係に。

■その他周囲の皆様
チャタ・ディルジア(Chata, Dhilzia)隣国ファビオ国にある地方のお貴族で、外務政務次官。いつも威張っている。たくさん外遊をするので、世界的にも顔が広い。溺愛している娘を奪還するために、金ぴかのライト・ムーヴァーで迫って来たり、手段を選ばずに娘を奪還しようとしているが、詰めが甘いために、いつも失敗に終わる。娘(ファーナ)ラブ。親ばか。


イエラ・ミラルディ(Iyera Miraldi)リップスの指揮をとる役割。女性陸軍准士官。たたかう職業婦人を地でいく女傑。時に優しく、時に厳しくリップスを直接指揮する。リップスは民兵組織から準正規軍になったので、リップス専属の指揮官となった。


カルバ・ラナリット(Culba, Ranritte)準正規軍総指揮官。陸軍大佐。チェルダードの元部下で、チェルダードのことを(主にこれまでの手柄の面で)一目置いている。ミラルディ准士官の上司。現役時代には、チェルダードと酒を酌み交わす無二の友人。唯一チェルダードと対等な立場で直言が出来る人物。

■世界設定

ダウン・アンダー(南半球)

 ビザリナ共和国・バイザル皇国はもとより、その同盟国が位置するウルロア大陸は、南半球にあり、北に行くほど暖かく、南に行くほど寒い気候。ビザリナ共和国リズアーモ(クルクたちの故郷)から真北の海には、リゾート地、ファビオ領ポプリア諸島があり、都会で疲れた人たちのオアシスになっている。


隊商としてのリップスとは
 友好国ファビオから、ビザリナ(本国)に、武器・弾薬・食料品・その他生活雑貨まで何でも運んじゃう、何でも売っちゃう「滑空式航空母艦」を使う一種のキャラバン。その規模のため、地方をさまよう「キャラバンのためのキャラバン」「隊商のための隊商」という位置づけ。これは内緒だが、お金で頼まれれば何でもやっちゃう危険な面も。

準正規軍(民兵組織)としてのリップスとは
 幸いにして、昔取った杵柄のチェルダードが存在するので、ビザリナ陸軍とのパイプは強いものがある。また、友好国ファビオが背後についているので、物資に困ることはいまのところない。西ビザリナ(バイザル皇国)との領土紛争を抱えているので、一触即発で停戦ラインを破っていつ敵が来てもおかしくない状態。

 

友好国、ファビオとは

 チャタ・ファーナの親父さんはお貴族で、外務政務次官という肩書き上、世界のあちこちに飛んで行かなきゃならない。ビザリナ共和国とは友好関係を保ち、もしビザリナ共和国が窮地に陥った時には、超大国としての責務で、バイザル皇国と対峙する。ささいな話題だが、この外務政務次官のお嬢さんが、リップスに入って戦闘訓練をしているというから、親父さんにとってはアタマの痛い問題である。

 

■メカニック設定

滑空式航空母艦 ピッツリー7570

ビザリナ製のピッツリー社製。滑空式航空母艦75式の70番目に設計されたために、7570という名前になっている。少し古い設計。コンコルドの2倍程度の大きさをイメージしていただけると結構です。垂直離着陸も出来、音速で飛ぶこともできる。中古とはいえ、なかなかの性能だ。

 

ライト・ムーヴァー プラーレα60

ファビオ製のプラーレメカニクス社製のライト・ムーヴァー。キャラバン・リップスが制式採用している、いわゆる二足歩行式ロボット。人員を1名乗せて動く二足歩行式ロボットは、総じてライト・ムーヴァーと称する。無印のムーヴァーは旧型でごつく、αは第一次改良型の60番台設計という意味。

 

ライト・ムーヴァー プラーレα67 GRANDE

ファビオ製のライト・ムーヴァー。リップスのより、チャタ一族が使っている方が高級品。しかしながら、余分なオプションが付いているので、実際の戦闘時には、盾や矛を使わず倉庫に置いておき、もっぱらクルクたちが使っている汎用品の武器を使う。


登場人物設定/バイザル皇国の設定

■バイザル皇国(西ビザリナ Kingdom of Bizal、Principal of Bizal)

 ウルロア川を境に西半分を領土としている(形式上は)立憲君主制国家。事実上、軍事政権が一党独裁しており、ビザリナ系のパルチザン組織を粛清している。名目上の首都はジェンツだが、現在はビザリナ領なので、宮殿がある王宮特別区、ギルシティにある。

バイザル6世国王(Bizal 6th)
 歴代に亘り、東ビザリナの統一と領土奪還に血道をあげる独裁者。この人物に異議を唱えることは、許されていない。

アジク・ナジュー(Ajik Na Jue)
 バイザル皇国首相。文民統一党党首。国王にかしずく国王の右腕。
 
エル・ソーマ・サイモール(El Soma Simol)
 バイザル皇国空軍、東部軍管区大佐。リップスを執拗にマークするようになる。
 
ナバス・ガルシア(Navas, Galcia)
ナバス・イライザ(Navas, Iliza)
 ビザリナ共和国に子ども3人を残し、バイザル皇国に傭兵として雇われているらしい。いまのころ音信不通。
 
ビエネス・バネッタ(Bieness Vanetta)
 女性陸軍大尉。エル・ソーマの右腕。かなりの切れ者。リップス殲滅作戦に出ることがある。が、しかし、そんなに簡単に敗れるリップスではないので、苦虫をかみつぶしている。
 
ジョル・ビパーツ(Joll Bepert)
 バイザル皇国の民兵組織「解放戦線協議会」の若きリーダー。祖国をすべて取り戻すために、政府公認で活動を続ける民兵旅団。リップスと同じく、滑空式航空母艦を駆って、リップスと対峙する。リップスとは敵には違いないが、政府正規軍とは違い、行動には柔軟性を持ち、比較的リップスと通じるところがある。バイザル皇国での人員輸送、兵器輸送、食糧支援などを日常的に行っている。
 
バイザル皇国をかばうウルロア共和国とは
 バイザル皇国に対し、物資を、資金援助を行い、人事面での交流も盛ん。ウルロア系ビザリナ人が多いバイザル皇国では、ファビオ系ビザリナ人が多く住むビザリナ共和国は、うとましい存在で、領土を「不法占拠」しているという立場。政治上は完全に断交状態だが、細々と民間レベルで、交流は続いている。ステップ草原地帯を行き来する関係上、そのすべての国境を警備することは、事実上難しいからだ(両軍にとっても)。

(勝手に)イメージソング設定

■(勝手に)イメージソング設定

(現在の勝手にテーマソング)FLOWの歌ならなんでも。
(制作中期テーマソング)約束の橋/佐野元春(歌詞
(制作初期テーマソング)愛しき者よ/渡辺美里(歌詞
(制作当初テーマソング)なつかしい海/さだまさし(歌詞

なんと言いますか、とにかく疾走感のある歌です。

(これにぴったりな歌があったら、どうか教えてください)


3
最終更新日 : 2020-01-04 17:08:27

小麦畑でつかまえて(1)

 ここは、ビザリナ共和国最東端の州、リズアーモ州。州都、リズアーモに近い、小さな農村の中に、なぜか、巨大な滑空式空母が一台……。

 

「ビザリナ準正規軍、リップスの始まりだ!」
「うむ!! まあ、ただの民兵とも言うがな」
「……伯父さんの軍人恩給が役に立ったな、クルク」
「そうだなあ、まあ、僕にはこんな船を買う余力なんか、ないもんねえ」
「ふう、退職金が、ほとんど滑空式空母に消えたわい」
「無茶な買い物したものねー」
「誰が無茶じゃリーム! お前にはクリームのような可愛らしく素直な女の子に育って欲しいと願って名づけたというのに!」
「あー、はいはい、お説教ならまた今度~」
「すばらしい空母ですわ。ね、お姉さま」
「お、お姉さまぁ? 気色の悪い言い方やめて、レマーユ!」

 

 ピッツリー7570(Pittrie 7570)、滑空式航空母艦搭載の、ナローバンドレーダーが、ひとり滑空母艦に駆けてくる人影を発見した。(もちろん、民間に払い下げてあるので、重火器の類は、必要最小限にとどめているが)。

 

「リズアーモ駅より、麦畑を、誰かがここへ向かって駆けて来ます!」

「む! 誰じゃ。識別信号を発信せよ。身元確認じゃ。IDを持っていない奴なら、相手にせずに、飛び立つべきじゃ」

「レマーユ、識別信号を!」

「はいっ! あ、確認取れました! ファビオ国籍の女性、外交官IDです!」

「何だって?」

「離陸やめい! 離陸中止じゃ、クルク!」

「了解! って、外交官?」

「相手から、識別信号のリクエストが来ました!」

「リクエストを許可する。あくまでキャラバンとしてのレスポンスじゃ」

「詳細情報入りました。チャタ・ファーナ、十八歳、女性。麦わら帽子をかぶって、トランクを持っています。コード909、政治亡命信号受信!」

「何じゃと、政治亡命……ああ、面倒くさそうな雰囲気になって来おったわい……まあ、許可は出すが……コード910……」

「女の子で、政治亡命で、外交官特権~? やばーい、超やばーい」

「ディスプレイに写します。音声着信あり。リーダー、交信を!」

 ナバス・クルクは、コックピットから、音声映像モニターを介して、無線通信を試みている。「こちら、キャラバン、リップス! 元陸軍大尉、セペル・チェルダードの名において、政治亡命を認める」「こちら通信員、ナバス・クルク! ハッチの鍵を開けるので、急ぎ右舷の最後尾にあるハッチを開け、閉めてください」

 女の子の声で、返信が帰って来た。息が切れている。「ビザリナ共和国に、政治亡命を求めます! 助けて! 追っ手に追われているの! 誰か!」クルクが、後ろのハッチから入って、3階の応接室で待つように命じた。追っ手は武器を持っていて、盛んに銃撃して来た。がしかし、ピッツリー7570の後部バーニアの火力は、すさまじいものだった。

 

 チェルダードが、クルクに命じた。VTOL(垂直離陸機)機能で上昇するらしい。最大火力を噴出したピッツリー7570は、勢いで上昇し、ついでに、そのへんの麦わらまで焼いて、追っ手を散らした。


小麦畑でつかまえて(2)

 チャタ・ファーナは、自動ロックのかかる応接室に隔離されていた。このキャラバンにとって、まずは「お荷物」「厄介者」「早く帰らせよう」「拾った子猫は元のところに戻そう」……そんな反応、そんな空気だった。チャタ・ファーナに、ナバス・レマーユが言った。「お怪我はありませんか」。すると、ファーナは「大丈夫、ちょっと疲れているだけだから」と応じた。

 レマーユは、遠隔操作で、とりあえず冷たい水を用意した。モニター越しに会話する。グラスの水は、応接テーブルの中央がパカッと開いて、グラスの水がせり上がって出てきた。用意をしておけば、たとえば、チェルダードの葉巻とか、そういったものもせり上げることができる。

 

「ありがとう……はっ! まさか、毒を盛ってないでしょうね!」

「じゃあ、引っ込めます」「いや、ちょっと、待って、わかった、わかりましたからお水を頂戴」

「まずは、一息ついてください」「ふー、危なかったー」

 

     ◇ ◇ ◇

 

「ところで、チャタ・ファーナさん、どうしてこのキャラバンに?」レマーユが続ける。「父が、ファビオの外務政務次官をしていて、鉄道を使う時は、通関のために、いつもリズアーモ駅で休憩していました。そして、まだ動き始めていない、キャラバン、リップスさんのお店の様子を見たり、食べ物を買ったりしているうちに、なんだか、ここの売り子さんをやってみたくて……」

 チェルダードが遮る。「待て小娘。理由は本当にそれだけだろうな……スパイ行為ならば、こちらも容赦せんぞ」。

 あわててファーナが取り繕う。「いやいやいや、他の理由……強いて言うならば、もう一つの理由は、私を溺愛する、父が大嫌いで逃げて来たのです」。

 応接室のモニター画面は、ナバス・クルクに切り替わった。「本気でここで働く気ですか?」

 ファーナが応える。「ええ、そうよ。一度やってみたかったんだあー、キャラバン生活」。

 コックピットの一同が、溜息をついた。「お前ら、船の操縦は、カイザルとワシでやるから、そいつを武装解除してくれや。何か持っとったらいかんのでな」。

 

     ◇ ◇ ◇

 

 ナバス・クルクが、妹二名、リーム、レマーユに向かって、一緒に来るように命じた。クルクはレーザーソードを構え、リームが短銃を構えた。レマーユは呪文の書の上に、十字架をかざした。そして、三人は曇りガラス張りの待合室へ飛び込んだ!

 

「おとなしく、武器を全部出せ!」

「少しでも隠してたら、姉ちゃん、アンタの命はないね! 蜂の巣になるぜ」

「あなたは段々眠たくなーる……。眠くなーる……」

 ファーナは、ちょっと面倒くさそうな態度で「仕方ないわね、全部出せばいいんでしょ?」と案外素直に応じた。

 脚からは、短刀が各一本づつ。カバンからは、金メッキの短銃が一丁。金メッキのレーザーソードが一本。そして手榴弾一個。ティーンが持つには、いささか重装備だ。まるで、どこかの傭兵のようだ。

「うわ、武器多いぞこの子!」「顔に似合わず、結構な武器じゃねえか」「誰と戦うつもりだったのかしら……」

 レマーユの睡眠誘導に連れて、ファーナが本音を語り出した。

「父です。お父様です。お父様が私を監禁するので、自由が欲しくて、部下の方にこっそりお願いして、武器の類は揃えたつもりです。あなたがたと、戦う意志はありません」

 しばらくすると、睡眠誘導が本格的に効いてきたのか、こっくりと首をうなだれて、そのまま眠ってしまった。



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