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目次

  1. 常磐線 「文化福島」1994/12

  2. ふくしまを自慢する 「グラフうつくしま」2005冬

  3. いわきを自慢する「広報いわき」2000/1

  4. とっさの方言「んだっぺよ」 「asta」2011/3

  5. 新高校生たちへ 「いわき民報」2000/3/19夕刊

  6. 最後の女子高生たちへ――磐女の共学化に寄せて 「いわき民報」2000/4/3夕刊

  7. 榧の実の思い出 「福島民報」2010/1/1

  8. いわき生まれの大阿闍梨――箱崎文応師 「福島民報」2008/1/1

  9. 東日本大震災 「京都新聞」2011/3/21


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常磐線

 

 幼い頃からあちこち転々としてきたので、そもそも〈ふるさと〉という概念がよくわからない。どこにいても自分はよそ者だと思い、次はどこに行くのだろうかと考えていた。転校の大好きな稀な子供だった。

 いわき市には五歳から十八歳までいたからわたしの歴史の中では一番長い。市内でも二度引っ越し、小学校は御厩、高坂、長倉と三つも通うことになった。そんなふうだとどこか意識が遊民的になるのだろうか、ふるさとと言われて思い出すのは一定の土地というよりもむしろいつもわたしをどこかに運んでいたく常磐線〉だ。

 懐かしくもあり恥ずかしくもあり、とにかく思い出をたくさん抱えている場所。ふるさとがそういうものなら常磐線こそがわたしにとってはそれだといえる。

 高校時代は毎朝毎晩電車に乗った。始発電車の窓から見える緑のみずみずしさ、遅刻を承知でラッシュをはずした電車の眠気を誘うのどかさ、きゃあきゃあ騒いでいた相棒が降りた後、ひとり残された恥ずかしさ……いまでもよく覚えている。

 大学でひとり暮らしを始めてからは、常磐線は帰省の手段になった。結婚してから一時常磐線沿線に住んだこともあり、つくづく縁の切れない電車だと思った。

 そういえば、高校生の頃、学校へ行くには平で降りなければならないのに、そのまま乗り続けて仙台まで行ったことがあった。確信犯だった。どこかへ行きたいという気持ち、未知なるものを見たいという気持ち、十代のわたしのそんな思いを乗せて、常磐線は走っていた。

「文化福島」1994/12号(わたしのふるさと・いわき市)

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奥付



I love ふくしま  I love いわき


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著者 : eikomatsumura
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/eikomatsumura/profile


発行所 : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社paperboy&co.


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