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外国人が帰国した。富裕層は東京を離れた。水道水をひねれば放射性物質が出てくる。ガソリン、水、パンは売り切れ。出版印刷が滞る、テレビ広告は集まらない、夜は共産主義社会のように暗くなる。首都圏の経済は落ち込んでいる。希望の光は、ツイッターの情報網が灯し続ける。
「『水資源争奪戦』という言葉が、遠い異国のお話だと思えていた昔が懐かしい」「今の東京は、水資源争奪戦の真っ最中だからね」
「太平洋に高濃度の放射性物質を垂れ流している原子力発電所と、戦争兵器として使用され、戦地に放射性物質を残す劣化ウラン弾。どちらが人類にとって害悪なのか」「どちらもでしょ。善と悪の彼岸で生きるのが、これからの私達でしょ」
被災していない僕たちにできること。ゴシップにまどわされないこと。偏った意見に流されないこと。不安心理を高めないこと。自分にできる仕事を日々続けること。直接は役に立たないと思える仕事も、めぐりめぐって誰かの助けになる。
権威に頼らず、世論に流されず、必要十分な情報を見聞し、よく吟味してから、自分自身の考えに基づいて行動すること。これが自由ということ。自分があるということ。

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