閉じる


<<最初から読む

35 / 42ページ

テレビ局はCM自粛で収入が減少する。芸能人も困窮する。「あの頃は享楽にふけっていたな」そう思い出されるようになる東北関東大震災前の日々・・・そう、あの頃の僕たちは、フランス革命前の貴族のように享楽にふけっていた。豊かさと富の過剰。懐かしい日々だ。

外国人が帰国した。富裕層は東京を離れた。水道水をひねれば放射性物質が出てくる。ガソリン、水、パンは売り切れ。出版印刷が滞る、テレビ広告は集まらない、夜は共産主義社会のように暗くなる。首都圏の経済は落ち込んでいる。希望の光は、ツイッターの情報網が灯し続ける。
「『水資源争奪戦』という言葉が、遠い異国のお話だと思えていた昔が懐かしい」「今の東京は、水資源争奪戦の真っ最中だからね」
「太平洋に高濃度の放射性物質を垂れ流している原子力発電所と、戦争兵器として使用され、戦地に放射性物質を残す劣化ウラン弾。どちらが人類にとって害悪なのか」「どちらもでしょ。善と悪の彼岸で生きるのが、これからの私達でしょ」
被災していない僕たちにできること。ゴシップにまどわされないこと。偏った意見に流されないこと。不安心理を高めないこと。自分にできる仕事を日々続けること。直接は役に立たないと思える仕事も、めぐりめぐって誰かの助けになる。

読者登録

野尻有希さんの更新情報・新作情報をメールで受取りますか?(読者登録について