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新人賞の応募原稿に「ただちに健康に影響を受けるレベルではない」と何回も書いたら、選考委員からダメだしをされた。「ただちになど、副詞の使用は控えましょう。ただちにとは、何分なのか、何時間なのか、何日なのか、具体的、客観的に示しましょう」もっともな意見だ。
「『ただちに』は、主観的な表現です。あなたは『ただちに』を、1日後と思って話しているかもしれませんが、話を聞く相手は、『ただちに』を1分後のことだと思っているかもしれません。誤解が生じます。時間で示して下さい」「ごめんなさい、ただちには示せません。調査中なんです」
いつもはバス停でメモ書きをしているホームレスのおじさんが、地下鉄の出口でメモを取っていた。計画停電と節電の影響で、アーケードの街灯が半分になったため、明るい地下鉄出口に引っ越してきたのだろう。節電と食糧買占めは、ホームレスの生活をも圧迫している。
夜の東京。ネオンは灯らず、ビルの入り口は真っ暗で、停電でもしているかのよう。セブンイレブンの店内も暗い。飲食棚の半分はからっぽ。共産主義時代末期の東欧を歩いているような気持ちになる。
「都内の乳幼児は水道水を飲むな、入浴は大丈夫、胃に入らなければ大丈夫と言うけれど、食品や食器を水道水で洗う必要がある。水道水を飲まないようにしていても、食事の都度、ヨウ素やセシウムが体内に入ってくるんじゃないか」「子どもはただちに逃げましょうってことでしょ、このニュース」


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