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桜井が話題を変えた。

「マサルさん。この尚もなかなか非凡ですよ」

「非凡?」

マサルが熱い目で尚を見た。尚も憧れの眼差しで見つめ返した。

二人の視線を涼子は複雑な気持ちで見ていた。

「マサルさん。尚は中学生のとき、スピーチコンテストで優勝しているんです」

「スピーチコンテスト?」マサルが興味を示した。

「ディペートでも優勝しているんです。まさに無敗の二冠馬」

「バじゃねえよ」尚が睨む。

「それに彼女は頭の回転が速い。入社3ヶ月で出庫の仕事を全部覚えてしまったからね」

「3ヶ月?」マサルが目を見張った。「普通1年はかかるよ」

尚はかしこまった顔で言った。

「それは、エーちゃんの教え方が上手いからでしょ」

「それがすべてとも言えるけどな」

「ハハハ」

マサルと同時に笑った涼子は、笑顔のままマサルと顔が合ってしまった。なぜか慌てて目をそらす。その二人のそぶりを尚は真顔で見ていた。

「そろそろお開きか?」

桜井が言うと、亜美が口を尖らせた。

「嘘、あたしマサルとほとんど喋ってないよ」

「知るか」名村が小声で呟く。

金曜日ではない。皆は仕方なく自分のグラスを飲みほした。


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