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19

桜井と亜美は放っておき、尚はマサルにビールを注いだ。

「マサルさんって、外国人に間違われませんか?」

「たまに国籍を聞かれる」マサルは笑顔で話した。

また桜井栄光が乱入する。

「尚。マサルさんは正真正銘の外国産馬だぞ」

「サンバ?」

「サンバといってもお嫁サンバじゃねえぞ。知らないか」

「アメリカで生まれたんだ」マサルが言った。

「そうなんですか?」

驚く尚。涼子も黙って聞いていた。桜井が早口で説明する。

「両親は日本人。でもマサルさんが生まれたのはアメリカだ」

「英語ペラペラとか?」尚が聞く。

「そんなことはない。ナチュラルなアクセントには自信があるけど」

「尚。マサルさんの仕事を知りたいか?」

「いい」マサルが一瞬真顔で桜井を睨む。

「何です?」

「尚。何を隠そう、マサルさんは馬券生活者。さすらいのギャンブラーだ」桜井は自慢げに語った。「年収は1000万円」

「1000万?」涼子が聞いた。

「その話はいい」

マサルがそこに触れたがらないので、尚も涼子もそれ以上聞くのをやめた。

 


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20

桜井が話題を変えた。

「マサルさん。この尚もなかなか非凡ですよ」

「非凡?」

マサルが熱い目で尚を見た。尚も憧れの眼差しで見つめ返した。

二人の視線を涼子は複雑な気持ちで見ていた。

「マサルさん。尚は中学生のとき、スピーチコンテストで優勝しているんです」

「スピーチコンテスト?」マサルが興味を示した。

「ディペートでも優勝しているんです。まさに無敗の二冠馬」

「バじゃねえよ」尚が睨む。

「それに彼女は頭の回転が速い。入社3ヶ月で出庫の仕事を全部覚えてしまったからね」

「3ヶ月?」マサルが目を見張った。「普通1年はかかるよ」

尚はかしこまった顔で言った。

「それは、エーちゃんの教え方が上手いからでしょ」

「それがすべてとも言えるけどな」

「ハハハ」

マサルと同時に笑った涼子は、笑顔のままマサルと顔が合ってしまった。なぜか慌てて目をそらす。その二人のそぶりを尚は真顔で見ていた。

「そろそろお開きか?」

桜井が言うと、亜美が口を尖らせた。

「嘘、あたしマサルとほとんど喋ってないよ」

「知るか」名村が小声で呟く。

金曜日ではない。皆は仕方なく自分のグラスを飲みほした。


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