7. Goblin


8. Sarah / Raquel


9. Meet me by the lake


10. (Frank) Ocean


11. Novacane
そして、フランク・オーシャンと言えば、"Novacane"だ。

やっぱ、そうだったんだ。これだってのを手にいれてから、
しても、しなくても、すっかり不感症。人間を超越したな
もうヴァイアグラ使ってやっても同じ、どのシングル曲もオートチューン使い
感情ゼロ、押し殺された感情、補正されたピッチ(=気分)、計算化された感情
こうなったのも、あのモデルのコのせい、ハリウッド流儀の空虚な笑顔
ストリッパー級のお尻とおっぱいには、絶句、お口使いもレヴェル高し
彼女と会ったのはコーチェラ、俺はジガを、彼女はZトリップを観に行った、好対照でバッチリ
俺がひんやりした芝に腰を下ろすと、彼女が手渡してくれたのが、青いボング、イイね
彼女が言った、何がなんでも歯医者さんになりたいの、今は学生だけど
授業料払うため(サン・ファーディナンド)ヴァレーでポルノに出てるの。きみはとにかく働いてるってわけだ
いやあ、もう俺、自分の顔の感覚も麻痺してるよ、俺たち、何を吸ってんだろ
彼女が言った、せっかくハイなんだから、わたしをちょっとだけ味わってみない
ノヴァケイン、ノヴァケイン、きみが欲しい
俺を気持ちよくして、長く続けて、麻痺するまで、してくれ
今だけわたしを愛して、わたしがいなくなっても、わたしだけ愛して
わたしだけ愛して、わたしだけ愛して、麻痺、麻痺、麻痺してるよ
シンクからあふれ出そうな食器、キッチンでそわそわしてる、朝飯からコカイン、おっと、危ない!
ベッドに群がる女たち、三脚にカメラを設置、小さな赤い撮影開始ボタンが点灯
気分はまるでスタンリー・キューブリック、広がる幻影
その快感を『アイズ・ワイド・シャット』状態でフィルムに収めようとしても、逃げられてしまう
こうなったのも、あのモデルのコのせい、ハリウッド流儀の空虚な笑顔
ストリッパー級のお尻とおっぱいは息を飲むほど、絶対きみを忘れられない
きみのせいで俺、今まで、ただの一度も、全く知らなかったこんな感覚に溺れてる
あれ以来、必死で思い出したり、記憶のかけらを集めたり、組み立てたりしている
今や俺はキャンパス内で、化学者気取り
でも、あの薬物だけは検出されてない、きみから見つかった成分だけは
もう俺、自分の顔の感覚も麻痺してるよ、俺は何を吸ってんだろう
彼女が言った、せっかくハイなんだから、わたしを味わってみない、ほんのちょっとでいいから
ノヴァケインで痛みを鎮めて
かわいい女の子たちが寄ってくる
たっぷりと俺を愛してくれる、存分に、でも、空しい、哀しい
かわいい女の子ばかり寄ってくる
たっぷりと俺を愛してくれる、存分に、でも、空しい、哀しい
俺はすっかり麻痺してる
彼女のあの感触が思いだせない
ノヴァケインで痛みを鎮めて
この曲では、ドラッグを使ってセックスをするから気持ちいいのか、
セックスが気持ち良すぎて、ドラッグを使っているみたいなのか、
はたまた、ドラッグを使って、気持ちよかったセックスを思いだそうとしているのか
それはドラッグを使ってもしょせん思いだすことはできないのか
そのあたりのあいまいな部分を、
恩師トリッキー・スチュアートが手がけたアンチ・クライマックスな堂々めぐりなトラックにのって
フランクはうまくとらえている。
いずれにしても、彼の記憶に強烈なセックス体験を刻みつケタむきざみつたのは、
学費を稼ぐためポルノに出ている歯科医を目指す女子学生。
歯科医志望ということで、治療で使う麻酔薬ノヴォケインなのか
とひらめくものの、タイトルの綴りを見ると、Novocaineではなく
Novacaneだ。
フランクによれば、
(マリファナで気分を盛り上げた勢いのまま突入した)この子とのセックス(の記憶?)が強烈過ぎて、
他のどの子とセックスしても、例えば、たとえヴァイアグラを使おうが、全然気持ちよくない。
それは、あのコに、ノヴォケインを使われた時みたいに、感覚を麻痺させられてしまったからだ、ということなのだろう。
ただし、Novocaineではなく
彼が上手いのは、ノヴォケインが、感覚を麻痺させることで、痛みを感じさせなくなるのを踏まえた上で、
ノヴァケインが欲しい、と歌っているのだ。
彼の感覚を麻痺させてしまった、欲望の対象としての彼女が生成したのは、
新しい(=ノヴォ)ノヴォケイン(あるいは新種のコカイン?)=ノヴァケインであり、
それは、そんな彼女に焦がれる胸の痛みを鎮める、
新しい(=ノヴォ)ノヴォケイン=ノヴァケインだというのだろう
そんなわけで、この曲で、フランク・オーシャンは、
まったく新しい薬物を世の中に広めてしまったわけだが、
だからといって、リスナーに、既存のドラッグの使用を薦めているわけではないのは
ノヴァケインが彼の脳内で自然に(勝手に)生み出されたものであることからもわかる
だいたい彼は、ここで、ヴァイアグラとオートチューンに、
自然な感情表現や生理を阻害する共通点を見出し、
否定的なものとしてとらえている。
つまり、彼はリスナーにドラッグの使用を薦めているのではなく、
あくまでも、自分が曲を書く上でテーマそのものとして、ドラッグの使用、を自らに課すことで、
陳腐と思われがちな、このテーマでも、まだまだ面白くて新しい(=ノヴァ)曲が書けることを、
フランクは自分と同じシンガーソングライターにアピールしているのではないのだろうか。
もはや、重要なのは、ドラッグの使用そのものではなく、
ドラッグの使用をいかに利用するのか、ということなのだろう・・・(続

asaakim