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目次

    <目次>

    【テーマ:フリー】
     詩  Smile           2年 冬深信哉
     小説 文明が終わる時      3年 碧星

    【テーマ:橋】
     詩  l'arc en ciel        2年 ねお
     小説 橋の矛盾         3年 ジェノサイダー翔
     小説 快感           2年 鴛鴦モナカ
     小説 ふたりの          2年 律娘
     小説 曼珠沙華         2年 赤琴かなで
     小説 あいつがいた交差点     3年 碧星

    【テーマ:Boy meets girl】
     詩  ヒトメボレ         2年 冬深信哉
     小説 夢見る男と獏娘       2年 四四九
     小説 あなたがすきでした。      2年 律娘
     小説 ここから始めよう。        2年 鴛鴦モナカ
     小説 KOハンマー       2年 赤琴かなで
                                                                    
                            ※掲載されている作品はフィクションです。
                           実在の個人や団体とは一切関係ありません。


    smile

    全部 初めから知ってた
    強がりな君のことだから
    だけど気付かないフリをして
    逃げてた僕は 臆病者

     

    日が沈んでから 道の暗さを知る
    一人で歩いて 街の明るさを知る
    君と出会って 僕は優しさを知った
    僕と出会った 君は

     

    泣きたいときに泣けないような
    不器用な君の側で
    代わりに泣いてみせるからさ
    そのかわり泣いてる僕の側で
    大きな声出して 笑ってよ

     

     

    多分 初めから泣いてた
    強がりな僕のことだから
    だけど気付かないフリをして
    優しい君は 大事なヒト

     

    夜が明けてから 陽のぬくもりを知る
    二人で歩いて 在る喜びを知る
    君と過ごして 僕は幸せを知った
    僕と過ごした 君は

     

    寂しい時に言えないような
    不器用な君の側で
    黙って話を聞くからさ
    そのかわり俯く顔をあげて
    大きな声出して 笑ってよ

     

     

    泣きたいときに泣けないような
    不器用な君の側で
    代わりに泣いてみせるけどさ
    たまになら泣いてる僕の側で
    大きな声出して 一緒にさ

    うるさいくらい 泣いてみせてよ

     

    そのあとに一緒に泣きやんでさ
    大きな声出して 笑おうよ


    文明が終わる時

     今から幾らかが過ぎた未来。
     現代の発展途上国が国際的発言力を更に増し、日本・ドイツが国連の常任理事国入りを果たしていた。朝鮮半島は北朝鮮政府が革命で倒れ、再統一が実現した。また、エジプトや南アフリカといった南半球の国々も次々と経済発展を遂げて先進国と呼ばれるようになっていた。
     そんな頃、NASAが地球の軌道と交差し、地球に向かっている大型の隕石を発見した。それが地球に衝突するのは約一ヶ月後。NASAと米国政府は民衆が混乱するのを避けるためにこの情報を隠蔽し、解決方法を探る為に各国の宇宙開発組織の有識者を集め委員会を組織した。その会合は新しい案が出る度に、怒号が飛び交い紛糾を繰り返した。
     まずは大型のインパクタを隕石にぶつけて軌道をそらすというプロジェクトが実行に移された。
     アメリカ・NASAによって打ち上げれたオービタは隕石まで五十キロメートルまで近づき、インパクタを切り離した。しかし、インパクタの推進システムが上手く稼働せず失敗に終わった。またESAやJAXAなども同様の計画を実行し、インパクタを衝突させることには成功したがあまり効果はなかった。
     続いて、水素爆弾を載せたミサイルを隕石にぶつけた。これは表面の一部が砕けただけで大きな成果は上げられなかった。逆にそのため隕石の破片の一部が地球に流星として降り注ぎ、話題になってしまった。
     また、一般のアマチュア天文家がその隕石を見つけてしまうという事もあり、地球に接近している天体があるという噂がインターネットやクチコミで静かに広まりつつあった。中には軌道計算まで行った人が図とシュミレートの結果のデータをインターネットで公開し、衝突する可能性が高い事を指摘する人もいた。このデータはマスコミに引用されることもあった。
     結局、七日前になり各国の宇宙局が緊急記者会見を行い、文明が終わる可能性が極めて高いことが説明された。また、既に打つ手は打ったが効果がなかった事も説明されたが、逆に隠蔽していた事が大いに民衆の批判を浴び、政府が総辞職に追い込まれた国もあった。
     その翌日、更に悪いことに今度は観測史上最大の太陽フレアが観測され、それに伴う磁気嵐などが地球に向かっていることが判明した。それが地球に到達するのは30時間後。再び緊急記者会見を開き、太陽フレアに関する発表とそれに伴い予想される被害が説明された。そもそも、これについては数年前から予想され、太陽を専門にする天文学者は対策を促していたのだが、一般への浸透が広がっていなかった。
     この2つの天文現象はいうまでもなく人々に打撃を与えた。ぶつける宛てのない怒りを持った人々の一部は凶悪事件を次々を起こし、宗教的な理由での集団自殺も相次いだ。それらの事件に加えて、国や宇宙局に対するデモが頻発し、道路が混乱した。時には、警察や軍隊が出動し、衝突するようなことも起きた。世界は「最後だから」という理由でほぼ無法状態になりつつあった。もちろん警察や軍もも全てには対応できず、機能していないのも同然となってしまった地域も出た。
     5日前。
     磁気嵐が地球に衝突する12時間前頃から電話やインターネット通信量が急激に増え、7時間前にはほぼ全ての回線が規制された。すると今度は爆発的に郵便物が増えた。最後まで人間は誰かと繋がっていることを望んでいた。
     また新聞や雑誌には「地球の歴史」「人間の歴史」「文明の歴史」などといった特集を組み、それが如何にして誕生し、発展し、どのような様子で終焉を迎えようとしているかを記した。それなりに人気はあったが、どうして終わってしまうのにそんな事をするのか、という意見も多かった。
     4日前。磁気嵐地球衝突。
     ケーブルテレビ回線、光ケーブル、送電線、各種の電波装置などの大半が破壊され、地球上の通信を行うサービスのほとんどは停止せざるを得なくなった。また、送電線の破壊で電力の供給が停止したため、人々の生活は困窮状態に陥った。交通網は集中管理ができなくなり、公共交通も運休が相次いだ。
     その夜、世界各地で磁気嵐によるオーロラが観測された。人生で最後で見ることになるであろうオーロラを見て、ある人は希望を持ち、ある人は諦めのため息を漏らした。
     三日前。
     大半の製造業や学校は休みとなった。
     唯一機能する報道媒体となった新聞は飛ぶように売れると期待されたが、印刷にかかる電力が無かった。それでも一部の報道機関は活版印刷を用いて新聞を発行した。しかし、部数が少なかった為に値段は急騰した。高速道、一般道共に大規模な渋滞が幾つも起こり、事故が頻発した。また小さな隕石の数が増え、幾つかの建物の屋根を突き破り、死亡者も出た。
     二日前。
     一部の通信が回復し、アマチュア無線も活発にやり取りされた。そこでは「ハローCQ。どうが、貴方にとって素晴らしい最期を。さようなら」という言葉が交わされた。
     一日前。
     地球上のほぼ全ての経済活動が終わり、オフィス街はひっそりとしていた。逆に住宅街にある公園や学校のグラウンドでは大規模な集会が行われ、文明の最期を飾ろうとしていた。
     当日。
     街の大通りでは、人が集まりカウントダウンを始めていた。隕石がぶつかる時刻は秒単位で公表されていたからだ。隕石の姿が確認出来る場所では、人々はみな外に出るか、窓から外を見ていた。
     また、アメリカやイギリスではある映画へのオマージュで四十二秒前にカウントダウンが始められた。
     一瞬にしてすべてのものが舞い上がり、粉塵と化した。衝突地点から遠かった場所では、しばらくのタイムラグの後に空を灰が覆った。
     植物は灰にやられ、緑は消えていった。
     奇跡的に生き延びた人たちも、やがて飢餓で倒れていった。

     もう、地球の文明は完全に終焉を迎えていた。


     約5千万年後の地球。
     偶然にも5千万年前の超弩級の隕石衝突の中、生き残った種が進化した生命が青い水と緑の陸に満ちた星を支配していた。
     彼らは言葉を操り、物事を分類し、物質を産み出していた。また、彼らは五千万年前に知的生命体が存在していたことも発見していた。また、その発見が彼らの文明の進化を早めた。
     そして自ら事をこう名乗った。


      ――Human being(人間)と。


    l'arc en ciel


    あまりにも真っ青な、空。

    私とあなたは、繋がる術を持たない。

    遠い日のあなたへ。

    -見て…。きっと離れていても、繋がっていられるよ。
    そう、信じていたいの-

    あの日と同じように、雨上がり、空を見上げて-。
    私とあなたの唯一の記憶。

    空に架かる橋。
    どうか、あなたの元へ辿り着けるよう、私を連れ去って。

     

     


    橋の矛盾

     とある国のそこそこ大きな橋の前。
     今日は世界的に見ては気にもならない小さなことだが、この小国にとってこのような催しは初めてだ。
    「さて、皆さん。今日はお集まり頂き、ありがとうございます。」
    マイクを持った礼服の男はその国の言語でそんなことを言う。その声に応えるかのように集まった2000人前後の人々は大きな声を出す。
     彼らの前には、手すりが焦げ茶色になった少し大きめな橋が架かっていた。そしてその向こう側に綺麗な銀色の手すりの橋が架かっていた。まだ入口にはテープがかかっている。
    「さて、この国の独立記念日3周年。あの日、この国の元国王が処刑されました。その日にたどり着くまでに多くの命が儚く散っていきました。しかし、今日は違います。安全で現代的でなおかつ新しい橋が架かるのです。独立したあの日とは違う歴史が生まれたのです。この国はまた一歩先進国へと近づいたのです。」
    大衆から歓喜に近い声が聞こえる。
    「それではもうそろそろ15時になります。あと10秒で渡れるようになりますからね。5、4、3…」
     観衆もカウントダウンに参加する。
    「3、2、1…」
     15時になった瞬間、テープが切られる。同時に手前の橋が爆発する。長年ここらの住民の道になっていたものが大きな音を立てつつ水に沈む。
     皆が皆、橋に向かって歩き出す。涙を流しながら向かう者もいるぐらいだ。この国の民らは一様に自分たちの手で新しい未来を創っていくことを再び誓ったのだ。


     沈んだ橋の下には数多くの塵芥が眠っている。それらはこの生まれ変わった国の黒い真実である。その真実とは、前の国の行いを悪と見なしたのと同じようなことをやったという証拠である。
     生まれ変わる前は己の正義を貫き通そうと必死だった。しかし、正義をこのような形で埋葬したのだ。
     前政権がやってきたことをそっくりそのままやったのだ。
     転生する前も、直前もその後も変わっていない。結局本質は何も変わっていない。
     あの大革命とは一体なんだったのだろうか。

       この国は矛盾である。



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