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紅天女の故郷「梅の谷」の場所

紅天女のふるさと・梅の谷で速水真澄のスマートフォンは圏外なのかどうかを前回の記事で調べました。これは3作目・漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!-物語完結のカギは速水真澄のIT化・前編-の中で、速水真澄の携帯は梅の谷だと圏外だろうから旅館の電話線を利用して東京の水城秘書とやりとりをしたのではないかと推察したこととが調べたきっかけです。北島マヤと速水真澄が一夜を過ごした社務所もおそらく圏外だろうと思い込んでいましたが、実際はどうなのかということも気になったからです。

参考:漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!-紅天女のふるさと・梅の谷で速水真澄の携帯電話は通じるのか-
※この記事はITmediaニュースやヤフーニュースに転載されました。


調べた結果、「京都駅から電車・自動車での移動も含めて2時間半くらいかかる場所であることは間違い無いが同心円上に考えると範囲が広すぎるので特定できない」という判断をしました。

そこで、別なファンのかたが調べた結果を元に速水真澄のスマートフォンは梅の谷で圏外かどうかを検証しました。

[参考]紅梅村を探す:千の仮面より
http://www.geocities.jp/senkamen/mask_table_tenkawa.html

しかし、『ガラスの仮面』紅天女1 文庫版20巻(白泉社文庫)の1ページ目の新聞/週刊誌の記事に以下のような記載がありました。

姫川亜弓
北島マヤ
2人の主役候補は
他の出演者の早く発表を待って

来週中にも
月影千草の
直接指導を受けるため
「紅天女」のふるさとと
いわれる
奈良県の梅の里へ

『ガラスの仮面』紅天女1 文庫版20巻(白泉社文庫)の1ページ目より引用

1ページ目の新聞/週刊誌の記事の記載を見落としていたのですが、はっきり「奈良県」と書かれていました。

また、『ガラスの仮面』紅天女3 文庫版22巻(白泉社文庫)で月影千草が過去の回想をしている場面でこんなやりとりを見つけました。

月影千草:これは? 一連先生?

一連の姉:ああ、あの子の5つくらいのときかしらね。奈良の田舎にいた時の写真ですよ。近くに禁足地になっている不思議な梅の谷があってね。なんでも伝説では梅の木の女神が竜や鬼に守られて住んでいるとか。そのせいで年中、梅の花が咲いていると言うんですよ。

『ガラスの仮面』紅天女3 文庫版22巻(白泉社文庫)

梅の谷のモデルになった場所は上記の2つの情報から「奈良県」であることを断定できそうです。私がコミックの1ページ目を見落としたため、前回はあいまいな検証をしてしまい非常に恐れ入ります。そのため奈良県という前提で再度、検証しなおします。


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最終更新日 : 2011-12-31 15:53:09

京都駅から何線に乗り換えたのか

前回、以下のように書きました。

京都駅に乗り入れている路線は「JRおでかけネット」の京都駅構内図によりますと

  1. JR京都線
  2. 琵琶湖線
  3. 湖西線
  4. 奈良線
  5. 嵯峨野線
  6. 山陰線
  7. 北陸線
  8. 関西空港・白浜・新宮方面
  9. 近畿日本鉄道
  10. 京都市地下鉄

があるようです。

単純に考えれば奈良線や近畿日本鉄道が該当しそうです。奈良線の路線図をマピオンの路線図で確認したところ、京都から奈良駅までの路線で「下野口駅」に似た駅名はありませんでした。

参考:奈良線 路線図から駅を検索
http://www.mapion.co.jp/station/ROJ004047/

近畿日本鉄道の路線図一覧で確認したところ、吉野線に「下市口駅」があります。断言はできませんが『ガラスの仮面』に登場した「下野口駅」の可能性が高いといえるのではないでしょうか。

参考:K's PLAZA
http://www.kintetsu.co.jp/
※トップページから近鉄線の案内に移動してください。一覧地図が表示されます。

ただし、京都線から檀原線、吉野線に乗り継がないといけないので、乗り換えが多いのではないかという疑問が生じました。Yahoo!ロコ(路線情報)で確認したところ、以下のことがわかりました。※掲載情報は私が必要だと思ったものを加工しました。

  • 東京
  • 09:47~12:08(2時間21分)
  • 4駅(のぞみを使用)
  • 京都
  • 12:20~13:11(51分)
  • 4駅(近鉄京橿特急)
  • 橿原神宮前
  • 13:16~13:41(35分)
  • 5駅(近鉄吉野特急)
  • 下市口

となりました。漫画では京都駅から1時間、在来線の電車に乗った後、乗り換えをして30分別な電車に乗車とあります。京都からの時間はほぼ合致します。特急を使えば乗り換え回数は漫画と同じになります。電車内の椅子はグリーン車のような高級そうな椅子だったので特急の可能性が高いようです。

上記の駅の検証は結果は『ガラスの仮面』のファンのかたが数年前に調べられた結果とも合致しますので、国会図書館で当時の「花とゆめ」の記事を確認すれば、美内すずえ先生が取材に出かけた奈良県の場所が断定できるかもしれません。

というわけで、紅天女のふるさとのモデルは奈良県であることは確定、それ以上の詳細はおそらくということで検証が出来ました。


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最終更新日 : 2011-12-31 16:07:48

速水真澄のIT化の始まりはいつか

私が最新刊までを確認した限りでは、速水真澄のIT化が始まったのは単行本の41巻の後半部分に水木秘書が以下のようなセリフを述べているのが初出ではないかと考えています。

速水真澄:留守中変わったことは?

水木冴子:ございません。仕事は順調です。パソコンで資料を送ったとおりですわ。

『ガラスの仮面』紅天女8 単行本41巻(白泉社)より


水木秘書は「速水社長が梅の里にいる間に仕事の書類をパソコンで送った」と発言しています。おそらくメールで資料を送ったのではないかと推測ができます。

単行本41巻は1998年に発刊されましたが、掲載内容は雑誌「花とゆめ」に1989年頃までに連載された内容を改稿していたようです。 Windows95の発売後、一般のユーザもパソコンでメールやインターネットを利用するようになったことを考えれば、水木秘書が速水社長に仕事の資料を メールで送るということは不自然ではありません。


1998年頃は携帯電話が一般ユーザにも急速に普及し始めた時期でした。しかしi-modeは1999年2月に開始とのこと。当時はSMSが主に利 用されていたようです。もし速水真澄が携帯電話経由でインターネットを利用したと仮定した場合、梅の里はかなりの山奥なので、携帯電話は圏外になる可能性 が高いと推測できます。むしろ自動車電話経由の可能性のほうが高いかもしれません。


速水真澄が梅の里付近の宿にノートパソコンを持参し、モデムや電話線を利用してダイヤルアップでメールの送受信を行っていたと仮定するのが自然では ないでしょうか。当時の携帯メールでは仕事の資料を添付するのは困難ではないかと考えています。添付ファイルを受信するとなるとパソコン同士の通信と考え るのが自然ではないでしょうか。

単行本41巻ではダイヤル式の固定電話が登場し、プッシュホンではありませんでした。しかし続きとなる単行本42巻では携帯電話が突然登場し、速水真澄と北島マヤの間を引き裂くアイテムとして活用されていきます。


今回の本の主たるテーマが「漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!」になっているのは、携帯電話が『ガラスの仮面』において紫のバラと同様に重要 なモチーフとなっているからです。詳細については「漫画『ガラスの仮面』にまさかのスマートフォン!-物語完結のカギは速水真澄のIT化・後編-」で述べ ることとし、もうひとつの根拠、夏目漱石の明暗を取り上げたいと思います。


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最終更新日 : 2011-10-28 23:33:29

漫画『ガラスの仮面』と夏目漱石『明暗』の意外な共通点

さて、現時点では最新号となる「別冊花とゆめ」2011年11月号までを読んだ限り、『ガラスの仮面』は53巻前後で完結するのではないかと考えて います。作者・美内すすえ先生は急速なラストスパートをかけ、2011年7月末に発売された単行本47巻から残り5・6巻で終わるのではないかという仮説 です。


その根拠として

  • 速水真澄の急速なIT化
  • 夏目漱石『明暗』

の存在があります。


ITとはまったく関係がなさそうな文豪・夏目漱石。しかし、ITmediaオルタナティブ・ブログに夏目漱石の孫である夏目房之助さんが夏目房之介の「で?」というブログを書かれていることを考えれば不思議なつながりを感じます。

私がすごいと衝撃を受けたのは夏目さんが2011年8月12日にオルタナティブ・ブログに書かれた以下の記事です。


マンガ史関連の新刊二冊


上記の記事の後半部分で紹介されている

小長井信昌『わたしの少女マンガ史 別マから花ゆみ、LaLaへ』(西川書店)

の中に、漫画『ガラスの仮面』の著者・美内すずえ先生のエピソードも掲載されているそうです。


人気がある本らしく在庫切れしていたのでまだ入手できていませんでしたが、ウェブで情報を検索したところ、白泉社社長の小長井さんが編集者だった時 の話題が盛りだくさんとのこと。「ガラスの仮面」の連載を「花とゆめ」に開始するときの打ち合わせのエピソードが掲載されているとウェブのレビューで見か けました。どんな打ち合わせ内容だったのか非常に気になっています。


私が漫画『ガラスの仮面』シリーズの記事を書きはじめたのが2011年8月8日でしたが、数日後、夏目さんの記事(2011年8月12日)を拝見してプロとアマチュアの差を思い知った次第です。評論と感想文は大きく次元が違うのです。



さて、漫画『ガラスの仮面』がなぜ夏目漱石の『明暗』と関係があると考えたのかというと、「物語の展開」の仕方が類似しているからです。美内すずえ先生が『明暗』を意識して執筆しているのかは不明ですが、私が類似していると判断した根拠をあげてみたいと思います。


漫画『ガラスの仮面』は53巻前後で終わるのではないかと書いた根拠の一つは話の展開・進み方です。読者の中には「『ガラスの仮面』は同じようなエピソードが繰り返されマンネリ化したのでは? 」とウェブ書き込んでいる方もいらっしゃいました。


例えば、

  • 単行本44巻の最後で北島マヤが魂の片割れについて質問をするため月影先生がいる邸宅に行く。そうしたら同じ事を質問しようと考えていた速水真澄にばったり会う。
  • 単行本46巻の最後で北島マヤは鷹宮紫織(速水真澄の婚約者)の使用人に渡された手切れ金1000万円の小切手を鷹宮紫織に返すためワンナイトク ルーズのアストリア号に行く。そうしたらワンナイトクルーズとは知らされずに鷹宮紫織に呼び出された速水真澄とバッタリあってしまう。

の例です。


「都合よく主役二人がばったり出会うのが何回もあるのは実際にはありえない」という読者の指摘は正しいのですが、『ガラスの仮面』は物語だと捉えると興味深い注目ポイントとなります。


他にも「既視感」「類似性」を感じるエピソードはいろいろあるのですが、これは作品がマンネリになったのではなく、美内すずえ先生が意図的に行っていると考えられます。ここで重要なのが『明暗』の話の進み方です。

夏目漱石『明暗』は作者の死によって未完に終わった作品です。大正5年に「朝日新聞」に188回連載され、未完の作品として大正6年に岩波書店から発売されました。


『明暗』では同じようなエピソードが同心円上に展開し、少しずつ少しずつ進行していきます。人間の心理描写や行動を緻密に描くためにあえて直線的なストーリー展開ではなく円のように少しづつ確信に迫っていく手法をとったようです。




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最終更新日 : 2011-10-28 23:33:28

マヤと真澄の心の距離は星座が暗示していた

『明暗』の内容は荒い説明になりますが以下のようなものです。


新婚6ヶ月の津田(主人公)にはお延(おのぶと読む)という妻がいます。津田には結婚前に相思相愛と信じていた清子という女性から不意に去られた過去があります。津田は清子との思い出・関係を現在も妻・お延に隠しています。


津田は京都に住む父に毎月仕送りをさせているものの盆暮れにお金を返すという約束を果たさない身勝手さがある男性です。お延は「幸せな新妻」という印象を周囲に見せつけたい気持ちが強く、虚栄心が強い女性として描かれます。

  • お金の問題をめぐって、
  • そしてお延が津田の過去(清子の存在)に疑念を抱くが、津田はいくら問い詰められても清子のことは隠そうとしたこと

を軸にして話が発展していきます。


『ガラスの仮面』は作者の巧みな心理描写が魅力と評論家の方が評されています。話の進み方の点で考えると『明暗』と類似した同心円のような進み方をしています。


例えば北島マヤが速水真澄と星空を眺めるシーンが物語の中で何回か登場します。

以下のセリフは舞台「忘れられた荒野」が上演困難に陥っていた頃の話です。大都芸能のビルに行方不明の月影先生の居場所を聞きに来た北島マヤが速水真澄とふたりきりでエレベーターに乗るシーンがあります。一階に降りるまでに興味深いやりとりがあります。


登場人物が口に出して発言しているセリフは「」で、心のなかで思っている心中語は()で表記します。吹き出しには句読点はありませんが、ブログで読みやすくするため片岡が文脈から判断して。や、を追加しました。三点リーダーは……と表記しました。


北島マヤ:「「紅天女」のふるさとってきれいな所なんでしょうね。」

速水真澄:「そうだな。空気が紅に染まるほどの梅の里……。夜は降るように星が見えるらしい。プラネタリウムでしかみられないと思っている星が多くみられるそうだ。」

北島マヤ:(速水さん……。プラネタリウム。満天の星……。満天の星……! )

北島マヤ:「すごいでしょうね。きっと。」

速水真澄「ああ。」

北島マヤ:「紅天女のふるさと。いつかいってみたいわ」

速水真澄:「おれもだ」

北島マヤ:(速水さん……。あたし、なにしてんだろ……。このひととこんなところでなんだか仲よくしゃべってる。)

『ガラスの仮面』紫の影2 文庫版18巻 (白泉社文庫)より


エレベーターが一階についた瞬間にマヤは我に帰り、速水と喧嘩しながら歩いていると速水の婚約者の鷹宮紫織に遭遇します。そのあと、鷹宮紫織を車に乗せて自分も乗ろうとする際に速水真澄は以下のセリフを北島マヤに伝えます。

速水真澄:「プラネタリウムで星を見るのはきみと一緒にいったあれが最後だ。おれはもう行くことはないだろう。おそらく永久に……。」

『ガラスの仮面』紫の影2 文庫版18巻 (白泉社文庫)より


世界的な広告代理店である鷹宮財閥の令嬢・鷹宮紫織と見合いをすることになりましたが、速水真澄は北島マヤへの気持ちを抑えられません。速水真澄は 自分の本当の気持ちを伝えようとマヤをプラネタリウムのデートに誘うのですが、ある電話がきっかけで気持ちを伝えられないまま別れます。上記のセリフはそ のことを指しています。


しかし、ある出来事がきっかけで速水真澄は北島マヤと梅の里で星空を見ることになります。


速水真澄:「満天の星か……。きみとこうして星をみることになるとは思わなかったな。最高だ。これこそ本物の星空だ。もう長いことこんな星空のあることを忘れていた……。覚えているか? いつか「紅天女」の故郷で星をみたいと話したときのことを。」

北島マヤ:「ええ。」

速水真澄:「望みがなかったわけだ。」

『ガラスの仮面』紅天女2 文庫版21巻 (白泉社文庫)より


このあと速水真澄は義父・速水英介の話をし、次のセリフに続きます。


速水真澄:「ほら、あれが白鳥座。ひときわ輝いているのはデネブ。その先にあるのはこと座のベガ。」

北島マヤ:「わー! ほんとだ。白鳥座みつけちゃった」

(中略)

北島マヤ:(へんだな……。あの速水さんとあたし、こんなにも自然に話をしている……。11も年が上なのに。あんなに憎んでいた人なのに……。こんなに楽しく星の話なんかして……。)

『ガラスの仮面』紅天女2 文庫版21巻 (白泉社文庫)より


上記のセリフはエレベーターの時と似たセリフなのですが、微妙な変化が読み取れます。注目したいのは梅の里で星を見ているときに北島マヤが心の中で「あの速水さんとあたし、こんなにも自然に話をしている……。」の「あの」に強調の傍点が付けられていることです。



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最終更新日 : 2011-10-28 23:33:33


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