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あとがきに代えて

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あとがきに代えて

 本書は、拙著『覚りの境地』(電子出版:パブー)の姉妹本である。『覚りの境地』では主に覚りの真相とそこに至る一なる道について余すところなく書いた。この本では、覚りに至る道筋そのものではなく、そこに到達した仏がどのような境地に住しているのかを感興句を通じて人々に示し、修行者たちを力づける一助としたつもりである。

 世には、すでに沢山の経典が存在している。仏縁ある人はそのどれによっても覚りに至るであろう。それでも経典の言葉はその多くが説法形式の理法である。感興句を知ることは仏の内面を知る手掛かりとなり、それぞれの経典の真意を理解することをいわば内側から支えるものとなるに違いない。事実、私もそのようにして覚りの道を大いに堅固ならしめた経験がある。

 このような理由で、本書は通常の本とは趣を異にしている。本書は単なる詩集ではない。本書は単なる寄せ集めの言葉ではない。本書は、覚りの機縁の切っ掛けを生じると期待される言葉のモニュメントである。しかしながら、このモニュメントは修行者の心に働きかけて、けしかけられることなく道の歩みに邁進する糧となるであろう。安らぎを求めるこころある人は一読して欲しい。

 なお、本書の現在のすがたは本として一応の完結を見ているが、先の著作と同様に電子書籍による執筆方法の特徴を活かした修正・拡充・増補を行っていきたい。

  2011年3月11日 自宅にて記す