新しい台風情報
気象庁では2007年から、台風情報についての改正を行いましたので一部をご紹介します。
変更点の1つ目。これまでは進路予報を12時間後と24時間後としか表示していなかったものを、「24時間 先までの3時間刻み」と変更します。つまり、これまでは3つしかなかった予報円が、9つに増える訳です。
そして2つ目。これまでは、予報時刻ごとに暴風警戒域を円で表示していましたが、今後はそれらを「一 つの円」で表示するようになります。つまり、円の重なりがなくなってわかりやすくなります。ちなみに、「暴風域」とは、平均風速25m/sの風が吹く可能性のある範囲、「強風域」とは15m/sの範囲を示します。しかし「突風率」というのがあって、平均風速の1.5~2倍の風が吹くことがあるのです。だから、 強風域にすら入っていなくても、くれぐれもご注意下さい。
また「予報円」ですが、これは「台風の中心が70% の確率で位置すると予想される範囲」です。だから、予報円の外を通る可能性もありますし、決して中心だ けが危険というものでもないので、用心して下さい。
さらに3つ目。「熱帯低気圧の情報」も報道することになりました。熱帯低気圧は「台風の子ども」です。便宜上、「中心付近の最大風速が17.2m/sのもの」 を台風と呼んでいるだけなので、これが発達すると台風と呼ばれるようになる訳です。
最後に4つ目。「温帯低気圧化する台風についての情報」を公開します。台風は、熱い空気だけからできていますが、そこに冷たい空気がぶつかったとき、前線を伴う温帯低気圧になります。それぞれの空気の寒 暖の差が大きければ大きいほど天気は荒れますので、普通の低気圧よりも警戒が必要になります。油断せず、充分に気を付けて下さい。
(文:気象予報士 チャーリー/絵:吉田たつちか)
花(蓮)よりラーメン
池に浮かぶ大輪の花、蓮(ハス)。七月の誕生花であり、夏の季語でもあります。白やピンクの花びらが幾重にも重なり、水面に映ったその様は、一時の清涼感を与えてくれます。
蓮の花の原産はインド。それ故か、古くから宗教と密接な関係を持っています。仏教でも、蓮が芽吹いて花を咲かせ、やがては枯れてゆく姿を人間の一生に例えています。寺院でよく見かける御釈迦様の台座には蓮の花が用いられ、仏教絵画にも蓮と共に御釈迦様が描かれています。良い行ないをして死んだ者は、極楽浄土の世界で一つの蓮の花の上に身を託して生まれ変わる――。そんな考えが、仏教にはあります。そこから生まれたのが『一蓮托生(いちれんたくしょう)』という言葉。結果の良し悪しに係わらず行動や運命を共にするという意味で、身近なところで蓮が私達の生活に関与しているのです。
それ以外にも蓮は私達の生活に関与しています。地下茎はレンコン(蓮根)として食卓に並び、種子は甘納豆に変わります。蓮を国花としているベトナムでは、花をお茶にして飲む習慣があり、日本でもベトナム料理店で飲むことができます。また、鎮痛・滋養強壮作用もあるので生薬としても用いられています。
それだけではありません。意外ですが、ラーメン愛好家にも蓮の花は深い関係があるのです。ラーメンを食べる時に箸と一緒に使うレンゲ。レンゲは正しくは散蓮華(チリレンゲ)と言います。名の由来は、スプーン状の陶器の形が一枚散った蓮の花びらのようだから。その散蓮華という呼び名が簡素化され、今日では蓮華(レンゲ)とだけ呼ぶようになったのです。
初夏を彩る美しい花、蓮。公園を散歩して池にぽっかりと浮かぶ蓮の花を見ると、花より団子……ではなく、ラーメンが食べたくなってしまうかもしれませんね。
(小説家 華山 姜純/絵:吉田あゆみ)
2011.07
袋鉢で夏野菜
自動車の保有をやめたため空いた駐車場跡の庭で家庭菜園を行っているが、鉢植えだと今一元気がない。そこで、今年の夏野菜は袋鉢で育てることにした。とっておいた培養土の空袋に古い土にボカシ肥料を混ぜた土を3分の1ほど入れ、その上にホームセンターで購入した培養土(ペーハー調整済、必要な元肥入りのもの)を3分の1加えて、苗を植える。こうすると、残った袋3分の1が風防の役目をしてくれるので、苗の定着もいい。袋は土を入れたプランターの上に置いているので、土の深さは十分ではある。入れる前に、袋の底部にナイフで穴をあけておくことで、根張り範囲が広がる。
ただ、この方法だと、畑の見栄えはあまりよくなく、先日、家に来た次女からは「まるでゴミ屋敷みたいだ」と叱責された。
混栽することで互いの成長によい影響を与え共栄しあうとされる野菜のことをコンパニオンプランツ(共栄作物・共存作物)という。
トマトにはニラ=青枯れ病や立ち枯れ病を防ぐ。ナスには枝豆=元気に育つ。ピーマンにはシソ=味が良くなる。キューリにはニラやネギ=蔓割れ病・青枯れ病を防ぎ、アブラムシなどを防ぐ等。
夏野菜として、キュウリ、ナス、トマト、ピーマン類は主菜になり、ニラ、ネギ、枝豆、シソ、三つ葉があれば、酒の肴にも、冷やしソーメン、冷や汁なども、庭から採ってきてすぐに作ることができる。老夫婦には小さな家庭菜園で必要十分な食材がそろう。夏野菜は成長が早く、採れる期間が長いし、このような袋鉢栽培でも十分な収穫が得られるので便利だ。
最近はかっての大規模公営住宅などでも、住民の高齢化が進み買い物弱者の問題がクローズアップされている。老朽化した公営住宅の建て替えで高層化したため、かっては家庭菜園で夏野菜を自給できた人も、庭がなくなってしまった。ベランダでも栽培可能な袋鉢菜園にチャレンジされることをオススメする。(ジャーナリスト 井上勝彦)2017-07
日焼け対策は「黒」
これからの季節、やっぱり気になるのは紫外線対策じゃないでしょうか。みなさんは、日焼け対策にどんな方法を使っていますか?
紫外線を浴びると、体内でビタミンDの合成が促進され骨が丈夫になると言われています。確かにそれは正しいのですが、それ以上に、紫外線が体に与える悪影響のほうが大きいのです。シミ・ソバカスを増やし、タルミの原因になるばかりか、皮膚がんの元となります。
日焼け止めを使うのが、簡単な方法ですが、実は「色の力」で日焼けを予防する方法があります。それは、「黒」を使うこと。「黒」は紫外線を吸収し、熱に変えてしまい、肌まで浸透させないので、一番予防効果が高いとされています。
「黒」じゃなくても、色が濃いほど、日焼け止め効果は強くなります。逆に、「白」の場合、紫外線を透過してしまうので、あまり意味はありません。しかも、反射率が高い色なので、反射された紫外線が顔にあたり、逆にライティング効果になる場合も・・・
だから、白い長袖に、白い手袋、白い日傘を使っている方は要注意!!日焼け防止と思ってつけていると、効果がないばかりか日焼けを促進している場合もあるかも知れません。
また、素材も大切です。ポリエステルやウールなどの密が濃い素材は紫外線を透過しにくく、麻や綿など繊維の目が粗いものは透過しやすいのです。
ここで注意して欲しいのは、サングラスの場合。濃い色のサングラスは、瞳孔を開き紫外線が多く入るので、身体が紫外線を多く受けたと勘違いし、日焼けの原因になります。今は、UV加工された素材のものがたくさん出ているので、それを利用すればどんな色でも、日焼け止め効果は期待できるでしょう。
ただ、油断大敵!!日焼け止めクリームを併用して、上手に日焼けを防ぎましょうね☆
(文:カラーコンサルタント 山田美帆/絵:吉田たつちか)
海に沈むことのない2つの星座
一年中海に沈むことのないおおぐま座とこぐま座。この二つの有名な星座が海に身を隠すことができないのには、とても悲しい理由があるのです。
ギリシア神話の大神ゼウスがまた人間の美女カリストに浮気をしました。当然ゼウスの正妻ヘラはそれを許しません。ヘラは夫の心を奪った罰として、カリストを人よりもはるかに大きな熊に変えてしまいました。人の心が残っていて、自分の身に起きた悲劇をいくら嘆いても、それは恐ろしい熊のおたけびにしかなりません。カリストは人目を避けて森へ逃げ込みました。
それから何年かしたある日のこと、カリストを狙う狩人の青年と出会いました。それはなんと、カリストとゼウスのあいだに生まれた息子の成長した姿だったのです。カリストは自分が熊の姿をしていることも忘れ、青年を抱きしめようと思い近寄りましたが、青年にはそれが母だとは思いもよりません。当然のように、向かってくる熊に槍を突きたてようとしました。
それを、間一髪、ゼウスもさすがに見かね、息子を小熊の姿に変えました。ゼウスはヘラがカリストを熊にしてしまったことにも長年悔いを感じていたので、二人がもう決して離れることのないように、おおぐま座、こぐま座として天上に置いたのでした。
しかしヘラは、自分がカリストを熊にしたことが彼女たちが天へ上がってくる結果を招いてしまった上に、天でも一番目に付くところに置かれたことに対して腹の虫が治まらず、海の神々に頼んで、この二つの星座が決して海に沈まないようにしてくれと頼みました。ヘラは、カリストが海に隠れたあいだにまたゼウスと親しくなるのではと嫉妬したのです。
だからこの二つの星座が海に沈むことはないのです。
(気象予報士・小説家 チャーリー/絵:吉田たつちか)