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日比野 もちろん、国境封鎖線のようなものを作って、蟻の子一匹通さないようにするのは無理だとは承知してます。ただ、昨今の中国の態度は明らかに領土拡張を志向していると思います。南シナ海の南沙、西沙の両諸島もそうですし、尖閣もそうです。最近は沖縄も自分達の領土だと言いだしてますし。

 

K氏  中国はああ見えてもね、勝てない喧嘩はしない国なんだよ。絶対勝てると思う相手には、嵩にかかってくるけども、彼我の戦力はちゃんと分析できる国だ。その証拠に口ではなんだかんだ言ってもアメリカには絶対喧嘩を売らないよね。だから、日本が中国に対して抑止力を持とうと思えば、アメリカとよしみを結んで、日米同盟をしっかり繋ぎとめておくことがひとつ。もうひとつは、中国にまだ日本とは差があると思わせることも大事だと思うね。

 

日比野 中国に日本と差があると思わせるというのは、やはり、自衛隊を増強するということではないのですか?

 

K氏  そうとばかりとも限らないんだよ。中国がここまで大きくなった原動力はなんといっても経済成長だわな。軍隊より先に経済があるんだ。もちろん軍隊を強くするには金が要るんだけども、大中華帝国をつくろうと思ったら、どうやるのが一番安上がりになるかを考えるといい。それは、なんといっても、自分からは手を出さずとも相手から服従させるように出来れば、それが一番良いわけだね。その為には、先ほどのノーベル平和賞ではないけども、経済的見返りを交渉材料に使う、レアアースなんかの資源を交渉材料に使う。「うちと組んだほうが得ですよ。レアアースがないと困るでしょう。安く売ってあげますよ。貴方の国の品物も一杯買ってあげますよ。」と、経済的な餌をぶら下げて、相手を自分のところへなびかせる。そうしておいて、経済的、文化的、人的交流をどんどん進めていって、相手の国で中国語が通用するくらいにまでになったら、事実上、中華圏に組み込まれてしまうことになる。それはそのまま大中華帝国にもなるわけだね。それだと軍隊を一兵も動かさずに済む。そういうことをあの国はやってくるんだ。だから、中国の経済力が縮小する、又は、日本の経済力が中国を上回ることが出来ていれば、少なくとも経済的には日本は中華圏に入らなくて済むようになる。そして、日米同盟がちゃんとしていれば、軍事的にも中華圏に入らなくて済むわけだね。だから、日本が経済力で中国の上をいくというのは実は大きいんだ。中国にしてみれば、自分達はこんなに大国なんだと思いたいのに、まだその上をいく経済大国が隣にあるんだよ。その国は、自分達の経済圏に組み入れることもできなければ、技術力でも上をいってる。しかも、ほんの少し前までは、戦争しても何処にも負けないくらい強かった。唯一負けたのはアメリカだけで、他には負けてない。それで、アメリカに負けて焼け野原になったかと思ったら、60年やそこらで経済大国、技術大国としてたちまちのうちに復活した。これは怖いよ。化け物みたいに怖い国だよ。今でもハイテク戦争になったら日本には敵わないと思ってるだろう。そんな化け物の国のハイテクの力を削ごうと思ったら、経済的に没落して貰うしかないよ。そうして日本の技術者があぶれたら、皆こぞって中国にきてくれないかとか、そんなことを考えてるよ。

 

日比野 その意味では、日本の対中輸出がGDPの2.8%しかないというのは中華圏に組み入れられないための保障にはなりそうですね。

 

K氏  日中の二国間で考えればそうかもしれないけども、他の国はそうとも限らないな。たとえば、中国は一昨年辺りからASEAN諸国に合計100億ドルを超える直接投資をしているし、ASEANにとっても中国は第1の貿易相手になってるよ。それに去年の1月から、ASEAN・中国FTAが始まってるしね。関税なんかもうとっぱらってるんだよ。さっき言ったように、中国は経済的餌をぶら下げて周辺国を自分のとこになびかせようとしてるわけだね。だから、ある意味、大中華帝国への準備はもう始まっているとも言えるんだ。本当は日本もそうしたことを見越した上で国家戦略を考えるべきだと思うよ。

 

日比野 今の話を聞くと、民主党政権では不安がつのるばかりですよ(苦笑)。でも、せめて良い年であるように、希望だけは失わないようにしたいですね。Kさん、ありがとうございました。今年もよろしくお願いします。

 

K氏  はい。こちらこそよろしく。


あとがき

2009年夏、日本国民は大きな選択をしました。「一回やらせてみよう」という選択です。その結果得られたものは何であったのか。

 

筆者は、それを"安易にイメージだけで軽々に投票してはならない"という痛い教訓ではなかったかと思います。

 

なぜ、イメージで投票できてしまうのか。それは、おそらく、自民党による戦後50年体制が「それなりに」上手くいっていたからなのだと思います。

 

高度経済成長を遂げ、余りにも上手くいった反面、日本国民はある意味で"鼓腹撃壌化"してしまいました。けれども、昨年の尖閣沖衝突事件、ロシア大統領の北方領土視察など、今や、日本は国難を迎えています。

 

これ以上、安易な選択を続けていては、この国難を乗り切ることは難しい。日本は今、そうした岐路にいるのです。


                          2011年3月 吉日  日比野克壽


奥付

 


 

直き真心持ちて 道に違ふことなく 

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著者 : 日比野克壽
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/kotobukibune/profile

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