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特別対談 知人との世相についての対談                    

                        対談日 2011.1.2


本編は、筆者の知人(仮にK氏とします)との世相について対談したものを一部書き起こししたものです。

日比野 あけましておめでとうございます。

 

K氏  こちらこそ。おめでとう。

 

日比野 民主党政権になって早や1年3ヶ月経ちました。

 

K氏  早いものだよね。

 

日比野 Kさんからみて、民主党政権はどうですか。そろそろ国民も目が覚めてきたように私は思うのですけれども。

 

K氏  大分、政権交代の熱が冷めて我に返った、というところかな。やらせてみたはいいけど、こんなに酷いとは思わなかった、というところだろうね。

 

日比野 でも、マスコミとかは相変わらず民主党アゲの報道をしていると思います。保守系のブロガーなんかは、マスコミの姿勢にまだまだ不満を持っていますし。ただ、左系のブロガーもマスコミは批難ばかりだ、とこちらも不満を述べているのが面白いところではありますね。

 

K氏  そうでもないんじゃないか。政権交代直後から比べれば大分、批判すべきは批判するようになったと思うよ。ただ自分達が政権交代を煽ってミスリードしたことまでは、反省できていないようだけども、個人としては失敗したと思っている人はいるだろう。

 

日比野 でも、謝罪はしませんね。

 

K氏  そんなことしたら、自分達の存在意義がなくなっちゃうからな。でも、国民のほうも…特にだね、前の衆院選挙で民主党に投票したような連中の中には、失敗したと認めたくないようなのが、大勢いるんじゃないかな。

 

日比野 あぁ、認知的不協和ですね。

 

K氏  心理学用語かなんかではそういうんだっけ。まぁ、自分の過ちを公けに認めるのは辛いことだ。内心そう思っていても口にだして「私は間違ってました。ごめんなさい。反省してます。」なんて中々言えないもんだよ。あんたの家族にもそうした人はいないのかい?個人でも認めたくないものを、ましてや企業体で認めることなんて出来るわけないよ。そんなことしたら、スポンサーがみんな逃げていっちゃうからな。間違った報道をするところに金だしてなんかいたら、今度はスポンサーの信用が傷つくわな。その意味では、みんな連動しているのさ。だから、今は、マスコミもそうだとはなるべく気付かれないようにちょっとづつ、意見を修正したりなんかしてるわけだね(笑)。それも、空気というのかな、世論が「これはちょっとおかしいんじゃないか」なんて雰囲気になってるとこを代弁する風を装って言うところはあるわな。責任を取らないと言えば取らない体制ではあるんだけどね。

 

日比野 国民から声を上げるというのは大切なことですね。

 

K氏  そうだな。あれ、尖閣デモだっけ。まだあれからずっと続いているんだろう。まぁマスコミは表立ってはそう取り上げないけども、あれだって、マスコミからしてみれば、政権批判するときの後押しにはなっていると思うよ。デモなんかを国民がやっているから「世間様ではこう怒っています。どうするんですか?」って、マスコミも政府批判ができるわけだ。デモは事実としてあるんだからね。まぁ、一方の主張だけを取り上げてばかりいると、今度はマスコミ自身が批判されちゃうから、表向きは、いろんな意見を紹介して中立を装ってだね、「こんなのもあります、あんなのもあります」って報道するんだけども、マスコミが世論をリードするってだけじゃなくて、国民がマスコミの尻を叩くってのもあるってことだね。

 


日比野 尖閣事件での政府の対応はやっぱり失敗だったんじゃないでしょうか?結果として、国民の危機感を醸成して目覚めさせたという効果はあると思います。ただ、私は、あれはやはり中国の威力偵察ではなかったかと思うんですね。日本の反応を見るための。もちろん、付近のガス田を確保する狙いもあるんでしょうけれども…

 

K氏  それに加えて、日米同盟の程度を計る意味もあるだろうね。どこまでアメリカが介入してくるのか、こないのか、結果としてアメリカは介入するという言質を取ったけども、これは日本にとっては良かったね。

 

日比野 今の中国は遅れてきた帝國主義を発揮し始めていると思うのですけれども、ちょっと露骨ですね。

 

K氏  尖閣はほんの小手調べでね。彼らはもっと大きなものを狙ってるはずだ。人口問題もあるけども、大中華帝国をつくりたいという野望があるんだと思うなぁ。中国にしてみれば、ある意味、ここ100年ほど、列強の食いものにされてきたという意識があるだろうからね。ただ、ちょっとそれ以上に慢心というか、世界からみた自分が良く分かってないところはあるな。

 

日比野 劉暁波氏のノーベル平和賞受賞のことですか?

 

K氏  世界で認められている賞をだね、単に否定するだけじゃなくて、受賞の事実さえ国民に一切知らせないんだろう。14億人も居てだよ。あれは、要するに、何億人いようが、政府は市場にいくらでも介入できるということだ。市場だけじゃなくて国民の思想も含めてね。今日は良くても、明日には駄目になるかも分かんない。そんな国を長期で相手するのは難しいよ。

 

日比野 やはり、中国に投資している企業が撤退をしてゆくということですか。

 

K氏  そうはいっても、市場があるというのは魅力でね。GDPで日本を超えた。年収500万円を超える層が7000万人やそこらいるということは、アジアに日本並みの市場がもう一つあるということだ。何だかんだ言っても現に買ってくれる人がいるというのは大きいよ。特に今は世界経済がこんなになっちゃってるから、売りたい国は沢山いるわな。

 

日比野 オバマ大統領も輸出を振興すると言ってますね。

 

K氏  まぁ、アメリカもそうかも知れないけども、もっと切羽詰まってるのは多分EUだよ。売れるものなら何でも売ってくるぞ。

 

日比野 そういえば、EUは中国に対して武器輸出を解禁するとか言ってますね。

 

K氏  武器でも何でも輸出できるものがある国はまだいいんだけども、それすらない国はもっと辛いわな。それこそ身売りしてでも生き残りを考えなくちゃいけない国もあるかもしれない。中国の圧力でノーベル平和賞の授賞式への参加を見送った国がいくつかあったよね。確かノーベル委員会だか、意外と辞退する国が多かったと言ってたように思うけども、あれも中国の影響力を示しているんだと思うよ。

 

日比野 う~ん。市場の魅力には勝てないということですか。

 

K氏  生きてくためには食っていかなくちゃならないからね。


日比野 今後、拡張する中国に対して日本はどう付き合っていくべきでしょうか?「中国がなくても日本経済はまったく心配ない」という説もあります。日本の対中輸出はGDPの2.8%しかないそうですね。

 

K氏  あなたねぇ、2.8%ったって、日本のGDPは500兆円あるんだよ。500兆円の2.8%は1.4兆円くらいだよな。GDPが1.4兆円っていったら大したものだよ。ジャマイカやホンジュラス、アフリカのボツワナとかと同じくらいあるんだよ。それが無くなったら途端に潰れる企業も沢山あるはずだ。彼らにとっては中国との付き合いがあるなしで自分達の生死がかかってるんだから必死だよ。それこそ経団連に根回したり、政府に陳情に行くんだよ。「献金します。選挙でも民主党を支持するから、どうか中国を敵に回さんでくれ」ってお願いして回るんだ。彼らの声が大きくなったら、政府だってほったらかしには出来ないんだよ。もちろん、国益を損なわないようにするのは基本だよ。だけど、中国をまるっきり無視することは日本にとっても良くないんだ。たとえば、日本と中国の仲が悪くなって対立したとする。すると今度は、世界の国が日本と付き合うべきか、中国と付き合うべきかの選択を迫られるようになる。さっきのノーベル平和賞ではないけども、アレとおんなじになるんだ。中国にしてみれば、「日本と仲良くするんだったら、あんたとこの国とは縁を切りますよ、レアアースも売りませんよ、どうするんですか。」と二者択一を迫ってくる。そうなると世界の国が困るんだな。アジアにGDP世界2位と3位の国がある。世界からみたら、どちらとも仲良く貿易やっていきたいけども、どっちかを選ぶしかなくなるとなったら、儲けが半分になるわけだ。そして下手をするとそれが戦争や内紛の火種にもなりかねないんだね。まぁ、日本にしてみれば、中国の存在が大きくなって、日中関係がどうなるとか二国間関係で考えがちになってしまうのは分からないではないけども、世界はそういう目では見ていない。グローバルな視点を忘れてしまうと反って危機を呼び込んでしまうわな。

 

日比野 先般、丹羽宇一郎大使が中国へのODAの強化を外務省に具申していましたけれども、あれは…。

 

K氏  大使の発言としていいかどうかは別として、商売人の論理ではあるわな。今は、日本の世論が中国に対して厳しくなっているから、丹羽大使の発言は、一見売国奴にみえるかもしれないけども、ああした発言で、バランスを取っているところはあるんだよ。ある意味、財界の代弁ではあるのでね。中国に対して「日本は強硬一辺倒ではありませんよ、商売もちゃんと考えてますよ」というところだな。ただ政治の論理としてそれに従うかどうかは別の話だけどね。

 

日比野 そうすると、鳩山前首相の東アジア共同体構想も視野にいれるべきということですか?

 

K氏  う~ん。まぁ、でも言ってみれば、東アジア共同体なんてもうあるんだよ。ある意味、中国がそうなんだ。中国は一国としてみれば、大国にみえるけども、中身をみれば、地域によって、民族も言語も経済力も全然違う省とか、自治区とかの集まりだよね。特に内陸部と沿岸部の所得格差は何倍にもなってる。ジニ係数も警戒ラインである0.4を超えてたと思うけども、中国の省なんて、人口は他のアジアの一国くらいの規模はあるわな。だから、省を"国"だと考えたら、中国は複数の国の共同体でもあるんだよ。それを中央政府が強権的に纏めてる。東アジア共同体は、要するに、経済力も言語も民族も全然違う国を統合してゆくという話だろう。それは、今の中国の姿でもあるんだね。



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