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直き真心持ちて 道に違ふことなく


まえがき

2009年夏、民主党への政権交代がおき、新しい政治への期待が高まりましたけれども、一年半たって現われたのは、民主党政権に対する失望と怒りでした。

 

果たして、政権交代とはなんだったのか。

 

本書は、民主主義に潜むリスクとコストとは何かについて考えを纏め、筆者のブログ「日比野庵本館」http://kotobukibune.at.webry.info/にて、エントリーした政治関連の記事の中でも特にこれは、と思うものを抜粋編集したものです。

 

混迷する日本の政治について考える一助となれば幸いです。


直き真心持ちて 道に違ふことなく 【目次】

まえがき

第一章 政治家の実力とマスコミ
 日本人が持つ帝王の理想像
 人徳と実力の両立
 征夷大将軍は帝に仕える存在
 マスコミにも据えられるお灸
 ポジティブキャンペーンとしての政治報道
 マスコミへの公的支援は是か否か

第二章 政治と宗教
 認識のギャップ
 政治家と預言者
 正義と正義のぶつかり合い
 権力を与えるもの
 信教の自由と政教分離の原則
 カルトが嫌われる理由
 政治の役目
 政治と宗教の役割分担
 健全な民主国家の条件
 経済大国の責任

第三章 世襲と民主主義のコスト
 民主主義のコスト
 政党助成金
 地盤・看板・鞄は民主主義のコストを最小化する
 鼓腹撃壌の日本
 徳治主義と民主主義の隙間
 世襲という看板
 一門の力
 民主主義のコストを薄く広く負担する
 直き真心持ちて 道に違ふことなく

特別対談 ~知人との世相についての対談~

あとがき

 


 

 

 

第一章 政治家の実力とマスコミ


日本人が持つ帝王の理想像

 2010年1月18日、民主党の小沢幹事長(当時)が、国会開会式にご臨席される陛下をお出迎えする列に並んだとの報道があった。先日行なわれた、中国の習近平国家副主席と、今上陛下との緊急会見を巡る問題で、色々と批難の声が集まったのだろうと思われる。流石に拙いとおもったのか、今回のお出迎えでは、陛下に深々と頭を下げたそうだけれど、まぁ遅い。

 

 国民感情としては、もしも、小沢幹事長が、先の緊急会見での自らの発言の不敬さを恥じ入っているのであれば、素直に謝罪して、謹慎・蟄居くらいしたらどうなんだ、となっていると思う。それなのに、例の土地取引問題に関して、自分は「法に触れることはしていない」だの「幹事長は止めない」だの言うものだから、陛下のお迎えもただのポーズなんだろう、と勘ぐられても仕方がない。だから、この期に及んで、いくら陛下をお迎えしたところで、精々、地に堕ちた信頼を、奈落の底に堕とさないようにするのが関の山。一度失った信頼を、取り戻すのが如何に大変かを思い知ることになる。

 

 世界最古の皇室を戴く日本国民は、君主のありかたを知っている。陛下を始め、太古から連綿と続く皇族の立ち振る舞いを、ずっと見てきているから。少なくとも、戦後60年だけを見ても、その立ち振る舞いは皇族の皇族たる所以を国民に示し続けてる。故に、日本人は、所謂、君主、帝王の理想像とでも言うべきものを皇室を通じて、共通イメージとして持っている。高貴な人というものはああいう存在なのだ、という共通認識がある。

 

 現憲法でさえも、陛下は日本の象徴と規定されている。日本の象徴であるのだから、日本人としてのあるべき姿がそこにある。日本人にとって帝王とは、陛下の如きものなのだ、という意識が当然の前提としてあるから、そこから外れる君主に対しては、とても厳しい視線を向ける。無論、それは、陛下が任命する内閣総理大臣、昔でいうところの征夷大将軍であっても例外じゃない。

 

 日本人は、不遜な征夷大将軍は認めない。とりわけ、陛下を蔑ろにするような将軍は絶対に許さない。だけど、その征夷大将軍であるところの総理大臣は、議院内閣制であるが故に、直接国民が選ぶことはできず、また、内閣総理大臣の任命に当たって、陛下はそれを拒否することができない。つまり、日本国民は陛下を通じて、日本の統治者は高貴であるべきだ、というイメージを持っていて、それを了としているにも関わらず、現実の統治者である総理大臣を、直接選挙で選んでいる訳ではない、というジレンマを抱えている。だから、もし、総理に品格なり、何らかの問題があったとして、自分達の統治者として相応しくない、と思ったとしても、総理が解散総選挙をしない限り、直接辞めさせる手段がない。したがって、日本国民は、支持率というものを通じてしか、自分達の意思を表明できない。



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