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ロボット
しかしここからなかなか前へ進まない。手足はまさに歩くがごとく動かしているのだが身体の位置はそのままなのだ。どうやら頭がつかえているらしい。ここの出口は高さが176cmのはずである。ちゃんと計ったのだ。
・・・・出れないはずである。足の裏に後からローラーをつけたのを忘れていた。そのぶん2cmは高くなっている。だから上記のスペックでの身長175cmは誤りで正しくは177cmだ。ロボットはまだ出られないでいる。このまま一生部屋からでられないのか?
そんなことはない。「頭を下げろ!」とロボットに言った。ロボットは亀ではないので首を平行移動で縮めて頭を下げることはできない。首の関節を支点にして回転運動で、顔面が床を見る方向に頭を下げるしかない。
しかし不幸にしてロボットの頭は立方体である。つまり横から見ると正方形である。正方形は、その支点の位置で条件は若干異なるが、押並べ て回転するとその途中で高さが高くなるのだ。ロボットでいえば後頭部のカドが前に移動するのと同時に上にも行くのだ。しかも頭の一点が接触してるため身体 は後ろの方に強制される。しかしロボットは前に進もうとして手足を動かしている。
各関節のモーターに相当なストレスが溜まり始めているはずである。早速セルモーターが始動してダイナモが回りはじめた。ラジコン用のエンジンが回るということは内燃機関が稼働しているので排気ガスも出る。排気ガスが出ればガス漏れ感知器が黙ってはいない。
だんだん凄まじい光景になってきたのでロボットに命令した「膝もまげろ!」これを聞いてロボットはいきなり膝を曲げたので一瞬にして外にでられた。あまりの一瞬さに消えたのかと思った。
廊下に出たロボットは頭を下げ、膝を曲げたままジーコジーコと苦しそうに歩いていた。膝を曲げたまま歩くためにはかなり高度な平行感覚維 持の制御が必要で常時膨大な量の演算処理を続ける必要があり消費電力もアップするためダイナモは回り続けることになりガス漏れ感知器もビービー鳴りっぱな しとなる。

斎藤忍