目次
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A
A-1 【釧路湿原国立公園交通事情】 … 概況
A-2 【釧路湿原国立公園交通事情】 ・・・ 道路情報
A-3 【釧路湿原国立公園交通事情】・・・JR釧網本線を利用して①
A-4 【釧路湿原国立公園交通事情】・・・JR釧網本線を利用して・・・②
A-5 【釧路湿原国立公園交通事情】…バスを利用して
A-6 【釧路湿原国立公園交通事情】…その他の交通手段
A-7 【釧路湿原国立公園交通事情】…釧路川堤防の利用について
A-8 【湿原展望地ミニガイド】…①岩保木山・岩保木水門周辺
A-9 【湿原展望地ミニガイド】…②細岡・達古武沼周辺
A-10 【湿原展望地ミニガイド】 …③塘路湖・サルボ周辺周辺
A-11 【湿原展望地ミニガイド】…④シラルトロ沼周辺
A-12 【湿原展望地ミニガイド】…⑤ コッタロ湿原周辺
A-13 【湿原展望地ミニガイド】…⑥キラコタン岬周辺
A-14 【湿原展望地ミニガイド】…⑦宮島岬岬周辺
A-15 【湿原展望地ミニガイド】…⑧北斗、温根内周辺(その1)
A-16 【湿原展望地観にガイド】…⑧北斗、温根内周辺(その2)
A-17 【細岡展望台からの鳥瞰】
A-18 【野営場(キャンプ場)情報
A-19 【公園内外の行事やお祭】
A-20  【タンチョウの給餌場情報】 …その1
A-21 【タンチョウの給餌場情報】 …その2
A-22 【タンチョウの給餌場情報】 …その3
B
B-1 【釧路湿原の生い立ち】
B-2 【釧路湿原のまわりには多くの遺跡がある】
B-3 【釧路川】…①概況
B-4 【釧路川】…②釧路川推計とその流域
B-5 【釧路川】 ③大正9年の大洪水
B-6 【釧路川】 ④釧路川の治水 その1
B-7 【釧路川】…⑤釧路川の治水(その2)
B-8 【湿原の瞳。谷地眼】
B-9 【海跡湖】
C
C-1 【湿原には3つのタイプがある】
C-2 【ヨシとスゲ】 …湿原の主役?脇役?
C-3 【ヨシとスゲの観察】
C-4 【ミズゴケ湿原】 …その発達は年1ミリ
C-5 【湿原景観の演出家・ハンノキ林】
C-6 【湖沼に生活する直物(水草)】
C-7 【マリモの種類と生育地】
C-8 【湿原周辺で見られる樹木は約30種】
C-9 【釧路湿原の花暦】…①
C-10 【釧路湿原の花暦】…②
C-11 【釧路湿原の花暦】…③
C-12 【谷地(野地)坊主はどうして作られる】
C-12 【谷地(野地)坊主はどうして作られる】
C-13 【湿原の植物と人間】…"湿原の植物生産性"と北方民族の知恵①
C-14 【湿原の植物と人間】…"湿原の植物生産性"と北方民族の知恵②
C-15 【湿原と人間社会のかかわり】 …湿原の機能と利用①
C-16 【アイヌ民族における有用植物】…①
C-17 【ヨシはアイヌ民族の大事な建築資材】
C-18 【ヒシの実、ペカンペ】…pe(水)ka(の上)un(にある)pe(もの)
C-19 【ノリウツギ(糊空木)】 …北海道ではサビタ
C-20 【マコモの実は野生の米(ワイルドライス)】
D
D-1 【釧路湿原の動物相】
D-2 【釧路湿原の哺乳類】
D-3 【エゾシカの生活】
D-4 【湿原のエゾシカ】
D-5 【リス】 …齧歯目・リス科の小型哺乳類
D-6 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥①
D-7 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥②
D-8 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥①
D-9 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥②
D-10 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …河川、湖沼の鳥
D-11 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …田園、都会の鳥
D-12 【釧路湿原とその周辺で見られる主な野鳥】 …①
D-13 【タンチョウの生活】…①
D-14 【タンチョウの生活】…②
D-15 【タンチョウの生活】…③
D-16 【タンチョウの生活】…④
D-17 【タンチョウの生活】…⑤
D-18 【タンチョウの保護増殖事業】
D-19 【タンチョウの給餌場の条件】
D-20 【タンチョウの被害と事故】
D-21【タンチョウ小史】…①
D-22 【タンチョウ小史】…②
D-23 【釧路湿原で見られるワシ、タカ類】
D-24【シマフクロウ(亜種、エゾシマフクロウ)は神の鳥】
D-25【日本に渡来するハクチョウ】
D-26 【渡りのチャンピオン「オオジンギ」】
D-27【動物たちのメッセージ(足跡)】
D-28 【おしゃれな旅人(カモ類)】
D-29 【森の中は住宅難(巣穴)】
D-30 【動物たちの食事あと(食痕)】
D-31 【釧路湿原にすむ魚】
D-32 【湿原の主「イトウ」】
D-33 【湿原のホタル】
D-34【トンボ─釧路湿原は日本で貴重な生息地】
D-35 【釧路湿原だけにすむ「キタサンショウウオ」】
E
E-1 【釧路地方1年の気象の移り変わり】
E-2 【釧路湿原を作った気候】
E-3 【釧路はなぜ霧が多い】
E-4 【湿原おろし】
E-5 【天気を当てる ─観天望気とは─】
E-6 【釧路地方のお天気・一口メモ】
E-7 【塘路湖の御神渡り】
E-8 【スター・ウォッチングと星座】
E-9 【四季の星座】
F
F-1 【開拓夜話(1)・鳥取士族】
F-2 【開拓夜話(2)・貫誠社】
F-2 【釧路川を五十石船が行く】 ─地名の話─
F-3 【塘路湖のペカンペ祭り】
F-4 【アイヌ民話】 ─釧路湿原にクジラがいた─
【アイヌ民話 ─湿原と丹頂─】
F-5 【アイヌ民話 ─遠矢のチャシとタンチョウヅル─】
【アイヌ民話 ─オオジンギ(白糠に伝わる神話)─】
F-6 【アイヌ民話─蚊の長老の娘とアイヌの英雄─】
F-7 【アイヌ語─地名の話─】
【アイヌ語─地名に出てくる主な単語─】
F-8 【アイヌ語─地名の解釈─】
F-9 【アイヌ語─地名の解釈─】…②
G
G-1 【日本の自然保護制度】
G-2 【日本の自然公園制度の歴史】
G-3 【日本の自然公園制度】
G-4 【世界の国立公園】
G-5 【釧路湿原国立公園の誕生まで】 …釧路湿原保護行政の歴史
G-6 【釧路湿原国立公園】
G-7 【自然公園の保護と利用】…①保護のための規制
G-8 【自然公園の保護と利用】…②保護のための開発規制
G-9 【自然公園の保護と利用】…③保護のための費用負担
 G-10 【自然公園の保護と利用】…④自然公園の利用
G-11 【自然公園の保護と利用】…⑤利用のための施設等の整備
G-12 【国設・釧路湿原鳥獣保護区】
G-13 【天然記念物・釧路湿原】
G-14 【野生動植物保護と国際協力】
G-15 【ラムサール条約】…①
G-16 【ラムサール条約】…②
G-17 【渡り鳥保護の国際協力】
G-18 【渡り鳥保護条約】
G-19 【ワシントン条約って何】
G-20 【昭和60年釧路湿原の火災】
G-21 【釧路湿原の水利用】
G-22 【8月第一日曜日は「自然公園クリーンデー】
G-23 【自然解説の目的と考え方】
G-24 【自然解説(観察)の実際】
エピローグ
[参考文献]
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G

G-1 【日本の自然保護制度】

 昭和46年7月に環境庁が設置され、それまで厚生省国立公園部で行われていた自然公園に関する行政と林野庁において行われていた野生鳥獣の保護及び狩猟関係の行政が一本化され、自然保護行政は、環境庁において一元的に推進されることになりました。
 現在、我が国の自然環境保全のための行政は、環境庁が所管する法律ばかりでなく、裏面の図にまとめられるような法律によって行われていますが、これら以外の法律の中にも部分的ではあるにせよ、何らかの形で自然環境の保全に関する規定が入っているものが多くあります。これらの法体系は自然環境保全法を基本とし、環境庁が関係行政機関の総合調整をおこないつつ運営にあたっています。 
 自然環境保全法は、自然環境の保全に関し基本となる事項を定めるとともに、自然公園法など他の自然環境の保全を目的とする法律と相まって、自然環境の適正な保全を総合的に推進することを目的としています。この法律に基づき①自然環境保全基本方針の策定(昭和48年策定)、②「緑の国勢調査」と呼ばれる自然環境保全基礎調査の実施、③原生自然環境保全地域(人の活動の影響を受けることなく原生の状態を維持している地域)、自然環境保全地域(高山・亜高山植生、優れた天然林等優れた自然環境を維持している地域)の指定などを行っています。


G-2 【日本の自然公園制度の歴史】

 日本で「国立公園」をつくろうという初めての動きが起きたのは明治44年(1911)のことです。この年、衆議院で富士山一体を「国設大公園」にしようという「国設大公園設置ニ関スル建議案」が提案され、この時、自然保護についての議論もされたということです。当時はまだ、国立公園という名称は一般的ではなかったので国設大公園という言葉が使われたのでしょう。しかしこの建議案が実現するのはだいぶ後のことです。政府として国立公園を作るための法律の準備や、国立公園法が制定されたのは大正9年(1920)頃からのことです。そして国立公園法が制定されたのは昭和6年(1931)、国立公園が実際に指定されたのは昭和9年(1934)のことでした。昭和9年3月には瀬戸内海、雲仙、霧島、12月に阿寒、大雪山、日光、中部山岳、阿蘇国立公園が指定され、続いて昭和11年には4つの国立公園が指定され12の国立公園が誕生しました。
 次は、戦後の昭和21年の伊勢志摩の国立公園の指定ですが、昭和32年には、それまでの「国立公園法」に代わって「自然公園法」が制定され、ここに初めて3種類の自然公園、すなわち、国立公園の他に新しく国定公園、都道府県立自然公園が生まれることになりました。 自然公園行政は今、昭和46年発足した環境庁に引き継がれています。


G-3 【日本の自然公園制度】

 自然公園には、国立公園、国定公園、都道府県立自然公園がありますが、昭和6年に制定されたそれまでの国立公園法にかわって昭和32年制定された自然公園法によって指定されています。この法律は「すぐれた自然の風景地を保護することとともに、その利用の増進を図り、もって国民の保険、休養及び教化に資することを」目的としていますが、国立公園は「我が国の風景を代表するに他散る傑出した自然の風景地で」環境庁長官が指定します。国定公園は国立公園に準ずるすぐれた自然の風景地であって都道府県の申し出によって環境庁長官が指定するものです。都道府県立自然公園は都道府県が指定します。


国土面積は 37,771,976ヘクタールです。(国土地理院の資料)


G-4 【世界の国立公園】

〇世界で初めての国立公園は、アメリカ合衆国のイエローストーン国立公園で1872年に指定されました。1870年この地域を調査したウォシュバン・ランクフォード探検隊によって「国家のシンボルとなるような大自然は、国家の財産として現在及び未来の人々のために保護していく必要がある。永久的に国民の公園として管理するために国立公園として留保する」というアイディアが出され国立公園が誕生しました。
〇それから間もなくオーストラリア、ケニア、カナダ、ニュージーランドなどで次々と国立公園が指定されました。これらの国は、新大陸の国で広大な原始地域があり、しかも国有地が多く公園の指定は容易でした。
〇アジア、ヨーロッパ、日本など人口が多く古くから土地利用が進んでいた国では、アメリカ型の国立公園の指定は容易ではなく、独自の制度を設け20世紀に入ってから国立公園の指定が進みました。
〇1985年現在、国立公園がある国は103か国1030か所、総面積は234,379,886ヘクタールです世界の全陸地面積の1.73%にあたります。

【世界の国立公園と日本の国立公園】
アメリカ・カナダ型国立公園(常造物公園)
 国立公園の土地は原則として国有地で、国が公園専用地域として管理するもので、「常造物公園」と呼ばれます。日本でも、都市公園や環境庁が所管する国民公園(新宿御苑、皇居外苑、京都御苑など)は営造物公園です。

日本・イギリス型国立公園(地域制の公園)
 日本の国立公園の中の土地は国有地、公有地あり、民有地もありで様々で、公園専用地域はごくわずかです。国有地であっても大半が国有林であるなど公園専用地域ではありません。このように土地の所有形態にかかわりなく、法律によって一定の地域を指定し、自然の風致・景観を保護するために、各種行為を制限する制度で「地域制の公園」と呼ばれます。日本の自然公園は皆同じです。


G-5 【釧路湿原国立公園の誕生まで】 …釧路湿原保護行政の歴史

〇タンチョウ保護の歴史と天然記念物指定
1935:(昭和10年8月27日)釧路湿原のうち2,700ヘクタールが、史跡名勝天然記念物保存法に基づき「釧路丹頂鶴藩殖地」として天然記念物に指定される。
1952:(昭和27年3月29日)史跡名勝天然記念物保存法に代わって制定された文化財保護法に基づき、上記地域が「釧路のタンチョウ及びその繁殖地」として名称変更されるとともに、特別天然記念物に指定される。面積が2,749ヘクタールとなる。
1967:(昭和42年6月22日)タンチョウそのものが、生息地に関係なく特別天然記念物に指定される。
(昭和42年7月6日) 天然記念物の地域は、4.、02ヘクタールに拡大され、名勝「釧路湿原」となる。

〇鳥獣保護区等の指定
1972:「タンチョウ」が特殊鳥類の譲渡等の規制に関する法律に基づく特殊鳥類となる。
1969:(昭和44年3月26日)天然記念物地域と同じ5,012ヘクタールが「鳥獣保護及び狩猟ニ関スル法律にもとづき「国設クッチャロ太鳥獣保護区」が設定され、うち3,833ヘクタールが特別保護地区に指定される。
1989:(平成元年4月1日)鳥獣保護区が10,940ヘクタールに拡大され、うち特別保護地区が6,490ヘクタールとなり、名称が「国設釧路湿原鳥獣保護区」に変更される。

〇ラムサール条約登録
1980:(昭和55年10月17日)鳥獣保護区5,012ヘクタールが「ラムサール条約」(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)の登録湿地に指定される。
1989:(平成元年7月6日)ラムサール条約登録面積が7,726ヘクタールに拡大される。

〇国立公園の指定
1987:(昭和62年7月31日)釧路湿原と周辺丘陵地を含み、釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村にまたがる26,861ヘクタールが、我が国28番目の国立公園、釧路湿原国立公園に指定される。
(同年10月1日)釧路湿原国立公園管理事務所開設(釧路市内)


G-6 【釧路湿原国立公園】

 昭和62年7月31日、わが国28番目の国立公園として誕生した釧路湿原国立公園は釧路湿原の主要な部分16,552ヘクタールと湿原の東側のシラルトロ沼、塘路湖、達古武沼の海跡湖、及び周辺丘陵部を含み、釧路市、釧路町、標茶町、鶴居村の1市2町1村にまたがる26,861ヘクタールの区域です。この公演は、山、森と湖、海といった、それまでの国立公園の風景のタイプとは違って、湿原という、平野部に残された広大な水平的風景であることに その特徴があるといえます。環境庁の第2回自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)によれば、釧路湿原はわが国最大の湿原で、その面積21,440ヘクタールはわが国に存在する湿原総面積の約60%を占めています。かつては全国的に分布していた平野部の湿原の多くが水田になり、あるいは市街地化するなどして分断され、消失していった中で、釧路湿原がなお我が国を代表するに足りる傑出した自然の風景地としての資質を保っていたことも、国立公園指定の大きな理由になりました。
 釧路湿原はまた、高層、中間、低層湿原それぞれに特徴的な植生が見られるばかりでなく、特別天然記念物のタンチョウはじめ、わが国最大の淡水魚イトウ、氷河期からの遺存種キタサンショウウオ、エゾカオジロトンボなど貴重な野生動物の生息地としても重要な地域でもあります。

釧路湿原国立公園土地利用現況


釧路湿原国立公園保護計画
 保護に関する方針
 本公園の核心部となる釧路湿原の優れた景観、豊かな自然性を厳正に保護することを主眼とする。
 塘路湖等の湖沼は湿原警官に変化を添える優れた景観構成要素であり、また、適正な利用の増進の観点からも重要であることから適切な保護を図る。
 湿原及び湖沼をとりまく丘陵地については、湿原と一体的な景観をなす風景の保護、湿原生態系の保護を図るための集水域の保全、展望利用のための良好な利用環境の確保等の観点から適切な保護を図る。

G-7 【自然公園の保護と利用】…①保護のための規制

 自然公園については、その指定の目的である、自然の保護と利用の増進を図るための公園計画が定められ、これに基づいて、森林の伐採、建物の建築など、風致景観の現状を変更する行為を規制するとともに、利用のための施設などを整備する事業が計画的に行われる仕組みがとられています。
 国立、国定公園の区域は、その風致景観を保護する必要性の度合いに応じて、特別保護地区、第一種特別地域、第二種特別地域、第三種特別地域及び普通地域に区分され、普通地域以外の区域(これを特別地域と総称します。)においてはその区域内の自然環境に影響を及ぼす行為、例えば立木の伐採、宅地の造成、工作物の設置などを行う場合には、環境庁長官あるいは都道府県知事の許可を受けなければなりません。
 許可を必要とする行為の範囲や許可の基準は上記の区域の種類ごとに異なりますが、特別保護地区が最も強い規制を受けます。普通地域における行為については、許可を受ける必要はありませんが、事前に届け出を行うこととされています。
 なお、都道府県立自然公園においては特別保護地区および海中公園地区の指定は行われませんが、それ以外については、条例により、国立、国定公園とほぼ同様な規制が行われています。

【参考】
 自然公園(国立・国定公園)の特別地域の中では次にあげる行為をするときは国立公園では環境庁長官の、国定公園では都道府県知事の許可を受けなければなりません。
1.工作物を新築し、改築し、または増築すること
2.木竹を伐採すること。
3.鉱物を掘採し、または土石を採取すること。
4、河川、湖沼等の推移または水量に増減を及ぼさせること
4-2 環境庁長官が指定する湖沼または湿原及びこれらの周辺1キロメートルの区域内において当該湖沼もしくは湿原またはこれらに流水が流入する水域もしくは水路に汚水又は廃水を排水設備を設けて排出すること。
5、広告物そのたこれに類するものを掲出し、若しくは設置し、または広告そのたこれに類するものを工作物等に表示すること
6.水面を埋め立て、または干拓すること
7.土地を開墾しその他土地の形状を変更すること
8、高山植物その他これに類する植物で環境庁長官が指定するものを採取すること。
9.屋根、壁面、へい、橋、鉄塔、送水管その他これらに類するものの色彩を変更すること。

また、特別保護地区の中では、上にあげた行為に加えて、次の行為をするときも許可が必要です。
1.前条第3項各号に掲げる行為(上にあげた9つの行為の事です。)
2.木竹を植栽すること
3.家畜を放牧すること
4、屋外に置いてものを集積し、又は貯蔵すること
5.火入又はたき火をすること
6、植物または落ち葉若しくは落枝を採取すること
7.動物を捕獲し、又は動物の卵を採取すること
8.道路及び広場以外の地域内へ車馬を入れること。


G-8 【自然公園の保護と利用】…②保護のための開発規制

 私たちの国土の美しい自然は、私たちが祖先から引き継いだ国民共有の財産であり、私たちの世代だけが享受するものではなく、私たちの子孫にまで永く伝えるべきものと考えられます。
 また、自然はひとたび破壊されると復元することが極めて困難なものです。
 このような意味で、自然はかけがえのないものですが、とりわけ自然公園は、特に優れた自然の風景地として位置付けられたものですので、その自然環境に開発の手を加える場合は特に慎重な配慮が必要です。このため、自然公園においては自然景観お保護が特に必要な特別地域において、一定の開発行為の規制を行っているのです。
 限られた国土に1億1千万人もの人々が生活している我が国では、自然公園内においても産業活動や生活利便のtあめに道路や発電所の建設など各種の開発を求める声が常に聞かれます。このような場合にも自然保護との調整を図る観点から、それらが本当に必要なものかどうか、自然公園の区域以外に代替地を求めることができないか、開発の規模や方法などを自然との調和が図られるようにさらに工夫する余地はないかなどについて、慎重な検討を行う必要があります。


G-9 【自然公園の保護と利用】…③保護のための費用負担

 自然公園における開発規制は土地所有者などが開発によって受けることを期待している利益を奪い、あるいは減少させることがあります。開発規制によって美しい自然が維持されればそれによって利益を受けるのは自然公園を利用する国民全体であり、開発規制は国民全体の利益、すなわち公共の利益のために行われるものと考えられますので、土地所有者の方々には規制に伴うある程度の負担については協力して頂く必要があるでしょう。しかし、その負担が著しく過大なものとなった場合には何らかの救済手段が必要です。
 このような土地所有者の負担の軽減を図るため自然公園の特に重要な区域内の土地については固定資産税の減免んの措置が講じられています。また、自然公園法では、国立、国定公園の特別地域内で開発行為が許可されなかったこと等によって損害が生じた場合には国がその損失を補償する規定を設けています。さらに、規制が厳しく、私権との調整が困難な国立、国定公園の特別保護地区や第一種特別地域の土地については、国の助成を受けて、都道府県がこれを買い上げる道が開かれています。
 以上のような開発規制に伴う負担の他にも、自然公園の快適な環境を維持していくためには、特別の費用を必要とする場合が少なくありません。
 たとえば、多数の利用者が訪れる自然公園の主要な利用拠点においてはゴミなどの清掃が必要となり、このための費用をだれが負担すべきかという問題が生じます。これまでこのような費用は国や都道府県、市町村などの公的な負担や、地元関係業者などの負担によってまかなわれてきました。しかし、費用の増加とともに、自然公園の快適な利用によって利益を受ける利用者からも応分の負担を仰ぐべきではないかという考え方が出てきました。
 このような考え方に従って昭和54年には財団法人自然公園美化管理財団が発足し、国立公園の公共駐車場の利用者からの協力料をもとに、周辺の美化清掃や公共施設の管理などの事業が始められています。
 美しい自然に親しみたいと願う心は人間本来のものであるばかりでなく、きわめて大切なものですが、そのための自然の保護が、地元住民などの一方的な犠牲の上になりたつものであれば決して長続きするものではありません。
 このような観点から、利用者の側の負担を含めた適切な費用負担の在り方を考えることは極めて重要な問題であると思われます。


 G-10 【自然公園の保護と利用】…④自然公園の利用

 自然公園は多くの人々によって利用されていますが、自然が長い歳月をかけて創り出した景観を、今生きている私たちが利用させてもらっているともいえます。 私たちは自然公園を利用することによってこれをむやみに壊してしまわないようにする義務も負っています。
 自然公園の利用は、一言でいえば、優れた自然の風景地において、澄んだ大気の中で、日ごろ疎遠になりがちな自然とふれあい、心身の保養、健康の増進を図るとともに、自然の中から多くの事を学ぶことにその本来の姿があるように思われます。
 このような観点から、自然公園においては、できるだけ自分の体で、自分の目や耳で、直接に自然に接触することが望ましいと思われます。山や野を「歩き」、海で「泳ぎ」、キャンプなど自然の中で「泊り」、風景や鳥や植物を「見る」ことなどがその例としてあげられるでしょう。特に、自然に接触するためには、自分の足であるくことが基礎となるものですし、汗を流して山野を跋渉することによって得られる心身の爽快感はこれを味わった人には忘れられないものとなるでしょう。このような意味で「歩く」ことはいわば自然の扉おw開き、自然との一体感を体得するために不可欠な行為であるといっても過言ではありません。
 自然はまた私たちに生命の神秘を教えてくれる優れた教室です。自然公園においては、自然教育のための施設として、その地域にみられる動植物や地形、地質の特色などについて解説し、あるいは標本等を展示したビジターセンターや、散策しながら自然の姿や営みを観察するための自然研究路などの整備が進められているのでこれらの施設の積極的な利用が望まれます。


G-11 【自然公園の保護と利用】…⑤利用のための施設等の整備

 自然公園の利用を促進するためには道路、駐車場、宿舎、ビジターセンター、キャンプ場などの施設が、周辺の自然環境を損なわないように、適切に整備される必要があります。このため、あらかじめ公園計画において、これらの施設の配置が認められ、個別の事業の実施にあたっても、それが適切なものであるかどうか、認可等によって確認されるしくみがとられています。
 また、これらの施設のうち、道路、駐車場、ビジターセンター、キャンプ場などの公共的な施設は国や地方公共団体が整備します。ホテル、旅館などの有料施設については、国民休暇村や国民宿舎など公的機関が設置、運営するものもありますが、一般的に民間の業者が設置、運営を行っています。
 なお、環境庁は、自ら公共的な施設の整備を行うほか、都道府県がこれを行う場合にも補助金を交付し、施設整備の促進に努めています。


G-12 【国設・釧路湿原鳥獣保護区】

 長寿保護区は環境庁長官(国設)又は都道府県知事(都道府県設)が鳥獣の保護繁殖を図るため必要があると認めるとき「鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律」に基づき設定されますが、釧路湿原の核心部、天然記念物地域と同じ5,012ヘクタールは、昭和44年3月26日「国設クッチャロ太鳥獣保護区」として設定され、内3,833ヘクタールが特別保護地区に指定されました。そして、平成元年4月1日には、名称が「国設釧路湿原鳥獣保護区」に変更されるとともに、それまでの「道設シラルトロ・塘路鳥獣保護区も取り込んで、面積が10,940ヘクタールに拡大され、特別保護地区も、国立公園の特別保護地区と同じ区域6,490ヘクタールになりました。
 鳥獣保護区はそれぞれ設定目的を持っています。多くの種とその個体数も多い森林、干潟、湖沼、湿地などの集団渡来地、あるいは集団繁殖地を保護するためなどですが、釧路湿原はタンチョウを対象とした「絶滅のおそれのある鳥獣又はそれに準ずる鳥獣の保護を図るための)特定鳥獣生息地の保護区です。
 鳥獣保護区では鳥獣の捕獲が禁止されるほか、国又は都道府県によって保護繁殖のための施設が設置されます。また、特別保護地区では、水面の埋め立て、立木竹の伐採、工作物の設置等については、軽微なものを除き、環境庁長官又は都道府県知事の許可を必要とします。


G-13 【天然記念物・釧路湿原】

 天然記念物保護行政は大正8年(1919)、わが国のすぐれた風景や名勝さらには学術上貴重な動植物、岩石、地形、地質などを保護、保存することを目的として「史跡名勝天然記念物保存法」が制定されたことに始まります。
 その後、昭和25年(1950)年に、この法律と国宝保存法、重要美術品等保存ニ関法律が統合強化され「文化財保護法」が制定され今日に至っています。
 天然記念物は学術上貴重で我が国の自然を記念する①動物②植物③地質鉱物④天然保護区域(保護すべき天然記念物に富んだ代表的一定の区域)が一定の基準に従って指定され、特別天然記念物は、天然記念物のうち世界的に又国家的に価値が特に高いものが指定されます。
 釧路湿原は、昭和10年8月27日(1935)、その一部2,700ヘクタールが「釧路丹頂鶴藩殖地」として天然記念物に指定され、昭和27年3月29日(1952)には「釧路のタンチョウ及びその繁殖地」として名称変更されるとともに、特別天然記念物に指定され、面積が2.749ヘクタールとなりました。さらに、昭和42年6月22日(1967)、タンチョウそのものが、生息地に関係なく特別天然記念物に指定されるとともに、昭和42年7月6日、「釧路湿原」は、5,012ヘクタールに拡大された地域が「天然保護区域」として天然記念物となりました。


G-14 【野生動植物保護と国際協力】

 野生動植物の保護のために必要な手段は、まず、生息あるいは生息する環境が十分に保全されること、乱獲が行われないようにすることです。また、外来種の移入によって在来種が悪影響を受けないような配慮も必要です。このような保護の対策はそれぞれの国によって異なりますが、わが国では自然公園、自然環境保全地域、鳥獣保護のような地域を設けたり、狩猟や採取を規制したりして、その保護を図っています。しかし、渡り鳥や国境を越えて生息する動物の保護を考える場合には、一つの国だけの保護措置では十分とはいえず、国と国との間の協力が必要となってきます。たとえば、水鳥の生息地として国際的に重要な湿地を保全するためのラムサール条約や、渡り鳥の保護に関する条約があるのもこのためです。
 我が国も子のラムサール条約に加盟しているほか、アメリカ、中国、オーストラリア、ソ連とそれぞれ条約や協定を結んで渡り鳥の保護や情報の交換をしています。
 さらに、経済的価値の高い野生動植物は、需要が多ければ商取引の対象となりがちで、結果として乱獲される恐れも強いことから、国際取引に関しても一定の規制が必要になります。



G-15 【ラムサール条約】…①

1.正式名称:「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」
(The Convention on Wetlands of International Importance especially as Waterfowl Habitat)
 この条約は1960年代に、湿地の保全に関心の深かったヨーロッパ諸国と国際水禽調査局(IWRB)とによって何回か開催された国際会議で起草され、1971年2月2日にイランのラムサールという都市で開催された「湿地及び水鳥の保全のための国際会議」に参加した18か国が署名し採択されました。この条約が一般にラムサール条約と呼ばれるのはこのためです。

2.生い立ち(なぜこの条約が作られたか)…湿地は地球上でもっとも生産力の高い生態系であるといわれ、何百種類もの水鳥はじめ、多種多様な生物にその住家を提供し、洪水や渇水を調節する天然の巨大なスポンジとしての役割も果たしています。
湿地はこのように生物学、水文学、そして経済学的にみても非常に重要な存在でありながら、ここ数10年間に世界上のいたるところで排水、干拓、汚染などによって驚くべき早さで姿を消してしまいました。「現在及び将来にわたって進行しつつある湿地の神職や消失を阻止する(条約前文)」ための国際的な協力体制を作り上げることを目的としてこの条約は作成されました。

[ラムサール条約加盟国]…地域別の締約国は次の通りです。このうちパナマは加盟しているものの加盟の際義務付けられている湿地を登録していません。
アフリカ:16か国…南ア、セネガル、モロッコ、チュニジア、モーリタニア、アルジェリア、ガボン、ニジェール、マリ、ガーナ、ウガンダ、エジプト、ギニアビサオ、ケニア、チャド、ブルキナファソ
アジア:8か国…イラン、パキスタン、ヨルダン、日本、インド、ネパール、ベトナム、スリランカ
東ヨーロッパ:6か国…ブルガリア、ソ連、ユーゴスラビア、ポーランド、ハンガリー、チェコ
西ヨーロッパ:18か国…フィンランド、ノルウェー、スゥェーデン、ギリシャ、イギリス、スイス、ドイツ、イタリア、デンマーク、アイスランド、オランダ、ポルトガル、スペイン、オーストリア、アイルランド、ベルギー、フランス、マルタ
中南米:8か国…チリ、ウルグアイ、スリナム、ベネズエラ、グァテマラ、ボリビア、エクアドル(パナマ)
北米:3か国…カナダ、メキシコ、USA
オセアニア:2か国…オーストラリア、ニュージーランド


G-16 【ラムサール条約】…②

3.この条約に加盟している国(締約国)…この条約は、条約の規定によりオーストラリア、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン、南アフリカ、イランに次いでギリシャが7番目の締約国となった4か月後の1975年12月21日に発効しました。日本が25番目の締約国(東西ドイツが統一されたので現在は24番目)となったのはそれから5年後の1980年10月17日です。この条約に加盟する際に最低1か所の湿地を「国際的に重要な湿地に係る登録簿(List of Wetrand of International Importance)」に登録する義務がありますが、日本は釧路湿原を登録しました。現在(1990年10月)の締約国数は61か国(東西ドイツを統一ドイツとして)です。
4.登録湿地数…1990年10月現在、全世界では508か所、総面積30万平方キロメートル以上の湿地が登録されています。登録湿地数のもっとも多い国は45か所のイギリスとイタリアでそれぞれの総面積は173,257ヘクタール、54,458ヘクタールです。総面積のもっとも大きい国はカナダで30か所12,937,549ヘクタールが登録されています。次いでオーストラリアの39か所4,477,861ヘクタール、ソ連の12か所2,987,185ヘクタールです。 
 日本は条約加盟の際、釧路湿原を登録しましたが、その後2か所の湿地を登録しています。


G-17 【渡り鳥保護の国際協力】

 鳥類の多くは、非繁殖期を繁殖地から遠く離れた場所で過ごします。このように年に一度、繁殖地と非繁殖地との間を往来する季節的移動を「渡り」といい、渡りをする習性を持った鳥を「渡り鳥」と呼んでいます。渡り鳥は国境を越えてときに数千キロ数万キロの渡りをする種もいます。
 我が国では渡り鳥やその生息環境の保護などを目的とした条約または協定をアメリカ、オーストラリア、中国及びソ連との間に締結し、国際協力に努めているほか、IWRB(International Warefoel Research Bureau国際水禽調査局)などの国際機関よる活動を通じ、他の国々と情報交換などを行っています。こうした国際協力によって、渡り鳥のたどるコース全体にわたって保護が行われています。
 渡りのコースについての研究は、鳥を捕獲して足環などをつけ(バンディング)移動した場所で回収する標識調査、飛行機による追跡、レーダーによる探索など方法で行われています。日本では現在、環境庁が設置した全国55か所の鳥類観測ステーションを中心として、資格を持ったボランティアの人々の協力を得て、年間10万羽に標識の装着を行い調査しています。こうした調査によって、今日まで行先のわからなかった鳥や移動しないと考えられていた鳥についても、その実態が明らかになってきています。


G-18 【渡り鳥保護条約】




G-19 【ワシントン条約って何】

 ワシントン条約は正式名称を「絶滅おおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」(SITES:The Convention on International Trade in Endandered Specues of Wild Fauna and Flora)といい、絶滅のおそれのある野生動植物の輸出入などについて一定の規制を国際協力のもとに実施することによりその目的を達成しようとするものです。1972年6月、ストックホルムで開かれた国連人間環境会議において出された「絶滅のおそれのある野生動植物の種の保護を図るため、国際間の取引に関する条約の早期制定の韓国」を受け、国際自然保護連合(IUCN)が中心となり条約作成の準備が進められ、1973年にワシントンで開催された本条約採択会議で採択され、2年後の1975年に効力が発生しました。
 我が国は、国内体制の整備や関連業界との調整のため加入が遅れ、1980年に加入しました1989年4月現在の締約国数は103か国です。
 この条約は、国際取引の規制によって保護すべき野生動植物を、現在置かれている絶滅のおそれの状況に応じて3つのカテゴリに区分し、それぞれ付属書Ⅰ、付属書Ⅱ、付属書Ⅲに掲げ、付属書ごとに規制の内容を定めています。取引規制の対象は生死に関係なく、はく製やハンドバッグ、コートなどの加工品も対象となります。条約の主な内容は裏面の通りです。

G-20 【昭和60年釧路湿原の火災】

 釧路湿原は、公園指定の前昭和60年4月、南西部の約2,200ヘクタールが火災のため消失し、動植物等の自然環境への影響が心配されました。
 失火の場所は釧路市安原、日時は4月30日午前10時30分頃、鎮火は5月2日午後午後1時、消失面積釧路市1,500ヘクタール、鶴居村700ヘクタールの計2,200ヘクタールです。
出火原因は、たき火の不始末かタバコの投げ捨てと推定され、消火のため出動した人員は、延べ453人と記録されています。
 環境庁では、火災にかかる自然環境影響緊急調査を同年10月から翌年1月にかけて実施しました。その要旨は次の通りです。
・植物に対する影響:ハンノキ、ヒラギシスゲ、カブスゲが影響を受け、スゲ群落、高層湿原の植生は火勢が弱まっていたこともあり強度の被害はなかった。
・哺乳類に対する影響:火災の影響はほとんどないと考えられる
・鳥類に対する影響:抱卵中のタンチョウ2か所が繁殖に失敗。アオサギのコロニーは無事。その他の鳥では定着、繁殖開始を遅延させたと考えられる。
・両生類及び魚類に対する影響:殆どないと考えられる。火災は人為によるものであり今後このようなことのないよう注意すべきです。


G-21 【釧路湿原の水利用】

 釧路湿原と地域社会とのかかわりとして釧路川水系の水利用があります。水道用、工業用、養魚用などを用途目的とした水利権が設定されており、公園区域内では、釧路市の水道用(1,356立方メートル)、十條製紙の工業用(2.50立方メートル)、旧日本国有鉄道の雑用(0.0048立方メートル)が岩保木から下流の釧路川から取水されています。これらのほか、水系上流では数多くの水利用がなされており深く社会生活とかかわっています。
 水の直接利用のほかに河川利用として内水面共同漁業権の設定があります。これは「北海道内水面漁業調整規則」という規則によって漁業権者、区域、魚種などが決められています。公園区域にかかるものとしては表にあるとおり釧路市漁業協同組合、塘路漁業協同組合の2つがあります。
 さけ・ます(さくらます(やまべを除く)・からふとます・べにます・ぎんます及びますのすけという)。は周年禁漁であり、やまべの禁止期間は釧路支庁管内では5月1日から6がウ30日までとなっています。
 魚介類を捕獲することは自然公園法で規制されていませんが、釣りを楽しむ人と水の公共利用、水産動植物保護などから有害なものを捨てるなどして水質の汚染、環境を損なうことはしてはいけません。


G-22 【8月第一日曜日は「自然公園クリーンデー】

 毎年8月の第一日曜日は「自然公園クリーンデー」の日とされていますが、その経緯と趣旨は次の通りです。
 昭和56年に自然公園制度50周年を記念して「国立公園クリーン作戦」を実施し、公園利用者の集中する地区において、関係者の協力を得て、大規模な美化清掃運動が展開されました。この運動は自然公園の美化清掃活動を推進するとともに一般の公園利用者に対して美化思想を普及させるという点で、大きな成果を上げました。この運動を契機に、58年度より「国立公園クリーンデー」を「自然公園クリーンデー」とし、広く自然公園を対象として本運動を実施することによって、自然公園の美化思想をより広く普及させることを目的としています。
 行事の内容は、環境庁、道、市町村、関係諸団体、一般ボランティアなど広く関係者が協力の上、利用者の集中する地区を中心として、ゴミ持ち帰りの呼びかけ、地区の一斉清掃などのほか、地域の特性に応じ、創意工夫をこらした美化清掃運動を実施するものとしています。また、この運動を効果的にするため、広報活動を積極的に行うことにしています。釧路湿原でも国立公園指定後、北斗、細岡、塘路などを中心として実施してきましたが、今後も公園利用者はもちろん、地区の方々にも理解を得て快適な公園になるよう努める必要があります。


G-23 【自然解説の目的と考え方】

 自然解説の目的は、それぞれの自然が持っている資質を訪れる人々が正しく理解し、効果的に利用するようその手助けを行うことです。
 その目的と考え方は次の「6原則」にまとめられます。

自然解説の6原則
(1)自然解説は対象者の考えの違いや経験の度合いを考えて行わなければならない。
(2)自然解説は、情報に基づいて行われる啓発であって知識を与えることではない。
(3)自然解説は、いくつもの部門を組み合わせた複合芸術です。
(4)自然解説のねらいは、教えることではなく興味を刺激することである。
(5)自然解説は自然の一部でなく全体を解説するよう努め、またあらゆる人を対象にしなければならない。
(6)子供を対象にする場合は、やさしくするだけでなく違った観点から考えなければならない。

自然解説の心得
 自然観察会などの指導者はよりフィールドマナーが求められます。次の事に注意しよう。
1.服装は特に決まったものはないが、野外活動にふさわしいもの、自然の色に溶け合うものが適当です。
2.筆記用具、地図、図鑑類のほか、雨具、ごみぶくろ、時刻表なども持っていると便利であり、たばこを吸う人は必ず携帯用灰皿を持ち歩くようにします。
3.ナチュラリストは当然ながら自然保護の姿勢が求められます。自然を傷つけ、損ねる結果とならないよう言動に注意する必要があります。
4.自らがその自然を好きなることが聞く人にそのことが伝わり理解してもらう早道でもあると言えます。
5.公園内で不審な場面に出会った場合どうするか、違反行為かそうでないかをよく確かめることも大切ですが、相手は知らないでやっていることも考えられるので、なぜいけないかを教え、理解させ注意する姿勢でのぞみます。


G-24 【自然解説(観察)の実際】

A.自然解説をするのは。
1.自然を好きになってもらう。(自然とのふれあいを通訳する。)
2.自然は素晴らしいと感じてもらう。(自然が大好きな人間)
3.自然は大切、守りたいと思う人を増やす。(自然の中の人間)
B.自然が大好き、自然に感動する人を増やすには。
1.まず、自分自身が心底から自然にふれ、楽しみ、自然好き人間になる。(「自然大好き病」の伝染力を強める)
2.自分自身の全感覚を動員して自然と向かい合う。(好奇心と愛情を持って見つめ、気づき、発見する。)
C.自然解説(観察)を向上させるためには。
1.自分のフィールドを持とう。(身近なほどベター。毎日、週、月)
2.よき友、仲間、師、本etcとの出会い
3.自然観察会は人集めが肝心です
D.自然解説を実際にするときは。
1.誰にでもでき、どこでもできる。(あまり細かい説明はしない)
2.相手が主役、気づいてもらう、発見してもらう、名前は簡単に教えない。(たとえばクイズ形式で)