目次
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A
A-1 【釧路湿原国立公園交通事情】 … 概況
A-2 【釧路湿原国立公園交通事情】 ・・・ 道路情報
A-3 【釧路湿原国立公園交通事情】・・・JR釧網本線を利用して①
A-4 【釧路湿原国立公園交通事情】・・・JR釧網本線を利用して・・・②
A-5 【釧路湿原国立公園交通事情】…バスを利用して
A-6 【釧路湿原国立公園交通事情】…その他の交通手段
A-7 【釧路湿原国立公園交通事情】…釧路川堤防の利用について
A-8 【湿原展望地ミニガイド】…①岩保木山・岩保木水門周辺
A-9 【湿原展望地ミニガイド】…②細岡・達古武沼周辺
A-10 【湿原展望地ミニガイド】 …③塘路湖・サルボ周辺周辺
A-11 【湿原展望地ミニガイド】…④シラルトロ沼周辺
A-12 【湿原展望地ミニガイド】…⑤ コッタロ湿原周辺
A-13 【湿原展望地ミニガイド】…⑥キラコタン岬周辺
A-14 【湿原展望地ミニガイド】…⑦宮島岬岬周辺
A-15 【湿原展望地ミニガイド】…⑧北斗、温根内周辺(その1)
A-16 【湿原展望地観にガイド】…⑧北斗、温根内周辺(その2)
A-17 【細岡展望台からの鳥瞰】
A-18 【野営場(キャンプ場)情報
A-19 【公園内外の行事やお祭】
A-20  【タンチョウの給餌場情報】 …その1
A-21 【タンチョウの給餌場情報】 …その2
A-22 【タンチョウの給餌場情報】 …その3
B
B-1 【釧路湿原の生い立ち】
B-2 【釧路湿原のまわりには多くの遺跡がある】
B-3 【釧路川】…①概況
B-4 【釧路川】…②釧路川推計とその流域
B-5 【釧路川】 ③大正9年の大洪水
B-6 【釧路川】 ④釧路川の治水 その1
B-7 【釧路川】…⑤釧路川の治水(その2)
B-8 【湿原の瞳。谷地眼】
B-9 【海跡湖】
C
C-1 【湿原には3つのタイプがある】
C-2 【ヨシとスゲ】 …湿原の主役?脇役?
C-3 【ヨシとスゲの観察】
C-4 【ミズゴケ湿原】 …その発達は年1ミリ
C-5 【湿原景観の演出家・ハンノキ林】
C-6 【湖沼に生活する直物(水草)】
C-7 【マリモの種類と生育地】
C-8 【湿原周辺で見られる樹木は約30種】
C-9 【釧路湿原の花暦】…①
C-10 【釧路湿原の花暦】…②
C-11 【釧路湿原の花暦】…③
C-12 【谷地(野地)坊主はどうして作られる】
C-12 【谷地(野地)坊主はどうして作られる】
C-13 【湿原の植物と人間】…"湿原の植物生産性"と北方民族の知恵①
C-14 【湿原の植物と人間】…"湿原の植物生産性"と北方民族の知恵②
C-15 【湿原と人間社会のかかわり】 …湿原の機能と利用①
C-16 【アイヌ民族における有用植物】…①
C-17 【ヨシはアイヌ民族の大事な建築資材】
C-18 【ヒシの実、ペカンペ】…pe(水)ka(の上)un(にある)pe(もの)
C-19 【ノリウツギ(糊空木)】 …北海道ではサビタ
C-20 【マコモの実は野生の米(ワイルドライス)】
D
D-1 【釧路湿原の動物相】
D-2 【釧路湿原の哺乳類】
D-3 【エゾシカの生活】
D-4 【湿原のエゾシカ】
D-5 【リス】 …齧歯目・リス科の小型哺乳類
D-6 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥①
D-7 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥②
D-8 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥①
D-9 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥②
D-10 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …河川、湖沼の鳥
D-11 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …田園、都会の鳥
D-12 【釧路湿原とその周辺で見られる主な野鳥】 …①
D-13 【タンチョウの生活】…①
D-14 【タンチョウの生活】…②
D-15 【タンチョウの生活】…③
D-16 【タンチョウの生活】…④
D-17 【タンチョウの生活】…⑤
D-18 【タンチョウの保護増殖事業】
D-19 【タンチョウの給餌場の条件】
D-20 【タンチョウの被害と事故】
D-21【タンチョウ小史】…①
D-22 【タンチョウ小史】…②
D-23 【釧路湿原で見られるワシ、タカ類】
D-24【シマフクロウ(亜種、エゾシマフクロウ)は神の鳥】
D-25【日本に渡来するハクチョウ】
D-26 【渡りのチャンピオン「オオジンギ」】
D-27【動物たちのメッセージ(足跡)】
D-28 【おしゃれな旅人(カモ類)】
D-29 【森の中は住宅難(巣穴)】
D-30 【動物たちの食事あと(食痕)】
D-31 【釧路湿原にすむ魚】
D-32 【湿原の主「イトウ」】
D-33 【湿原のホタル】
D-34【トンボ─釧路湿原は日本で貴重な生息地】
D-35 【釧路湿原だけにすむ「キタサンショウウオ」】
E
E-1 【釧路地方1年の気象の移り変わり】
E-2 【釧路湿原を作った気候】
E-3 【釧路はなぜ霧が多い】
E-4 【湿原おろし】
E-5 【天気を当てる ─観天望気とは─】
E-6 【釧路地方のお天気・一口メモ】
E-7 【塘路湖の御神渡り】
E-8 【スター・ウォッチングと星座】
E-9 【四季の星座】
F
F-1 【開拓夜話(1)・鳥取士族】
F-2 【開拓夜話(2)・貫誠社】
F-2 【釧路川を五十石船が行く】 ─地名の話─
F-3 【塘路湖のペカンペ祭り】
F-4 【アイヌ民話】 ─釧路湿原にクジラがいた─
【アイヌ民話 ─湿原と丹頂─】
F-5 【アイヌ民話 ─遠矢のチャシとタンチョウヅル─】
【アイヌ民話 ─オオジンギ(白糠に伝わる神話)─】
F-6 【アイヌ民話─蚊の長老の娘とアイヌの英雄─】
F-7 【アイヌ語─地名の話─】
【アイヌ語─地名に出てくる主な単語─】
F-8 【アイヌ語─地名の解釈─】
F-9 【アイヌ語─地名の解釈─】…②
G
G-1 【日本の自然保護制度】
G-2 【日本の自然公園制度の歴史】
G-3 【日本の自然公園制度】
G-4 【世界の国立公園】
G-5 【釧路湿原国立公園の誕生まで】 …釧路湿原保護行政の歴史
G-6 【釧路湿原国立公園】
G-7 【自然公園の保護と利用】…①保護のための規制
G-8 【自然公園の保護と利用】…②保護のための開発規制
G-9 【自然公園の保護と利用】…③保護のための費用負担
 G-10 【自然公園の保護と利用】…④自然公園の利用
G-11 【自然公園の保護と利用】…⑤利用のための施設等の整備
G-12 【国設・釧路湿原鳥獣保護区】
G-13 【天然記念物・釧路湿原】
G-14 【野生動植物保護と国際協力】
G-15 【ラムサール条約】…①
G-16 【ラムサール条約】…②
G-17 【渡り鳥保護の国際協力】
G-18 【渡り鳥保護条約】
G-19 【ワシントン条約って何】
G-20 【昭和60年釧路湿原の火災】
G-21 【釧路湿原の水利用】
G-22 【8月第一日曜日は「自然公園クリーンデー】
G-23 【自然解説の目的と考え方】
G-24 【自然解説(観察)の実際】
エピローグ
[参考文献]
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D

D-1 【釧路湿原の動物相】

 釧路湿原は、特別天然記念物タンチョウをはじめ、氷河期の遺存種で北方系のキタサンショウウオ、エゾカオジロトンボ、イイジマルリボシヤンマなど多くの希少種、貴重種が生息し、豊かな動物相を形成しています。釧路湿原の保全はこれら野生動物の保護の上からも重要です。釧路湿原とその周辺部を含めて、現在までに確認されている動物は次の通りです。
(ア)哺乳類:小型のものではネズミ類、野生化したミンクのほか、周辺部にはウサギ、リスの類、キタキツネ、エゾシカなど9科24種が生息。
(イ)両生類:注目すべきキタサンショウウオの他エゾサンショウウオ、エゾアカガエル、アマガエルの3科4種が生息する。
(ウ)爬虫類:トカゲ、シマヘビ、アオダイショウ、カナヘビ、ジムグリの3科5種が生息する。
(エ)鳥類:特別天然記念物タンチョウ、天然記念物オジロワシ、オオワシなどのほか水鳥類も多く38科164種が確認されています。
(オ)魚類:日本最大の淡水魚、幻の魚と呼ばれ、絶滅が危惧されるイトウはじめ、釧路川本流域に23種、支流域に15種、湖沼には17種が生息し全体では11科30種が確認されている。
(カ)昆虫類:北海道だけに分布する北方系種のエゾカオジロトンボ、イイジマルリボシヤンマなどトンボ類46種、蝶類84種、ガ類892種、その他121種、合計で1,142種が記録されています。
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わが国に生息する野生動物の概要(環境庁自然保護局資料)
【動物】哺乳類130種(うち鳥獣保護法対象種 79種)
    鳥類506種(うち鳥獣保護法対象種506種)
    両生類50種
    爬虫類80種
    魚類(淡水) 約180種
    昆虫類    約10万種
    くも類    1000種
    貝類(海産を除く)約730種
    十脚類(海産を除く)約150種
【植物】 約5500種(シダ以上の高等植物)

D-2 【釧路湿原の哺乳類】

 鹿は偶蹄目(ぐうていもく)シカ科シカ属に分類され、北海道にはエゾシカ、本州にはホンシュウジカ、四国、九州にはキュウシュウジカが、屋久島にはヤクシカが生息します。北海道に住むエゾシカが最も大きく、南にいくに従い小型になります。低温動物は、同じ種でも、近縁種の間でも寒冷地程大型になる傾向があるというベルクマンの規則の例といえます。体重に対する対表面積の割合を小さくして耐熱の発散を防ぐものと説明されています。エゾシカはいわば寒冷地仕様と言うわけです。シカの生息地は、雪の少ないミヤコザサ地帯に多く、北海道の日本海側や、本州では東北地方日本海側など雪の多いところには少ないようです。
 湿原とその周辺部に住む哺乳類は大型のものではシカのほかヒグマ、中型ではキタキツネ、エゾタヌキ、エゾユキウサギなどがあります。小型のものではホンドイタチ、コエゾイタチ(イイズナ)、エゾイタチ(オコジョ)のほか野生化したミンクが生息します。ネズミでは、ミカドネズミ、エゾヤチネズミ、エゾアカネズミのほかにモグラに近い仲間のトガリネズミが住んでいます。樹木に被害を与えるのは湿地を好んで住むエゾヤチネズミです。
 なお、ニホンカモシカ、ニホンザルは青森県下北半島が北限で北海道には生息しません。

D-3 【エゾシカの生活】

 日本に住むシカではエゾシカが最も大きく80kg以上、ホンシュウジカは60~70kg、キュウシュウジカは50kg以下でヤクシカはこれより更に小さくなります。
 エゾシカの方までの高さは100cmくらい、角は雄だけにあり長さ75センチで毎年生え変わります。満1歳までは角は生えず、2歳から生え始め3歳であの立派な枝分れした角になります。
 シカの生活場所は林の中や周辺部から草地ですが、ササや低木の葉を好んで食べ、えさが不足すると木の皮や里に出て農作物も食べます。冬、積雪の多い地帯では採食活動が困難なため生息数は少なくなります。
 シカは警戒心の強い動物で、常に耳をそばだてて周りを見渡し、危険を察知すると鋭い声で仲間に知らせ、尻鏡(しりかがみ、真っ白な尻)を開きいち早く逃げ出します。山野ではよく等高線に沿ったシカ道(けもの道)が見られ、また、ほぼ同じ場所で多く見かけます。行動圏が決まっているのかもしれません。最近は、シカと車の交通事故が多発しています。シカが増えたからなのか、あるいは車道がシカの通り道を分断した結果なのでしょうか。
 アイヌの人々はエゾシカを、”神が天上でウサギ狩りをする時の猟犬”として崇めていたといいます。

【エゾシカの解剖・生理学的特徴】

枝角:雄のみに生える。かたい骨組織で、盛り上がった角座や肉茎に支えられる。毎年伸び毎年抜け落ちる。 1年仔には見字威嚇まっすぐ伸びた1本角(spikes)が映える。 年齢が進むとともに枝分かれし、枝角が大きくなるにつれて後方に傾斜する。枝角の大きさは、その個体の体調や栄養の適否にも影響される。発育中の枝角は多数の血管が分布しており、細かい毛に包まれた軟毛皮(袋角)に覆われているが、秋になると血管はひからびてしまい、軟毛皮はこすり落とされてしまう。

歯式: i(門歯)・c(犬歯)・p(前臼歯)・m(後臼歯) =0・1・3・3  3・1・3・3=34
乳頭 = 4つ
胃 =4室、第1胃(留胃) 、第2胃(蜂巣胃)、第3胃(葉状胃)、第4胃(腺胃)で反芻を行う
眼下線腺 = 目の下に位置する皮脂腺。 分布物をコミュニケーションに利用する。
行動・小グループを作り社会生活をする。交尾期にはハーレムを作るが、この時期のオスは凶暴である。袋角がとれると枝角を武器に、雄同士で、雌を支配するために戦い、あるいは侵入者からテリトリーを守るために闘う。
食餌:草食動物。草、小枝、葉、樹皮、若枝などいろいろな植物を食べる。

D-4 【湿原のエゾシカ】

 エゾシカは湿原周辺の丘陵地に生息しますが、臆病で用心深く、日中はなかなか人前に姿を現しません。古くから狩猟の対象として、あるいは森林の樹木や農作物を食い荒らす有害獣として人間に常に追い回されてきたからかもしれません。
 彼らは、繁殖期を除き、母と子の「メス群れ」と雄鹿からなる「オス群れ」のそれぞれの群れで生活しています。群れの中には見張り役がいて危険が迫ると「キョーン」と鋭く鳴き一斉に逃げ出します。
 御酢の角は5月ごろ根元から抜け落ち、袋角と呼ばれる丸みのある柔らかい角に生え変わり、8月頃まで成長を続け、あの立派な枝分れした角になります。角は外的から実を守る武器というより、結婚相手を求めるとき、押す同士が優劣を競うシンボルだと考えられています。秋、10月の繁殖期、雄シカは雌を求めて「ピュイヨー」と甲高く鳴きます。身ごもったメスジカは翌年の初夏、群れから離れ、丘陵地の奥でひっそりと出産します。
 夏、明るい茶色に白い斑点模様だった体毛も9月末ごろには黒褐色の固い冬毛となり、オスの角も固く角質化します。厳しい冬をすごす彼らは、雪ノ下からミヤコザサを堀り、低木の冬芽、樹皮などを食べ、春の訪れを待ちますが、食べ物が不足すると里に姿を現し、農作物に被害を及ぼすことにもなります。


D-5 【リス】 …齧歯目・リス科の小型哺乳類

 齧歯とはくさび状の歯という意味ですが、この仲間は、前歯の真ん中の上下4本の門歯がくさびのように鋭く延びています。この歯はとても丈夫で、固い木の実や種を割って食べるのに便利ですが、一生延び続ける性質があり、放っておくと上顎や下顎に食い込んでしまします。そこでこの仲間は、始終固い木や木の実をガリガリかじっては葉の長さを調節しなければなりません。
 日本に住むリス科の仲間は大きく2つのグループに分かれます。一つは、前脚と後ろ足の間に滑空するためのまく(飛まく)があるムササビ、ももんがの仲間で、彼らは飛まくを広げて、グライダーのように空中を移動します。もう一つは飛まくのないリスの仲間です。リスは尾を使ってバランスをとり枝から枝へ飛び移ることもできますが、動きの特徴は、鋭い爪を使って木上を走り回ることです。
 北海道に住むエゾリスとシマリスは、同じ森の中でも、樹上と地上とに分かれて住んでいます。エゾリスは主に樹上で暮らし、木の芽や葉、木の実を前脚でもぎ取って食べますが、シマリスはほとんど木に登らず、地上を走り回って、落ちている木の実を食べます。それに主食と成る木の実の種類が異なり、エゾリスは主にクルミの実、シマリスは主にドングリ(カシワ、ミズナラの実)です。秋の終り、エゾリスが地上に降りてきても木の実を奪い合うことはほとんどありません。
 蝦夷リスとシマリスの最も大きな違いは冬の過ごしかたです。エゾリスは冬の間でも活動していますが、シマリスは土の中に掘ったねぐらにこもって、たくわえておいた木の実を食べては眠る冬護守に入ります。ですから、雪ノ下に埋もれた木の実はエゾリスだけのものになるわけです。

*エゾリス…北海道の森林に住みますが、あまり高い山にはいません。二ホンリスよりやや大きく、毛深く、黒みが強いのが特徴です。冬ごもりはしません。夏、冬で毛がわりします。冬は耳に長い毛が伸び、夏にはその毛が抜け落ちます。 体長約25センチ、尾の長さ約20センチ

*シマリス…北海道の草原、森、高山にかけて住んでいます。背中に走っているシマは地上では保護色の役目を果たしていると思われます。口の中に袋(ほほぶくろ)があって、そこに木の実をつめてねぐらに運びます。冬はねぐらにこもって冬ごもりします。 体長約14センチ、尾の長さ約12センチ


D-6 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥①

○ミヤマカケス…顔に似合わず鳴き方が上手。ニワトリやネコ、ときには人語も真似するあいきょう者だが、他の鳥のえさを横取りするずるかしこさもある。
 雑食性で特にナラ、ブドウ、コクワの実が好物。地面を歩行し昆虫やノネズミも食べる。食物を隠す習性があり、食道にたくさん飲み込んでそれをよそに運んで隠す。「カケスの植林」といって、カケスが秋、ナラの実(どんぐり)を食道いっぱいつめて他の場所に隠し、これが地上に落下し、母樹のないところにナラの若木が生えるといわれます。
○シジュウカラ…全体として灰色。首から下腹にかけて太い黒ネクタイ。すばしこい鳥で、枝から枝へと低いところを渡り歩き、越冬中の昆虫の卵や蛹などを食べるので、庭木の害虫を駆除する有難い鳥。春から夏にかけて森林で繁殖し、秋から冬にかけて小群をなして庭先に飛んでくる。
○ハシブトガラ…シジュウカラよりも小さく、北海道の丘陵地の林に住み、秋から冬には市街地にも来る。
○コガラ…ハシブトガラとほぼ同じ大きさで良く似ている。北海道から九州の山地の林に住む。コガラ、ハシブトガラともに軽快な動きをし、気が強い。ハシブトガラはコガラに比べ嘴が太い。
○アカゲラ…5月・6月頃森の中でカラカラカラン…という音をック。アカゲラが鋭い嘴で枯れ木をたたいて虫を探している。また、鋭い声で、キョッ、キョッと鳴く。単にキツツキ、ケラとも呼び、森の大工さんというところ。翼に逆八の字型の白斑があり、腹部は白く下腹が赤い。主食は昆虫、クモ類だが、ブドウなどの種子も食べ、警戒心の強い鳥。
○コゲラ…こげ茶の白の斑紋、スズメ位で一番小さなキツツキの仲間。ギィー、ギィーと軋るような鳴き方をし、森林に生息するが冬は平地でも見られ、人になつきやすい。
○コアカゲラ…アカゲラよりやや大きく、オスの頭頂は全体が赤く、体色は赤と白と黒のまだらのキツツキ。全国に住み、冬は平地にもおりてくる。
○ヤマゲラ…ハトくらいの大きさで、背面が緑色、下面は灰色味のある白色。青ゲラは背面はほぼ同じだが、下面に多数の黒っぽい斑点があり区別する。青ゲラは本州以南に住むが、ヤマゲラは北海道の平地から山地に住む。
○アリスイ…キツツキの仲間。その名の通りアリを吸うことに巧み。スズメより大きく前進灰色味をおびた褐色で、灰色、黒褐色の小斑紋がたくさんある。


D-7 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …森林・高山の鳥②

○ヒヨドリ・夏は主として森林に生息し、冬になると里山、人家近くに来て、ピィッ、ピイッと高い声でなく。黒っぽく見えるすすけた灰色。飛ぶとき、短くて幅の広い翼をはばたいて体につけ、著しい波状飛行をする。
○キビタキ・夏鳥として5月ごろ飛来し、平地から森林内で繁殖する。他の鳥の鳴きまねもする変化の多い鳴き方のできる鳥。食物は昆虫類が主で、地上の昆虫を見つけると飛び降りて捕まえるとまたもとの枝に戻る習性がある。
○アカショウビン・釧路湿原では少ないが、ナンバンのように赤い鳥。5月ごろ飛来し、森林に生息し、樹洞や樹木の孔に酢を作り、6、7月頃白い卵を5,6個産む。カワセミ科に属し、もともと南方系の鳥。
○カッコウ:カッコウの初鳴きは、多少の差はあっても決まっており、(5月中・下旬)それが過ぎても聞かれない年は凶作だといわれた。カッコウの声はまだ長い冬の終わり、新緑の春の訪れを告げるもの。カッコウは自分では酢を作らず、他の鳥の巣に卵を産んでヒナを育ててもらう「託卵」という習性を持つことで知られている。6月はじめ頃、仮親とすべき鳥のよく鳴いている付近を偵察し、どの素に自分の卵を託すべくかをねらっている。
 狙いをつけた仮親が2、3個の卵を産んだ頃を見計らって、仮親の卵を1個取り出して捨て、自分の卵を産んで数を合わせておく。カッコウの卵は仮親の卵より1~3日早く負荷する。孵化したばかりのカッコウのヒナは全力を尽くして仮親の卵を巣外に弾きだす奇習がある。本能によるものとはいえ残酷な仕打ちでもある。仮親は自分の卵がカッコウの子に全部捨てられたことも知らずに、せっせとえさを運んで20~30日も子育てをする。
 仮親になるのはオオヨシキリ、コヨシキリ、モズ、ノビタキなどが最も多いという。
○ツツドリ・カッコウの仲間でカッコウより2週間ほど早く飛来し、ポンポンとなく。その習性はカッコウと同様他の鳥に託卵し、体はカッコウそっくりだが、腹部の横縞がカッコウよりあらい。森林内に住み昆虫を食べている。


D-8 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥①

○シマアオジ…4月頃飛来し10月ごろまで泥炭原野でヨシやススキの散生しているような環境を好んで生息する。ヨシやハンノキの枝に止まり、胸をはって、貴公子然として朝から夕方まで、ヒョー、ヒョー、チリ、チリ、チョウ、チョウ、ビリ、ビイヒョウとリズム感あふれる声で高らかに鳴く。
○ホオジロ…4月、木陰の雪も消える頃訪れ、林縁の疎開地や雑木林などで繁殖。繁殖期に雄は巣の近くの小木のこずえにとまって、胸を針、美声で、チョン、チョン、ピーッツ、チョン、チュリー、チョンと囀る。昔から、「一筆啓上仕り候」と聞きなされている。
○アオジ…平野から山地の樹林地で繁殖。ホオジロよりも陰性の土地を好む。あまり人目につかないが鳴き声は上品で美声。アオジは「蒿雀」とも書き、蒿は丈の高い草の意味で、その中に住む小鳥という意味である。
○オオジュリン…泥炭原野の湿性植物の生えている根元付近の地上に営巣する。枯れススキに止まって囀っているが、風や自体の重みで揺れると、尾をパッ、パッと開いてバランスをとる習性がある。この鳥は非常に臆病な鳥で、人を寄せ付けず、警戒心が強い。
○ヒバリ…3月の末、日当たりのよいところで、雪が解けたまだらに地面が見えるようになる頃、その頃、一番早く北海道を訪れる小鳥がヒバリである。北海道農業は揚雲雀の快調なメロディーにあわせて始まるといい、青空高く舞い上がり、ピーチク、ピーチクと鳴く。歌や句に多くよまれる。
○モズ…5月頃渡来し、キィー、キィー、キチ、キチと絹を裂くような声でなく。警戒心が強く、酢の場所を誇示しやかましく鳴く。目が鋭く、嘴は鋭いかぎ形。肉食で他の鳥を追い回すなど乱暴な鳥。地面すれすれに低く飛び、舞上がり気味にして木の梢にとまる習性がある。
○ココヨシキリ…主に湿原などの草原で繁殖する夏鳥。地上20~30センチくらいの低いところの茎に巣を作る。湿原で多く見られるが、コヨシキリより大形のオオヨシキリは少ない。ヨシキリ類の巣のあるところには、カッコウがきまって、託卵をねらって偵察している。
○エゾセンニュウ…トッピンカケタカ、トッッピンカケタカ…と昼夜をわかたず鳴く。沢沿いのササ地や湿原の草地の中を飛び回るので、声はすれども姿は見えずで姿を見ることは難しい。シマセンニュウとともに夏鳥として普通だが、シマセンニュウはエゾセンニュウよりも少し小さく、鳴き方が違う。


D-9 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …原野、低木林の鳥②

○ノビタキ…鳴き方は上手ではないが、オスはとても美しく、小さいながら気品のある鳥。4月下旬頃南方から渡来し繁殖する。いつも地上から1~2メートルくらいの丈の草や低木類に止まる。飛んでいる虫を飛び上がって上手に捕らえることもする。
○キジバト…ヤマバトともいう。北海道では夏の鳥。まだ残雪のある3月末渡ってきて、デデポッポー、デデポッポーと低く眠そうに鳴く。木の実、夏の種子、穀類が主食だが幼虫を食べることもある。昔からキジバトはヒナを育てるとき「鳩乳」を飲ませることが知られている。鳩乳とは親鳥の食べた食物の消化したカユ状のものを口移しでヒナに飲ませること。
○ハクセキレイ…5月頃飛来しヒナを育て10月頃本州に渡って越年する。足を交互に出し、長い尾をひまなく振りながら歩き、飛ぶときはチチッ、チチッと鳴きながら波状形を描く。
○ノゴマ…夏鳥として渡来し泥炭地で繁殖している。雌雄の背面はオリーブ褐色で同色だが、雄の喉にはくさび形の大きな紅色斑があり、日の丸という別名がついているほどで、他の鳥とすぐ見分けが付く。


D-10 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …河川、湖沼の鳥

○カイツブリ科…釧路湿原では、夏鳥として普通なカイツブリ、アカエリカイツブリ、まれに旅鳥としてハジロカイツブリ、ミミカイツブリの4種がみられる。 5月頃本州から渡来し、常に水上生活をする。水草や藻を集めて皿型の浮き巣を作り、卵を5~6個生む。もぐることが上手で、小魚、水生昆虫、カエルなどを食べる。親鳥がヒナを背に乗せたまま泳いでいることもあり、親子が親密でほほえましい。
○ガン類…ガン類ではヒシクイが旅鳥として春秋、湖沼に立ち寄る。ヒシクイはシベリアの北で繁殖し、サハリン、北海道を経由して本州に渡るものや、日本海を横断して直接北陸地方に渡るもの、朝鮮経由で九州方面に渡るものなど3つのコースがあるという。ヒシの実を好んで食べるところからヒシクイと呼ばれるようになったとか。日中は湖沼、草原などで休んでいるが、常に1羽の見張りをおいて、他の鳥は頭を背羽の間に入れ、片足で立って眠っている。人などが近づくと警戒して、頭を高く垂直に立てて見張っている。
ガンは雁行(への字型)を描いて飛ぶ。
○カモ類…留鳥としてマガモ、カルガモ。コガモ、ヨシガモ、ホシハジロ、キンクロハジロは少数繁殖する留鳥だが大部分は冬鳥として渡来する。キンクロハジロの他は少ない。夏鳥はオシドリだが少ない。冬鳥は9種。ヒドリガモ、スズガモ、ホオジロガモは普通に見られるが、オナガガモ、ハシビロガモ、ビロ-ドキンクロ、ミコアイサ、ウミアイサ、カワアイサは少ない。他に旅鳥としてまれにシマアジが見られる。
 カモ類は一般に雄の法が美しいが、カルガモは雌雄同色。マガモの雄は青首といわれ、雌雄の色彩は全く異なる。
 俗にオシドリの契りといわれるが、オシドリは果たして一夫一婦であろうか。どうも群れの中では押すが少なくメスが多い。他のカモ類と同様オシドリも一夫多雌が本当らしい。


D-11 【湿原周辺で見られる鳥の特徴】 …田園、都会の鳥

 ○カラス : 日本に定住あるいは渡来するカラス科の鳥は10種、そのうち7種が繁殖する。北海道にはカケス、ホシガラスなど5種が確認されていますが、なんといっても普通に見られるのはハシボソガラスとハシブトガラスです。
 両種の見分け方は、ハシボソガラスは細めのくちばし、ガァーッ、ガァーッとにごった声で鳴き、鳴くとき身体を上下させ、ハシブトガラスはくちばしが先まで太く、おでこがでっぱった感じ、カァー、カァとすんだ声で鳴く。
 カラスはいろいろは汚物、屍肉を食べるなど掃除屋として有益な面もないではないが、人間を相手に悪さをするほうが多い。「権兵衛がタネまきゃカラスがほじくる」とはよく言ったもので、カラスはとても利口で人間の弱点を知り尽くして、人間に近づき、つきまとい、人間から利益の何%かとピンハネしていく。
 ハシブトガラスは都会や集落の中、あるいはその周辺の高い木や鉄塔など人間社会により近いところに巣の持ち場があり、ハシボソガラスはこれより遠く離れた山間や海浜の林の中に巣の持ち場を定めています。
 小学校唱歌に「…7つの子があるからよ」と7つの卵を産むことになっていますが、ハシブトガラスで4~6子、ハシボソガラスはこれより少なく4~5子のタマゴしかモタナイといいます。
 ○ムクドリ … 湿原や丘陵地にも住みますが、秋になって寒くなると都市郊外に集まってきます。田畑の外注を好んで食べ害虫駆除に役立っています。夫婦仲が良く、雌雄交替で卵を温めたり、ヒナには両親で餌を与えるなど、他の鳥にくらべて繁殖条件がよいよいです。
 ムクドリは普通に見られますが、コムクドリは少ない。
 ○スズメ…スズメは人間と共に生きています。人家の軒や屋根裏などに巣を作り、食物と住宅が保証されている。そのくせ人間にはなかなかなれません。1回に5~6個のタマゴを生み、年に3~4回繁殖するので数が減少することはありません。
 スズメは朝寝坊で有名ですが、これも人家の周囲に住んで餌が豊富なせいかもしれません。昆虫やクモ類もとって食べるので庭の害虫駆除に貢献していますが、秋になると稲穂に集まってモミを食べるので害鳥になるところもあります。
 ニュウナイスズメは、夏鳥として湿原や丘陵地に住み、昆虫を主食としてヒナを育て、8月末から9月中旬には本州に渡り稲作被害を与えるといわれます。


D-12 【釧路湿原とその周辺で見られる主な野鳥】 …①

環境区分 -- 夏鳥 -- 冬鳥 -- 留鳥

釧路湿原周辺の雑木林や低木林草原で主に見られる鳥

ツミ・チゴハヤブサ・クイナ・ヤマシギ・オオジシギ・キジバト・アオバト・ジュウイチ・カッコウ・ツツドリ・ハリオアマツバメ・アリスイ・ヒバリ・キセキレイ・ビンズイ・モズ・アカモズ・ミソサザイ・ノゴマ・コルリ・ノビタキ・トラツグミ・アカハラ・ウグイス・キビタキ・エゾセンニュウ・ シマセンニュウ・マキノセンニュウ・メボソムシクイ・エゾムシクイ・センダイムシクイ・オオルリ・サメビタキ・コサメビタキ・ホオアカ・シマアオイジ・アオイジ・オオジュリン・コカワラヒワ・ベニマシコ・ウソ・イカル・コムクドリ・ニュウナイスズメ

オジロワシ・オオワシ・キレンジャク ツグミ カシラダカ ケアシノスリ ハギマシコ

トビ ハイタカ ノスリ チュウヒ ハヤブサ タンチョウ エジライチョウ オオコノハズク エゾフクロウ エゾアカゲラ エゾオオアカゲラ コアカゲラ エゾコゲラ ハクセキレイ キクイタダキ シマエナガ ハシブトガラ ヒガラ コガラ シジュウカラ シロハラゴジュウウカラ キタキバシリ シメ ムクドリ ミヤマカケス ハシボソガラス ハスブトガラス クマゲラ

主に釧路湿原で見られる鳥

アオサギ カルガモ クイナ オオジシギ カッコウ アリスイ ハリオアマツバメ ヒバリ ビンズイ ノゴマ ノビタキ アカハラ ウグイス エゾセンニュウウ シマセンニュウ

カシラダカ ケアシノスリ

マガモ トビ ノスリ タンチョウ エゾアカゲラ エゾコゲラ ハクセキレイ シマエナガ ハシブトガラ ヒガラ シジュウカラ シロハラゴジュウカラ

【釧路湿原とその周辺で見られる野鳥】 …②
環境区分 -- 夏鳥 -- 冬鳥 -- 留鳥

主に釧路湿原で見られる鳥

コヨシキリ キビタキ センダイムシクイ シマアオジ アオジ オオジュリン コカワラヒワ ベmニマシコ ウソ ニュウナイスズメ コムクドリ

(ナシ)

キタキバシリ ムクドリ ハシブトガラス

河川や湖沼で見られる鳥

カイツブリ アオサギ アカエリカイツブリ カルガモ バン オオバン イソシギ ハリオアマツバメ ショウドウツバメ カワセミ

ヒシクイ オオハクチョウ コガモ ヒドリガモ オナガガモ ハシビロガモ キンクロハジロ スズガモ ホオジロガモ ミコアイサ ウミアイサ カワアイサ オジロワシ オオワシ ユリカモメ ミツユビカモメ

マガモ ヨシガモ ホシハジロ ノスリ タンチョウ オオセグロカモメ エゾヤマセミ ハクセキレイ ハシブトガラス トビ

湿原道路帯で見られる鳥

オオジシギ カッコウ ハリオアマツバメ ヒバリ ノビタキ シマセンニュウ マキノセンニュウ コヨシキリ シイマアオジ アオジ オオジュリン コカワラヒワ ベニマシコ

ケアシノスリ コチョウゲンホウ コミミズク マヒワ ベニヒワ ハイイロチュウヒ 

トビ ハイタカ ノスリ ハクセキレイ ハシボソガラス ハシブトガラス

D-13 【タンチョウの生活】…①

 日本のタンチョウの生息地は、道東の釧路、根室、十勝、網走支庁管内となっています。冬期(12月~3月)には、各地に分散していたタンチョウのほとんどが釧路、阿寒、鶴居の給餌場周辺に集まり越冬します。丹頂鶴自然公園の高橋良治さんの観察記録によるとタンチョウの生活は次の通りです。
○一夫一婦型 ・ 長い間番(つがい)関係を続け繁殖活動をしますが、片方が事故などで欠けると新たな番を作ることもあります。
○愛の語らい:2月中旬になると頭頂が大きく、鮮やかに輝きだし、夫婦のダンスや鳴き合いが頻繁になり繁殖を迎えます。ダンスは、身体を低める、飛び上がる、翼を広げるなど。鳴き合いは番で行い、雄が空を仰いでコーと一声発するとメスが二声カッ、カッと鳴き、コー、カッ、カッと聞こえ、20~30回連続するのが普通です。交尾は繁殖期の初めは早朝に一度が多く、3月上旬頃は午前、午後の2度。日に2度以上の交尾回数となる頃から営巣場所を捜し歩きます。産卵間近には日に3~4度の交尾となり、1タマゴ目を産出後m続き、2卵目を産むと交尾は終るのが普通です。


D-14 【タンチョウの生活】…②

○営巣地:3月中旬ごろ営巣が始まります。夫婦で営巣場所を捜し歩き、位置が決まると夫婦ともども作業を行います。巣は枯れたスゲ類のマットが覆いかかっている谷地坊主数個を土台に、周囲のヨシを刈り取って積んでいき、3日ほどで、ほぼ円形の巣を完成させます。巣の直径は1.3m~2.0m、厚さ30センチ前後、産座は径30センチほどで3センチくらいに切ったヨシが敷き詰められています。
○産卵:3月順から4月下旬に産卵します。産卵があると普通の鳴き合いに比べ一段と高い声で鳴きあいます。産卵は2卵が普通で、2卵目産出は1卵目の2日後が多く、卵は白色無斑のものと有色有斑のものがあり、大きさは長径98~115mm、短径62.5mm~68mm、重さ202~243gでやや細長い形をしています。
○抱卵:1卵を産出すると始まり、2卵産出後はほぼ24時間連続しての抱卵が約32日間、卵の孵化まで続きます。雌雄の抱卵交替も行われ、昼は4時間おきくらいに、夜間は雌だけで抱卵するのが普通です。交代時に鳴き合いをすることが多いようです。


D-15 【タンチョウの生活】…③

○ヒナの誕生:産卵後多くは32日で孵化しますが、孵化の三日程前からピーピーとヒナの発声が始まり、24時間くらい前になるとヒナが卵殻を割ろうとする嘴打が始まります。雌親が抱卵中に誕生するのがほとんどですが親が孵化を手伝うことはありません。誕生後3~4時間で羽毛が乾き、半日位で動けるようになり、3日ほどっで自由に立って歩けるようになります。2卵目は1日遅れて孵化します。
○子育て:孵化後3日、ヒナが自由に歩けるようになると、親はヒナを連れて巣を離れます。昼間は親と餌を探して歩いたり、親に抱いて暖めてもらったりし、夜は親が抱いて寝ます。ヒナへの給餌は雌雄共に行い、3ヶ月で親と変わらない程に大きくなり、孵化後100日くらいで跳ぶことも出来るようになります。
○子別れ:親子関係は翌春まで続きますが、2月下旬、親ツルの繁殖活動が始まる頃、親は、それまでのヒナを保護する行動からヒナを威嚇、攻撃し、排斥する行動に変わります。ヒナはピーピーとさびしそうに鳴きながら親の後を追いますが、親は突いたり蹴るなど攻撃し、子はいやいやながらも独立していきます。子別れの季節は野生に生きるものの厳しさと強さを感じさせるときです


D-16 【タンチョウの生活】…④

○ツルのからだ: 孵化時は慎重13センチ、体重130g程度、成鳥では翼を広げると2mを超え、背丈は首を伸ばすと170センチ近く、体重は15kgくらいです。雌雄を外観から判別することは難しいが雄のほうが一回り大きい。2歳になると頭の毛が抜け皮膚が裸出し、うすい橙色になり、3歳でいわゆるタンチョウ(丹頂)となります。
○頭頂:いつも鮮やかな紅色とは限らず、季節、天候、感情などにより様々に変化します。寒い冬は小さく縮み、色も黒ずんだ赤であり、繁殖期を迎えると鮮やかな紅となり、一段と大きく見えます。興奮すると真っ赤に、後ろ側に大きく伸ばされ、まさに頭にきている状態を示します。
○羽根:初列風切羽は10枚で白く、次列と3列切羽は16枚と6枚で漆黒。翼をたたんでいると尾が黒いように見えるのは、長い3列風切羽が白い尾を覆い隠すためです。6~8月にかけて換羽します。首、旨、腹、背の小羽は毎年換わりますが風切羽や尾羽は不規則で、風切羽は隔年で換羽するようです。
○食性:幅広く雑食性で、とうもろこし、セリ、牧草の若芽、白菜、レタスなどの野菜、スゲ、ヨシの根など植物質のものから魚、小鳥、昆虫、カエル、ネズミなど動物質のものまで何でもよく食べる。特にウグイ、ドジョウは大好物。小鳥のヒナや野ネズミ、トンボなども好物です。


D-17 【タンチョウの生活】…⑤

○冬の生活:冬季間のタンチョウはトウモロコシの人口給餌に強く依存しています。 昼間は給餌場を中心として採餌し、夜間は阿寒川や雪裡川など近くの凍らない河川をねぐらとして集団で眠りについています。
○ツルと天候:夕方遅くなっても餌場を離れず異常な食欲を見せるとその晩か翌朝には天候が大きく崩れます。 雪が降るとなぜか気が荒くなります。

○ツルと色と音:タンチョウは犬をも攻撃する強い鳥。人間以外には成鳥の声明を脅かす動物はいませんが、卵やヒナにとって危険な動物は多くいます。カラスは一番の外敵。親ヅルがちょっと巣を離れた際に卵をくわえ去る。ノスリなどのタカ類、フクロウなどもタンチョウの卵やヒナにとって危険な敵、これらが飛来すると親ヅルは威嚇の鳴き合いをして追い払います。 野良ネコ、イタチ、キツネ、ミンクなどにも親鳥は共同で攻撃します。外敵を首尾よく撃退すると、しばらくの間、ツル達は勝鬨をあげるかのように鳴きながら走り回ります。

○ツルの寿命:昔から鶴、カメはめでたい動物とされ、千年、万年長生きするといわれてきましたがそんなに長生きする動物はいません。ヒグマ、キツネなどの哺乳類は歯に形成される年輪から年齢がわかりますが、タンチョウにはこのような方法がなく、明確な根拠はありませんが、せいぜい30~40年くらいだろうとみられています。


D-18 【タンチョウの保護増殖事業】

 タンチョウの給餌、生息数の一斉調査、監視等の保護増殖事業は環境庁の委託により北海道が実施しています。

 タンチョウの人工給餌事業は平成元年現在、釧路支庁管内24か所、根室支庁管内5か所、十勝支庁管内1か所の計30か所で行われています。 人工給餌は冬期間のタンチョウの餌不足を補うために行っているもので、昭和27年2月、阿寒町の人たちと、鶴居村幌呂小学校の先生、生徒によって始められたと言われています。10月から翌年3月末まで、30名の給餌人の方々がトウモロコシの給餌にあたっています。釧路支庁管内の給餌場は、釧路町1、浜中町
3、標茶町4、阿寒町6、鶴居村8、音別町2の計24か所で、約24トンのトウモロコシが配布されています。

 生息数の一斉調査は、昭和27年12月に33羽が確認されて以来、毎年12月5日を中心に全道一斉に行われ、生息数の推移、生息状況などを調査し、保護増殖事業の基礎資料としています。昭和63年12月の調査は、17市町村、283か所、1590名の協力を得て行われ、485羽(釧路469、根室7、十勝9)が確認されました。

 このほか、釧路、根室地域に11人の監視員が配置され、通年、監視や採鳥指導などにあたっています。昭和62年10月発足した環境庁釧路湿原国立公園管理事務所もこの保護増殖事業に参画しています。



D-19 【タンチョウの給餌場の条件】

 秋から冬にかけてはエサをやっているところを給餌場とよんでいます。 本格的に給餌が始まったのは1952年(昭和27年)からですが、初めのころは十分とはいかず、苦労があったようです。今の様に多くのタンチョウを見ることができるのは地元の人たちの努力があったためです。
 給餌場では道から委嘱された給餌人が餌のトウモロコシを地面に直接ばらまきます。トウモロコシは国や道の予算で毎年支給され現在30か所で行われています。
 給餌場はただ餌を与えるからタンチョウが集まってくるのではなく、安心して夜が過ごせる「ねぐら」が近くにあることが条件です。 ねぐらは浅くて凍らない川、飛び立つのに十分な河原があり、外敵のいない風の当たらないところが望ましいのです。 流水は外気温が下がっても暖かく、タンチョウはその長い脚で立って寒い冬の夜を過ごすことができます。タンチョウが冬、釧路湿原周辺にほとんど集まってくるのは、雪理川や阿寒川に、ねぐらに適したところがあり、給餌場に近いことなどが考えられます。タンチョウはその日の天候などで違いますが、朝気温が上がると給餌場に来て、夕方日が沈み、薄暗くなったころねぐらへ帰ります。給餌場にはエサをねらって、ドバト、スズメ、カラスのほかオジロワシが舞い込んだり、キタキツネが出てきたりします。



D-20 【タンチョウの被害と事故】

 タンチョウが傷ついたり死んだりする原因には、天敵や病気など自然のなかでのものと人間が関係するものとがあります。
 天敵としては、キツネ、カラス、野犬、野生化したミンクやイタチ類、ヘビなどがあげられます。健康な成鳥をこれらが捕食することはないと思われますが、けがをしたり弱っている時に襲われることが考えられます。 タンチョウにとって重大なのは、卵、ヒナ、幼鳥の時期にこれら加害動物に狙われることです。この時期、人間が写真目的か何かでタンチョウの親を威嚇して巣を離れさせたり、親子が離れたすきに卵やヒナが襲われるのは人間の被害というべきで厳に注意すべきです。

 昭和25年(24年以前のもの7羽を含め)から昭和63年までのタンチョウの全死亡数は339話ですが、病気によるものは42羽(43.6%)です。死亡原因の第1位は電線への接触や感電によるもので、148羽(43.6%)を数え、タンチョウの保護上重要なことから、電線に赤いビニールのタッグや黒と黄色のチューブをつけたり、地中に埋めたりする方法がとられています。そのほかでは、外傷によるもの68羽(20.1%)、不明75羽(22.1%)などとなっています。電線への衝突も人間が急に飛び立たせることが間接的な原因かもしれません。こういった事故が一日も早くなくなるようにしなければなりません。


D-21【タンチョウ小史】…①

 タンチョウは釧路湿原を代表する動物としてすでに有名ですが、北海道の木・エゾマツ、北海道の花・スズラン、ハマナスと並び、「北海道の鳥」として道民のシンボルにもなっています。昭和63年12月の調査では、485羽が確認されていますが、これまでの興亡を簡単にまとめてみましょう。

1.タンチョウの分布
 その昔、タンチョウは春から夏は北海道で繁殖し、秋になると江戸付近にまで移動する系統と、シベリアで繁殖し晩秋江戸以南の本州、九州で越冬する系統の二つがあったものと推定されています。

 現在日本では北海道東部の留鳥として生息し、外国ではモンゴル東部、中国東北、ウスリーなどで繁殖し、冬朝鮮半島、中国東北の南部などへ渡るとされています。

2.明治時代以前のタンチョウ
 タンチョウについてのもっとも古い記録は、擦文時代(700~1,300年前)のものとしてのアイヌの伝説がありますが、アイヌン民族は文字を持たなかったので、口伝えに後世につたえられたものです。、これは釧路国のタンチョウの話、タンチョウが野生になった由来の話(民話)として残っています。

 徳川時代は蝦夷地の探検、見聞記などに多くの観察記録がみられるようになります。この時代、本州では将軍はじめ諸大名はタンチョウを霊鳥と崇め、保護していましたが、北海道では禁猟制度がなかったので明治になっても鶴を乱獲し、塩漬けとして本州で売りさばいていたため著しく減少しました。
 このようなことから、明治22年に北海道庁令によって鶴の猟獲が禁止され、同25年の狩猟規則の公布で初めて保護鳥になりました。 
しかし、このような保護政策にもかかわらず、開拓の進展、狩猟者の増加、猟具の改良発達に加えタンチョウは体が大きく目立つことから密猟の対象になったといわれます。

3.大正時代の以降のタンチョウ

 大正の初期には自然状態ではほとんどその姿を見ることができなくなりましたが、大正13年10月、そのタンチョウを再発見し、詳細な調査報告をしたのが当時の道庁官吏斉藤春治という人でした。
 「その場所は、釧路阿寒郡舌辛村地内チルワツナイ川及びクッチャロ川合流点より北方のクッチャロ原野北3線、西方は坂井、宮島牧場境界に至る1,200町歩の泥炭湿地に5羽認めたり」と記録されています。

D-22 【タンチョウ小史】…②

 昭和に入ってタンチョウの保護気運が徐々に盛り上がり、昭和10年にはタンチョウとその生息地2,700ヘクタールが天然記念物に指定され、同27年これが特別天然記念物に指定されました。さらに同42年にはタンチョウそのものが特別天然記念物に指定され、5,012ヘクタールに拡大された釧路湿原の区域は天然記念物に指定され今日に至っています。

4.給餌の始まり
 昭和27年2月釧路地方一帯は猛吹雪におそわれ幾日も続きました。その雪の中で餌を探しているタンチョウの群れを発見、阿寒町の人たちがトウモロコシを与えたところこれをついばみ、その後も同じ場所で食うことを覚えました。 同じころ、鶴居村の幌呂小学校でも同じ方法で餌を与えることができ、その後各地で餌につくようになりました。
 給餌の成功によってタンチョウは人を恐れなくなり、年々、数が増えていることが昭和27年以降続けられている生息数の一斉調査で確認されています。


D-23 【釧路湿原で見られるワシ、タカ類】

 釧路湿原とその周辺で見られるワシ、タカのなかまは、トビ、オジロワシ、ツミ、ハイタカ、ケアシノスリ、ノスリ、ハイイロチュウヒ、チュウヒのほか、まれにはオオワシ、オオタカもみられます。肉食で雄より雌の方がやや大きく捕えた獲物を引き裂くかぎ形のくちばしと、鋭いつめの足を持ちます。

 ツミ…全長はオス25センチ、メス30センチと特にその差がある。 タカのなかまでは最も小型、本州では留鳥、北海道では夏鳥として山地で増殖し、秋から冬のかけて平地に下りて過ごします。小鳥、ネズミ、昆虫を食べます。

 ハイタカ…全長35センチ、日本各地の森林で増殖し、冬平地に移動するものもあり、小鳥やネズミを食べます。 タカ狩りのタカで、釧路には珍しいタカですが、冬場には市街地にも現れます。

 チュウヒ…全長52センチ程の中型のタカ、アジア北部からヨーロッパにかけて増殖、冬鳥として渡来し、河川、湖沼の草原に棲み低空飛行で小型の鳥獣を捕えて食べます。たしかではないが釧路湿原周辺でh繁殖するともいわれています。

 ノスリ…全長55センチ、トビよりやや小型、山地の林で繁殖し、冬は低地に移動します。飛び方や鳴き方はトビによく似ており、まぐそたかとか、くそとんびの別名があります。

 ケアシノスリ…千島列島から北の方で増殖し冬鳥として北日本で見られますが、数は極く少ないので釧路では滅多に見られません。

 トビ…全長60センチから65センチくらい、最も普通に見られるタカの仲間。上昇気流に乗るのが得意、よく空中、羽を水平に広げくるりと輪をかいてとびピーヒョロロと鳴く光景は誰もが馴染み深く、望郷の想いを起こさせる光景ではないでしょうか。生餌は滅多に捕らず、死んだ動物などを食べます、。「とんびが鷹を生んだ」とか「とんびに油揚げさらわれた」「とんびも居住まいから鷹に見える」、また定職を持たないでぶらぶらしている人を「とんび」というそうですが、これらのたとえは、平和主義のトビに失礼なのでは。

 ハイイロチュウヒ…冬鳥ですが見かけることはまれ、雄は頭、体、尾羽が明るい灰色、湿原に飛来し低く飛ぶことが多い。日本では繁殖しません。

 オジロワシ…北海道では留鳥、本州以南では冬鳥。天然記念物で数は多くありませんが、冬、水辺で見かけることができます。

 オオワシ…冬鳥で北海道の北東海岸以外では少ない。 嘴が巨大であざやかな黄色。天然記念物。 冬、結氷したシラルトロ沼、塘路湖上で見られることがあります。

 オオタカ…留鳥。本州、北海道の山林で繁殖し、冬は平地にもきます。


D-24【シマフクロウ(亜種、エゾシマフクロウ)は神の鳥】

 シマフクロウは留鳥として北海道に生息します。全長約71センチ。日本にはフクロウ科に属するものが10種生息していますがシマフクロウが最大です。
 シマフクロウは群れは作らず、単独またはつがいで行動し、巣はミズナラやカツラの樹洞で、巣材を使いません。雄がごく低い声で「ボーボー」と鳴くと、雌が「ウー」とこたえ、「ボーボー、ウー」と聞こえます。

 フクロウ類は他の鳥と違うところがあります。顔がハート型をし、目の位置と構造に特徴があります。ほかの鳥は両側に目がありますが、フクロウは人と同じ正面に目があります。視野はシギ(360度)やハト(337度)に比べ110℃と狭い。しかし立体視ができる角度が70℃とほかの鳥よりはるかに広いのです。また、耳の位置が左右不相称であるため音源も立体的に把握することができるのです。
 フクロウは夜行性の猛禽であり、わずかな音や光で獲物が捕らえられるような機能が備わっているのです。
 アイヌ民族はシマフクロウを「コタンクルカムイ」(村をつかさどる神)、あるいは「カムイチカップ(神の鳥)」と呼び、「コタン」(村)や「アイヌ」(人間)を守る最高の神としてあがめられてきたといわれます。


D-25【日本に渡来するハクチョウ】

 日本に来るのは、オオハクチョウとコハクチョウのほか、コブハクチョウはまれです。オオハクチョウは最も大型の水鳥で、コハクチョウはこれよりやや小型で、ともにユーラシア大陸北部などで繁殖し、越冬のため渡来します。
 冬季の食べ物は、田の落ちモミ、水生植物の茎、根などですが、渡来地で穀類、パンくずなどを給餌しているところもあります。越冬期間は家族でまとまって鼓動し、いくつもの家族が集合して大きな群れをつくるのが普通です。
 おもに昼行性で、家族で朝ねぐらを出発し給餌へでかけ、夕方ねぐらへ戻ります。 日本での主な越冬地は、オオハクチョウでは北海道の風連湖、鐺沸湖、青森県の大湊港、新潟県の瓢湖など、コハクチョウでは北海道のクッチャロ湖に、秋と春の渡りのとき大群が渡来し、越冬は、青森県小川原湖、福島県猪苗代湖、琵琶湖その他があります。コブハクチョウはヨーロッパが繁殖地で日本には迷鳥とし渡来するにすぎません。皇居のお堀で飼育、繁殖したものが各地の公園、動物園で飼われています。
 釧路湿原の河川、湖沼には10月中頃オオハクチョウが美しい姿を現し、水面が凍てつく頃には更に南下し、春、北帰行の途中、又立ち寄ります。中には越冬するものもいますが、いわば彼らのドライブインといえます。

 【伝説に由来する「白鳥」の話】
 白鳥の歌 白鳥は一生に一度、死ぬ前にだけ美しい声で歌う、という伝説がヨーロッパにあり、従って作(曲)家が死ぬ前の作品や演奏を「白鳥の歌」というそうです。シューベルト(オーストリアで活躍)が死ぬ前に作曲した歌曲14編を友人たちが彼の死後、伝説に合わせて「白鳥の歌」と命名したそうです。

 白鳥処女説話 白鳥によって女性、特に処女性を象徴する寓話、世界各地にいろいろな形で伝わっています。日本の「天女の羽衣」がそれです。

 白鳥の湖 1895年以来各国で最も上演回数の多いバレー作品、遠く湖の見える城内で、王子ジークフリートの成年を祝う舞踏会が開かれる。王子は魔法使いのためハクチョウにされたオデット姫を愛したが、魔法使いは自分の娘を姫の姿に変えて王子の花嫁に決めてしまう。しかし最後には王子とオデット姫は結ばれる、という四幕でした。

 白鳥座 ゼウスがスパルタ王妃レダのもとに通うため変身した白鳥の姿を星座になぞらえたものです。


D-26 【渡りのチャンピオン「オオジンギ」】

 シギの仲間は種類が多く、又その多くは北極圏のツンドラ地帯で繁殖し、南方で冬を越します。旅鳥で日本には渡りの途中、春と秋に立ち寄り少数は日本で繁殖し、冬を越すものもいます。日本では45種が記録されているそうです。
 釧路では専門家によって5種が記録されていますが、「オオジンギ」以外あまりなじみがありません。「オオジンギ」は日本とオーストラリアの間だけを渡る夏鳥で日本の本州中部の産地、北海道の草原で繁殖します。 日本、オーストラリア間無着陸飛行をするものと考えられており、正に渡りのチャンピオンです。
 湿原の初夏の朝まだき、空高くからの急降下バクゲキに安眠を破られる。ジジジ、ジーヤク、タマヤク、キモヤク、ジジゴォー…を繰り返します。 繁殖期の修正とか、雄の雌に対する示威とも思われます。ゴォーは羽音です。

 【私はサギの仲間「アオサギ」】
 私はアオサギ、サギの仲間では最も大きく全長は93センチ、嘴が長くとがっていて、体の割に頭が小さくて、首と脚が長いのが特徴です。水辺に棲み、浅瀬を渡り歩き獲物(魚類)を捕まえて食べます。翼は体に比べ幅が広くて大きく、首を肩のところに縮め、脚を後方に伸ばしてゆるやかに羽ばたいて飛び、ガァーとかギャァーとか悪声でゴメンナサイ。集団で繁殖するのが私たちのきまりなのです。
 釧路市湿原展望台から東に約2㎞地点のハンノキ林が私たちのコロニー(集団営巣地)です。国内最大と言われ自慢しています。3月下旬からみんなでお邪魔して巣作りをします。新しく作る仲間もいるけれど、ほとんどは去年の巣を補修して使うので余り手間はかかりませんですハイ…。3,4年は補修で使います。
 だいたい4月中頃までに3から5個産卵をすませます。抱卵は夫婦交代で仲良く致します。25日でふ化しますが、それからの子育てがたいへん、巣立ちまで50日もかかるのです。
 北海道から九州にかけて繁殖(留鳥)し、本州以南で越冬しています。


D-27【動物たちのメッセージ(足跡)】

 哺乳動物を野外でじかに観察することは、実にわくわくする体験ですが、彼ら(彼女ら?)はなかなか姿を現してくれません。仮に見られたとしても、警戒心が強く、ありのままの生態を見せてくれることは稀です。そこで、雪や泥の上に残された足跡を読む方法を覚えましょう。英語よりずっと簡単です! 運がよければ自然界のドラマに出会えるかもしれません。

 よく見かけるのは、キツネ、ウサギ、シカ、リス、ネズミなどです。キツネの足跡は犬と間違えやすいので注意しましょう。キツネは、前足で踏んだ跡に後足を乗せるように歩くので、2本足で歩いたようにみえます。また、犬より肩幅が狭いので足跡が一直線上につきます。 ひとつひとつの足跡は、犬より細くて爪が鋭く長いのも特徴です。また、キツネや犬がピョンピョンはねていくと、ウサギによく似た足跡を残すことがあります。シカもヒツジと間違える可能性があるので歩幅、大きさなどに注意が必要です。


D-28 【おしゃれな旅人(カモ類)】

 夏、釧路湿原でも、少数のカモ(マガモ、ヨシガモなど)が繁殖しますが、何と言っても見ごたえのあるのは、秋、シベリアから大挙してわたってくるカモたちです。8月も末になると姿を現し始めますが、このころのカモたちは、みんなメスに似た、地味な色彩をしています。(非生殖羽-エクリプスという)やがて冬が近づくと、次の繁殖の求愛行動のために雄たちはきれいにお化粧しなおします。
 カモには大きく分けて、潜水ガモ(水に潜って小魚など動物質のエサをとる)と水面採餌ガモ(主に植物を食べる)があります。塘路湖やシラルトロ湖などの湖沼で、ピョコッともぐったり、ヒョッコリ姿を現したりしているのが潜水ガモで、キンクロハジロ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサなどが常連です。水面採餌ガモには、マガモ、オナガガモ、ヨシガモなどがいて、水に浮いている時は尾を水面より高く持ち上げているので尾を水面に沈めている潜水ガモと区別できます。
 水に潜る鳥には、他にもカイツブリ類(カイツブリ、アカエリカイツブリ)がいますので、まちがえないようにしましょう。


D-29 【森の中は住宅難(巣穴)】

D-29 【森の中は住宅難(巣穴)】
 森の中の枯れかけた木によくキツツキが穴を開けます。 そのような穴はほぼ円形なので容易に見分けられます。(クマゲラは楕円形のこともある。)開けた穴はすべて巣に利用しているわけではなく、いくつも開けて、その中から気に入ったものを巣にしています。 また、キツツキの穴は、他の小鳥たち(カラ類、コムクドリ、アリスイなど)がよく巣として利用しますし、時にはモモンガが入っていることもあります。 穴の大きさはキツツキの種によっても違いますが、直径3~4センチくらい(コゲラ)から8.5~13センチ(クマゲラ)で、体の大きさにはほぼ比例しています。よく見かけるのは4~6センチのアカゲラの巣のことが多いようです。
 最近は、森林の伐採や、植林による整理が進み、巣を作りやすい立ち枯れた木が少なくなったので、樹洞を利用する小鳥たちが巣穴の取り合いをしているのを見かけることがあります。また、巣箱をかけるとほどなく、そこに巣作りを始めます。森の小鳥たちも住宅難のようです。


D-30 【動物たちの食事あと(食痕)】

 足跡とともに、動物たちの行動を探る手がかりとなるのは、食痕(食べあと)です。森の中でよく見かけるものには、ウサギ、エゾシカ、エゾリス、ネズミなどの食痕があります。夏、草をちぎって食べた跡を残すのは、ウサギ、シカですが、ヒツジやウシ、ウマのこともあるので、よく注意してください。
 秋になって、クルミを食べた跡があったら、犯人はだれか推理するのも面白いでしょう。真っ二つにきれいに割れていたらエゾリス、ギザギザの穴が開いていたらネズミです。
 冬は雪の上に残された足跡とともに推理すると、動物の行動がより鮮明に浮かび上がってきます。ウサギは、細い木の枝をナイフで切り取ったようにかじっていますし、エゾシカは、木の皮をはがすように食べています。食べ跡の位置(高さ)でも両者の区別はおおよそつきますが、深い雪が消えた後には、ウサギの食痕も高いところにあるので注意が必要です。


D-31 【釧路湿原にすむ魚】

 釧路湿原の水域に棲んでいる魚は下流域や河口域を含めると34種の淡水魚がすんでいます。
 淡水魚類とは、一生涯のうちの全期間あるいは一定期間を淡水域(塩分のほとんど含まれていない水域)に過ごす魚類の総称といわれています。
 淡水魚でもそれぞれ生活様式の違いがありその区分は表の通りです。純淡水魚はフナ、コイなど5種。二次性淡水魚とは、かなり近い過去に淡水と海水を行き来できる種類から派生したもので、イトウ、ニジマスなど9種。遡河回遊魚とは、淡水で卵から生まれて海に下って成長し、産卵のため再び川にのぼってくるもの、サケ、シシャモなど13種と、もっとも多い。降河回遊魚とは反対に淡水で成長し、海に下って産卵するものでウナギの一種。両側回遊魚は、淡水域で卵から生まれ海に下って稚魚の一時期を海水中で生活し、再び淡水にもどって成長するもので5種がある。まったくの海産魚ですが、淡水が混合する汽水域で一時期生活し、さらに川の下流域にも入るチカ、ヌマガレイがあります。
 釧路湿原を代表する魚ではイトウがあり、また塘路湖には、そこが昔海であったことをものがたる水生生物、イサザアミが生息している。これらについては別に解説しています。


D-32 【湿原の主「イトウ」】

 釧路湿原を代表する魚イトウは、日本で一番大きい淡水魚でサケの仲間です。根釧原野を中心とした道東に生息するといわれていますが、近年の河川改修、水質の悪化などの影響から数が減り、幻の魚ともいわれています。
 釧路湿原では、釧路川はじめコッタロ川、久著呂川、雪理川、幌呂川、仁々志別川などの中、下流部の深い川岸の倒木の影にゆう然と潜んでいます。塘路湖、シラルトロ沼、達古武沼などにもすんでいるといいますが、このころでは姿を見ることが少ないといいます。イトウは成長に応じて食性が変わり、体調15センチくらいまではトビゲラ類などの水生昆虫を餌とし、これより大きくなると魚も食べ、30センチ以上になるとスナヤツメ、フクドジョウ、トゲウオ類など魚だけを食べます。大型のものはネズミ、カエル、ヘビなども捕食するといいます。このためか、イトウは魚偏に鬼という漢字を書きます。成長は遅く、2年で13センチ、5年で30センチくらい、8年でやっと50センチ位とゆっくりしています。サケは空き、川にのぼって産卵し、産卵後死にますが、イトウはサケの仲間では唯一春に産卵し、産卵後も死なずに、15~20年以上も生き続けるといいます。釣り人にとっては引きの強さがたまらない魅力だといい、あこがれの的になっている魚です。

D-33 【湿原のホタル】

近年見ることが少なくなったホタルですが、釧路湿原の西側、恩根内から入る右岸堤防沿いに、7月下旬から8月下旬(時期は年により多少異なる)にかけてみることができます。釧路湿原で見られるのはヘイケボタルですがそのあらましは次の通りです。
○湿原ボタルのあらまし
・からだの形…大きさは雌10㎜、雄8㎜、色は黒色、胸の背中側(前胸背板)はうすだいだい色で、真ん中に黒い太いすじがあります。お腹側は、灰色で、光を出すところ(発光器)はうすいクリーム色で、中にピンクの部分がありルーペで見るととてもきれいです。

○光の出し方・・光を出すところ(発光器)で、燃料(ルシフェリン)が、酵素(ルシフェラーゼ)やマグネシウムなども手伝って燃え、熱やエネルギーの代わりに光をだし、神経にょってコントロールされます。呼吸とは関わりないようです。
●湿原のホタル(ヘイケボタル)
ゲンジボタルほど光は強くありません。しかし、雄はきらめきのある光を1秒間に2回ずつ、忙しく出します。また、ゲンジボタルのように、微光・フラッシュ発行・刺激発行など、複雑ではなく、簡単な点いたり消えたりを繰り返しますが、雄やメスがそれぞれ相手を見つける役にはなっているようです。でもまだ詳しいことは分かっていません。皆さんが研究してみてください。

●湿原のホタルの一生
 7~8月にかけて、湿原の草や木で雄と雌が結婚します。メスはミズゴケなどに100個ほどの卵を産みます。たまごは、1か月あまりでふ化して幼虫になります。幼虫になると水ごけのブルトから水の中に入り、ヒメモノアラガイ、タニシなどを食べて大きくなります。翌年の5~6月頃に水中から陸に上がり、土やミズゴケの中に潜り(潜土)7~8月頃親になって(成虫)出てきて飛び回ります。

D-34【トンボ─釧路湿原は日本で貴重な生息地】

釧路湿原の昆虫で注目すべき分布がトンボ類です。46種が生息し、エゾカオジロトンボ、イイジマルリボシヤンマは、日本では釧路湿原をほぼ唯一の生息地とする北方の寒冷地(シベリア北ヨーロッパ)の種類です。
 その他、本州では、東北や高山の湿原に局地的に生息するカラカネトンボ、オオトラフトンボ、ホソミモリトンボ、キバネモリトンボ、ムツアカネ、カオジロトンボ、などが、湿原に散在する池や沼で普通に見受けられます。

 釧路湿原のトンボ歳時記
湿原東縁の3湖沼のトンボ
 釧路湿原の東の縁にある、シラルトロ湖、塘路湖、達古武沼は広い水面をたたえ、水生昆虫の一大生息地となっています。
 5月上旬のオツネントンボの出現から始まります。この小さな枯れ草色のイトトンボは北海道で唯一の成虫越冬のトンボで、氷点下30度を超える厳寒の冬を物陰にひそんでじっと耐え抜いたのです。
 6月中旬までに、いわゆる春季出現型の種が出そろい、湖畔はにわかに活気を帯びてきます。エゾイトトンボ、ゴトウアカメイイトトンボ、コサナエ、オオトラフトンボ、カラカネトンボ、たちです。ゴトウアカメイトトンボは、その名の通り、雄の複眼が美しい赤で染まっている種で、北見地方のチミケップ湖で最初に発見され、釧路湿原が第二の発見地となったものです。
 6月中旬から7月にかけて、夏から秋に活動するトンボたちが現れます。すなわち、クロイトトンボ、アオイトトンボ、ホンサナエ、コオニヤンマ、ルリボシヤンマ属三種、エゾトンボ属各種、シオカラトンボ、それにアカトンボ属8種類が揃って賑やかです。
 釧路地方は、エゾトンボの仲間の宝庫でもあります。なかでもエゾトンボは多数発生し、8月には成虫が車道や空き地を含め、至る所でみられます。


D-35 【釧路湿原だけにすむ「キタサンショウウオ」】

 日本には16種類のサンショウウオが生息し、北海道には本州からわたってきたエゾサンショウウオと釧路湿原だけに生息するキタサンショウウオの2種があります。
 キタサンショウウオは氷河期の遺存種といわれ、約2万年前樺太と北海道が陸続きのとき北方から渡ってきて生き延び、釧路湿原が日本唯一の生息地です。
 全長は11センチ前後、頭から尾にかけて背面の中央部に黄色の太い縦縞が2本あり、後ろ脚の指が4本であることでエゾサンショウウオ(5本)と見分けられます。 腹部は背面より色が淡く、暗青色の斑点が多数散布し、背面に13本、腹面に11から12本のしわがあります。
 4月中旬から5月中旬、雌は水草の茎などに60~90個の卵が連なったひも状の卵塊を2本産み付け、直後に雄がとりつき受精します。卵塊のゼリー質が吸水すると、長さ13センチ、太さ3センチほどの房状になり、卵塊を包む卵のう膜は光にあたると紫の蛍光色を発し美しい。 5月下旬頃全長7㎜ほどの幼生がふ化し、8月頃には全長4センチほどの亜成体となって陸上生活に移り、成体になるまで二夏以上かかります。
 これまで、釧路市北斗、愛国、新富士、星ヶ浦、大楽毛、標茶町塘路、釧路町鳥通、鶴居村恩根内で生息地が発見され、最初の発見地北斗の生息地は、昭和50年釧路市