目次
はじめに
はじめに
Puddleby: パドルビー
Puddleby:パドルビー 1
Puddleby:パドルビー 2
Animal Language: 動物の言葉
Animal Language:動物の言葉 1
Animal Language:動物の言葉 2
Animal Language:動物の言葉 3
Animal Language:動物の言葉 4
More Money Troubles: さらなる金銭トラブル
More Money Troubles:さらなる金銭トラブル 1
More Money Troubles:さらなる金銭トラブル 2
More Money Troubles:さらなる金銭トラブル 3
A Message From Africa: アフリカからの知らせ
A Message From Africa: アフリカからの知らせ 1
A Message From Africa: アフリカからの知らせ 2
The Great Journey:大旅行
The Great Journey:大旅行 1
The Great Journey:大旅行 2
The Great Journey:大旅行 3
Polynesia And The King:ポリネシアと王様
Polynesia And The King:ポリネシアと王様 1
Polynesia And The King:ポリネシアと王様 2
The Bridge Of Apes:お猿橋
The Bridge Of Apes:お猿橋 1
The Bridge Of Apes:お猿橋 2
The Bridge Of Apes:お猿橋 3
The Leader Of The Lions:ライオンの長
The Leader Of The Lions:ライオンの長 1
The Leader Of The Lions:ライオンの長 2
The Monkeys Council:お猿会議
The Monkeys Council:お猿会議 1
The Monkeys Council:お猿会議 2
The Rarest Animal Of All:世界で一番珍しい動物
The Rarest Animal Of All:世界で一番珍しい動物 1
The Rarest Animal Of All:世界で一番珍しい動物 2
The Rarest Animal Of All:世界で一番珍しい動物 3
The Black Prince:黒人王子
The Black Prince:黒人王子 1
The Black Prince:黒人王子 2
Medicine And Magic:医術と魔術
Medicine And Magic:医術と魔術 1
Medicine And Magic:医術と魔術 2
Medicine And Magic:医術と魔術 3
Medicine And Magic:医術と魔術 4
Red Sails And Blue Wings:赤い帆と青い翼
Red Sails And Blue Wings:赤い帆と青い翼 1
Red Sails And Blue Wings:赤い帆と青い翼 2
The Rats Warning:ネズミの警告
The Rats Warning:ネズミの警告 1
The Rats Warning:ネズミの警告 2
The Barbary Dragon:バーバリーの龍
The Barbary Dragon:バーバリーの龍 1
The Barbary Dragon:バーバリーの龍 2
The Barbary Dragon:バーバリーの龍 3
Too-Too, The Listener:好聴手・トートー
Too-Too, The Listener:好聴手・トートー 1
Too-Too, The Listener:好聴手・トートー 2
The Ocean Gossips:海のゴシップ屋
The Ocean Gossips:海のゴシップ屋 1
The Ocean Gossips:海のゴシップ屋 2
Smells:におい
Smells:におい 1
Smells:におい 2
Smells:におい 3
The Rock:岩
The Rock:岩 1
The Rock:岩 2
The Rock:岩 3
The Fisherman's Town:漁師の町
The Fisherman's Town:漁師の町 1
The Fisherman's Town:漁師の町 2
Home Again:ただいま
Home Again:ただいま 1
Home Again:ただいま 2
おわりに
おわりに

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はじめに

"The Story of Dr. Dolittle"の作者Hugh Lofting(ヒュー・ロフティング)は1886年にイギリスはロンドン近郊に生まれ、寄宿学校で教育を受けたあと、アメリカに渡ってMITで土木工学を学びました。

 

もっともアメリカに合わなかったのか、MITのカリキュラムが厳しすぎたのか、卒業はせずにイギリスに戻って、ロンドンの工科大学で学びなおしました。学校を出た後はカナダやキューバ、アフリカなど大西洋を股に掛けて土木の仕事をし、1912年にアメリカで結婚します。

 

しかし落ち着く間もなく、第一次世界大戦が勃発(1914年)。ロフティングはアイルランド軍の一員として出征します。なぜアイルランドかというと、ロフティングはアイルランド人の血を半分引いていたからです。もっとも当時アイルランドはイギリスの植民地だったので、実質イギリス軍兵士として参戦したのでした。

 

そしてフランドルの戦場から自分の子供に童話を書いて送りましたが、これがドリトル先生の原型です。


アイルランド軍が受け持った西部戦線は熾烈なもので、1917年ロフティングは重傷を負い、アイルランドに送られて療養につきます。戦争自体はその翌年に終わるのですが、今度はアイルランド独立を巡ってアイルランドとイギリスの間で戦争になります。

 

これを嫌ってか、ロフティングは見舞いに来ていた家族とともに、アメリカに戻ります。、その船旅のなかでイギリスの詩人と出会い、「ドリトル先生」の出版を強く勧められました。そこで自作の挿絵をつけて出版したのが1920年のことです。

物語の舞台は19世紀前半のイギリスですが、当時のイギリスでは産業革命がリアルタイムで進行中であり、社会が大きく変動していました。国力は大きく伸び、大英帝国は絶頂期を迎えていました。ロフティングの自由闊達な筆運びからは、そのような活力が随所に感じ取れます。

 

アメリカで出版された「ドリトル先生」は人気となり、ロフティングは技師をやめて作家になります。住居も東海岸のコネチカットから西海岸のロサンゼルスに移り、作品はシリーズ化され、九冊発表されたところで、ロフティングは亡くなりました(1947年)。しかし死後、遺稿から三冊が刊行され、現在では合計12冊を読むことができます。

 

けれども残念なことに作中に黒人差別的な部分があり、1960年代以降、アメリカで黒人運動が盛んになると、ドリトル先生も批判されるようになります。結果、ついにアメリカでは発禁処分にされ、かえって日本の方で読まれているほどです。

 

しかしながらアメリカでもその後不適切な部分が修正されて再出版され、映画化もなされました。それは一重に発禁にしておくには惜しいほど、その想像力のたくましさ、詩的描写のうつくしさ、物語進行の確かさは群を抜いてすばらしいものだったからです。


ドリトル先生、というと「ああ、動物と話せる獣医の話ね」と片付ける人が多いのですが、この本がロングセラーとなった背景には、物語自体が上質だという点も見逃せないでしょう。


それではドリトル先生の第一作、「ドリトル先生のお話」をお楽しみください。

 

なお「イギリス童話翻訳協会」で、この作品の全訳・解説・輪読や、別作品の翻訳を行ってますので、興味あるかたはdogenzaka.academia@gmail.com までご連絡ください。


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Puddleby:パドルビー 1

ONCE upon a time, many years ago when our grandfathers were little children--there was a doctor; and his name was Dolittle-- John Dolittle, M.D. "M.D." means that he was a proper doctor and knew a whole lot.


昔々、私たちのおじいさんが小さな子供だった何年も前、一人の医者がおりました。彼の名前はドリトル、ジョン・ドリトル先生でした。「先生」というのは、彼はきちんとした医者で、とても沢山のことを知っていたからでした。


訳注)Dolittleは字義通りに訳せば「ほとんど何もしない」「怠け者」。お笑いのようだが、英米ではわりとある姓である。なお第二次世界大戦中、初めて東京を爆撃したアメリカの爆撃隊隊長の名は似ているが、「Doolittle」である。(solitioxさんの指摘により訂正)


訳注)MDMedical Doctorの意で、当時(物語の設定は19世紀イギリス)は正規の教育を受けていない民間医も多く、それと区別するために資格をもった医者を「MD」「proper doctor」といった。


He lived in a little town called, Puddleby-on-the-Marsh. All the folks, young and old, knew him well by sight. And whenever he walked down the street in his high hat everyone would say, "There goes the Doctor!--He's a clever man." And the dogs and the children would all run up and follow behind him; and even the crows that lived in the church-tower would caw and nod their heads.


先生は沼のそばのパドルビーと呼ばれる、小さな町に住んでいました。町の人はみんな、老いも若きも、彼の見た目をよく知ってました。そして先生がシルクハットをかぶって道を歩くと、いつでもみんなは「先生が行くよ!頭のいい人だよ」、と言ったものでした。そして犬と子供は駆けつけて彼の後ろについて行くのでした。教会の塔に住んでいる烏までもがカーカー鳴いて、うなづくのでした。


訳注)Puddlebyは「水溜り脇」ほどの意味。架空の地名だが、ドリトル先生シリーズを読むと、イギリス南部のブリストル付近、という設定のようだ。


訳注)village < town < city の順番で都市の規模は大きくなる。日本語では村、町、市という訳語が定着しているが、必ずしもそうでない場合もある。たとえばdowntownにはtownが含まれているが、町の意味でなく、都会の繁華街の意味で、むしろcityのニュアンスである。


The house he lived in, on the edge of the town, was quite small; but his garden was very large and had a wide lawn and stone seats and weeping-willows hanging over. His sister, Sarah Dolittle, was housekeeper for him; but the Doctor looked after the garden himself.


彼が住んでいた家は町外れにあり、とても小さいものでした。けれども庭はとても大きく、広い芝生と石畳があり、しだれ柳がその上に垂れ下がっていました。彼の妹はサラ・ドリトルといい、彼のために家事をしていました。もっとも先生は庭は自分で手入れをしていました。


He was very fond of animals and kept many kinds of pets. Besides the gold-fish in the pond at the bottom of his garden, he had rabbits in the pantry, white mice in his piano, a squirrel in the linen closet and a hedgehog in the cellar.


彼はとても動物が好きで、たくさんの種類のペットを飼っていました。庭の底の池にいる金魚のほか、台所には兎を、ピアノには白鼠を、押入れには栗鼠を、穴倉にはヤマアラシを飼っていました。


訳注)pantryは食品や食器置き場のことだが、日本では馴染みが薄いので「台所」にしておいた。


訳注)cellarは地下に設けられた貯蔵室。ワインセラーなどで日本では有名だが、ワイン以外のものも置かれた。


He had a cow with a calf too, and an old lame horse-twenty-five years of age--and chickens, and pigeons, and two lambs, and many other animals. But his favorite pets were Dab-Dab the duck, Jip the dog, Gub-Gub the baby pig, Polynesia the parrot, and the owl Too-Too.


彼は母牛と子牛、25歳という高齢で足の悪い馬も飼っていました。それに鶏と鳩と二匹の子羊、そのほか多くの動物もです。けれども彼のお気に入りのペットはアヒルのダブダブと、犬のジップ、子豚のガブガブ、オウムのポリネシア、それにフクロウのトートーでした。


His sister used to grumble about all these animals and said they made the house untidy. And one day when an old lady with rheumatism came to see the Doctor, she sat on the hedgehog who was sleeping on the sofa and never came to see him any more, but drove every Saturday all the way to Oxenthorpe, another town ten miles off, to see a different doctor.


彼の妹は動物に文句ばかり言っていました。家を汚くする、というのです。ある日、一人のおばあさんがリューマチで先生のところに来たのですが、ソファで寝ていたヤマアラシの上に座ってしまったのです。おばあさんは先生のところには、二度とやってきませんでした。その代わりに毎週土曜日に、十マイルも離れた別の町のオクセンソープに馬車で行き、違う医者にかかったのでした。


訳注)十マイルはほぼ16キロ。馬車にもよるが、小一時間くらいの距離。


Then his sister, Sarah Dolittle, came to him and said,


すると妹のサラ・ドリトルは彼のところにやって来て言いました。


訳注)原文はsisterで、姉か妹かどうかは分からない。が、未婚の姉を家政婦として使うのはやや不自然なことから、妹としておいた。


"John, how can you expect sick people to come and see you when you keep all these animals in the house? It's a fine doctor would have his parlor full of hedgehogs and mice! That's the fourth personage these animals have driven away. Squire Jenkins and the Parson say they wouldn't come near your house again--no matter how sick they are. We are getting poorer every day. If you go on like this, none of the best people will have you for a doctor."


「ジョン、こんなたくさんの動物を飼っておいて、病人があなたに会いに来るなんて思えるかしら?応接間ヤマアラシとネズミでいっぱいなんて、立派な医者だこと!あなたの動物が追い出したのは、これで四人目よ。スクワイア・ジェンキンスとあのパーソンは、あなたの家には二度と近寄らないって言ってるわ。。。どんなに病気が重くてもね。あたしたち、毎日貧乏になっているわ。こんなことが続けば、まともな人は誰もあなたのことを医者だと認めなくなるわよ。」


訳注)the Parsonthe + 人名で、「あのパーソン」「例のパーソン」。


"But I like the animals better than the `best people'," said the Doctor.


「でもぼくはまともな人よりも、動物のほうが好きなんだ」と、医者は言いました。


"You are ridiculous," said his sister, and walked out of the room.


「あなたはバカよ」と妹は言って、部屋から歩き去りました。


訳注)ridiculous: 嘲笑すべき。バカバカしい。stupid(愚かな)を使ってないことに注意。先生はcleverな人で、愚かではない。ただ趣味がマニアックで、熱中人なだけなのだ。そしてそのような人は、往々にして常識人からは嘲笑されるもの。


So, as time went on, the Doctor got more and more animals; and the people who came to see him got less and less. Till at last he had no one left--except the Cat's-meat-Man, who didn't mind any kind of animals. But the Cat's-meat Man wasn't very rich and he only got sick once a year--at Christmas-time, when he used to give the Doctor sixpence for a bottle of medicine.


そして時は過ぎていき、先生の動物はどんどん増え、診察に来る人はどんどん少なくなりました。そして最後には誰も来なくなりました。。。猫肉を除いては。この男はどんな種類の動物でも気にしなかったのです。けれども猫肉はあまり金持ちではありませんでしたし、年に一度だけ、クリスマスのときに風邪をひくのでした。そのとき彼は一瓶の薬を買い、先生に6ペンスを渡すのでした。


Sixpence a year wasn't enough to live on-- even in those days, long ago; and if the Doctor hadn't had some money saved up in his money-box, no one knows what would have happened.


年に6ペンスはあの頃であっても、生活するのに十分ではありません。もし貯金箱にいくらかお金がなかったら、何が起こるかは誰にも分かりません。


And he kept on getting still more pets; and of course it cost a lot to feed them. And the money he had saved up grew littler and littler.


それでも先生はさらに多くのペットを増やし続けましたが、当然、彼らを養うには沢山の費用がかかりました。そして彼が貯めたお金はどんどん少なくなりました。


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