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はじめに

こんにちは!
ねえ みなさんは チョコレートが どこからきたもので そして
どこへ行くのか、知っていますか? なに、そんなものに はきょうみはないって?
でも ここに、そんなチョコレートに きょうみをもった
好奇心のつよいおんなのこがいました。
年もあけたある日 女の子が 父親である、うさんくさい、みんなの「ともだち」に
声をかけるところからこのお話は、始まります。

*******
長女「ねえDad」

長女「ねえDad」 

 

なんだい。 

 

長女「ねえDad。チョコレート王国ってどこにある?」

?。チョ コレート王国? コートジボアール(Côte d'Ivoire)のことかな?
あれは共和国だけど。
長女「そう、そこ」 

 

アフリカの西は しっこ、伊豆半島なら土肥町(といちょう)のあたり
こっから陸路で四万キロっていったところかな

空路で行くなら成田から
エミレーツ航空でアビジャン行きにのるといい

 

長女「ありがとう」 

 

はい、どういたしまして。 

次女「ねえ、ねえ、おとうさん、おとうさん」 

  

なんだい、次女 

 

次女「バレンタイン帝国って、 どこにあるの?」 

 

バレンタイン帝国?
ヴァチカン市国(tato della Città del Vaticano)のことかな?

 

次女「ウン。たぶんそれー」 

 

ウム、ウムウム

*「長女、次女、ふたりとも。 ちょっとこっちへおいで! 一体なんだって、きみたちはそんなへんな質問をするの? 」
*「なぜ?」

ともだちはそうたずね。 ふたりのむすめたちは何もこたえられず。
ただ、まぶたを ふせるだけ。 調子のいいだけがとりえな ぼんくらの
むこうみずなともだちはふたりの質問の真意を知る、てだてがない! 


やがて
よこをむいて目をふせていた 次女のほっぺたがぷるんと
よこにうごいて、ちいさくて、むしばのある、くちが
おおきめ に、ひらいた 

次女「あのねえ。長女がねえ」
*「ホウ」 

長女「あっばかいうなよ次女」
次女「長女は、チョコをプレゼントするんだ。だからそれを海 外からかいにゅうするのね」

*「ホウ。それはおそらくかいにゅう(intervention)じゃなくて、ゆにゅう(importation)だな」

ホウ、ホウ!なるほどなあ!長女が誰かにプレゼントとはなあ!
それは、たいしたものだ
もう、そんなになるかと、ともだちは思う。読んでいた本をとじて、ともだちは
すこしじぶんも目をふせて 「バレンタインだね」 という。次女は
「そう、バレンタイン、わたしも」とこたえる

父親は閉じた本の表紙をさわりながら、ふたりに、ひくい声でいった

 

*「だったら、 スイスにいきなさい」 

長女「スイス?」
*「そう、スイス。グリュイエール村で チーズ工場を見た後は
チョコレートトレインに 乗って チョコレートの老舗(ろうほ)
カイエ社へ」 

スイス チョコレートトレイン

長女「スイスって、どこにあんの?」 

*「スイスは、ドイツの下だよ。ヨーロッパのくにだ。」

長女「でも。カフェインはコートなんとかって所でとれるんだろ?Dad?」
*「カフェイン? 君がいってるのは <カカオ> のことかな?」
長女「?だな。 スイスで、美味いコーヒーなんか、とれんのか?」

*「ウン。コーヒーの豆と、カカオのまめはべつのものだ、娘よ」
長女「ヒュー。そうなの か? どっちも黒いか茶色いか(Black or Brown)
どれだけ煎るか、じゃねえの?パパ、にがいし」

ともだちは、 めがねの柄をくわえて、すこし考え込んだ、で
話をつづける。話をつづけるが 

 

*「話をつづけるが、コーヒーと
カカオというのはまずべつ のもので カカオが世界で一番とれるのは
コートジボアール、それはアフリカ大陸だ。ちなみに、ややこしくなるが
日本で一番多く輸入している、カカオは、ガーナのカカオで、ガーナもアフリカ大陸にある」

 

長女「そう、それをいってんのよー。 パパ。 だったら、一番うまい
チョコレートは、とうぜん、ガーナだか、コートホニャララに
あるわけじゃない?Dad。 ちがうの?」

それはつまり、産地のものが、一番美味い、というかんがえかた、だな

*「娘よ」 

長女「イエス」 

 

*「ちなみに、さらに
混乱させるつもりはないが、娘よ、カカオはもともと アフリカ産の植物ではない。
今でこそ、品種改良をほどこされ、アフリカで世界一の生産量を誇るが
その起源は メソアメリカ (meso-Americaまたは南アメリカ)
古代アステカ王国(Aztecまたはインカ)にある
つまり、チョコレート王国というのは 「かつてチョコレート王国と呼ばれた国があったか?」
と聞いて、たずねるのが正当なのだ。マイドーター

それで、真のチョ コレート王国、として呼ばれていた国は、今は、もう、そんざいしない」 

長女「なぜ?」

*「その昔、スペイン人がチョコレートの民を、みな、ほろぼしてしまったんだよ 」


長女「?、何か悪い事をしたの?」 

*「何か、悪い事!」

 

ともだちは、鼻息をあらくして さっきまで読んで いた。ダイヤモンド社発行の
地球の歩き方  A18 スイス」を、ほんだなに、しまった

 

*「悪い事、悪い事」 ともだちは
ねんぶつのように、ぶつぶついったまま、太ももを
ぴしゃり、とやりながら、しばらく、本を探す

長女は、そのしまいきれてないで  ななめになっている
地球の歩き方 A18スイス」を手に取ってながめて
フー、と、息をはいた。
次女は、ぬいぐるみをひきずって、部屋から出て行った

さようなら、次女

長女「ようするに。あんた 
今スイスの本を読んで、りょこうにいきたかった、だけだろ!」

*「あった、あった」 

ともだちは
アイケヤで買って来た。二層式のほんだなの中列
から茶色の表紙の本をとりだした
*「あった、 これだ。

The True History of Chocolate(「チョコレートの歴史」)

ここに、チョコレートにかんする、だいたいすべてのことが、載って いる。
日本では樋口幸子、というひとが翻訳している。


この本は ソフィー.D.コウとマイケル.D.コウ の共著になっていてふたりはふうふだ
奥さんは、はじめの三章まで書いて、のこりを旦那さんが書き足した
奥さんはこの本を最後まで書く事ができなかった

長女「なぜ?、書くことが、できなかったの?」

*「死んだ。 ガンだった。
幸い旦那さんはメキシコ史についての権威だったので、かなしみを乗り越えて
彼女の膨大なチョコレートに関する資料をひきつぎ、ひとつの歴史
にへんさんすることがかのうとなったの だ!」

ソフィーDとマイケルD 

たかがチョコレートを知るために
一生のほとんどを使い果たす

このプチビュレ(プチ・ビュレオワジー petit bureoisie)どもが
われわれのあたまに、いくばくかの熱をあたえる。

彼らがハーバードで学んだのが、1960年代のはじめ
ソフィーDは1994年「アメリカで最初の料理」を書き、
そのウィットに富んだ文章と、緻密な
資料を駆使することでアメリカで評判になりその後料理史研究に没頭する傍ら
世界中の古い図書館をめぐり チョコレートの歴史を釣って
一生をすごした

*「この本によれば、チョコレートはもともと飲み物だった、と書いてある
そして、昔は、チョコレートといえば たんなる 苦い汁だったのだ」

 

長女「カカオは、甘くはないのかい?」 

 

*「果実 はともかく、チョコレートの材料になる
種は甘くはない。カカオ自体、甘いものではない」

娘さん、良く聞けよ。チョコレートについていくつか
君に伝えたいことがある 

もし時間があるなら、聞いてくれまいか?

*「聞いてくれる?」 

 

長女「すこしの間なら」

と、いって、長女も居間へむかった。


1
最終更新日 : 2015-09-06 03:19:40

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チョコレートがどうやってつくられるのか

まず
さいしょに
チョコレートがどうやってつくられるのか

見てみる事にしよう

チョコレートの原料はカカオだと言ったが
古代アステカの時代から
カカオの加工ほうほうは
きほんてきにへんかしていない
いや、本質は、まったく変わらない
とまで言ってもいいかもしれない

カカオはまず
瓜状の大きな実から
どろどろの白い種をとりだして
発酵させ、火で焙り、天日で干す
この発酵と、焙煎が、豆に微妙なががくはんおうをおこし
あの
われわれを虜にする風味になるのだ

発酵と焙煎をおこなうもので
有名なのは中国のウーロン茶だが
いずれにせよ
独特の風味のためのかがくはんのうは
カカオにも欠 かせない

アーモンドやコーヒーも
焙煎を行うたべものだが
カカオの精製は、よりふくざつだ!
これをして、リンネ が、カカオを
神々のたべもの(テオブロマThe Food of God)と命名したのもうなづける
カフェインなどのアルカロイド(えんきせいのゆうきかごうぶつ)の一つである
テオブロミンの名は、テオブロマからなるが
地球上で豊富に摂取できるのは、カカオだけだ
この、ものめずらしさからくる芳香が、古代のひとびとを
引きよせたのにちがいない!

ある人の説では
カカオの豆を
ぐうぜん火にくべて
良い香りがし、チョコレートの製法をおもいついたという
焙煎されたカカオは
荒く砕かれ、カカオニブ(cacao nibs)になる

*「てことで、こんなこともあろうかと、
カカオニブを用意しておきましたよ。


といって、ともだちは、ちゃいろい、あぶらのすこし浮いた、小さな紙袋の中から
木の実をくだいたような
ガーナ産のココアニブをとりだした
それは、魔法のような、特殊な匂いで
キッチンをつつみこみます

長女「な、なんなんだよこれ!」
*「カカオを砕いたものです
個人輸入しました。
昔のアステカの民も、まあこんな感じでカカオをニブにしたと思いなさい」

ともだちはその魔法のかけらを
ひとつまみ、 手に取って
言います

*「ホラ、匂いはどうだい?」
長女「ン、これはまんまチョコレートだな」
*「けど、かじれば?」
長女「にがい!」

その通り、スペイン人が来襲する前のアステカの民は  こんな味を
どろどろにして、のんでいた
しかしそれがたくさん飲めたのは一部のにんげん
貴族と戦士たち、選ばれた人だけだ
このにが汁が、人に活力をあたえることを
アステカの民は知っていた
恐らくそれは、カカオに含まれる
カフェインと、テオブロミンのせいではないのか

*「いくらか香辛料はまぜたようだが
ベースはこんなにがい味だったんだ」

長女は、かじったニブを、ステンレスの流しにはきだし
大王製紙のエリエールカロリーライトキッチンタオル
でくちをふいてから

 

長女「これじゃあ粘土をくちにふくむようなものだな。
ブタのえさにもなりゃしねえ!
こんなもの飲むやつら、
ほろびて当然だ、とも思うぜ」

 

と言う。

確かに、甘いと思っていたものが
苦かったショックは
大きいものだ 

 

長女が、歴史から鑑みても チョコレートの民に

うらみがましいことをいって
のちの人 びとを傷つけることがあったとしても
言葉でのことなら、今は、しかたがないのかもしれない

実際、アステカの民は
にがじるを、よりによって器から器にうつして
わざわざ、泥遊びのようにして
泡立てて、のむのだから、初めて見る人は
めんくらったにちがいない
しかし、実際
粘土(ベントナイト:bentonite)をおやつにするる人もいるしだな、
けれども

 

*「ウンまあいいか。で、長女、 これ(カカオニブ)に足りないものは
なんだ?」
長女「ん さ、砂糖? 甘さ?」
*「大正解!そう!、砂糖だ!」

ともだちは長女をゆびさし
身を乗り出してから後
コップに一杯お湯をいれて
うがいをして
また一杯
こんどは砂糖をひとつまみ
いれて、それを
のんだ

*「チョコレートにたいせつなもの、二つ目は砂糖だ
甘さ、というものは、古来
たいへん、ぜいたくなものだった」

 

とういうのも
甜菜(Sugar beet)が発見されるまで、砂糖の
原料は、サトウキビ(甘 蔗:sugarcane)だけだった
このサトウキビの栽培には北限がありを北緯30度より北では育たない

 

で、いわゆる「ヨーロッパ」といわれる国々は
ひとつもあてはまらない
サトウキビは、その頃、ヨーロッパでは絶対に育てることのできない
植物だったのだ!

*「砂糖をもたらしたのは十字軍、これもスペインを征服したのと同 じ
カソリックの名を冠した軍勢だ。けれど、砂糖はしばらく超貴重品
だったし、これも教会が管理して、薬として扱われていた。」

*「「甘さ」というのは
はちみつからもとれたが
白く洗練された砂糖の甘さというのは
生命のエッセンスであるとともに カソリックなんかの
豊かさの象徴(The Symbol of Wealth)
なんだったんだよね」
長女「ナンダッタ?」

ところで、スペインに 渡って来た当時、我がカカオも、負けず劣らぬ
高級品だったのだ。なぜなら、カカオの栽培の北限は
北緯20度とより狭い
つまり、ヨー ロッパで、カカオを栽培する事は
サトウキビよりもぜつぼうてきだ!

 

とにかく、カカオも、サトウキビも、ヨーロッパでは

超めずらしいもの


カカオに砂糖を入れてのむ、というのは
今ならさしずめ
キャビア (caviar:イラン産3万)にドンペリ(Dom Pérignon:30万円(銀座:ゴールドラベル))をかけて、大トロ(キロ4万)をシャリのかわりにして
作る寿司のようなものだ

長女「まずそうだな」
*「試してもいないのに!」

 

チョコレートに砂糖を世界で初めていれて飲んだのは
スペイン”カソリック王”カルロス一世とされているが
彼が行いたかったのは
恐らく世界の頂点であることのあかしだったろう

長女「しかし、こんなものが、どうやって コンビニで手に入るようになるわけ?パパ」
*「そうなんだ 
チョコレートははじめ、豊かさの象徴(The Symbol of Wealth)
として、スペインにだけ流れ込み
やがてヨーロッパの貴族たちのあいだで流行した。
けれど、
それは今ぼくらが知っている、チョコレートとは違うものだ。

 

きみが淡い恋心を伝えるような手段に使える
スイートなチョコレートとは違うものだ
「甘さ(sweetness)」を、稀少品(luxuries)としてでなく、嗜好品(fixes)として
手に入れたところから、ほんとうのチョコ レートの歴史は始まるのだが、
その趣向品となるチョコレートに必要だったもの、それはなんだろうか?
長女」

 

長女「ん、なんだよ、そんなのわかんねえよ」
ともだちは白い歯をみせてから
娘にいった

 

*「それは
大量のさつりくと
黄金だ!」


2
最終更新日 : 2015-09-05 14:38:23

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シュガービジネス/インディアスの破壊についての簡潔な報告

シュガービジネス/インディアスの破壊についての簡潔な報告1
まず
はじめに 
死体のやまがあった

大航海時代の
もっともはじめ
アメリカ行きの船にのったものは

ごろつきもごろつきども

あらくれものもいいところ

 

スペインからメソアメリカまで
その距離約一万キロ
船で行けばおよそ90日

その距離と危険性は
当時の人にとってみれば
月への旅行へ 匹敵するだろう

 

考えてみてもらいたい

 

そんな土地へ、みずしらずの土地へ
陸地からほっぽり出されて
なにものが、いるかもわからない
生きて帰れるほしょうもない
土地へ ふつう
どこのだれが行きたいと
思うだろうか?

アメリカ船に もっとも最初にのったひとびと
それは
志も持たず 
危険を顧みない
体だけが大人になってしまったような
罪人まがい、あるいはそもそも罪人で
自分の価値の無い人生を
リセットしたくて
うずうずしている 利己的な
恥ずかしい人間たちであったのは
想像に難くない

 

ひとびとはこう思うだろう
「黄金の地へたどりつくのは、らくだが針の穴を通るよりかは
易しいだろう
しかし
こんな成功する確率も低い
金をくうだけの、ばくちうちのような仕事は
人間のクズとか、周囲のにんげんにとっては価値がなく
死んでもかまわないと思われているものや
いざとなれば
人殺しをへいきでするようなどきょうがある悪党 
ねじまがったまむしの根性をもつもの
忠誠度は低く、ヒットポイントだけ高ければそれでいい

 

それでなにより 
賃金がとても安くて
精子のように数の多いものども

 

にやらせる 

そんな人間のクズ


なるたけ、数多く、送り込む事だ
(忠誠心が高く、聡明なものは
本国のまもりにひつようふかけつだからだ!)


コロ ンブスの航海から、しようのない人材が集まるということは
あったのだった
そもそも「船乗り」という職業が、重労働かつ、家を持たず
おおよそ人間に考えられるしょくぎょうのなかで
最低だ
とおもわれていた時代
船で住むとは、小指ほどのオカのうえに立つゆうふくな者以外にとっては

監獄にいることと変わりがない
もちろんふつう
彼らに、家族なんか
いないのだ 

愛を語る相手などいない
のだ
こんな
愛も希望も保証も無
い人生をリセットしたくて
すこしでも 風通しよくしたくて
男たちは仕事にかりだされ
船に乗る

 

メソアメリカには

はじめ
このような人材がおおく
流入したのであった

1492年
アメリカ大陸を発見した
コロンブス
その
コロンブスに同行した人の中で
ペドロ・ カサスという
じんぶつがいた
のちに「五人目の宗教改革者(Fifth Religious Reformer)」として知られる
ラス・カサスの父である

コロンブスや他の探検家に同行した
多くのごろつきども
けれど
そのなかで
ペドロカサ スは探検家として、
また一人のカソリック宗教者として、比較的正しいおこないをし
息子であるラスカサスに
多大なる影響をあたえた
人物であった
のちにインディアスたちに「おとうさん」と慕われる
ラスカサスの礎を築いたのは
ペドロがそのときエスパニョーラから持ち帰った
インディアスの奴隷
だった
かもしれない

ペドロカサスとコロンブスの話をもとに
ラスカサスは
コロンブスの航海記をまとめた。
こんにち、コロンブスについての活躍を知る事ができるのは
ラスカサスのおかげだ

そして、そのラスカサスが書いた書物のなかで
コロンブスの航海記以外に
知られた書物がある
それは
「インディアス史」ならびに

 

「インディアスの 破壊についての簡潔な報告」

 

である

その本によると
「(カサスが)はじめてエスパニョーラ島(今のハイチとドミニカ共和 国)に上陸したときには
300万人いたインディオは、この本を書いている今200人ほどしかいない」
ということだそうだ

300 万人が200人になっちゃったこの惨殺

もしエスパニョーラが百人の村だとすると、
生きの残ったひとは
ひとりもいない計算になる

恐らく百人いた村には
きつぶしたふんどしが
一枚おちているだけだろう

カサスにずばぬけて教養がなく
数字に弱いか
あるいは故意に
おおげさに書こうとする気持ちがあって
はたまた
気がちがったのでないなら、カソリックである
カサスのこの数字は
ほんとうのことだろう

カサスは、この戦争と呼べない
紛争の40年のあいだに
ス ペイン人によって、少なくとも1200万人の
アメリカ人(インディアス)が
ころされただろうと
言っている

東京の人口が1200万人だから、東京だったら
全員死んでる 
東京ドームの動員なら300個分の分量だ
原爆百発分

異なる本でもいわゆるインディアスと呼ばれた人々の
人口の90% は滅ぼされただろうと書いている
10人の村だと、
その数ひとりぼっち
言葉も無い

それが惨殺によるものだけでなく
ヨーロッパから持ち込まれた疫病にも原因があったとしても
最下層のスペイン人がインディアスにしたことは
疫病よりも
たちが悪かったと
言っても良いだろう

スペイン人がインディアスに行っ
たとされる残虐行為の症例は
枚挙に
いとまが ない

ためしに
ラスカサスの「インディアスの破壊についての
簡潔な報告」
のどのページでもいいから開いてみればいい
そこには
つねに非道な行為が書かれている

「私は数えるのも面倒な
ほど多くの場所でスペイン人たちが
手当たり次第にただ気まぐれからインディオた
ちの男や女のてと鼻と耳をそぎ
落としているのを目の前で見た。また、私
はスペイン人たちが数匹の犬をけしかけて
インディオたちをずたずたにさせようとし
ているのを見たし、実際に大勢のインディ
オが犬に苦しめられて いるのも目撃した。
同じく私は多くの家や村が焼き払われている
のも目にしたが、その数が非常に多くて正確
には言えないぐらいであ る。またスペイン人
たちが乳飲み子たちの腕をつかんで力一杯とおく
へ投げ」読んでい
ると
けつのあなが
音をたててとじていくのが
自分でわかるだろう

まさに死に至る病

インディアスはかかった
それは
絶望

 

そして


対するスペイン人が
とりつかれたものとは
何だったのか

*「歴史は今でも
事実をふくめて
動揺している

けれど人間は
その歴史に
へその緒つけて
生まれる
のだ。。。
。。。。」


3
最終更新日 : 2015-09-05 04:36:13

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インディアス

長女「黄金と殺戮って?」
*「簡単に言うとだね、メソアメリカ中の人をころしにころして
空いた土地にタダ同然のアフリカ人どれいを
収容して、こきつかって砂糖を作って砂糖のねだんを下げた
んだね

長女「フム、では黄金は?」
*「メソアメリカをほろぼしたときに 手に入れた黄金と、
生き残ったアメリカ人をこき使って銀を掘って
その金銀財宝がいっぺんにヨーロッパに流れ込んだ
のだ
その財宝の量が、分かっているだけで黄金200トンと、銀が2万トン、
しかし一説によればこれの二倍が、
スペイン人がメソアメリカを滅ぼし た百年のうちで流れ込んだという。

どっと


長女「それっていくらぐらいなの」
*「少なく見積もって二兆円ぐらいかな、倍なら四兆円だ な」
長女「スゲー」
*「うん、年に百億ぐらいか、この金がタダ同然で手に入ったりするのは、
だれの家計にもインパクトがあるね
この金で奴隷を勝ったり、奴隷を買うためのものを作ったりした
んだ。ころしにころしたうえで、きんぴんまきあげてるんだから、石を黄金に
かえる錬金術
とはまさにこのこと
この大量の金銀が流れ込んだのが、世界が今のようになるきっかけに
なったといってもさしつかえない。
あらゆる不毛は
この大量の殺戮
そして黄金から始まった。

奴隷貿易もそうだし、大量消費もそう。

例えばぼくの目の前に あるこの紅茶、
これもアメリカの砂糖と、アフリカの奴隷の恩恵なんだ
紅茶やコーヒーってなんか
一 件
お洒落な感じがするだろう


長女「あたしは紅茶はにがいくてきらいだけど、まあ砂糖をいれればなんとか
確かに、
しゃ れている
といういけんに反対はないよ」

*「食後の砂糖。
こういう優雅さは
16世紀初頭においては
貴族だけのものだった。
砂糖は、ヨーロッパではとれない
貴重品だったからね
これが百年ほどで
状況が、がらっとかわっちゃう

大量の金が流れ込んだヨーロッパはひきつけを
起こしながら
貧富の差を増大させつつ
物価をあげ、総量としては
生産性をあげていった
最初の一撃が
あまりに革命的だったので
これを価格革命(price revolution)という
それまでほとんど上昇しなかった
物価は
短期間で一気に
五倍にはねあがる
上野広小路の
SteakDining鷹のステーキ丼
千円なら
一気に五千円だ
たまったもんじゃない!
この”革命”の主要な下手人が
メソアメリカからの濡れ手に粟の
金銀財 宝だと言われている
「悪貨は良貨を駆逐する」というのは
偽金のこともあったけど、主要には
メソアメリカから流れてくる
血に染まった金のことだったんだよ
実際この血塗られた金で
不幸になった人も多かった
白い砂糖とひきかえにね」

価格革命の起こった後で
は、砂糖は
た庶民のぜいたく(fixes)、
庶民のぜいたくから
ちょっとのぜいたく
ちょっとのぜいたくから
生活用品に限りなく近いもの(staple)
へと、まるで
虫歯でもひろがるように
変貌をとげていった。

黄金が、
たましいを酸化させていったのだ。
黄金によって
われわれのたましいは
変貌をとげていく
錬金術は
にんげんの
心にすくう
やみをてらす
人間の魂はこの三百年ほどで、急激に
かたちをかえはじめた

これと比例するように、
砂糖のねだんはどんどんさがり
ついに高級だった紅茶は、
労働者がまずい飯を胃に流し込む
ための、甘いお湯となった。

貧しい人々は 温かい茶をのむことで
何かこころがあたたまるような
錯覚を抱くことができたのだ
本当は
グラス一杯の冷た
いビールのほうが、
はるかに栄養のある飲み物だったのだ
が*1

茶とはここでは
栄養ではな く
何か祈りに通じる
慣習(カスタムCustom)なのだ

茶を一度憶えた者は
どんなに貧しい状態で
飢えていても

 

つい

 

お茶を買ってしまうのだ
人間としての
最低条件に
お茶が含まれたのだ
価格革命のあと

*「パンだけの冷たい食事も、紅茶さえあればすこしリッチな
「あたたかいメシ」になる、キリストの
人はパンだけのために生きているのではない
というのは
真理だ
これらのことは、イギリスでの
紅茶の習慣の例が顕著だが
この時代、
コーヒーも、チョコレート もまったく同じみちすじを
たどっている。

ホットな砂糖。
帝国中の
平民にまでわたる甘くてあたたかい何か
これは、
もとをたどれば
アメリカから流れた金銀と、ころされた古代アメリカ人たちの
恩恵なんだよ


長女は、右手を
はんぶん
あげた

長女「しかし、なんだってスペイン人は
そんなに
大量のころしをしたの?
金品を
奴らからねこそぎ
りゃくだつしたかったから?


ともだちは、まゆをしかめて、くちにくうきをためて
ボールペンをほっぺに にどあてて
くうきをいっぺんにはきだした

*「ムーン、この事は
誰にも口外しないと
約束するかい?秘密にする?」
長女「いいよ、べつに」
*「君の将来できる大事な恋人にも?」
長女「その人、どうせそんな話になんかキョウミかないよ!」
*「ウン、
ただ、金が欲しいだけなら
あいてのきんたまを
ぬきとるようなところまで
する必要は無いんだ

この惨殺に関与したのは、

神だ」

長女「神っ て
あの神社の?」

*「いや、教会の
ほうの、ゴッド、

カソリックの神だよ」
長女「カソリックってなんだ?」
*「ウム、ぼくがこれから話す事は、バレンタインの誕生にもかかわることだから
次女もつれておいで」
長女「もうひるねしてるよ」
*「じゃあおこして来て」
長女「わかった、わかったが、
しかし・・・・」

この世の中に
昼寝の邪魔をしてよいほどに
大事な話など
そうそうはない
ともかく
ともだちは
長女をつかって次女をおこし
次女は長女をつかってそれをこばみ
いくらか三人の間で攻防がつづくが
最終的にともだちは
ホワイトボードをつかって

南米におけるカソリックの

事のあらましを
こと細かに話し始めた

「と、 こういうわけなのだ」
とともだちはむすんだ。

次女「へっ!」
次女は、まるで悲惨な、むしでもわいたような
まゆげのかたちをのこしながら
「それが、どうしたの?(so what?)」
と答えた。

次女はふまんだった。起こされたのもふまんなら
話のすじみちもおかしい、とかんじていたのだった。
次女はまず長女にみみうちをして
長女はうでをくんでそれに
こたえた
とうぜんに、それをみていた
ともだちはともだちで、めんくらっていた。

*「ウム、
だからそ
の、チョコレートはこのような多大なギセイのもとにだね」
次女「まンなイ」
*「なんだって?」
長女「つまんないっていったんだよ」
ともだちのかおは、いつもよりつちけがまして、
なんどかまばたきをして、フウフウいいながら
けんめいにはなしをしはじめる
*「つまんないってったってね、つまんないっ たってね
フウ、それが
真実(しんじつ)、というものは面白
いだとか
つまらないだとか、そういう、なまやさしい(生易しい)もんじ
ゃないんだよチョ
コレートでもなんで
もだ
次女。
ぼくたちは
その事実に少し
でもち
か づいてだね、これが
真実か
というぎ
りぎりのセン
までちかづいて・・」

長女がアーといいながら
それを制し
た、
長女「アー、 ダー
次女のいうとおりだ。
確かに
あんたの話は
そこはかとなくだが
つまらない
まずまわりくどいし
そんなもってまわった言い方しても
誰も聞かない


*「しかし、しかし。。。」
ともだちも、そうかんたんにひきさがることはすまい。

ともだちが話した

つまらない話

というのは
だいたい

こんな話だ


4
最終更新日 : 2015-09-05 04:46:43

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チョコレート カスタマイズのうた 

いいか、ぼくの可愛いいもうとたちよ
チョコレートのげんりょうである
カカオには
大きく分けて
二つの種類がある
一つは、か弱く、繊細な味したクリオロ種
もう一つは粗野で乱暴なフォラステロ種
もちろん味が 複雑で、マイルドなのは
クリオロ種
のほうだ
チョコレートの神は

人間の地位だけでなく
こういうふこうへいを
カカオにもあたえた

ものにはなまえがある
それは
ひととひと
ものとものとを
区別するためだ
にたようなかたちをしたものどうしは
おなじものだとされる
その区別のためになまえがある
クリオロ、フォラステロどちらともカカオであることに
ちがいはない

おいしいものを
だれだってたべたいと思うだろう
おいしいもののほうが
価値があると思うだろう

さて
そもそも このカカオ

メソアメリカの民
にもたらしたのは
ケツァコルアトル(Quetzalcóatl)という名前の神
メキシコ中部古代トルテカ文明の
かみだ

人間に火をもたらしたのも彼だと
ナワ族の伝承にある

「人間は初め火 というものを持たなかった。
だから鳥や獣をてにいれても
生のままで食べなくてはならぬし
寒いときには
ひどいくるしみをう けねば
ならなかった
ケツァルコアトル神がそれを見て、非常にかわいそうだ
と考えた。
ある日ケツァルコアトルは、人間たちを呼び集めて
「今日はわしがお前たちに大変便利
なものを
こしらえてやる」

 

といった。人間たちは喜んで
「ありがと うございます。その便利なものと申すのは、いったいなんでございます?」
と尋ねた。ケツァルコアトルはにこりと笑って
「何だか
お前たちのほうであててみるがよい」
といった。人間たちは互いに顔をみあわせて
しきりに考えていたがやがて一人の男が

 

「わかりまし た、すばらしい投槍でございましょう?」
といった。「違う」とケツァルコアトルが頭をふった。
「では、どんどん食物を出してくれる器でご ざいましょう」と
また一人の男が言った。「違う」とケツァルコルトルが頭をふった。

人間たちは不審そうな顔をして
「それ では何でございましょう。早く教えてください」
と叫んだ。ケツァルコアトルは明るい微笑をみせて
「火というものだよ」
といった。
「え、 火ですって?火というのはどんなものでございます?
そして何になるのでございましょう?」
と人間たちが口々に尋ねた。
「血のよう に赤くて、太陽の光のように明るく
あたたかいものだよ
これさえあれば、鳥や獣の肉も
生で食べるよりずっとうまくたべられるし
寒 いときも気持ち良く日を送ることができるのじゃ」
これを聞くと、人間たちは飛び立つほど喜んで
「大変結構でございま
すね。どうか 早くそれをこしらえ
てくださいませ」
といった。
ケツァルコアトル
はだまって、足に穿いていた靴
をぬいだ。そして それをさっとうち振ると
血のように赤くて
太陽の光の様に明る
くあたたかなものが
とろとろと燃えだした
「これが火というものだよ。大切にするがいい」
ケツァルコアトルはこういって、火を人間にあたえた
こうして人間世界にはじめて火というものがあらわ れた。*1


チョコレート カスタマイズのうた 2

さあ、妹たち、わたしはケツァルコアトルが、カカオをもたらし た神だとのべた
そのさいに、その左手にかかえていたのは、クリオロ種(甲種)か、フォラステロ種(乙種)か
歴史は、私に語ってくれているか?
しかしおそらく、クリオロ種であったのではないか
とかんがえる
わたしがその根拠とするのはこうだ

ケツァルコ アトルがトルテカ(メキシコ中部)の民に
人間にはじめて火を与えた神
だといったが、トルテカの伝承によればかれは
とうもろこしや、うつくしい花ばな
さまざまなものを人間にあたえた豊穣(ほうじょう)の神
である
そしてなにより、平和を愛した
が、そのために
ケツァルコアトルは神としての地位をうしなう

ケツァルコアトルは生け贄をすることにはんたいし
その考えに敵対す る、テスカトリポカ(畏怖の神)に
酒(オクトリ(プルケ(スペイン語である)))をのまされ、酩酊し、淫行にふけるようになり
やがて
王国からの追放を余儀なくされる

古代メソアメリカのひとびとにとって
酩酊する
ということは致命的なことだ
った
はめられたとはいえ
神の台座から
追放される身となったケツァルコアトルは
そのまえに
人間にあたえた
カカオの木をすべて、雑木にかえたという
おそらくこれで、クリオロ種の数は激減したのだろう
あるいは、神の食べ物
であるテオブロマ(これはギリシア語だ)
メソアメリカのネクトル(これも、ギリシア語だ)
はここで消滅したのかもしれない

ケツァルコアトル(ククルカン)=龍、またはへびの神、豊穣をあらわす
テスカトリポカ=ジャガーの神、畏怖をあらわす

テスカトリポカは、アステカの神である
これらは単なる神話ではなくて
実際の話とリンクしている
先住していたトルテカの民は
後発の
アステカの民とたたかうことになる

戦いはアステカの圧勝だった
のちにスペイン人が、心臓をジャガーの神にささげるといった
悪名高い
アステカの文化が、メキシコの地に花開いたのだ
アステカは、メソアメリカの西北
敗北したケツァルコアトルは、追放された神
としてその名をのこし
東のマヤ文明においては
ククルカン(Kukulcan)の名で呼ばれ
ユカタン半島の北部
チチェン・イッツァに今もまつられている

本当の神の食べ物
は、今では失われてしまったのかもしれない
しかし、カカオは、甲種乙種ふたつの種類を
もって、アステカの地に
根をおろした
王が飲むカカオは、もちろんクリオロ種である
数がすくないものは、多くの人が味わえないため
自然と、価値があがるものだ
そして、高貴だといわれるひとびとも
数がすくない
数がすくないから、価値があるのか
価値があるために、数が少なくなるのか
ともかく
王が好んだカカオはクリオロ種である
アステカ王はそれを好んでのんだ

 

モクテソマ王 は、一日50杯のカカワトルを欠かさなかった
という。
その当時、神に、もっとも近かった男

戦士は
それを飲めば夜通しの行軍をやすやすとやってのけ
貴族が
それを飲めば、強壮と催淫の意味があった
という
神秘の飲み物 カカワトル

アステカ、いや、メソアメリカじゅうで最大の都市
テノチティトラン(Tenochtitlan)
そこを統治した
モクテソマ王
当時人口30万人
世界でも有数のマンモス都市


そこに流れ着いたのが
かの
スペイン人たちである

。。。。。


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最終更新日 : 2015-09-05 04:51:49


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