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タートルネック撲滅委員会

タンスを見ると、いつの間にやら洋服が冬物になっていた。
 
「家の中だからって、いつまでも
 エルモのプリントTシャツで過ごすわけにも行かないでしょ」
 
言われ、見るとふかふかのセーターに、厚手のズボン、
手袋、マフラー・・・いずれも冬のどんよりした空を思わせる様。
少し暗い色合いの服が詰め込まれ、ちょっと引き出しも重くなっていた。

そして、その端っこ。
一番見えにくいところに、 今年も白いタートルネックのインナーがあるのに気がついた。
見た瞬間、

「嫁のヤロウ!
 また、笑おうって魂胆だな」

笑いながら舌打ちして、つぶやいた。

私は、タートルネックが大嫌いだ。
何であんな物が世の中にあるのかが、分からない。
理由は簡単。似合わないからだ。
似合わない度数は、驚いて人も振り返るほど似合わない、のレベルだ。

結婚前。
まだ緊張が解けていない私と義母の間を取り持つ形で嫁に連れられ
新宿伊勢丹内のバーバリーに行った時。

「美音羅さん。良いから着て御覧なさいよ」
「いいですって、お義母さん。
 私、タートルネック絶対似合わないんですから」
「きっとそんなことないわ。ここは騙されたと思って」
「笑いますよ・・・絶対笑いますよ。
 お義母さん、絶対に腹を抱えて笑いますよ」
「そんな失礼なこと、しないわ。」
「・・・・・神に誓って?」
「ええ、神に誓って」 

嫁と義母、そして丁寧な物腰の伊勢丹バーバリーの店員にそそのかされ、
渋々試着室から出てきたとき、
徹底的に社員教育されているはずの新宿伊勢丹店員まで、
腹を抱えて大爆笑だった。

「だ、だから私が似合わんって言ったじゃないですか!」

顔を真っ赤にして言ってみたところで、もう遅い。
俺の目の前で女性3人が身をよじって笑い転げている。

下手に首が長く生まれたもんだから、タートルネックを着ると、
首長族のような風情になって、それがどうも品格を下げ、 奇妙な姿になる。

「でも・・・首まで包まれてて、暖かいですし・・・」

って言いながら伊勢丹の店員が笑って、
義母など、指をさして笑っていた。
「アンタ・・・・・神はどうしたよ。神は。
 
 神は・・・・・・死んだか?」

大概、いくら似合わなくたって、

「そんなことないですよ。とってもお似合いですよ。」

言ってみるのが店員の勇気と度胸だと思うが、忘れもしないその店員。
涙を拭きながら
 
「お客様はタートルネックはやめておきましょうね」
ときた。(笑)

タートルネックを着ると、昔からそうだった。
まず、
母が生まれてこの方初めて私にタートルネックを着せたダイエーで爆笑し、
母の笑い声に驚いた父が続けざまにデカイ声で笑った。
そして、小さい頃から
 
「美音羅ちゃんが世界で一番!一番可愛いよ」
繰り返し何度も何度も言ってくれていた祖母が、
私のタートルネック姿を見て気が狂ったように笑った。

「おばあちゃん・・・・おばあちゃんまで?」

「タートルネック!許さん!」
私の思いはトラウマへ昇華され、もはや怨念に近く、
分別のつくようになった今、40代手前になっても、彼とは和解できない。

そしてこの冬。
私はシレッっと収まっているそのタートルネックを一度も着ないだろう。
もし、もし、万が一着ることがあったとしたらそれは。


事業に失敗。
世間に疲れ、前後不覚に陥り、酒に溺れ、女に溺れ、
借金で首が回らなくなり、何もかも失い、友人までいなくなって、
泣きながらタンスを見ると、そこに一枚。タートルネック。(笑)

それを着るしか、明日への望みがない。

そこまで、きた時・・・・・・・・

でも、着てやるものか!フンッ!(笑)

今井美樹の爆笑出産!!

先月。
大学時代の後輩の嫁さんが子供を産んだ。元気な女の子。
その奥さんには何度か会ったことがあるが、
歌手の今井美樹さんに顔も雰囲気もとてもよく似ていて、
おっとりとして柔らかい素敵な女性。話を聞くと、

「私、中学時代から今井美樹さんに憧れていて、服装とか真似してたら
 『雰囲気が今井美樹さんに似てるね』
 っていわれるようになったんです。
 それから高校大学と家でポスターとか貼って毎日ずっと今井美樹さん見てたら
 『顔も似てるね』
 って言われるようになったんです」

「遺伝子」を超越して、今井美樹を手に入れた女性だと思う。(笑)

そんな今井美樹(似)さんと私の後輩が、今回、出産シーンを撮影した。

「生まれてくる子供に見せてあげたい!きっと感動すると思う!」

「おお!愛し合う二人。嗚呼!!素晴らしき哉、人生!!だね。」
「でも・・・・・・実際はそんなもんじゃなかったですけどね」
私の目の前。後輩はしみじみと語りはじめた。(笑)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「分娩室の前で1時間くらい待ってると、
 『布袋さん(仮名)そろそろ生まれますよ~』って助産婦さんに言われて
 分娩室に入って撮影し始めたんですけど、それから数時間。
 なかなか子供が出てこないんですよ。
 『美樹さん(仮名)!息吸って~!!吐いて~っ!!』
 妻が教わった呼吸法を繰り返すんですけど、ちっともダメなんです。
 その間多少の休みはあるんですけど、
 ほとんどずーっと、壮絶にいきみ続けてるんですよ。
 もう、そばで見ている僕の方が疲れてきちゃって、
 倒れるんじゃないかと思ったくらいでした」
「ふーん。でも出産に立ち会って倒れちゃう男の話はよく聞くね。」
「ええ。僕もそうなりかけたんですけど、必死に耐えたんです。
 でも妻の意識は何度もブッ飛んで、典型的な難産だったんです。」
「う~~ん、それほどかぁ・・・男には分からない痛みだなぁ・・・・。
 でも、それだけ難産だったら、さぞかし撮れたビデオも感動的なものになっただろう?」
「いや・・・・それがそうでも無くて・・・・」
「え?なんで??」
「いや~・・・・・あの・・・・・それが・・・・・」
「お前まさか・・・・・。
 肝心なところでビデオの電池が切れました、とかそういうオチじゃないだろうな?(笑)
 そんなことになったら、嫁さんに、すさまじい勢いで怒られるぞ?」
「(笑)いや、大丈夫。ビデオの電池は十分にあったんで大丈夫なんです。」
「そうか、良かったね・・・じゃ、なんで感動的じゃなかったの?」
「いや、妻は記憶がないって言ってるんですけど・・・・・・。
 これまで以上に激しい陣痛があって、いよいよ子供が生まれると思ったその時、
 『美樹さん!あとちょっとよ!あとちょっとだから頑張って!』
 って助産婦さんが言ってるその言葉聴きながら、
 私も・・・妻の口からそんな言葉が出るのは初めて聞いたんですが、
 妻が突然、病院中に響き渡る声で

 『この野郎!!ブッ殺してやるっ!!!」

 って叫んだんですよ。」
「(笑)・・・・生まれる場面で・・・・『殺してやる!』って?」
「ええ(笑)」
「今井美樹そっくりのお前の嫁さんが?」
「・・・・・美音羅さん。
 今、僕の嫁が今井美樹に似てるのはどうでもいいじゃないですか(笑)」
「いやゴメン、想像できなくて。
 『ブッ殺してやる!』って絶叫してる分娩台の今井美樹が。(笑)
 あれ?そういえばお前の奥さん、趣味は確か・・・・」
「・・・・・・パッチワークです。(笑)
 一日中、今井美樹聞きながら地道に作業してますよ。
 でも、それも今、どうでもいいでしょう(笑)」
「(笑)いやゴメン、ホント想像できなくて。
 俺にとっては、『お前の嫁さん=今井美樹』だから(笑)」
「それから子供が生まれるまでの5分間くらい。ずーっと

 『殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す』

 って言い続けて、もう『呪い』ですよ(笑)」
「(笑)パッチワークが趣味の今井美樹が?(笑)」
「(笑)・・・・で、僕が
 『美樹(仮名)!!頑張れ!!あともう少しだ!!』って
 子宮口見ながら声をかけてビデオを顔に向けたら、
 俺の今井美樹。
 なんて言ったと思います?」
「??????(笑)」
「そりゃもう今まで見たこともない、まるで金剛力士像のような顔で僕を見て、
 病院中に響き渡る声で

 『このっ!!役立たずっっっ!!』

 って叫んだんですよ。(笑)」
「(笑)そりゃお前。嫁さんの本音なんじゃないの?」
「(笑)そりゃ、僕は出産の何の役にも立ってませんけどね。
 だってビデオ回してるだけなんだから。(笑)
 ・・・・・で、また『この役立たずっっっ!!』って言われた後の
 自分の反応がおかしくてですね。僕、おもいきり、

 『わかったっっ!!!!頑張れ!!!!』

 って『役立たず』に同意した上で励ましてるんですよ。(笑)」
「アハハ(笑)そりゃお前の反応もいい感じに壊れてて、面白いね(笑)」
「そして。
 これは後でビデオ見直して気がついたんですけど、
 そんなやり取りを聞いてた周囲の医者と助産婦さんは爆笑で、
 腹抱えて笑ってるんですよ。(笑)」
「(笑)感動的な、娘の出産シーンが爆笑?」
「ええ。医者とか助産婦さんはやっぱり冷静なんですよ。
 そんな中『笑いの神、降臨!』みたいな感じで娘が出てきちゃって。」
「今井美樹も『piece of my wish』って歌ってる場合じゃないな。(笑)」
「(笑)」
「しかし、金剛力士像の顔になった今井美樹が
 周囲大爆笑の状態で子供産むのは想像がつかん。(笑)
 ・・・・で、奥さんはなんて言ってんの?」
「家に帰って一緒にビデオ見たんですけど、一言。

 『これはとても子供に見せられるシロモノじゃない』

 で笑って終わりですよ。お蔵入り(笑)」
「(笑)・・・・・・あのさぁ、お願いがあるんだけど。
 そのビデオ、見せてくれない?」
「見せられるはずないじゃないですか!!妻のが映っているのに(笑)」
「いや(笑)違うんだ、ごめん!!
 変な意味で言ったんじゃない。別にそこが見たいわけじゃない(笑)
 状況が面白いって言うか。(笑)
 じゃ、音声だけでどうよ(笑)!!」
「(笑)無理っす!(笑)」

そんな馬鹿話を「和民」でしながら、
僕と後輩は大きな声で、その女の子の誕生に祝杯をあげた。

出産前「パッチワークが趣味な今井美樹」

 

 

 

出産中「パッチワークが趣味な今井美樹」

 

      「このっ!役立たずっ!!」


「危篤爺さん」と見る巨大な夢

「大分の爺さん、危篤になったらしい」

私が電話口で言うと、
「そうか、、、まあ親父ももう、年だからな。覚悟は、出来てるよ。」

受話器の向こう、父が静かに答える。・・・元気がなかった。
若い頃から「不死身」と言われた祖父だが、父の言葉を聞いて思わず、

「あの爺さんも、いよいよか」

私も覚悟した。
なんだか、寂しい気持ちになった。
3日前の話だ。

今年で85歳になる祖父が危篤になるのは、これが初めてではない。
10年前に初めて危篤になって以来、「3年ぶり5回目の危篤」だ。

これを人に話すと、「危篤って、そんなに何回もできるもんなの?」
と笑って、不思議がられる。
まるで、有力高校の甲子園出場を思わせる危篤の仕方で、
最初の頃は、身内も大急ぎで駆けつけたものだが、
ついには、
「危篤後、何日か経過をみてから」駆けつけることに決まった。

生命力の強さでは右に出るものがない。
まるで元気の塊のような爺さんで、
「あんた見とると、不思議とみんな元気出るから」

と見込まれ、30年位前から、簡素な神社を経営している。

そんな爺さんも、3年前から車椅子生活になった。
、、、じっとしてなかったけど。(笑)

ある時、何のきっかけか、爺さん車椅子で坂道を猛スピードで駆け下りた。

疾走して向かった先にあったのは100段近くもある階段で、
「わー!!」

と爺さんが声あげながら、坂道を一直線に下っていく。
たまたまそれを見ていた若者二人が、こりゃいかん、ということで
暴走する車椅子を止めようと、追いかけた。
間に合うか、間に合わないか、もう、階段間際のところ、
「えいっ!」
若者二人が手を伸ばし、車椅子の取っ手に手が届く寸前、
どういうわけだか勢い良く車椅子はくるっと向きを変え、
若者二人が100段の階段を4分の1程転げ落ちた。
足と腕の骨を折る重症だった。

「まったく!いい加減にしてくださいよ!」

爺さんと婆さんが二人して、平謝りに謝る。
聞けば若者二人は電気屋で、

「ご迷惑を掛けたお詫びといってはなんですが」

と言う事で、爺さん、神社の一部に電飾をつけてもらう工事を発注した。

「なんで神社に電飾がいるのさ!」と父は突っ込んだが、
「近所の子供も喜ぶし、いいじゃないか」と爺さん気にも留めない。
怪しいので、滅多に点火することはないが、
点けてみると、なんだか「クリスマスみたいな神社」になっていた。

そんな破天荒な爺さんも、1年前からいよいよ寝たきりになり、
少しは静かになったかな、と思って昨年末遊びにいったら、
そうでもなかった。

「美音羅よ。年末ジャンボはもう、買ったか?」
「いいや、買わんよ。
 あんなもん、ちっとも当たらん。爺さん、買うの?」
「わしゃ買う。テレビ見とると、かなり多くの人が当たっとる。
 そろそろ、わしに当たる順番だ。絶対に、当たる。」
「(笑)・・・でも爺さん、もう金なんかいらんじゃろうが。
 その年で3億あって、何に使うよ。」
「美音羅よ・・・・お前は大丈夫か?
 お前にゃ夢がないんか?・・・・生きとって、楽しいか?
 わしは、3億当てたときのことは使い道までもう、ちゃんと決めちょる。」
「何、どうするんね?」
「宝くじで、わしは近々、3億当てる。
 そしたら、わしはその金を持って、ラスベガスに行く。

 そして、3億を、50億にして帰ってくる。」

 

寝たきりの爺さんが、病床で、はっきり言った。

大分の山ン中、爺さんの口から
紛れもない「It‘s a Dream!」を、聞いた気がした。


つい先程、婆さんから電話がかかってきて、爺さん、持ち直したという。
嬉しくなって、早速親父に電話したら、親父も嬉しそうで、

 

「ほらみろ!あのクソオヤジの危篤なんて、あてになるもんか!」

 

と訳のわからないことを言って、笑った。
嬉しかった。
なんだか分からないが、元気が出た。

よし。こうなりゃ爺さん、宝くじで、3億当てよう!
そして、当てた3億抱えて、ラスベガスへ行こう!
そして、きっちり50億にして帰ってこよう!
言ってみると、なんだか満更、夢でもなさそうな気がするんだよね。

よし。だからそれまで、死んじゃだめだ!
当たるまで、死なしゃしないぜ!

 

わかったか!(笑)


イラッテ!マンセェェェェーーー!料理店

私の勤める会社の近くに、

自動ドアが開いて店内に入るといきなり

 

「イラッテ!マンセェェェェー!」

 

と、地を揺るがすほどの大声で絶叫される中華料理屋がある。

何の気なしに入ってきたサラリーマンは大概そこでびっくりし、

 

「ええっ?アンタ・・・・今・・・・なんと?」

 

とキョトンとした顔になる。

戸惑いを隠せないまま席に着きその上畳み掛けるように中国人ウェイトレスが言う。

 

「メヌーこてらでつ!」

 

私も最初は、入ったらいけない店に入ったような絶望的な気持ちになった

しばらくするうちに、最初の「イラッテマンセー!」が

 

「いらっしゃいませー!」

 

だということに気づいたあたりから安心する。(笑)

つい最近。しばらくぶりにこの店に入ったら、

 

「いらっしゃいませ!」

 

という丁寧な日本語で迎えられたので、逆にびっくりし、ウェイトレスに聞いてみる。

 

「あれ?いつもの日本語カタコトな中国の女の子は?」

「中国に帰りました」

ええ!!・・・・ああそう・・・・残念」

 

その日も、いつも食べる濃い味の坦々麺を食べたのに、

その日はなんだか味気ない気がした。


バースが魔法瓶で帰国子女

記録的に寒かった日の話だ。

新宿で、取引先の社長と私と後輩の3人で鍋を囲み、酒を飲んでいたら、

グデングデンになった長谷川社長(仮名)が

 

「よし!美音羅君!!

春になったら、3人でどこかの山へハイキングに行こう!!

 そして山頂で天ぷらを食べよう!温かい天つゆを持っていく!!

 山頂で、エビ天を、みんなで食べるんだ!」

 

・・・・やっかいなことを、言い始める。(苦笑)

 

「休みの日に・・・仕事したくないんですけど・・・(心の声)」

 

と思いながらも、そこは私も営業マンだ!

 

さすがは社長!発想が違う!!!良いですね!行きましょうよ!」

 

訳の分からない褒めちぎった社交辞令』で返す。(笑)

すると、酔った社長はますます上機嫌。

 

「よし!じゃあ、美音羅君はエビ天持ってこい!

そして木村君(仮名)!!君は『天つゆ』持ってこい!!

 俺は、『天つゆ』はアツアツのじゃないと許さんからな!

 家から『魔法瓶』に入れて、!『天つゆ』持ってこい!!」

 

すると。

酒の弱い木村君が、真っ赤な顔をしながら首をかしげて聞き返す。

 

「あのぅ、すみません・・・・・・。

 

 

『マホウビン』

 

 

って、何ですか?」

 

固まる長谷川社長が、木村君を、本当に残念そうにみつめて言う。

 

「お前・・・・『魔法瓶』・・・・知らんの?」

「はい。分かりません・・・・『魔法の、瓶』・・・・って何ですか??」

「いや・・・木村。(苦笑)

『魔法の瓶』って言うと、話がややこしくなる。

 なんだかそりゃ・・・・こすると中から人が出てきそうだよ(笑)

そうじゃなくて、社長が言ってるのは、

『魔法瓶』

 

簡単にいえば・・・・・ポットみたいなやつだよ」

「ポットって・・・・・『魔法瓶』なんですか?」

いや、ちがう・・・・まあ・・・ポットは湯を沸かすからな・・・。

うーん、なんて言ったらいいだろう・・・・・。

お湯を沸かす器具ではないけど、『サーモス』みたいな感じの、

保温効果が高いビン、知らない?」

「ああ!!『サーモス』ですか!」

「あ。お前。

『サーモス』だったら分かる??うん、まあ。

簡単に言やぁ、『サーモス』に『天つゆ』入れろって話だよ」

 

私が説明し、木村君が納得したその直後、長谷川社長が言う。

 

「なあ、美音羅・・・『サーモス』って、何よ?」

 

・・・・・今度はこっち??(笑)

思いながらも、面白くなって説明する。

 

「長谷川社長。

今、液体保温瓶業界で有名なのって『サーモス』ってメーカーなんですよ。

 保温能力が高くて、若い世代では一番有名かもしれません。」

「・・・・・『タイガー』じゃないの?」

「いや・・・・。

『タイガー』も有名なんですけど、いま、若い世代では『サーモス』です」

「へえ・・・・そうなんだ・・・・俺の若いころとは、違うんだな。」

 

という話をしてから話題は急展開。

ずーーーーっと、世代差の話になった(苦笑)

あれやこれや、色々話をして、社長と木村君の知っていることに

大きな隔たりがあることがわかったのだが、最後。

 

「ところで、木村君。

 君、『阪神』が優勝した時の外人選手で、『バース』って知ってる?」

え??・・・・『バース』???・・・い、知りません。」

・・・『バース』まで知らんの?

 君は・・・・・・・・

 

 

 

 

 帰国子女?」

 

 

新宿での飲み会は、そんな一言で終わった。(笑)


この本の内容は以上です。


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