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21.商工ローンの反撃

2回目の口頭弁論。


S社は意外にも、弁護士ではなく社員が法廷にやってきた。


主張はあくまでも「みなし弁済」。


但し、今回はその立証資料は間に合わなかったので、次回に提出するという事で、裁判官(女性)から軽いお叱りを受けながらも、10分程度で終わった。

 

その反面、N社が送り込んで来たのは顧問弁護士。


それも、相当のヤリ手の弁護士だ。


N社の主張は「保証料と手数料は利息ではない」と「取引は個々であり、一連性はない」という事だった。

 

N社はまず、借入に際してN保証という保証会社を間に入れる。


そして、保証料と称して高額な金員ブラス事務手数料を借入額からその都度、差し引かれる。


ソレらとN社が利息と称して差し引く金額を足すと、借入額の29%ピッタリの額になる。

(平成12年以前は40.2%)


コレは他に行われている裁判で、「保証料と事務手数料も利息の一部」という地裁判決が出ているが、N社は上告し最高裁で戦っている最中だったので、強気の姿勢だ。


実際に借入当時、ウチの担当者はN社とN保証の2つの名刺を持っていた(コレも証拠)

 


また、「個々の取引」の主張は、300万円を借りて、4ヶ月後の期日に決済をする時、形式上は300万円を一旦、返してから再度300万円を融資するという形になっていた。


しかし、実際にはこちらが期日に次の借入の利息分のみを当座に入金して、不足分(300万円ー入金済み利息分)をN社がウチの当座に振り込み、そしてその日の期日の手形をN社が決済(取り立て)するといった、明らかに継続している取引だった。


連続性のある取引だと、利息制限法の引き直し計算も連続して計算出来るのだが、一回ずつの個々の取引となると、その都度の引き直し計算となるので、引かれる金額も少ない。

 

N社の主張に次回期日までに反論書面(準備書面)を提出するというコトになり、10分程度で終了した。

 

 


S社は一貫して「みなし弁済だから利息制限法なんて関係ない」という主張。


N社は「保証料は利息ではない。」と「連続した取引ではなく個別の取引。」という主張。

 

S社の方が強気なのだが、N社は強かさを持っている。


N社に対しては、2つの事を覆す証拠を出さなければならず、少々厄介だ。


また、S社の怠慢さも何か意図があるようで気になる。

 


初めて相手の戦法と、攻撃力を目の当たりにして、不安は加速して行った。


これからどうなるのだろう。


本当に私で勝てるのだろうか?


もし、負けたら・・・・


でも、引き下がる訳にはいかない。


ここで辞めたらその瞬間に連帯保証人さん達に迷惑が掛かる。


もう、絶対に後戻りは出来ないんだ。

 

でも・・・・・

 


帰りの電車が地元に近づく度に、その不安は増していった。


22. N社への準備書面

N社との3回目以降、焦点は「保証料&事務手数料」と「連続した取引か個別取引か」となった。


私らの主張を当時、裁判に提出した準備書面から書き出してみた。


※(読むと面倒なので、飛ばしてもストーリーには差し支えありません(笑)

 


【保証料&事務手数料】

 

1.被告の計算根拠には、保証料および事務手数料が利息として加算されていない。

 

2.被告は被告の子会社であるN保証の名義で「保証料・事務手数料」を徴収しており、これはN社の利息制限法の上限利率の制約を受けないと主張しているが、この点について、N保証がN社の取立を行なう一部門に過ぎないことを認定した各判決が、実態を直視し、利息制限法3条のみなし利息とする判断が続いている。

 

3.したがって、利息制限法による計算は、保証料、事務手数料を利息として加算すべきである。
    

【取引の連続性】

1.被告は「手形貸付は一回ごとに別個独立に成立している」とし、取引の連続性を認めていないが、原告が貸付を受けた際には、それが1回ごとの個別契約であるという認識はない。

 

2.当初の貸付段階で、利息を当座に入金するならば手形の切り返しによって継続することができる、という被告の説明を受けて融資が開始された。資金繰りに窮したからこそ借入をした原告は、そのうちに資金繰りが好転することを期待して、当面金利だけ支払えばよいということに納得して借入れをしたのである。もし仮に、一回目の手形決済予定の4ケ月先に一括決済である、と聞かされているならば、そもそも借入を始めない者が大多数である。

 

3.また、もし一回で終ることを予定した取引であれば、今後の貸し増しに備えた極度額を定めること も、5年間という基本契約の期間を定めることもなく、一回だけ契約を交わし、その一回で終了す る例が多いはずである。

 

4.当初の基本契約書には、極度額と期間を定めて、取引を開始する。継続を予定するからこそ、この 形で契約が為され、また、別個独立ではないからこそ、極度額が全体について決められているので ある。

 

5.決済日以前に債務者に交付させておいた新しい手形を元に被告は天引した金額を当座に入金し、他 方、債務者は当座の口座に利息を入金しておき、決済日にその合計額が決済される、という形で、 事実として連続している。従って、利息を支払って借り換えを行なう形態の一つと考えられる。 当座の口座に同一日に入出金をする被告のやり方については、目の前で現金を行き来させても別個 の貸付とすることはできないとされること(大阪地裁平成2年1月19日判決 判例タイムス73 8号160頁)と同様、同一の貸借であると解される(借り増し、借り換えについては後述)。

 

6.上に見たとおり、一連の貸付であることは、被告が意図的に別個であるという扱いをしようとして 複雑化しているにも拘らず、明らかである。


【まとめ】

 

取引経過を被告提出のものと合致させ、それに上記2項の根拠にしたがい保証料・事務手数料を加え利息制限法に引き直して再度計算したところ、別紙の計算書のとおり、過払い金額は○○○○円となる。


 


23. S社からの攻撃

S社は3回目以降も中々、詳細な主張を提出して来なかった。


「弁護士に受任してもらうので、それからにして欲しい」


「まだ、弁護士が決まらない」


っと、2回程度、時間稼ぎとも取れる発言で、流石に裁判官もブチ切れて


「次に弁護士による主張か、反論の準備書面を提出しないと結審しますよ」


「スイマセン。必ず来月には弁護士から準備書面を提出させますから」


 

S社の魂胆が分からないまま、時間だけが過ぎて行った。

 

 

 

そして、S社の攻撃は思いも寄らない方法でヤッて来た。


「兄ちゃん、どうしてくれるんだ!」


弟からのイキなりの電話だった。


「S社がオレの給与を差押えて来たぞ!」

 

!!!!

 

直ぐに事情が飲み込めなかった。


S社とは裁判中だし、次回までには反論の書面を出すと言っていたのに・・・


S社(N社も)から借りる際に、公正証書が作成されていた。


コレは連帯保証人全てに対して、強制執行出来るモノであり、コレによって弟の給与が差押えされたのである。


対策を考える為、猫さんへと連絡をし、取り敢えず差押えの停止の手続きを裁判所へ申請する方法にした。


しかし、ここにも問題があった。過払い訴訟は東京地裁に出しているが、弟の給与差押えは弟の居住地管轄の千葉地裁である為、差押え停止の手続きをするには千葉地裁へと行かなければならなかった。


幸い、弟の会社は一部上場会社で、経理部の方の話しによると「良くある事だから大丈夫だよ」っと弟に話してくれたそうだ。


やはり、大手企業に務めている人間は連帯保証人になり易いという属性があり、差押えは良くある事のようだった。


私も弟もコレを聞いて少し気持ちが楽になった。

 

弟は直ぐに休暇が取れなかったので、取り敢えず、私が弟になりすまして、千葉地裁へと申請の仕方を聞きに行き、上手く行けば申請して来る予定だった。


「事情は分かりますけど、タダの申請じゃ差押えは止められません」


私は千葉地裁の書記官に東京地裁でS社相手に過払い訴訟をしている事。過払いは確実で、連帯保証自体も無くなる事を伝えたが、まだ判決などが出ているワケでは無いので、法律に則った方法でしか止められないとの事だった。


「まずは請求異議の訴訟を提訴してもらいます。そして、ソレを元に差押え執行の仮停止処分の申請をして下さい」


要は手続きが2つ必要だという事だ。


「それと、請求異議の訴訟の費用は少額で済むと思いますが、仮停止処分の申請は供託金が必要となります。」


仮処分の申請だから担保(お金)を供託しろという事だった。


「いくらですか?」


「相手の請求が1000万円以上ですから、本来なら100万円以上となりますが・・・」


裁判官に聞いてくると中座し、数分後、戻ってきた書記官は


「そういう事情だったら、50万円でいいとの事でした。それとこちらでも裁判は行いますが、東京地裁の経過を見ながらという事になりますから、東京地裁での期日後にこちら(千葉地裁)の期日を入れるという事にしましょう」


裁判の運び方は有難かったが、50万円はキツイ・・・


東京地裁での裁判に勝てば、千葉地裁でも勝てる。そうなれば50万円の供託金は返って来るのだが。


千葉地裁のロビーで弟に電話をし、経過報告をした。


「親父に貸すなら絶対に出さないけど、コレは自分の為にでもあるから50万円は自分で出すよ」


弟も今まで散々、父からカネを無心され続け、挙句の果てに連帯保証人にまでさせられた。私よりも父を憎んでいる。

 

 

その日は取り敢えず戻り、一応、父にも報告をしたら


「オメーは何やってるんだ?!弟の人生狂わす気か!?」


予想はしていたが、少々堪えた。


「元は誰が借金して、誰が弟にサインさせて連帯保証させたんだ? いつまでも他人ゴトのように思ってんじゃねーよ。」


その後は収集がつかない水掛け論合戦だった(笑)


 

父に文句を言えばコウなる事が分かっていたので、今までは面倒臭いし、言ったって最後には「勝手にしろ!」で逃げられるから、ヤリたく無かった。


しかし、この日はソレを押さえ込める気力が無かった。


まぁ、私も久々に言いたいことも言えたので、多少だがスッキリした(笑)

 

 

その後、訴状や申立書は私が作成し、後日、弟と一緒に供託金を積み(法務局)、給与差押えに対する請求異議の訴訟と強制執行の仮停止処分の申し立てを行った。

 

 

 

ズブの素人が、弁護士も逃げ出すS社相手に、東京地裁と千葉地裁の2つの裁判所で争う事になってしまった。

 

 

 

 


24. 続きます。

 

 

大変申し訳ありませんが、コノ後の続きは、もう少しお待ち下さいm(__)m


この本の内容は以上です。


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