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鼓動


       



吹き上がる噴煙の下で

心臓がドクンドクンと鳴っている

赤い血潮が騒いでいる

侵入するものがいれば 即座にその血潮で溶かしてしまう

怒らせるものがいれば 血潮は奔流となって外にあふれ

全てを破壊してしまう

あらゆるものが灰となるまで


伴侶


       

貴方と私はずっと一緒に過ごしてきました

長い長い年月でした

時には嵐もありましたが

二人で荒波を乗り越えて

ここまで共に生きてきました

家族が増えてまた減って

代わる代わる船の舵をとりながら

貴方と私はずっと一緒に過ごしてきました

残されている時間は少ないけれど

これからもよろしくお願いしますね

あ・な・た


故郷

        

一度も訪れた事のない村なのに

何故か 懐かしさがこみ上げる

故郷という言葉が似合う村を

丘から眺めるだけで ほっとする

故郷を持たない私をも まるごと包んでくれそうだ

都会からはじき出された私をも そっと迎えてくれそうだ

そんな思いがこみあげる

私の気持ちを察するように 菜の花を揺らしながら

風が私の頬を微かになでて そっと通り過ぎて行った


あこがれ ~スミレ~

       

ヴァイオレット すみれ色

菫は紫色だと長い間思っていた

ヴィオラやパンジーには色々あるが

色の名前になるくらいだもの

濃淡はあっても菫は紫色そう信じていた

ある日 白いスミレを見つけて

はっと息をのむ

紫色の中に一輪の白いスミレ

それはあの人を初めて見た時と同じ感覚

ひと際目立った清楚な彼女

あの人にあこがれた若い日

ふと懐かしく思い出した


幸せ ~クモイリンドウ~

     

私たちは薄いクリーム色の小さな花

岩陰にひっそりと咲いています

もし秋口に山に登ったら

岩場や礫地で足元を見てください

私たちがいるかもしれません

決して踏みつけないでくださいね

そのくらい小さいのです

昔はこれでもお薬として皆様のお役に立っていました

今は 私たちを愛でてくれる人のほうが多いようです

とても幸せに思えます

これからもずっとこのままでいたいと願います


この本の内容は以上です。


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