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 目を覚ましたのはもうすっかり夕方になってからだった。
麻酔が効いていてぼんやりしている私の部屋には、心配そうな彼と母が来ていた。
一人で大丈夫だから、と言ったのに。

 

「ずいぶん眠ってたから心配したよ。気分はどう?」

 

彼が私に声をかけると、母は気を使って部屋を出た。

 

「ありがとう。大丈夫。」

 

私は神経を澄まして体に違和感がないか確かめる。
右腕にはまだ点滴がついている。
それからとても喉が渇いている。
そして、生理痛のような痛みが体の真ん中にあるのを感じた。


同時にさっきの小さなビー玉のことを思い出した。

 

ああ、そうか。
あの魂はここにいたんだ。
私があんなに小さくしぼませてしまったのだ。
それでも私の手から離れたくない、としがみついていたのだ。

 

急に涙が溢れて止まらなくなった。
子供のようにぐしゃぐしゃに泣きじゃくった。
彼も母も、私が今まで強がっていたのだと思ったことだろう。
でも、そんなんじゃない。

 

 

私はただ、あの小さなビー玉をなくして淋しかった。

 

 

 


 fin.


この本の内容は以上です。


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