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おわり岬 
 

去り行く岬に
友よ といいかけて
火の歯を鳴らし
風のうでをはげしくまわす
おれたちは出会わなかった
そう信じこむまでに
ひとつの漁村が砂に埋もれ
さかなくさい樽はころげまわった
愛よ といいかけて
身にあまるとまどいのうちに
海をうしなったふね
ふねをうしなったながい曳航の夜
ここ さみしく暗鬼がうろつく
おれの岬
そこからさきはきみの
海鳴り きみのカモメのむれ
だからいまはまわせ風のうでを
二度と抱きとめられぬために
そして見届けるのだ
ゆがんだ地形を照らして
燃えあがる顔を
きみ自身の顔を

この本の内容は以上です。


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