目次
まえがき
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タイトル目次
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第1章 エコ技術と生産技術
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アメリカの新車燃費規制
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公差の魔術
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海賊版対策とIpadの中身
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第2章 資源と環境技術
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リサイクルされるレアメタル
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レアアース戦争
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微生物と植物が地球を救う
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日本が産油国になる日
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第3章 電気社会の到来
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宇宙太陽光発電衛星計画
海洋温度差発電
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直流送電技術
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ワイヤレス送電技術
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電気自動車の可能性
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キャパシタ搭載バス
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ハイウェイトレイン構想
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ギガンティック・トウキョウ
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第4章 食料生産技術
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野菜工場
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CAS冷凍技術
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クロマグロの養殖
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第5章 宇宙科学技術
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小惑星探査機「はやぶさ」
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アブレータ耐熱技術
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イカロスの翼
学術・科学技術予算について
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第6章 軍事技術
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CSMミサイル構想
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F22とF35はガンダムとジムくらいに違う
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自衛隊がF22を持つ意味
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空母型護衛艦「ひゅうが」
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第7章 日本の安全保障と国家モデル
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軍事力による平和
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ODAは肉食動物を太らせた
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アメリカの強さの源泉
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日本がスネ夫になるための2つの条件
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しずかちゃんに成りかけた日本
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かつての日本はノビスケだった
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日本が出来杉君になる日
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あとがき
あとがき

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バスはそのニーズを満たすには物足りない。バスに乗るには、まずバス停に行かないといけないし、時刻表どうりにしか運航しない。時間や場所に制約がかかっている。車がない人だって、欲しいのはそんな制約のない移動手段。

 

では、タクシーやレンタカー業界がもっと伸びるのかと言われるとそれも少し違う。現状では利用コストが高すぎる。実際問題として「ちょっとした用事・買い物」程度であれば、半径10Km程度乗れれば十分。それなのに、初乗り700円とか、6時間レンタルして5000円とか取られると、気軽には使えない。やっぱり高い。ジュース1本、ワンコイン100円で10kmくらい走れるお手軽な車であってほしい。

 

洞爺湖キャラバンでの電気自動車は満充電で80km走れて、850km以上走破して、電気代は1700円ちょっと。1kmあたりに換算するとたったの2円。10kmで100円しか取らなくても全然大丈夫。たとえば、タクシーのように向こうから自分のところに来てくれるのだけれど、レンタカーとして使える車。いわば無人ロボットレンタカーとか作れないだろうか。

 

アメリカのTORCテクノロジーズ社は、バージニア工科大学で自動操縦技術の研究開発を進めるグループと提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブリッドSUVFord Escape Hybrid」の提供を開始している。このシステムは緊急非常停止装置「SafeStop」を搭載し、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の自動化を実現している。アメリカでは、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Challenge」も行われており、昨年11月に行われた決勝レースに、このロボットカー仕様ハイブリッドSUVも参戦し、見事に3位に入賞した。こうした無人ロボット操縦技術やレーンサポートシステム、そしてバッテリー性能が飛躍的に向上している電気自動車を組み合わせれば、コストの安い無人ロボットレンタカーが実現できるはず。

たとえば、こういうのはどうだろう。

 

電気自動車に無人ロボット操縦技術およびレーンサポートシステムを搭載したレンタカー(トロリーレンタクシー)を用意して、普段は駐車場で満充電して待機。お客さんから電話があれば、GPSを利用した自動操縦でやってきて、そこからはお客さん本人が運転。

 

もちろん、本人確認や免許証の認証、その他、道交法の問題とかいくつかクリアすべき問題はあるのだけれど、いずれはこういったニーズに応えることができなければ、車離れを止めることは難しいように思う。1コイン100円で10Kmくらい走るように設定しておけば、都会でもそれなりに使われる筈。

 

ともあれ、自動車の技術革新を怠らず、また社会のニーズをしっかりと掴むことができた自動車メーカーが、これから生き残ってゆくことになるだろう。既に、ローソンは店舗巡回用の営業車の一割を電気自動車にする動きを始めている。充電設備も併設するというから、電気自動車の普及に一役買うことになる。

 

無人ロボットレンタカーを実用化するのにハードルが高いというなら、ローソンがレンタカー事業に乗り出すという手はあるかもしれない。日本のレンタカー屋の店舗数はそこそこあるとはいえ、コンビニのそれとは比較にならない。国内最大の店舗数を誇るトヨタレンタカーでも全国で約1100店舗、日産レンタカーは370店舗、三菱に至ってはわずか23店舗。それに引き換え、ローソンの店舗数は2008年8月現在で、全国8614店、内、関東7県で2324店舗ある。首都圏に絞って、ローソン一店舗に1台電気自動車のレンタカーを置いておくだけでも全然違う。

 

ローソンくらい店舗数があれば、乗り捨てしてもそれなりの利便性はあるだろう。全国のコンビニでレンタカー事業に乗り出せばもっと利便性は高まる。全国に店舗を広く展開しているという利便性を最大限に生かすところにも次代ビジネスの息吹が隠されている。

キャパシタ搭載バス

電気自動車にワイヤレス送電技術を応用すると、充電そのものがいらない車が出現することになる。磁気共鳴方式の非接触型充電は、数m程度の距離なら、離れたところからでも充電ができるから、路面やガードレール、又は駐車スペースなんかに給電側のコイルを設置したりすれば、傍を走ったり、そこに車を置くだけで充電できるような仕組みが実現できることになる。

 

東京大学新領域創成学研究科・先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授は、電気自動車に電池を積むことなく、ワイヤレス給電で動かす方式の研究を進めている。今の電気自動車は内臓した電池で動いているから、なるべく小型かつ蓄えられる電気量が大きい電池が要求され、またその充電を如何に簡単にするかに注目が集まっている。

 

三菱自動車の電気自動車「アイミーブ」も、総重量200kgのリチウムイオン電池を搭載している。だけど、やはり充電1回あたりの航続距離には限りがあって、カーナビもエアコンも使わないエコ運転でも150~160kmが精々のところ。街乗りを考えると実際はその半分程度であると思われる。

 

また、充電にかかる時間も馬鹿にならない。「CO2削減EV洞爺湖キャラバン」で東京から北海道まで電気自動車で走った際にも所々に専用の充電器設置ポイントが用意されていた。確かに専用の急速充電器を使えば、5分、10分程度で満充電の8割くらいまでは充電できるそうだから、急速充電器のスタンドが、今のガソリンスタンド並みにあれば、なんとかなるかもしれないけれど、まだまだそこまで普及はしていない。

 

更に、リチウムイオン電池は、電池内部で化学反応を起こしながら充放電するから、そのたびに劣化していく。充放電の回数は10002000回が限度と言われていて、更にリチウム自身がレアメタルだから、将来にわたって供給が確保されているとは言い難い。

東京大学の堀洋一教授が研究している電気自動車は、電池を持たず、代わりに「コンデンサ(キャパシタ)」を使うのが特徴。コンデンサ(キャパシタ)は通常、電子機器に使われる、ごく微量の電荷を充放電する部品なのだけれど、充放電自体に化学反応を伴うわけではないから、その寿命は半永久的ともいえるほど長く、100万~200万回の充放電に耐え、しかも高速充電が可能。

 

堀教授らのチームが試作した電気自動車「C-COMS」には、3V、1500Fのキャパシタ・セル(コンデンサ・セル)を直列に5個つなぎ、これを3列並列に接続したものを、更に7つ直列に接続することで100V、100Fのモジュールを構成して、搭載している。これにより僅か30秒の充電で、約20分間、時速40kmで走行できるそうだ。

 

この「C-COMS」の凄いところは、搭載しているキャパシタが50Vから100Vの範囲の範囲で動くところで、電圧変動に強く、この範囲内であれば充電エネルギーの約80%が使えるという。ただ、キャパシタ自身に蓄えられる電気エネルギーは、リチウムイオン電池と比べて、およそ10分の1くらいしかなく、折角充電しても直ぐ空になってしまうという欠点を抱えている。

 

そこで、堀教授が注目したのが、磁気共鳴方式のワイヤレス送電技術。これを使えば、信号待ちの間とか、ちょっとした間にちょこちょこ充電しては走り続けることができる。この発想は、架線から電気を貰って走るトロリーバスに通ずるものがあって、架線を無くす代わりに、磁気共鳴方式の送電コイルを其処彼処に設置してやればいい。

 

実は、まだワイヤレス送電とまではいかないけれど、キャパシタを使った交通機関を実用化して運用しているところがある。上海の電気バスがそれ。この電気バスは1.65V、80000Fのキャパシタを18個で1モジュールとして、21モジュールを直列にし、トータル600V、200Fのキャパシタとして使用している。


充電はバス亭に停車している間に、天井のパンダグラフを上げて、200Aで充電。フル充電には200秒くらい必要なのだけれど、実際は30秒程の充電時間で運用している。2007年12月の段階で、この上海の電気バスは7台運行されていて、2006年8月の運行開始から1年半が経過しても、特に大きなトラブルはないという。この時点で、上海万博に向けて100~200台運行を目指しているということだったから、今はもっと多い筈。

 

この電気バスが運行している路線は、全て中国政府負担で運行しているという。この辺り、日本はまだまだ遅れているのではないか。キャパシタ搭載電気自動車の主導権を、中国にすっかり奪われてから「そんなバカな~」なんて叫んでも、もう遅い。堀教授は、将来的には電気自動車はみんなキャパシタを積むようになると言っているけれど、ワイヤレス充電が実用化できれば、その可能性は十分ある。特に、日本なら、ガードレールとか、側溝とか、信号機付近とか、街中だといくらでも設置できる場所があるし、信号なんかで停車するだろうから、磁気共鳴方式のワイヤレス給電には向いている。

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