目次
まえがき
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タイトル目次
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第1章 エコ技術と生産技術
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アメリカの新車燃費規制
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公差の魔術
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海賊版対策とIpadの中身
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第2章 資源と環境技術
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リサイクルされるレアメタル
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レアアース戦争
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微生物と植物が地球を救う
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日本が産油国になる日
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第3章 電気社会の到来
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宇宙太陽光発電衛星計画
海洋温度差発電
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直流送電技術
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ワイヤレス送電技術
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電気自動車の可能性
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キャパシタ搭載バス
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ハイウェイトレイン構想
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ギガンティック・トウキョウ
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第4章 食料生産技術
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野菜工場
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CAS冷凍技術
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クロマグロの養殖
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第5章 宇宙科学技術
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小惑星探査機「はやぶさ」
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アブレータ耐熱技術
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イカロスの翼
学術・科学技術予算について
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第6章 軍事技術
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CSMミサイル構想
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F22とF35はガンダムとジムくらいに違う
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自衛隊がF22を持つ意味
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空母型護衛艦「ひゅうが」
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第7章 日本の安全保障と国家モデル
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軍事力による平和
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ODAは肉食動物を太らせた
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アメリカの強さの源泉
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日本がスネ夫になるための2つの条件
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しずかちゃんに成りかけた日本
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かつての日本はノビスケだった
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日本が出来杉君になる日
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あとがき
あとがき

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それでも国内で携帯電話を回収しなければならないのは、中国が安く買い取るから。彼らは買い取った携帯を分解して、組み立て直し、型落ちの携帯電話として使う。それも壊れたらまた分解して、中の部品を再利用する。そして最後に金属資源を取り出す。まるでお茶を出涸らしになるまで使って、最後の葉っぱまで食べてしまうかのよう。

 

そんなことをされたら商売にならないから、たとえペイしなくても国内で回収する仕組みを作っている。それでも国内の回収率は20%前後。思い出として取っておいたり、電話帳やデータバックアップ用として使ったり、個人情報の流出の心配から回収に回さないケースが多いという。このあたりの問題を如何に解決してゆくかが今後の課題になっている。 

 

更には、工業廃水からレアメタルを回収する技術なんかも開発されている。この技術は、名古屋大エコトピア科学研究所の伊藤秀章特任教授らが開発した。レアメタルが入った廃水に、水酸化カルシウムを鉱化剤として混ぜて300℃位にまで熱して、10気圧の圧力を加えると、レアメタルが鉱物化するという。

 

そして、その回収率は実に99%にも及ぶ。この仕組みは自然界の鉱物が地中のマグマ熱で高温高圧化した地下水の中で固まって作られたことをヒントしたというから、実に理にかなった方法だといえる。しかも、工業排水から有害物質を分離しながら、レアメタルを回収できるから、採算性さえ合えば非常に有用な技術になるだろう。

 

今現在、世界のレアメタル資源は中国が握っている。というのも10~20年程前に中国はレアメタルの国内需要がないことを背景に、外貨獲得のためにレアメタルの輸出に補助金を出して安売り攻勢をかけていた。その結果、世界中の鉱山や製錬所が、中国産の安いレアメタルとの価格競争に負けて廃業に追い込まれていった経緯がある。

 

今や戦略資源として見られているレアメタル。ここを如何に抑えていくかが、今後の日本の成長を支える柱となる。

レアアース戦争

資源争奪戦が繰り広げられるのは、レアメタルだけではない。昨年、中国がレアアースの輸出停止措置を、日本だけでなく欧米にも拡大したことが波紋を呼んだことは記憶に新しい。2010年9月26日に、中国がレアアース輸出規制を発表して以来、国際社会では輸出拡大や代替資源開発を求める声がわき上がっていて、米国もWTOに提訴する構えを見せている。

 

特に、欧米諸国は日本ほどレアアースの在庫を保有していないから、輸出停止は欧米各国の経済に深刻な打撃を与える可能性があると報道されている。一部には、中国が「元高」など変革を迫る国際社会に対し、レアアースを外交カードにして揺さぶりを掛けているという観測もある。

 

レアアースとは、希土類元素(きどるいげんそ)のことで、スカンジウム 21Sc、イットリウム 39Y、ランタン 57La からルテチウム 71Lu までの17元素からなるグループのことで、発見された経緯や元素ごとに分離する際の状況によって、軽希土(ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム)と中重希土(サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、イットリウム、他)に分類される。

 

レアアースは、1794年にフィンランドの学者J.Gadolinによって、1787年に発見されていた新しい鉱物中の、未知の元素の酸化物として発見された。その鉱物はスウェーデン産の希少鉱物であったことと、その酸化物が、融点が高くて還元されにくい酸化物であったため、“希な土(rare earth)”と名付けたことが、その語源とされている。

 

レアアースの各元素は、その科学的性質が非常に似ていて、高融点で熱伝導性が高いことや、通常の金属類より強い磁気を持つという特徴がある。特に、ランタンからルテチウムまでの15元素については、反応性などの差も殆どなく、元素の周期表の一か所にそれらが納められてしまう形になる。


従って、レアアースは、通常、鉱物中からは、常に一団となって発見され、しかも、科学的性質や反応性が似ているために、各々の元素の分離はもとより、分析することすら難しい。現在、レアアースの各元素は様々な用途に使用されているけれど、最も注目されているのは、磁石としての使い道。

 

ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする、Nd-Fe-B磁石は、永久磁石の中では最も強力とされ、また同性能を持つ、代替材料も見つかっていないそうなのだけれど、これに、中重希土類である、ジスプロシウムやテルビウムを添加することで、Nd-Fe-B磁石の高温域での保磁力や磁束密度が高まるという。

 

日本において、この、Nd-Fe-B磁石を一番使うのは、パソコンなどのハードディスクで、磁気ヘッドの位置決めに用いるVCM(ボイスコイルモータ)磁気回路にレアアース磁石が使われているのだけれど、日本製のハードディスクのほぼ全てに、このレアアース磁石が使用される。

 

更に、レアアースは、ハイブリッド車のモータやエアコンの室外機の駆動素子等や、ガラス研磨剤・添加剤、触媒、蛍光体等と幅広く用いられていて、現在のハイテク産業にとっては無くてはならない物質となっている。

 

世界のレアアース生産は、現在、その90%以上を中国が占めているのだけれど、その理由のひとつとして、他のレアアース鉱山がその生産量を急減させたことがあげられる。1997年時点では、レアアース酸化物の供給量は、中国が53300トンで遭ったのに対して、アメリカが20000トンを産出していたのだけれど、アメリカの最大のレアアース鉱山であるMountainPass鉱山が環境問題等で、1998年に生産量を大きく減少させ、2002年には生産休止となっている。

 

ただ、中国の寡占状態を懸念して、今回の問題が起こる前から、中国以外の供給源を求める動きが世界で様々に行われており、オーストラリアのMt.WeldプロジェクトやカナダのHoidas Lakeプロジェクト、Thor Lakeプロジェクトがあり、アメリカのMountain Pass鉱山も、20099月に採掘再開を発表し、2012年にはフル生産をする見込み。

中国国内最大のレアアース鉱山は、内蒙古自治区にある包頭の白雲鄂博鉱山で、軽希土を中心に生産、現在世界で生産されるレアアースの約半分を供給している。中国は元々、レアアースを国家戦略物資と位置付けていて、中国国内の内需優先と、輸出の高付加価値製品へシフトさせる為の政策を次々と打ち出していた。一覧にすると次のとおり。

 

2002年:外国企業や合弁企業(中国企業と海外企業)のレアアース産業への参入の禁止

2004年:輸出増値税還付制度撤廃(鉱石について撤廃)

2005年:輸出増値税還付制度撤廃(酸化物について撤廃)

2005年:海外から鉱石を中国に持ち込んで中間製品に加工して輸出する貿易の禁止

2006年:輸出税の増税と輸出許可枠の削減

 

このうち、輸出許可枠の削減については、中国は毎年のように行っており、今回の輸出許可枠の削減もそれに従ったものと思われるのだけれど、ここまでくると、はっきりとレアアースを外交カードとして使っていると言っていいだろう。

 

今、問題となっているのは、先ほども述べた、ハードディスクやモータ等に使用される、Nd-Fe-B磁石の高温域での保磁力・磁束密度を高める、ジスプロシウムやテルビウムといった、中重希土類の生産および確保なのだけれど、その量が多く含有されているのは、現在は、中国の江西省、湖南省、広東省、福建省等で生産される花崗岩風化型鉱床だけ。(花崗岩風化型鉱床とは、地表に露出した花崗岩が地表水等により風化され土壌を形成、その風化土壌中に含まれる粘土鉱物に希土類元素イオンが吸着されることにより生成した鉱床のこと。採掘しやすく値段が安い。)

 

従って、新たな、レアアース鉱山開発が期待されているのは、中重希土に富む鉱床の開発。これらについては、独立行政法人産業技術総合研究所が、日本国内のマンガン鉱石の分析によって、海底で噴出した玄武岩とその上に堆積した珪質岩に挟まれた、「層状マンガン鉱床」と呼ばれる鉱床に、中重希土類が大量に含まれている分析結果を発表している。

報告によれば、この鉱床の鉱石は赤鉄鉱を伴う鉄マンガン鉱石の組成を持っていて、これまで希土類元素鉱床開発時にしばしば問題となっていたトリウムやウラン等の放射性元素がほとんど含まていないという利点があるそうだ。

 

これらの鉄マンガン鉱石に含まれる希土類元素含有量、特に重希土類元素含有量は、中国の花崗岩風化型鉱床のそれよりも一桁高いというから、この層状マンガン鉱床が開発されると、その生産量にもよるけれど、中国産レアアースの戦略的価値は大きく減衰する。

 

日本では層状マンガン鉱石は既に終掘しているけれど、同様の鉱床は環太平洋地域や南アフリカ等世界各地に広く分布していて、今後の開発が期待されている。日本も積極的に、層状マンガン鉱床の開発を進め、レアアースの中国依存から脱却していくことも考える必要はあるだろう。

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