目次
まえがき
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タイトル目次
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第1章 エコ技術と生産技術
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アメリカの新車燃費規制
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公差の魔術
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海賊版対策とIpadの中身
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第2章 資源と環境技術
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リサイクルされるレアメタル
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レアアース戦争
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微生物と植物が地球を救う
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日本が産油国になる日
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第3章 電気社会の到来
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宇宙太陽光発電衛星計画
海洋温度差発電
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直流送電技術
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ワイヤレス送電技術
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電気自動車の可能性
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キャパシタ搭載バス
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ハイウェイトレイン構想
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ギガンティック・トウキョウ
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第4章 食料生産技術
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野菜工場
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CAS冷凍技術
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クロマグロの養殖
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第5章 宇宙科学技術
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小惑星探査機「はやぶさ」
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アブレータ耐熱技術
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イカロスの翼
学術・科学技術予算について
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第6章 軍事技術
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CSMミサイル構想
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F22とF35はガンダムとジムくらいに違う
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自衛隊がF22を持つ意味
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空母型護衛艦「ひゅうが」
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第7章 日本の安全保障と国家モデル
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軍事力による平和
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ODAは肉食動物を太らせた
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アメリカの強さの源泉
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日本がスネ夫になるための2つの条件
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しずかちゃんに成りかけた日本
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かつての日本はノビスケだった
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日本が出来杉君になる日
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あとがき
あとがき

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第6章 軍事技術

 

 

 

 

 

 

 

第6章 軍事技術


CSMミサイル構想

オバマ大統領が、2009年のノーベル平和賞を受賞した理由のひとつに「核なき世界を構想し実現へ向け努力したこと」というものがある。核なき世界の構想をぶちあげたのは、かのプラハ演説なのだけれど、抑止力の観点から考えると、核なき世界なんて、簡単にいくとはとても思えない。核の脅威から自国を守ろうと思えば、仮想敵国に核兵器を使わせないか、万が一使おうとしたとしても、発射前に破壊できる手段を有するかのどちらか。今の戦略核による抑止力は、核による報復攻撃を行ったときの被害が甚大すぎるが故に使えない、という前者にあたるけれど、後者ともなると、原潜にでも戦術核ミサイルを積んで、敵国近海に常駐しているか、大規模通常兵力でも付近に展開するしかない。

 

だけど、敵国の核ミサイルの発射サイロが地中奥深くにあったり、深度のある国土の奥地なんかにあったりすると、確実な破壊を期待することは難しい。一番望ましいのは、相手の攻撃が届かない超遠距離から攻撃でき、更に、目標を正確にピンポイント且つ、地中深くまで破壊できる兵器。できれば、軍事施設のみを破壊して人的被害を出さないものが望ましい。これまでそれに一番近いものは、戦略核、大陸間弾道弾くらいだった。それでも、戦略核は目標を広範囲に破壊して、さらに、周囲を放射能汚染してしまうから、ピンポイントじゃないし、なにより今の世界では、実使用のハードルは高すぎる。

 

核は被害国の時間をも破壊する。通常弾頭は、爆撃範囲を破壊しておわるけれど、核兵器は爆撃範囲を破壊したあとで更に、周囲を放射能汚染してしまう。核兵器は、爆裂による破壊範囲を「空間的に破壊」し、また放射能汚染とそれが消えるまでの期間、その一帯と放射能を浴びた人を苦しめつづける、いわゆる「時間的に破壊」する両面を持つ。広島・長崎での原爆、その惨事があまりのことに人々の心に深い傷を与えたのは勿論、その後の後遺症や汚染浄化までの2,3世代の時間ずっと広島・長崎の時間を破壊し続けてる。

だから、人々の心から消えない。被爆者の姿と後遺症。それが原爆投下を思い起こさせつづけてる。後遺症が完全に消え、かつ原爆被害を語り継ぐことが途絶えない限り、見えない原爆投下は絶え間なく、日本人の意識の中で続いてる。

 

通常兵器と違って、核は何世代にも渡るほどの時間破壊効果があることは忘れてはならない視点。今の世界は、命の値段が上がっていて、大昔のように簡単に人命を失うなんてことが許されなくなってきた。特に先進国ではそう。だから、核は、あっても使えない兵器に段々なりつつあり、「あるだけ抑止力」の意味合いが強くなっている。だから、もし、核と同等の抑止力があって、時間破壊効果がない兵器があれば、既存の核を、それに置き換えてゆくことは十分にあり得る話。そこにあるのは、単に「核はない」世界であって、抑止力がない訳じゃない。

 

実際、アメリカは、核兵器に代わる新抑止能力を模索している。アメリカが研究・開発を進めている新抑止力計画の中で比較的実用に近いものがいくつかある。その一つが、CSM(Conventional Strike Missile)と呼ばれるもの。通称、非核攻撃ミサイル。このCSMミサイル構想の最大の特徴は、その弾道。

 

通常のICBMは、発射後、数百kmの高度までロケット噴射させ、速度、飛行の角度等を調整して目標地点に設定している。そして、ロケット燃焼終了後、ロケットブースターを切り離して、残った弾頭部分が自由落下状態で目標地点に着弾するようになっている。目標までの到達時間は、7,000カイリ(約12,640km)で51分、 ,000カイリ(約16,250km)だと76分必要だった。

 

これに対して、CSMミサイルは、ICBMのように、一度空に打ち上げて、落とすという弾道ではなくて、ほとんど地球の丸みに沿うような、とても低い飛翔経路を取る。これによって、目標到達時間も短縮され、CSMは、7,000カイリで45分、9,000カイリでは52分で目標へ到達するという。これくらいの時間となると、核ミサイルの発射準備を始めたのを察知してから発射するまでの間に目標を破壊する事も可能になるそうだ。

よって、このCSMミサイルが実用化されると、こちらが核攻撃を受けてから報復攻撃を行うというのではなくて、攻撃を受ける前に相手のミサイルを叩くことが可能になる。相手が打つ気になったことを確認してから、先手を取る方法だから、批難も浴びにくい。武術でいうところの「後の先」。

 

だけど、折角、「後の先」を取って反撃できたとしても、相手のミサイルサイロが地下深くにあったりしても破壊できるのかどうかという問題がある。CSMが非核ミサイルであるならば、その弾頭には何を使うのか。今計画されている弾頭案は、次の3つ。

 

1.センサーフューズクラスター弾(SFW)

2.ロッズ・フロム・ゴッド

3.ヘルストーム

 

1.は、対戦車用に開発された、誘導型クラスター爆弾ともいうもの。SFWは、1万メートル以上の高度から投下された後、40個の子爆弾を放出し、それらの子爆弾に搭載された熱センサーが目標を探知して個別に攻撃する。目標をロックオンした子爆弾は空中で起爆して、自分の形を弾丸状に変えてから着弾(自己鋳造弾)する。このSFWは、実際、イラク戦争で使用され、多大な戦果をあげたという。

 

2.と3.は、タングステンなどの重い金属を弾頭に持つただの棒、又は小片をばら蒔くというもの。2.のロッズ・フロム・ゴッドは、現在の計画では、長さ6メートル、直径30センチのタングステンカーバイト棒を衛星誘導を使って、毎秒3700mで命中させるというもの。その命中精度は7.5mで、貫通能力は地下9mに及び、強化掩蔽壕(えんぺいごう)でさえ破壊すると言われている。

 

ロッズ・フロム・ゴッドは、CSMの弾頭だけでなく、攻撃衛星に積んで、宇宙空間から攻撃するという案もあるらしい。

3.のヘルストームは、今度は、マッハ20以上の速度で、約24,000平方mの範囲に数千発の様々な大きさのタングステン片を均一に散布するタイプで、広域破壊兵器といえる。ここまでくると、もうSFも真っ青の世界であって、実戦配備された暁には、他国はアメリカに正規戦では、全く手が出せなくなる。こうした兵器を発想し、開発・配備できる国と同盟を組んでいる、という意味を日本はしっかりと自覚すべきだろう。


F22とF35はガンダムとジムくらいに違う

島国の日本で、領海の制空権、制海権を持つことはとても重要。相手国を占領しようと思えば、最後には陸軍が必要になる。上陸して、政府中枢機能を抑えるだけの最低限の兵が要る。

 

今も昔も大量の兵を上陸させるには、船を使うしかない。輸送機や潜水艦では大量の人は運べない。

 

したがって、日本を守る側としては、離れ小島は別として、最低限、日本に敵を上陸させてはいけない。その為には、制海権と制空権を握っておく必要がある。

 

相手の船を沈める為には、対艦ミサイルを積んだ戦闘機と相手の戦闘機を蹴散らす制空戦闘機が必要になる。次期主力戦闘機の選定問題がここに絡んでくる。

 

なぜかというと、もしも韓国が北朝鮮によって併合されてしまったら、韓国軍の武器弾薬一式がまるごと北朝鮮のものになってしまうから。

 

北朝鮮空軍のMig-23とか、Mig-29は合わせても80機くらいしかなく、その程度であれば、現状の空自の戦力で十分対応できるけれど、もしも韓国軍の装備一式が北朝鮮に接取されてしまえば、韓国空軍のF16が130機、そして更に、自衛隊の主力戦闘機と同じF15が39機がこれに加わることになる。

 

まるで、将棋で飛車を取られた直後に、その飛車をいきなり打たれて攻めてこられるようなもの。

 

航空自衛隊はついこの間まで、次期主力戦闘機としてF22を候補に考えていたのだけれど、アメリカはF22の輸出禁止を決めていて、その代わりにF22同様にステルス能力を持つF35を勧めている。

F22は、第5世代の戦闘機と呼ばれていて、そのステルス性能が注目されているけれど、そこに使われている技術や性能を見ると、現代のゼロ戦と呼ばれるに相応しいものを備えているといっていい。

 

F22はF16、F15、F18と模擬戦闘をして、100戦無敗。しかもその結果はF15相手に144機撃墜、損害0。F16相手でも241機撃墜、損害2と圧倒的。

 

特に、超機動性と呼ばれる高い運動性能は他を寄せ付けない。上昇しながらの方向転換(Jターン)とか、水平姿勢を保ったままの急旋回(ペダル旋回)、速度の急変更なんて仕様は、ほとんどゼロ戦の格闘戦時の運動性能を彷彿とさせる。ゼロ戦も大戦初期では、その運動性能、航続距離で他国を震撼させ、絶対に戦ってはいけない、見つけたら逃げろと言われていた。F22もその性能をみると同じかそれ以上の隔絶した性能を備えてる。

 

F22は、ステルス性を考慮して継ぎ目や凸凹のない機体設計がなされているけれど、これなんかもゼロ戦に沈頭鋲と呼ばれるネジ頭が飛び出さないリベットを使って空気抵抗を減らした工夫と同じだし、滑らかな機体を実現することで航続距離を伸ばしているところなんかもゼロ戦と同じ。

 

またF22は推力の高いエンジンとステルスによる空気抵抗の小ささによって、アフターバーナーなしでもM1.7以上の超音速飛行が可能とされている。

 

アフターバーナーは、ジェットエンジンの排気にもう一度燃料を吹きつけて燃焼させ、高推力を得る装置のことで、50%程度の推力上昇が期待できる半面、それだけ余分に燃料を必要とする。F18を例にとると、アフターバーナー使用時の燃料消費量は2.15倍。連続使用時間も15分以内と制限がある。

 

F18の巡航速度はマッハ0.8くらいで、通常は音速を超えては飛ばない。アフターバーナーを使ってようやくマッハ1.8。

これまでの戦闘機はマッハ以上の速度を出すには、アフターバーナーなしではほとんど不可能。だから、いくら最高速度がマッハ2だの、マッハ2.5だのいったところで、ほんの少ししか使えない一時的な最高性能にしかすぎなくて、実使用上の性能じゃない。

 

したがって、作戦行動が取れる時間と質を考えると、F22が持つ超音速巡航(スーパークルーズ)機能は、現行機に大きく差をつける要素になっている。

 

では、そんなスーパーなF22とF35では何処か違うかというと、エンジンの推力差が一番の違い。F22は双発エンジンを積んでいるのに対してF35は単発エンジン。F22の超機動性や超音速巡航機能はそのエンジン推力の大きさに拠るところが大きいから、諸元性能でもエンジンに依拠した差が出る。

 

F35には超音速巡航(スーパークルーズ)機能はない。

 

それでもステルス性とか基本設計思想はF22と同じだから、F35だってF22を除けばユーロファイターと並んでほぼ世界最強の戦闘機と言っていい。

 

もともとF35は開発費を抑えるために、各国の次期新型機の開発を一本化して各国の要求を満たす共通の機体として共同開発をしている経緯もあって、汎用性が高い仕様になっている。

 

アメリカ空軍はF16やA10-Aの後継機として、アメリカ海兵隊はF/A-18の後継機として、そしてイギリスはハリアー戦闘機の後継機として開発しているから、F35は通常離着陸型、短距離離陸・垂直着陸型、艦載型の3タイプを製造出来るように単座、単発機の開発計画を持って進められている。

 

その意味では、F22は格闘戦に重きを置いたスペシャル仕様で、F35は何でもかんでも使える汎用性の高い(マルチロール)仕様だと言える。


基本設計思想が同じで、実仕様はスペシャルと汎用量産型という関係は、無茶な例えだけれど、アニメのガンダムとガンダムの量産型で雑魚キャラのジムのそれに近いようにも思える。アメリカは世界各国にジムを売り込んで、日本はつい最近までガンダムを欲しがった。どちらがいいかは、それを実際にどう使いたいかによるのだろう。

 

アニメ作品中のガンダムは殆ど無敵の強さを発揮していた。F22の強さを”ガンダム”だとすると、F15やF16なんかの現行戦闘機はあっという間にやられてしまう雑魚キャラになる。それくらい性能が違う。

 

今、イギリスなどは日本に対して、4カ国共同開発の新型戦闘機である、ユーロファイターを猛烈に売り込んできている。

 

ジェット戦闘機は1940年代に初登場したジェット戦闘機を第1世代として、現在最新のF22までの第5世代までに分類されている。おおよその分類と代表機種を次に示す。

 

 

世代   年代    特徴  代表機種

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第1世代 19501950 亜音速 F86F,MIG-17

第2世代 19501960 超音速 F100,MIG-21,ミラージュⅢ,サーブ35ドラケン

第3世代 19602000?超音速 F4ファントムⅡ,MIG-25,ミラージュF1,三菱F-1

第4世代 19802010?多目的 F14,F15,F16,MIG-29,Su-27,ミラージュ2000,J11A

4.5世代 19902020?高機動 F15E,F18,Su-33,ユーロファイター,10,三菱F-2

第5世代 20002025?ステルス  F22,(F35,Su-47,心神)

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ユーロファイターは、イギリス、イタリア、スペイン、ドイツの四カ国が共同開発した戦闘機で、第4世代と第5世代の中間に位置づけられていて、第4.5世代戦闘機に分類されている。

とはいえ、第4.5世代の第5世代との差はステルス性くらいであって、武器積載量なんかは第5世代を上回っている場合さえある。これは、第5世代戦闘機がそのステルス性を確保するために、武器弾薬を機体内に納めたという理由に拠る。

 

ユーロファイターとF22の緒元性能を比較すると、空戦能力もF22に次ぐとされ、ステルス性くらいしか大きな差は見当たらない。F22と比べれば速力は劣るものの、全備重量でマッハ1.3の超音速巡航(スーパークルーズ)も可能だという。

 

ステルスといっても全くレーダーにキャッチされないというわけじゃない。距離がうんと近づけば通常レーダーでも探知されてしまう。

 

レーダーは自身から発したレーダー波が、対象物体にぶつかって反射した信号をキャッチすることで探知する仕組みだから、ステルスは基本的に、自機に向かってくるレーダー波を吸収するか、そのまま反射させずに横方向とかに散らすことを基本コンセプトにしている。

 

だからステルス戦闘機は、向かってきたレーダー波を180度反射させないようにレーダー波に対して垂直になる面を極力さける形状をとることになる。尾翼なんかをわざと斜めに取り付けたりするのなんかはその例。

 

また、レーダー波を吸収するような特殊な素材を使ったり、電波を吸収する性質を持つ塗装を施したりする。その反面、機体の僅かな傷とか塗装の剥げなんかにも気を使わなくてはならなくなって、メンテナンスが大変になる。

 

今では、ステルス能力を示すのに、RCS(Radar cross section)という指標が良く用いられる。RCSとはある物体をレーダーの電波で捉えたときに、その電波の反射波が発信したレーダーに戻ってくる部分を面積で表したもの。


F15のRCSは6㎡であるのに対して、F22のRCSはわずか0.01㎡で600分の1。レーダーの探知距離はRCSの4乗根に比例するとされているから、F22はF15と比べて大よそ5分の1の被探知距離しか持っていない。更に付け加えるなら、F22の正面のRCSはなんと0.0001~0.0006㎡であり、小鳥か昆虫と同レベルだという。

 

無論、ステルス対策自身は、ユーロファイターにも施されてはいる。だけどそれは、電波吸収材の使用などによる前方からのRCSの低減に特化している。よって、空戦のように正面の敵機からのレーダー探知には威力を発揮するけれど、地上からのレーダー探知みたいに正面以外からのレーダー波には弱い。

 

ユーロファイターのRCSはトーネードー爆撃機の4分の1以下で、F18スーパーホーネットのRCSである約1.0㎡より小さいとされている。仮にユーロファイターのRCSを1.0㎡と仮定して被探知距離をF22のRCSの0.01㎡と比較すると、ユーロファイターはF22の約3倍の被探知距離になる。尤も正面RCS同士で比較すると彼我の被探知距離6.4~10倍にまで広がってしまうから、相当に差があると見ていいだろう。

 

いずれにせよ、これを致命的とみるかそうでないとみるかが一つの指標になるように思う。

 

F22が眼前に迫るまでレーダーで捉えられず、逆にF22からは攻撃されるということは、F22と空戦をする戦闘機はほぼ一方的にやられてしまうことになる。

 

実運用面を別として、世界一の性能を持つF22に関しては、導入するだけで発揮する効果がある。それは、その圧倒的性能を見せつけることで相手の侵攻意欲を挫くこと。

 

F22を配備することができれば、制空権はほぼ掌握できるから、敵国は、ミサイルは別として、おいそれと通常戦力では攻撃できなくなる。

自衛隊がF22を持つ意味

海岸線が長い日本において、敵兵の上陸を阻止するには、足の長い戦闘機が要求される。航空自衛隊の飛行場が全部使用可能であればいいけれど、たとえば、敵国の先制ミサイル攻撃かなにかでいくつかの飛行場が使用不能になっていたとしたら、別の基地から救援に飛ばなくちゃいけない。最低でも日本列島を往復できるくらいの航続距離は欲しい。しかも即救援にいけるためには、巡航速度もうんと速い方がいい。

 

だから、スーパークルーズ機能がある機種のほうが望ましい。F22とかユーロファイターとか。

 

特にF22は格闘戦闘力は他を寄せ付けないから性能的には申し分ない。

 

F22は1機でF15を同時に5機相手にできるといわれている。すなわちF22を100機持てば、格闘戦においてF15が500機あるのと同じだということ。

 

仮にF22の戦闘力を別機種との模擬戦闘結果をベースに見積もったとすると、対F15、対F16の模擬空戦成績は、対F15で、144機撃墜して損害なし。対F16では241機撃墜して、損害2機だから、おおよそ150から250倍の戦闘力があると言える。

 

この戦力比の圧倒的な差は、パイロットの養成を考えるとこの上なく大きい。とくに隣の人口大国のように人だけはやたらいる所とは違って、自衛隊の人員は不足してる。ましてやパイロットとなったら言うまでもない。

 

だから、たとえば、F22を100機調達して、そのパイロットを養成できれば、戦力比をそのまま掛けると、およそ15000機のF15に相当する戦力を持つことになる。

 

中国空軍は、最新鋭のSu-27/Su-30MKKシリーズを300機以上持っていると言われているけれど、仮にそれが3000機になっても十分対応できる。

確かに、格闘戦になれば撃墜される可能性はゼロじゃない。だけど、実際の戦闘では、いちいち格闘戦をしなくたっていい。相手機が探知できない距離から、ミサイルをぶっぱなして反転離脱すればいいだけのこと。それを何回か繰り返せば、ほぼ無傷で勝てる。イラク戦争でアメリカ空軍が使用した精密誘導弾のような使い方をするだけ。

 

仮にもし、F22が駄目でユーロファイターにするのなら、パイロットの養成および自衛隊の人員拡充の可能性をも考えておかなくちゃいけない。場合によっては徴兵制だってあるかもしれない。

 

北朝鮮空軍だけが相手なら、自衛隊の現行戦闘機で十分対応可能だけれど、韓国を併合して、韓国のF15やF16を分捕った統一半島軍とか、毎年10%以上の軍拡を続けている中国が相手となるとそうはいかない。ただでさえ数で負けているのに、質でも負けようものなら完全に勝ち目はなくなってしまう。

 

もしもF22が輸出許可されたとしても、その値段は一機250億とも言われていた。100機で2兆5千億。それでも定額給付金程度。それに、戦争の危機が迫って、株価が暴落したら、2兆円、3兆円なんてあっという間に吹っ飛ぶ。それを考えたら、F22調達にたとえ10兆円使っても安い買い物だったと思う。

 

現在の自衛隊の装備のままで、韓国を併合したで統一北朝鮮軍と空戦をすることになったら、旧韓国軍のF16やF15Kと、空自のF4、F15、F-2が戦うことになってしまう。双方の機体の性能はほぼ互角、機体数も同じくらいだから、かなりの被害がでることを覚悟しなくちゃいけない。

 

北朝鮮が韓国を併合することは、日本の安全保障を根本から揺るがす程の事態を引き起こす事を知っておくべき。だから、結局のところ、F22を導入できなかったとしても、ユーロファイターなり、何なり、第4.5世代か第5世代の主力戦闘機の配備を急がないといけない。残された時間はあまりにも少ない。


F22とF35は同じステルス機でも、前者は格闘・制空戦に秀でていて、後者は汎用型(マルチロール)という違いがあり、ガンダムとジムほどに違うとは先に述べた。

 

もちろん、F35も優れた機体ではあるのだけれど、何に使うのか、という目的によってその良し悪しは変わる。

 

F35はアメリカとイギリス、イタリア、オランダ、オーストラリアなどによる共同開発の機体で、大きく3種類ある。

 

 

 1.F35A 通常離着陸:F-16の後継機及びF22の補佐機 航続距離:2,220 km

 2.F35B 短距離離陸・垂直着陸:ハリアー後継機   航続距離:1,670 km

 3.F35C 艦載型  :F-18後継           航続距離:2,220 km

 

F35Aがベースとなる基本形で、F35Bが小型空母艦載向け、F35Cが正規空母艦載向けといったところになろうか。

 

ただ、F35に正式採用になったとして、防衛省がどのタイプのF35を選定するかによって、日本の防衛に関する考えが見えてくる。

 

日本のように専守防衛を則とする国家だと、相手が日本の領空に接近してきて始めて、その要撃に出撃することになる。領空侵犯に対する要撃を考えたとき、スクランブルからいかに素早く接敵できるかが鍵を握るから、日本の制空戦闘機に求められるのは、離陸してから高高度到達までの上昇速度の速さや航続距離の長さ。

 

空自の主力戦闘機であるF15の航続距離は巡航速度で3,450 km、燃料の増槽タンクをつければ、 4,630 kmにもなる。海面上昇率は15200m/minで、2万mまで23秒、3万mまで318秒で到達する。

同世代の他国戦闘機と比べても、上昇率こそ劣るものの、航続距離の長さは群を抜いている。これは海岸線の長い日本では必要とされるもの。

 

その点、F35は航続距離において不安がある。また、エンジンが単発だから、F15のように双発エンジンを積んだ戦闘機と違って、片方が壊れても、もう片方で飛ぶなんてことができない。

 

ただでさえ、人員が少なく、ましてやパイロットが貴重な空自にとって、これは不安材料。

 

であれば、まだ航続距離が巡航で3.706 kmあり、双発エンジンで、スーパークルーズも備えたユーロファイターがよさそうに思うのだけれど、F35にするというのであれば、致し方ない。

 

ただ、もしかしたら、防衛省は別の可能性も念頭においているのかもしれない。それは将来、日本も空母を持つ構想があるということ。

 

もしも、空母艦載形のF35BかCあたりを選定するのなら、選択肢としてそれを持てることになる。

 

空母を持つことは、莫大な金がかかるけれど、軍事プレゼンスおよびシーレーン防衛に大きな力にはなる。

空母型護衛艦「ひゅうが」

2009年3月18日、ヘリコプター空母型護衛艦「ひゅうが」が横須賀基地に配備された。

 

「ひゅうが」というと、旧帝国海軍の伊勢型航空戦艦の弐番艦「日向」を連想するむきも多いだろう。護衛艦の扱いだけど、実運用は空母としての機能も果たすから「ひゅうが」と命名したのだろう。適切なネーミングではないかと思う。

 

「ひゅうが」は全通甲板を持つ海上自衛隊最大の護衛艦。護衛艦となっているけれど、見た目は小型の空母にしかみえない。

 

満載排水量は推定18,000t。哨戒ヘリコプターを搭載しての潜水艦駆逐を主な任務とし、艦隊旗艦としての通信能力や居住性も考慮されているそうだ。大規模災害時の海上基地としての機能も盛り込まれているというから、地震などでも救援活動にも威力を発揮するように思われる。

 

また、全通甲板があるのだから、いっそのこと垂直離着陸戦闘機でも積んで本当の空母にできないか、との声もあるようだけれど、空母としては規模が小さすぎて離発着が難しいのと、それ以前に乗せられる機数が少ないので通常空母としての戦力にはならないようだ。

 

とはいえ、対潜ヘリコプターを搭載するヘリ空母があることは、制海権確保という意味では大きな意味を持つ。

 

ヘリ空母があると、潜水艦を監視できる範囲が広がるし、基地から対潜哨戒機かなんかで索敵することに比べてさらに自由度が広がる。

 

これに対抗しようとすると、ヘリ空母の行動範囲内の制空権を確保して、対潜ヘリを追っ払うだけの航空戦力を持たなければならなくなるのだけれど、戦闘機を搭載するためには、離発着に耐える強度や十分な甲板の長さ、カタパルトなどの設備が必要になってくる。

戦闘機を搭載するには、どうしても中型~大型規模の排水量6万トン以上の空母が必要だとされている。

 

中国が建造を計画している空母は甲板長320メートル、幅70メートルで排水量は6万トンと言われているから、戦闘機の搭載も視野に入ってはいるのだろう。

 

とはいえ、空母に艦載機を積んだだけで、直ぐに実運用できると思うのは少々甘い。

 

空母はひらたく言えば、海上にある飛行場だから、地上の航空基地と同じレベルのことができないと意味がない。それは何かといえば、当たり前のことだけど、艦載機が離発着できて、燃料補給ができて、整備その他のメンテナンスができること。こうした機能を船の中に持たせたのが空母。

 

だけど空母はあくまでも船だから、飛行場のように1Kmもあるような長い飛行甲板は持てないし、積める燃料や整備部品にも限りがある。それに一旦海上作戦行動に出たら補給も十分にはできなくなってしまう。

 

今の戦闘機は第二次大戦期のころのものと比べて何倍も重くなっているから、離陸するのに必要な滑走距離は長くなるばかり。

 

因みにゼロ戦の全備重量は2743Kg、グラマンF6Fヘルキャットの全備重量は5640kg、当時のアメリカ空母『ヨークタウン』の全長は247メートル、帝國海軍空母『翔鶴』の全長は250メートルであったのに対して、現在のアメリカ海軍主力艦載機『F/A-18ホーネット』が16,651kg23,541kg、空母『キティーホーク』の全長は318.5メートルとなっていて、艦載機の重量が3~4倍になっているのに、空母の全長は1.3倍程度。

 

艦載機の重量増に対して、空母はそれほど大きくなっていない。だから離陸に必要な滑走距離の不足を補うために、カタパルトなどの加速設備や、スキー・ジャンプ勾配を設けたりしている。


そういった制約の中で艦載機を積んだ通常空母を運用しようと思ったら、地上基地と比較して全然短い飛行甲板でも離発着できるパイロットを訓練して養成しなくちゃいけないし、限られた予備部品で整備ができる優秀なスタッフも揃えないといけない。どこかの国のように戦闘機の稼働率が50%しかない整備力しかないと、実質戦力は搭載艦載機の半分になってしまう。

 

空母は金も人もかかる。

 

米海軍原子力空母(Carrier Vessel Nuclear)のミニッツ級を例にとると、建造費だけで4500億円、維持・運用費用は年間400億円。先頃退役した原子力を動力としないキティホーク級(排水量6万トンクラス)ですら、艦自体の建造費が約2500億円、維持運用コストが年間300億円弱という。海上自衛隊の「あたご」級イージス艦の建造費が約1400億円であったことを考えるとべらぼうに高い。

 

また、空母の人員をとっても米空母の場合、1隻の乗員は航空団合わせて50006000人必要だし、常時安定運用するのに最低限必要とされる3隻を保有しようとなると、もっと人員が必要になる。

 

イージス艦一隻の乗員数は300名くらいだから桁が違う。海上自衛隊は陸海空最小の約4.2万人、予算約1.1兆円の規模だから、正規空母を持つということがどれだけ負担になるか火をみるより明らか。

 

中国だったら人数の問題はなんとかなるかもしれないけれど、それでも経済的負担は結構なものになる。

 

中国の2009年度(1-12月)国防予算は前年度実績比14.9%増の4806億人民元(約69000億円)とされている。常時12隻の空母を就役させているアメリカの軍事費が4500億ドル(約53兆円)であることを考えると、7兆円規模の国防予算では4隻の空母を建造して運用するにはまだ足りないだろう。実際は中国の軍事予算は、もっと多くてその2~3倍はあるという観測があるけれど、空母運用を本気で考えているとするとあながち的外れじゃない。

そのような国防予算負担に中国がいつまで耐え続けられるのかは分からないけれど、中国の軍備増強の牽制としてインドが初の国産軽空母の建造に乗り出すという。

 

日本は、インドと密接な連携をとりつつ、ヘリ空母による対潜哨戒能力を向上させて、現有および次期支援戦闘機によるヘリ空母のカバーをどうしていくかなどの実運用能力を磨いておくのが得策ではないかと思う。