目次
まえがき
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タイトル目次
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第1章 エコ技術と生産技術
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アメリカの新車燃費規制
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公差の魔術
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海賊版対策とIpadの中身
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第2章 資源と環境技術
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リサイクルされるレアメタル
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レアアース戦争
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微生物と植物が地球を救う
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日本が産油国になる日
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第3章 電気社会の到来
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宇宙太陽光発電衛星計画
海洋温度差発電
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直流送電技術
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ワイヤレス送電技術
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電気自動車の可能性
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キャパシタ搭載バス
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ハイウェイトレイン構想
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ギガンティック・トウキョウ
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第4章 食料生産技術
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野菜工場
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CAS冷凍技術
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クロマグロの養殖
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第5章 宇宙科学技術
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小惑星探査機「はやぶさ」
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アブレータ耐熱技術
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イカロスの翼
学術・科学技術予算について
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第6章 軍事技術
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CSMミサイル構想
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F22とF35はガンダムとジムくらいに違う
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自衛隊がF22を持つ意味
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空母型護衛艦「ひゅうが」
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第7章 日本の安全保障と国家モデル
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軍事力による平和
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ODAは肉食動物を太らせた
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アメリカの強さの源泉
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日本がスネ夫になるための2つの条件
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しずかちゃんに成りかけた日本
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かつての日本はノビスケだった
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日本が出来杉君になる日
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あとがき
あとがき

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第3章 電気社会の到来

 

 

 

 

 

 

 

第3章 電気社会の到来


宇宙太陽光発電衛星計画

エネルギーの生産は微生物だけの世界ではない。1968年にアメリカのピーター・グレーザー博士によって始めて提唱され、NASAと米国エネルギー省(DOE)による研究の後、1979年に、発表された宇宙太陽光発電(Solar Power Satellite : 通称SPS)というものがある。

 

これは、黒鉛複合材を材料とする寸法5km×10km、総重量約50,000tに及ぶ発電衛星を静止軌道高度である約36Kmに建設するというなんともスケールの大きい計画。当時はアメリカの全電力を供給するという野心的な計画だった。だけど実現に莫大な費用がかかることと、研究開発課題、技術的リスクその他諸々の面から実現性に乏しいと判断され、1980年には研究は中止された。

 

そして、1990年代の後半になって、環境問題への関心の高まりと、技術の進展から、NASAにおいて「フレッシュルック」研究計画として再開された。この計画で従来計画を大幅に見直して、より現実的な構想が追求され、多数のシステム概念が提案されている。日本でも経済産業省がSPS研究を2001年からスタートしていて、2040年のSPS稼働を目標にしている。2012年には神戸大を中心とした共同開発チームがSPS衛星を打ち上げる計画をしている。

 

2008年の5月には、神戸大学の賀谷信幸教授らのチームが、ハワイのマウイ島にある山頂で太陽エネルギーをとらえ、約148キロメートル離れたハワイ本島に無線で伝送する実験を行ない成功させている。実験で送電したのは、二十ワットと小さなものだったけれど、長距離マイクロ波送電を実現した実験だとして多いに注目されている。宇宙空間での太陽光発電は天候に左右されることなく24時間の発電が可能になるから、クリーンで安定的なエネルギー供給手段として期待を集めている。

 

問題は発電コスト。今現在は地上で発電したときのコストが1キロワットあたり9円であるのに対し、宇宙発電は23円になっていてまだまだ高い。これらが克服される日が待ち遠しい。

海洋温度差発電

宇宙で電気を作るSPSに対して、海で電気をつくるというものもある。波力発電、潮力発電、海洋温度差発電などがそう。波力発電は波のエネルギーを利用して発電するもので、空気室を作って海水を取り込めるようにしておいて、空気室内で波が上下するときに発生する気流でタービンを回すというもの。もうすでに航路標識ブイの電源として実用化されていて、今は更なる高出力化への研究が進んでいる。

 

潮力発電は潮の満ち干きや海流を利用するもの。潮の満ち干きを利用する場合は、まず干満の差の大きい河口や湾に堰を作って、そこを満ち引きする海水で発電する。海流を利用する場合は、速い海流が通っている場所に水中タービン(海中風車)を沈めて、それを回すことで発電する。ただし発電部分がいつも海水に晒されるから、メンテナンスが大変なことや、堰による発電なんかだと、生態系への悪影響の懸念や近隣住民の理解を得るのが大変なこともあって、日本ではあまり流行っていない。

 

そして海洋温度差発電は、海洋表層の温水(2530 度)と深海の深層水との温度差を利用して発電するもの。低圧沸騰器(気圧が下がると沸点も下がる)で温水を引き込み気化させた後、発生した水蒸気でタービンを回して発電する。この発電方法は、古くから研究されていて、これまでは海洋表層の温水(2530 度)と深海の深層水との温度差が20℃程度ないと効率の良い発電は難しく、赤道から両回帰線くらいまでの間が適するとされていた。

 

ところが、近年になって、海洋温度差発電推進機構理事長の上原春男教授が、海水の温度差が比較的低い15℃程度でも高い効率で発電できる、ウエハラサイクルを開発して注目を浴びている。

ウエハラサイクルでは、表層水で気化された液化アンモニアでタービンを回して発電する。気体のアンモニアはポンプで汲み上げた深層水で液化して再利用することができ、二酸化炭素は殆ど排出しない。

 

日本のEEZ内の表層と600m及び1000mとの年平均温度差の調査によれば、600mとの温度差では、平均14.9℃、最大22.2℃あり、1000mとの温度差になると平均17.9℃、最大28.8℃あると報告されている。1000mから取水する場合は、房総半島沖から南の地域であれば発電可能だという。

 

インド政府は、1997年9月に海洋温度差発電の共同開発と実証試験のための協力協定を佐賀大学と結んで1MWの発電が可能な実証プラントを建設していて、このプロジェクトが成功すれば、積極的に海洋温度差発電の商用プラントを国内に建設する計画を進めている。その規模は5万KWのプラントを1000基建設するという。今では、パラオ、フィリピン、スリランカ、ジャマイカなど50カ国以上の国が、海洋温度差発電の導入を検討している。日本では、日本最南端の沖ノ鳥島周辺海域で海洋温度差発電を行う検討を進めている。

 

ただしここでも問題なのはやはりコスト。海洋温度差発電の1kwあたりのコストは30円程度。太陽発電衛星よりも割高。だけど海洋温度差発電には海水の温度差が要るという条件を逆手にとって、EEZを確保するというのは大きな意味がある。EEZを確保するため、沖ノ鳥島に海洋温度差発電プラントを作るという戦略的な視点で考えていくと、沖ノ鳥島以外にも作ってみると面白いところがいくつかある。たとえば尖閣諸島などはそう。

 

そこで、尖閣諸島の魚釣島に海洋温度差発電のプラントを建設してみるというのはどうだろう。

海洋温度差発電には、海面表層と深層水との温度差が必要だといったけれど、その前提として、深海の深層水を取水できるだけの深い海が近くにないといけない。尖閣諸島は沖縄トラフの先端にあって、先島諸島(西表島・石垣島・宮古島など)との間には水深2000mを越える海域がある。条件は整っている。

 

更には蛇足だけれど、1999年に尖閣諸島と石垣島を結ぶ海域の鳩間海丘に熱水鉱床が見つかっている。なんとなれば、温水も冷水も共に海底から取水できるかもしれない。日本が尖閣諸島に海洋温度差発電プラントを建設するといえば、中国は猛反発するだろうけれど、バーター取引を持ちかけることで牽制する手がある。水を売るというのがそれ。中国は、急速な工業化によって工業用水の不足が慢性化し、飲用水の需要も爆発的に伸びている。さらには、折からの旱魃の影響もあって、穀倉地帯でも農業用水不足が深刻化している。

 

2008年頃から、中国の企業が西日本を中心に全国各地の水源地を大規模に買収する動きがある。水を売るという取引は今なら使える可能性がある。実は、海洋温度差発電プラントには副産物がいくつかあって、その中のひとつに淡水が作れるというのがある。電気を起こしながら、海水から真水も一緒につくれてしまう。

 

スプレーフラッシュ蒸発式とよばれる海水淡水化装置は、佐賀大学が考案したもので、海洋温度差発電は低圧沸騰器で温水を引き込み気化させた後、発生した水蒸気でタービンを回すのだけど、その水蒸気を深層冷海水で冷却して処理することで淡水と海水中の塩分を分離してしまうというもの。得られる淡水は蒸留水と同レベルの高純度であって、水道水の基準を十分満足するものだそうだ。

淡水の生産規模は、海洋温度差発電1MW規模で、一日あたり約1200立法メートル、10MWだと12000立法メートルになるという。現在の一人一日あたりの水使用量は、世界平均で165リットルだから、もし、尖閣諸島に10MW規模の海洋温度差発電プラントを作ることができれば、約6万人分の水を供給できることになる。

 

中国には尖閣諸島で作った淡水を売ってやればいい。日本にとって海洋温度差発電には、いろいろな可能性がある。

直流送電技術

さて、今や、発電のみならず送電についても技術開発が進んでいる。首都大学東京学長の西澤潤一氏は、環境問題の少ないミニダムによる水力発電と、交流より50倍も遠くまで電力を効率よく運べる直流送電の技術を活用した電力システムを提唱している。

 

西沢潤一氏は、現在世界中で主流となっている石油や石炭の化石燃料を用いた火力発電と、その発電電力の交流送電を、この「水力発電と直流送電」に切り替えれば、いま地球規模で危機となっている温暖化の主因である、温室効果ガスのCO2を大きく削減することが可能だという。

 

直流送電は交流に比べて、送電損失が少なく、長距離伝送に向いているとされている。ただこれまでは直流から交流への変換が難しいこともあって中々普及していなかったけれど、半導体技術の進展でこれらの問題が解決されてきつつある。

 

長距離超高圧直流送電は今後の世界エネルギー開発の一つの大きな鍵となると言うことはこれまでも言われてきた。超高圧直流送を行なうことで、実に1万kmもの長距離送電が可能になるとされている。これは、東京からアメリカのナイアガラの滝、アフリカのビクトリアの滝まで届く距離であり、地球の赤道の直径約1万2756kmの8割近くにも相当するから、殆ど地球の端から端まで送電できることになる。

 

現在、世界の全電力消費量は12兆KWhであるのに対して、世界の包蔵水力は電力換算して14兆KWhあると見られている。そのうち開発済みのものは、わずか2.4兆KWhで2割にも満たない。

 

したがって、計算上は、化石燃料を用いた火力発電は全部水力発電に置き換え可能ということになる。

現在、中国では、「西電東送」と呼ばれる、大発電プロジェクトが行なわれている。これは、最大出力6000MWの中国第3の大型水力発電所を四川省宜賓県と雲南省水富県との境界を流れる金沙江の下流に建設し、そこで発電した電気を2000km離れた上海に、80万ボルトの直流送電で送る計画で、発電所は2008年12月26日から正式に着工され,2015年までに完成する予定となっている。

 

中国は水資源に恵まれていて、開発可能な発電容量は3億7800万KW、年間発電量は1億9200KWHに達すると推定されている。だけど、その水資源の分布はアンバランスで、90%の開発可能な発電容量は西南、中南、西北地区に集中しているため、経済の発展に応じて、資源の分布と生産力の配置を最適化させることを主眼として、これらのプロジェクトを行なっている。

 

水資源豊かな日本ならば、水力発電による直流送電技術が普及する素地は十二分にある。

ワイヤレス送電技術

また、送電線を使わずにワイヤレスで送電する技術も開発されている。「Witricity」という言葉を耳にした方もいるだろう。ワイヤーとエレクトリシティをくっ付けた造語として名づけられたこの技術は、磁気の共鳴を利用して、電力を伝送するという技術。一言でいうと、「ワイヤレス充電」のこと。

 

2007年6月7日、アメリカのマサチューセッツ工科大学(MIT)で、この「ワイヤレス充電」の実験デモが行われ、電源から7フィート(2メートル強)離れた60ワット電球にワイヤレスで送電、点灯することに成功した。尤も、ワイヤレスで電気を送る技術はこれだけという訳ではなくて、現在実用化が検討されているワイヤレス送電技術には、電磁誘導方式・磁気共鳴方式・マイクロ波放電方式の3つがある。

 

だけど、それぞれ原理が異なり、送れる電流の大きさや到達距離が異なる。宇宙太陽光発電で衛星から地上に送電する技術は、この中のマイクロ波放電方式に当たる。この技術は、日本ではMILAX(MIcrowave Lifted Airplane eXperiment)と名づけられ、1992年の8月22,23,29日の3日間にわたって模型飛行機での送電実験が行われ、成功している。この時の実験は、10mを水平飛行する模型飛行機に送電器を装備した追尾送電車から、2.411GHzのマイクロ波を使い、飛行機の飛行に必要な電力を送電するという実験だった。MILAX飛行機実験は、時間にして約30秒間、上空10m~15mを、約400m飛行した。

 

この実験で、飛行機を飛行させるのに十分な電力が送電できることが確認され、マイクロ波から直流への変換効率は約40%という結果が得られている。また、現在、電動歯ブラシや電動シェーバー、ゲーム機のリモコンなどの小型機器の充電に使われている方式は、主に電磁誘導方式。きわめて短い距離で高効率の送電が可能な半面、伝送距離がきわめて短く、送受信器の向きもきちんと合わせる必要があり、専用の充電台が必要になるなどのデメリットもある。

それに対して、MITがデモに成功した「磁気共鳴方式」は、数メートルから、理論上は、数百メートル程度までの送電が可能で、送受信器の向きも、電磁誘導方式ほどシビアにしなくてもよいという利点がある。

 

伝送効率も送電距離が2mの場合で40%、1mでは、実に90%の伝送効率を得られるという。この「磁気共鳴方式」による送電の原理は、一言でいうと、音叉の共鳴現象と同じ。同じ周波数の音叉を近くに置いて、一方を鳴らすと、音波による空気の振動がもう一方の音叉にも伝わって、もう一方の音叉も振動し始めるけれど、同じように、磁気共鳴方式では、2つのコイルを「共振器」として利用する。

 

給電側のコイルに電流が流すと、そこに発生した磁場の振動は、同じ周波数で共振する受電側の共振回路に伝わって、受電側にも電流が流れる仕組み。供給側からは無指向性の電力の波が広がっている性質から、有効範囲内であればどこでも電力の供給を受けることができるという。MITは、今回の実験結果からノートパソコン程度の充電は可能だと結論づけている。

 

こうした、送受信器の向きをそれほど気にしなくてよいという特徴は、新しい製品の可能性を広げる。たとえば、複数の携帯デバイスを置くだけで充電ができる、「充電トレイ」のような製品も開発可能になる。2009年2月に、スペインのバルセロナで開かれた「Mobile World Congress 2009」において、このようなワイヤレス充電装置のデモ展示が行われている。

 

この、磁気共鳴方式によるワイヤレス送電技術は、既にいくつかの企業で実用化に向けての取り組みが始まっていて、MITから技術ライセンスを受けた、ベンチャー企業の米WiTricity社や、米Intel社、米Qualcomm社、日本では、長野日本無線や昭和飛行機工業といった企業がそれぞれ研究開発を進めている。電流の変換効率と高めることと、送電距離を延ばすことが目下の課題のようだ。

 

今のところ、実用化の時期は明らかにされていないけれど、こうした技術が実用化されれば、またいろいろな製品が開発されることになるから、また新たな成長分野が拓かれることになる。

電気自動車の可能性

朝日大学マーケティング研究所が08年2月に行なった、車に対する意識調査によると、首都圏在住の20歳~39歳男女で、車を持っている人の約7割は、週4日以上運転しないという。その反面、「ちょっとした用事・買い物」の用途・目的で車を使う頻度が大きく増えているのに対して、「テーマパーク」や「ドライブ」といった非日常のイベント的な用途・目的で車を使う頻度は下がっていて、『自動車が単なる移動手段としての道具と位置付けられ、長距離の移動を楽しく過ごすという意識が以前ほど感じられない』と結論付けられている。

 

特に都会では、電車やバス網が発達しているから、無理して車を持つ必要まではない。だけど、有れば有るで便利だし、実際ちょっとした用事には使われているという調査結果がある。また、田舎のように交通網が十分に整備されていないところであれば、もっと車は必要とされる。だから、自動車という存在自体が全く必要なくなるという事はない。小さな子供が沢山いる家族には大きなワゴンは欲しいだろうし、病院に行くのにいつも救急車を呼ぶ訳にもいかない。

 

本来の車の機能を考えた場合、その役目は人を含めた物資の輸送手段。その輸送「手段」として個人の車のあり方を考えてみると、実に無駄が多いことに気づく。普段の個人の生活で、365日、毎日24時間、物資の輸送手段を必要とする人は少ない。輸送業を生業としている人でも寝ながら運転はできないし、食事や休息だって必要。

 

車を単なる移動手段として考えた場合、必要なときに必要なだけあればそれで事足りる。だけど、先の調査結果でも分かるように、週の半分も運転しない人が大半を占める現状は、移動「手段」としての車が、普段の生活の中では僅かな時間しか必要とされていないことを示してる。駐車場で寝かされている時間のほうがずっと長い。これを企業の商品に置き換えて考えてみると、めったに売れない商品を「在庫」として抱えていることと同じ。

駐車場代という名の倉庫代は嵩むし、持ってるだけで税金も取られてゆく。企業経営的感覚からみれば、持っているほうがおかしい、レンタルで十分だと考えるのが普通。だから、これからの社会は、車を必要とする状況、つまり車が欲しい時間と場所がより個人の要求に沿ったものになっていって、在庫は極力持たない方向にシフトしてゆく。本当にその個人にとって、ピンポイントで必要な時間と場所に車が欲しい。そんなニーズが広がっていくことは疑いない。

 

市民団体「日本EVクラブ」は、CO2削減EV洞爺湖キャラバンと題して、2008年6月に電気自動車で、東京から札幌市の北海道庁までの858.7kmを7日で走破した。使われた電気自動車は、富士重工業「スバルR1e」と三菱自動車「i MiEV(アイ ミーブ)」の2台。驚くことに、東京から北海道まで行って、かかった電気代はたったの1713円。これがガソリン車だと、12956円になるというからその安さが分かろうというもの。

 

キャラバンに参加した2台は、途中東京電力さいたま支社で急速充電を行ったけれど、スバルR1eは約5分、三菱iMiEVは約15分の充電で8割くらいまで電気が復活するとレポートされている。ガソリン補給なんかと比べても全然見劣りしない。また、キャラバン中、立ち寄った岩手のコンビニ(ローソン紫波高水寺店)で、普通にコンセントから補充電もしている。

 

昔、道路に電線を張って、そこから電気をもらいながら走るトロリーバスというのがあったけれど、電線がないところでは走れないという欠点があって、次第にガソリン車におされて廃れてしまっていた。ところが最近のバッテリー技術向上のお陰で、バッテリー走行でも以前と比較して長距離を走れるようになった。それで、少しづつトロリーバスが復活してきているそうだ。


洞爺湖キャラバンで見せつけた電気自動車の性能を考えれば、トロリーバスが復活したと言ってもなんら驚くに当たらない。それにしても、近年の車の技術革新には目覚しいものがある。次世代型電気自動車、燃料電池車、インホイールモーターなど続々と新技術が開発されている。

 

特にインホイールモーターは、車のホイール部分に走る為のモーターを内蔵するから、トランスミッションやドライブシャフトなどの複雑なメカニズムが要らなくなる上に、各駆動輪の駆動力や制動力をきめ細かく独立制御できるようになる。更には、駆動部分がホイール内に収まるので、設計自由度が上がって、ハイブリッド車や燃料電池車のバッテリや燃料電池、水素タンクの搭載スペースを容易に確保できるという。

 

また、車の制御についても、新技術が開発されている。今では、車を無人で走らせることも可能になっていて、既に実用化されている。新型シーマの上級グレードにオプション設定された、レーンキープサポートシステムがそれ。これは、車のフロントにレーダーを装備して絶えず前方を監視して、前の車への衝突を防ぎ、ルームミラー上部にあるCCDカメラで、周囲の白線や車線を判別してハンドルを自動操縦するという技術。

 

純粋に性能だけでいえば、手放し運転すら出来るものなのだけど、道路交通法で手放し運転が認められていないので、あまり表だって宣伝できないシロモノらしい。実に勿体無い。朝日大学マーケティング研究所の調査で明らかになった「ちょっとした用事・買い物」の用途・目的で車を使う頻度が大きく増えているというニーズを考えたとき、車を持っていない人達にとって、それに応えるものがあるとすれば、タクシーとかレンタカーがそれにあたるだろう。

バスはそのニーズを満たすには物足りない。バスに乗るには、まずバス停に行かないといけないし、時刻表どうりにしか運航しない。時間や場所に制約がかかっている。車がない人だって、欲しいのはそんな制約のない移動手段。

 

では、タクシーやレンタカー業界がもっと伸びるのかと言われるとそれも少し違う。現状では利用コストが高すぎる。実際問題として「ちょっとした用事・買い物」程度であれば、半径10Km程度乗れれば十分。それなのに、初乗り700円とか、6時間レンタルして5000円とか取られると、気軽には使えない。やっぱり高い。ジュース1本、ワンコイン100円で10kmくらい走れるお手軽な車であってほしい。

 

洞爺湖キャラバンでの電気自動車は満充電で80km走れて、850km以上走破して、電気代は1700円ちょっと。1kmあたりに換算するとたったの2円。10kmで100円しか取らなくても全然大丈夫。たとえば、タクシーのように向こうから自分のところに来てくれるのだけれど、レンタカーとして使える車。いわば無人ロボットレンタカーとか作れないだろうか。

 

アメリカのTORCテクノロジーズ社は、バージニア工科大学で自動操縦技術の研究開発を進めるグループと提携し、世界初のロボットカー仕様のハイブリッドSUVFord Escape Hybrid」の提供を開始している。このシステムは緊急非常停止装置「SafeStop」を搭載し、アクセル、ブレーキ、ハンドル操作の自動化を実現している。アメリカでは、市街地で競い合う無人ロボットカーレース「Urban Grand Challenge」も行われており、昨年11月に行われた決勝レースに、このロボットカー仕様ハイブリッドSUVも参戦し、見事に3位に入賞した。こうした無人ロボット操縦技術やレーンサポートシステム、そしてバッテリー性能が飛躍的に向上している電気自動車を組み合わせれば、コストの安い無人ロボットレンタカーが実現できるはず。

たとえば、こういうのはどうだろう。

 

電気自動車に無人ロボット操縦技術およびレーンサポートシステムを搭載したレンタカー(トロリーレンタクシー)を用意して、普段は駐車場で満充電して待機。お客さんから電話があれば、GPSを利用した自動操縦でやってきて、そこからはお客さん本人が運転。

 

もちろん、本人確認や免許証の認証、その他、道交法の問題とかいくつかクリアすべき問題はあるのだけれど、いずれはこういったニーズに応えることができなければ、車離れを止めることは難しいように思う。1コイン100円で10Kmくらい走るように設定しておけば、都会でもそれなりに使われる筈。

 

ともあれ、自動車の技術革新を怠らず、また社会のニーズをしっかりと掴むことができた自動車メーカーが、これから生き残ってゆくことになるだろう。既に、ローソンは店舗巡回用の営業車の一割を電気自動車にする動きを始めている。充電設備も併設するというから、電気自動車の普及に一役買うことになる。

 

無人ロボットレンタカーを実用化するのにハードルが高いというなら、ローソンがレンタカー事業に乗り出すという手はあるかもしれない。日本のレンタカー屋の店舗数はそこそこあるとはいえ、コンビニのそれとは比較にならない。国内最大の店舗数を誇るトヨタレンタカーでも全国で約1100店舗、日産レンタカーは370店舗、三菱に至ってはわずか23店舗。それに引き換え、ローソンの店舗数は2008年8月現在で、全国8614店、内、関東7県で2324店舗ある。首都圏に絞って、ローソン一店舗に1台電気自動車のレンタカーを置いておくだけでも全然違う。

 

ローソンくらい店舗数があれば、乗り捨てしてもそれなりの利便性はあるだろう。全国のコンビニでレンタカー事業に乗り出せばもっと利便性は高まる。全国に店舗を広く展開しているという利便性を最大限に生かすところにも次代ビジネスの息吹が隠されている。

キャパシタ搭載バス

電気自動車にワイヤレス送電技術を応用すると、充電そのものがいらない車が出現することになる。磁気共鳴方式の非接触型充電は、数m程度の距離なら、離れたところからでも充電ができるから、路面やガードレール、又は駐車スペースなんかに給電側のコイルを設置したりすれば、傍を走ったり、そこに車を置くだけで充電できるような仕組みが実現できることになる。

 

東京大学新領域創成学研究科・先端エネルギー工学専攻の堀洋一教授は、電気自動車に電池を積むことなく、ワイヤレス給電で動かす方式の研究を進めている。今の電気自動車は内臓した電池で動いているから、なるべく小型かつ蓄えられる電気量が大きい電池が要求され、またその充電を如何に簡単にするかに注目が集まっている。

 

三菱自動車の電気自動車「アイミーブ」も、総重量200kgのリチウムイオン電池を搭載している。だけど、やはり充電1回あたりの航続距離には限りがあって、カーナビもエアコンも使わないエコ運転でも150~160kmが精々のところ。街乗りを考えると実際はその半分程度であると思われる。

 

また、充電にかかる時間も馬鹿にならない。「CO2削減EV洞爺湖キャラバン」で東京から北海道まで電気自動車で走った際にも所々に専用の充電器設置ポイントが用意されていた。確かに専用の急速充電器を使えば、5分、10分程度で満充電の8割くらいまでは充電できるそうだから、急速充電器のスタンドが、今のガソリンスタンド並みにあれば、なんとかなるかもしれないけれど、まだまだそこまで普及はしていない。

 

更に、リチウムイオン電池は、電池内部で化学反応を起こしながら充放電するから、そのたびに劣化していく。充放電の回数は10002000回が限度と言われていて、更にリチウム自身がレアメタルだから、将来にわたって供給が確保されているとは言い難い。

東京大学の堀洋一教授が研究している電気自動車は、電池を持たず、代わりに「コンデンサ(キャパシタ)」を使うのが特徴。コンデンサ(キャパシタ)は通常、電子機器に使われる、ごく微量の電荷を充放電する部品なのだけれど、充放電自体に化学反応を伴うわけではないから、その寿命は半永久的ともいえるほど長く、100万~200万回の充放電に耐え、しかも高速充電が可能。

 

堀教授らのチームが試作した電気自動車「C-COMS」には、3V、1500Fのキャパシタ・セル(コンデンサ・セル)を直列に5個つなぎ、これを3列並列に接続したものを、更に7つ直列に接続することで100V、100Fのモジュールを構成して、搭載している。これにより僅か30秒の充電で、約20分間、時速40kmで走行できるそうだ。

 

この「C-COMS」の凄いところは、搭載しているキャパシタが50Vから100Vの範囲の範囲で動くところで、電圧変動に強く、この範囲内であれば充電エネルギーの約80%が使えるという。ただ、キャパシタ自身に蓄えられる電気エネルギーは、リチウムイオン電池と比べて、およそ10分の1くらいしかなく、折角充電しても直ぐ空になってしまうという欠点を抱えている。

 

そこで、堀教授が注目したのが、磁気共鳴方式のワイヤレス送電技術。これを使えば、信号待ちの間とか、ちょっとした間にちょこちょこ充電しては走り続けることができる。この発想は、架線から電気を貰って走るトロリーバスに通ずるものがあって、架線を無くす代わりに、磁気共鳴方式の送電コイルを其処彼処に設置してやればいい。

 

実は、まだワイヤレス送電とまではいかないけれど、キャパシタを使った交通機関を実用化して運用しているところがある。上海の電気バスがそれ。この電気バスは1.65V、80000Fのキャパシタを18個で1モジュールとして、21モジュールを直列にし、トータル600V、200Fのキャパシタとして使用している。


充電はバス亭に停車している間に、天井のパンダグラフを上げて、200Aで充電。フル充電には200秒くらい必要なのだけれど、実際は30秒程の充電時間で運用している。2007年12月の段階で、この上海の電気バスは7台運行されていて、2006年8月の運行開始から1年半が経過しても、特に大きなトラブルはないという。この時点で、上海万博に向けて100~200台運行を目指しているということだったから、今はもっと多い筈。

 

この電気バスが運行している路線は、全て中国政府負担で運行しているという。この辺り、日本はまだまだ遅れているのではないか。キャパシタ搭載電気自動車の主導権を、中国にすっかり奪われてから「そんなバカな~」なんて叫んでも、もう遅い。堀教授は、将来的には電気自動車はみんなキャパシタを積むようになると言っているけれど、ワイヤレス充電が実用化できれば、その可能性は十分ある。特に、日本なら、ガードレールとか、側溝とか、信号機付近とか、街中だといくらでも設置できる場所があるし、信号なんかで停車するだろうから、磁気共鳴方式のワイヤレス給電には向いている。

ハイウェイトレイン構想

輸送手段といえば、車だけではない。電気による輸送となれば電車のほうがずっと歴史がある。電車は車と比較して、輸送力もスピードも格段に上だから、高速大量輸送には車より電車のほうが向いている。最近は、高速中央分離帯に新幹線を走らせるという、ハイウェイトレイン構想というものが出てきている。

 

これは、東海道物流新幹線構想委員会が提唱している案で、第2東名、第2名神高速道路の中央分離帯に、貨物専用の新幹線を走らせるというもので、1日の輸送量は20万トン。CO2排出量を年300万トン、軽油使用量を年18億リットル、それぞれ削減できるという。第二東名・名神高速道路はもともと、片側3車線で、計画されていたところ、道路公団民営化に伴い、片側3車線が2車線へと変更された経緯があって、中央分離帯のスペースには余裕がある。このスペースを有効利用しようというもの。東海道物流新幹線構想委員会が提言している、現行の諸元案は次のとおり

 

諸元(案)

 

・運行距離 :約600km

・速度・所要時間:平均時速90100km、東京・大阪間6時間30

・ターミナル箇所:東京、名古屋、大阪の3箇所のほか数箇所

・軌間 :狭軌(JR等の在来線と同一)

・列車編成 51ユニットを複数連結、1編成最大25両程度。輸送需要によりフレキシブルに対応

・駆動方式 :動力分散駆動、急勾配区間はリニアモータによる支援システムを採用

・輸送力 :三大都市圏相互間で、約20万トン/日を想定

・積載貨物 :コンテナ(45ftから20ftまで)方式及びトラック輸送方式

 


東名・名神高速道路は、トラックなどの中・大型車の交通量が多くて、06年度のデータでは、一般高速道路の中・大型車が占める交通量の割合は約28%であるのに対して、東名・名神高速道路のそれは37%にもなるというから、このハイウェイトレイン構想が実現すれば、トラックなどの交通量はぐっと減ると期待できる。建設費は総額2兆円くらいになると試算されているけれど、これによる経済効果として、およそ年間4000億くらいは節約できるそうだ。本当だとしたら、建設費など数年で回収できる計算になる。東京-大阪間の物流速度が更にアップかつ効率化することはとても結構なこと。

 

それに高速に新幹線を走らせるということは、当然、電気を供給する設備も高速道路に敷設する必要がある。これに、ついでにといってはあれかもしれないけれど、ワイヤレス給電技術を使って、高速道路の側壁に全部送電コイルを埋めておけば、ハイウェイトレインへの給電もワイヤレスにできるかもしれない。ただ、忘れてならないことは、こうした技術も、それを可能とするインフラがあってのこと。特に日本のように、道路を地方の隅々にまで、くまなく張り巡らせているような国でこそ、こうした新技術が生きてくる。アイデアをアイデアのまま終わらせないだけの実力がある国こそが、こうした夢の技術を現実のものにする。

ギガンティック・トウキョウ

海洋温度差発電プラントや宇宙太陽光発電の地上側の受信設備を建設する際には、当然その為の場所が必要になる。特に宇宙太陽光発電の受信設備に到っては、静止衛星軌道である上空約3万6千Kmもの高度からマイクロ波を受信する構造から、それなりの面積を必要とする。そこで、四方を海に囲まれた日本であれば、海上に土地を作れれば、面積の心配をしなくて良いという発想も生まれてくる。そんな海上に地面を作り出してしまおうという技術もすでに開発されている。メガフロートと呼ばれるものがそれ。

 

メガフロートとは、超大型の浮体式構造物の事。別名VLFS(Very Large Floating Structure) とも呼ばれるけれど、平たく言えば、超・超大型タンカーを船底だけにしたようなもの。その代わり、その面積はタンカーなどの比ではなくて、長さ1Km、幅150m以上にも及ぶ。メガフロートは、既に、いくつかの研究機関によって、実際に研究開発が進められていて、スイスのCSEMCentre Suisse d’Electronique et de Microtechnique)では、直径5000メートルの、円形のメガフロートを、アラブ首長国連邦に建設する計画を進めている。

 

メガフロートの構造には、大きく分けて2種類あって、ポンツーン型という平型箱形船構造のものと、セミ・サブマリーン型という、箱舟の下に設けられたコラムと呼ばれる柱状構造物が半分程度浸水するタイプのもの。ポンツーン型は、比較的波の穏やかな湾内などに適しており、安定性がよく、単純な構造のため建造期間も少なくコストも安い。セミ・サブマリーン型は、沖合の島嶼など、波の荒い海域に設置しても安定しているという特徴がある反面、コストは高くなる。メガフロートの構造物は、スチール製の板骨を組み合わせた構造で強度があり、耐用年数100年を見込んでいる。また、構造物内部には隔壁で仕切られた数多くの空間があり、簡単には浸水しない構造になっている。

メガフロートは、ユニット式で、長さ300メートル、幅60メートルくらいのユニットを、造船所で必要な数だけ作っておいて、船で沖まで引っ張っていって、海上で繋ぎ合わせることで建設される。

 

日本でのメガフロートの研究開発は、造船・鉄鋼17社からなる「メガフロート技術研究組合」によって、平成7年4月から3年間、メガフロートの基本技術の開発が行なわれた。更に、平成10年4月からの3年間で、実用レベルの技術開発が行われ、200010月には、横須賀市沖に設置された1000メートル浮体滑走路で、琉球エアーコミューター(RAC)の旅客機を使用した離着陸実験が行なわれた。また、約350回にわたる航空機による計器進入実験(ローパス実験)などの実証結果をもとに、4000m級の大型空港の試設計を行われ、最終的にメガフロートは4000m級の滑走路に利用可能な技術であると結論づけられている。

 

メガフロートは、その名のとおり、原則、海の上に浮いているだけなのだけれど、推進装置をつければ自力航行も可能になるという。ブラウン&ルート社は、アメリカ軍と多国籍軍に滑走路、整備、補給、および他のロジスティクスサポート等を提供する為のモジュール式の浮動基地(MOB:Mobile Logistics Platform)を提案している。実は、メガフロートは、普天間飛行場の辺野古沖への代替施設案の1つとして、2000年頃に検討されたことがあるのだけれど、波が荒い外洋での安全性やコスト面の問題点が大きいとして見送られた経緯がある。

 

ここから先は、多少空想の類になってしまうかもしれないけれど、夢のある話として読んでいただきたい。メガフロート技術が確立しているのであれば、それを実際に作って運用して、実績をどんどん上げることができれば、将来に向けての投資と捉えることも可能だろう。

例えば、超・スーパーメガフロートでも作って浮べて、その上に研究施設や小さな都市を丸ごと作ってやるのはどうか。日本は国土が狭いからなんて良く言われることだけれど、それは地面のことを指しているのであって、海上に地面を浮かべてやることができれば、国土なんていくらでも増やすことができる。ドバイなんかだと、ザ・ワールドとか、ザ・パーム、ジュメイラ・アイランズなどのように人工島郡を作っては、ホテルをたてて盛大にやってる。世界中の著名人が集まってくる。ドバイにできることなら、日本にできない筈がない。

 

スイスのCSEMが、直径5000メートルの、円形のメガフロートを、アラブ首長国連邦に建設するのなら、日本はドーンと全長25Kmくらいのギガフロートでも浮べてしまえばいい。それだけ広ければ、基地だろうが、なんだろうが建設し放題。もしも、同じところに、あんまり大きいのが居座ると、二ヶ月もしたら周辺の気候が変わってしまって困るというなら、研究施設でも乗っけて、自力航行装置をつけて、海流にのって、太平洋をゆっくり海洋調査でもしながら、回遊してもいい。動くリゾート地なんていうのも悪くない。また、鹿児島から奄美諸島、そして、沖縄本島から宮古島あたりまで、島と島の間に、ギガフロートを飛び石のように浮べて、互いを海底トンネルや、橋でつないでしまうのも面白い。

 

メガフロートは、船のように揺れる訳じゃなくて、全体として沢山の波同士がお互いの力を相殺するように働くから、揺れは小さくなる。また、通常の波はメガフロートの先端付近で反射されてしまうので、中央部付近ではほとんど揺れないそうだ。研究によれば、沿岸空港プロトタイプだと、暴風時の有義波高12.5m、波周期10秒という条件でも大丈夫だと報告されている。

また、メガフロートの周囲に、振動水柱式空気タービン方式の波力発電装置の空気室をつけておくと、波のエネルギーが吸収されて揺れが更に軽減されるそうだ。だから、飛び石に浮べたメガフロート同士を繋いでやって、そこにリニアを走らせて、鹿児島から直通で宮古島までいけるようにしたら、あの付近一帯が、ひとつの経済圏として機能するようになる。

 

例えば、飛び石のギガ・フロートなら太陽光、海底温度差、潮力による発電が出来るだろうし、大面積が必要となる宇宙太陽光発電の受電設備だって作ることができる。また、大規模なマグロの養殖場を作ってみたり、リゾートアイランドを作ってみたりすれば、あのあたり一体がまるごと経済圏になる。人だって呼べる。若い人がみんな東京に集まって困る、というなら、沖縄を中心として、あの海域に第2東京を作るくらいの計画でも立てて、そこに人が集まるようにすればいい。近くに上海があるから、かなり大きな経済圏が期待できる。沖縄と日本本島を地続きにしてしまうのは意外と効果があって、人の交流が活発になるし、あのあたりが一大経済圏になれば、もっともっと発展の芽が出てくる。今よりもっと沖縄が身近になるし、人々の意識も変わる。

 

100兆円くらい国債をドンと出して、国家プロジェクトとしてやるくらいの気持ちがあってもいい。それくらいのスケールがあって始めて成長戦略と言えるのではないか。そしてそれがやれる力を持っているのは、世界でも日本くらいしかない。