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 急に眼を覚ます。ガバッと起き上がって周囲を見渡す。見慣れた自分の部屋。隣には誰もいない。
 夢だったのだろうか?それにしてはあまりにも、何といえばよいのだろうか鬼気に迫り過ぎていた気がする。いや、あれは本当に僕の身に起こったのだ、と思う。僕とレミさんはお互いが失われたもう片方を見つけ、かっちりとはまって一つになった。ただそれが故、レミさんは僕になって、いなくなってしまったんだろう。何だかやっぱり悲しかった。
 苦悩の果てに、人生で一番に必要としていたもの、共鳴する女性を見つけ、喜びに噎び、二人が一つになることを望み、身体を摺り寄せて交わり、終にはそれを果たした。しかし、その結果また一人になってしまった。
 分かり合おうと望みながら、お互いが別であり個である間にしかそれを分かち合うことができない。なんと皮肉なことであろう。
「だって、生きてるんだもの。」
二人が始めて交わったときに、レミさんが僕に言った言葉。それが哀愁をもって僕に染み渡る。
 ああ、これからどうして生きよう。そう思って拳を握り締める。と、その拳に何かがあることに気がつく。果たしてそれはクシャクシャになった紙切れであった。開いて皺を伸ばすと、そこには文字が書き付けられている。それを読む。と、読んだ先から止め処なく涙があふれ出てくるのを禁じえなかった。
 以下がその紙切れに書かれていた言葉である。そして、これをもってこの話を終わりにする。

 

「ポチ、目覚めましたか。隣に私がいなくてびっくりしたかも知れません。でも、許してください、それは致し方のないことなのです。そして、そんな事とは何の関係もなく、あなたの時間は進み続けます。ですから、あなたの見たくない物はこれからも止め処なく、あなたの瞳に映り続けます。そのためにあなたは血を流し続けるのです。さらに残酷なことにはあなたはもう二度と、私とあなたがそうした様には、誰かと交わり溶け合うことはできないかもしれません。でも、嘆き悲しまないでください。だって、そんな現実が、その痛みそのものが、希求するその過程こそが、生きることであり、あなたなんですから。あなたがこれからの人生でほんの一瞬でも幸せを感じられたらと、心から願っています。さようなら。レミ。」


奥付




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著者 : オパーリン
著者プロフィール:http://p.booklog.jp/users/opaarinn/profile


発行所 : ブクログのパブー(http://p.booklog.jp/
運営会社:株式会社paperboy&co.


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